『猪瀬直樹電子著作集「日本の近代」第8巻 昭和16年夏の敗戦 日本人はなぜ戦争をしたか』のカバーアート

猪瀬直樹電子著作集「日本の近代」第8巻 昭和16年夏の敗戦 日本人はなぜ戦争をしたか

(小学館)

プレビューの再生

Audibleプレミアムプラン30日間無料体験

プレミアムプランを無料で試す
オーディオブック・ポッドキャスト・オリジナル作品など数十万以上の対象作品が聴き放題。
オーディオブックをお得な会員価格で購入できます。
30日間の無料体験後は月額¥1500で自動更新します。いつでも退会できます。

猪瀬直樹電子著作集「日本の近代」第8巻 昭和16年夏の敗戦 日本人はなぜ戦争をしたか

著者: 猪瀬 直樹
ナレーター: 一戸 康太朗
プレミアムプランを無料で試す

30日間の無料体験後は月額¥1500で自動更新します。いつでも退会できます。

¥3,500 で購入

¥3,500 で購入

このコンテンツについて

「模擬内閣」の結論は「敗戦必至」。しかし、戦端は開かれた――。

収録作の原題は『昭和16年夏の敗戦』(1983年8月世界文化社刊、1986年8月文春文庫、2010年6月中公文庫)。日米開戦の知られざる事実を掘り起こし、「記録する意思」を貫徹した、猪瀬直樹36歳、初期の力作。

開戦直前の昭和16年夏、「内閣総力戦研究所」に軍部・官庁・民間から集められた、将来の指導者たる選りすぐりのエリート36人。平均年齢33歳の若き俊英は「模擬内閣」を組織し、シミュレーションを重ねて戦局の展開を予測する。結論は「敗戦必至」。しかし、戦端は開かれた――。埋もれていた記録と証言から明らかにされる開戦秘話。最高意思決定機関の空虚とは何か。官僚的意思決定とは。そこに成立する日本国とは。近代日本への問題意識が凝縮する一作。
©2018 Naoki.Inose (P)2025 小学館
アジア 日本
すべて表示
最も関連性の高い
格調高い文体で、政府記録や公式文書をふんだんに引用した重厚な内容だった。小説というより、取材に基づく猪瀬氏の手記を聴いているような感覚である。一方で、本書にはドラマティックな演出や構成の妙といったエンタメ的要素はない。しかし、そこには歴史に刻んでおくべき文脈があり、それを何としても残そうとする筆者の気迫のようなものを感じた。

難解な部分も少なくなかったが、朗読の力を借りて何とか最後まで聴き通すことができ、深い充実感が残った。中でも印象に残ったのは、東條英機に関する描写だ。運命に翻弄される一人の人間として描かれており、そこに深い同情を覚えた。

本書の核心は「なぜ必敗が分かっていながら戦争に突き進んだのか」という問いにある。天皇、政治家、陸軍、海軍、さらにはマスコミ、それぞれに事情と立場があり、悲劇的な偶然が積み重なった末の結果だったように見えなくもない。しかし、本質的にはやはり、民主主義やシビリアンコントロールが十分に機能しない体制的欠陥が根底にあったのではないか。私はそう受け止めた。

悲劇的な偶然と、構造的な必然

問題が発生しました。数分後にもう一度お試しください。