検索キーワード： 世界文学

昭和7年（1932年）初出。『誰もみな一日の仕事をすましてそろそろ寝ようとする今頃になって、半里もある田舎道を医者へ行って来てくれとか、六十も越してしまった母親に寝ずについていてくれとか言うことは言い出しにくかった。 』結核を患う男・吉田と彼の周囲の人々を描いた、梶井基次郎の遺作。

昭和30年（1955年）初出。ジムという西洋人の友達は、舶来の上等な絵の具を持っていた。その中でも藍色と洋紅色はとても美しく、僕の持っている絵の具ではどうしても出せない色であった。 僕はその絵の具がほしくてたまらなくなり―

昭和3年（1928年）初出。ロシア人の青年・コルニコフはとある日本兵にひとつの打ち明け話を聞かせた。今まで誰一人信じてくれなかった恐ろしい「死後の恋」の話であった―

昭和61年（1986年）初出。通り道で梅花を楽しむ春、趣深い溝が多く見られた下町の追憶、郊外にも増えた西洋種の花々、茶屋に登場するようになった果物―荷風が散策で見た、さまざまな東京の表情や西洋化し変わりゆく東京のライフスタイルを綴る随筆。

昭和51年（1976年）初出。やっともらった縁談の相手は同僚との付き合いを断れず見合いに遅れてやってくるようなお人よし過ぎる男だった。こんな人とは結婚するものかと思っていたが縁談はまとまってしまい―

昭和63年（1988年）初出。一人の男の死をきっかけに再会を果たした若き青年・河野扁理と未亡人・細木。扁理はその縁で出会った細木の娘に恋心を抱くのだが―

昭和26年(1951年)初出。九月一日の朝。谷川の岸にある小学校に高田三郎という名の転校生がやってきた。自分たちとはまったく違う風貌の転校生を、生徒たちは「風の又三郎」ではないかと噂する―

A timeless story of isolation and inner torment, Osamu Dazai's No Longer Human follows Yozo Oba, a man who hides behind laughter while drifting toward self-destruction.

The Real Osamu Dazai features twenty unforgettable tales—some autobiographical, others fictional—that chart the inner life of one of modern Japan's most brilliant and tormented writers. From darkly comic meditations on fashion and identity to heartrending accounts of childhood, love, and war, Dazai's prose is both timeless and emotionally raw.

Hojoki is an introspective poem written in the 13th century by the enigmatic Japanese hermit Kamo no Chomei, who as a young man served in the capital as official court poet, but later in life withdrew from society.

＜内容紹介＞ 山本周五郎は「文学には“純”も“不純…

江戸川乱歩の不朽の名作、少年探偵団シリーズ　名探偵・明智小五郎と共に小林芳雄少年率いる少年探偵団が怪人二十面相の悪事をあばいていきます。

"太宰治(本名 津島修治）は、小学校では学校始まって以来富岳百景の秀才と称されるほど成績優秀で、特に作文に優れ、腕白でいたずらっ子でもありました。

昭和初期に活躍した小説家、堀辰雄の小説。軽井沢を舞台にした連作小説で、別れた恋人への思いを断ち切るころ、新しい少女に出会う、少女の面影を、音楽的に構成した傑作『美しい村』は、バッハの遁走曲に思いついたという。プルーストの文体を日本語の散文の中に巧みに生かし、修飾語が多く息の長い緩慢なリズムとテンポで綴られた、「私」の創作過程を辿った新しい形式の「小説」。

【解説】 「硝子戸の中」は、早稲田の漱石山房の硝子戸の書斎に坐して、思い浮かぶあれこれを綴った滋味溢れる漱石最晩年の小品集。『硝子戸の中』は、胃潰瘍の悪化で死去する前年の、48歳最晩年の作品である。早稲田の漱石山房の硝子戸の書斎に坐して、思い浮かぶあれこれを綴った滋味溢れる小品集。雑誌用の写真撮影のこと、愛犬ヘクトーのこと、絵の賛辞を求める厚かましい人のこと、「ある程の菊投げ入れよ棺の中」の句を手向けた女性のことなどをユーモラスに書き、最後には、兄や母についてしみじみと回想している(全39篇)。 【朗読】wis ※ 透明感と落ち着きのある声で親しまれている女性朗読家です。

＜内容紹介…

大正～昭和期の童話作家、詩人である宮沢賢治の短編童話。初出は尾形亀助編「月曜」創刊号［1926（大正15）年］。地主のオツペルのところへ白い像がやってきた。オツペルは、象に鎖をつけて働かせる

阿Qは無知で短慮ゆえに村人から笑いものにされ、 死んでまで周囲の人から不満を言われる切ない最期を迎える。 中国の田舎村のある男の伝記を通して、当時の庶民の様子を描き出す、 魯迅の唯一の長編小説

明治28年(1895年) 初出。東京府下のある病院では、医学士・高峰によって貴船伯爵夫人の手術が行われようとしていた。しかし夫人は痲酔剤の使用を固く拒む。夫人がそこまで頑なになる理由とは―

『歯車』（はぐるま）は、『玄鶴山房』、『蜃気楼』、『河童』、『或阿呆の一生』と並ぶ 芥川、晩年の代表作です。 生前に第一章が雑誌「大調和」に発表され、残りは遺稿として発見されました。 遺稿策の中