エピソード

  • 【第9回】残業代の計算で間違えやすい7つのケースのお話
    2026/10/21
    「管理職だから」「年俸制だから」「代休を取らせたから」──残業代はいらない、と思っていませんか?実は、どれもそのままでは未払いにつながるおそれがあります。賃金を請求できる権利の時効は、現在、本来の給料日から3年。間違いが積み重なると、あとからまとめて請求される可能性があります。社労士クラウドラジオ第9回は、残業代の計算で間違えやすい7つのケースを、具体的な数字で、耳だけでスッと頭に入るように解説します。第8回「残業代の計算」の応用編です。──────────■ まずは基本の確認。サブロク協定がなくても割増は必要残業代は「1時間あたりの賃金 × 1.25などの倍率 × 働いた時間」で出します。1.25は、ふだんの1時間分の賃金に25%を上乗せするという意味で、この上乗せ分が「割増」です。1日8時間・週40時間を超えたり、法定休日に働いたりするにはサブロク協定の締結と届出が必要ですが、協定がないまま働かせてしまった場合でも、割増は払わなければなりません。▶ 36(サブロク)協定とは?時間外労働の上限規制を基本からわかりやすく社労士が解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play39-36kyotei/──────────■ 残業代はいらないと誤解されやすい3ケース(管理職・年俸制・パート/アルバイト/派遣)【ケース1 管理職】法律上の「管理監督者」でも、深夜(夜10時〜朝5時)の25%の割増は必要です。1時間あたり2,000円の人が深夜に2時間働けば、追加で1,000円。管理監督者かどうかは役職名ではなく、仕事の内容・責任と権限・勤務時間の自由度・待遇などを総合的に見て決まります。【ケース2 年俸制】年俸に残業代を含めない場合、年俸の一部として金額があらかじめ決まっている賞与も計算のもとに含めます。年俸600万円(毎月40万円+夏冬60万円ずつ)で月平均所定労働時間163.3時間なら、時間外の1時間あたりは、間違い(40万円だけで計算)が3,061円、正しい(50万円で計算)が3,828円で、767円の差。月20時間で1万5,340円、3年で約55万円になります。1円未満は四捨五入・切り上げは可、切り捨てだけは不可です。【ケース3 パート・アルバイト・派遣】1日8時間・週40時間を超えたとき、法定休日、深夜の割増は働き方に関係なく必要です。1日6時間契約で8時間働いても、7〜8時間目は(週40時間以内で会社独自の割増がなければ)通常の時給のまま。これが「法定内残業」です。派遣社員の割増を払うのは派遣元です。▶ 【社労士監修】時間外労働60時間超の割増率変更への対応についてhttps://sharoushi-cloud.com/blog/column/setsuritu/zangyo/──────────■ 1時間あたりの賃金の出し方を間違えやすい2ケース(歩合給・時給+月額の手当)【ケース4 歩合給】歩合給の1時間あたりの賃金は、その月の歩合給を、残業を含めた実際に働いた時間の合計でわります。歩合給の部分には1.25ではなく0.25をかけます。歩合給18万円・180時間(所定170+時間外10)なら、1,000円 × 0.25 × 10時間 = 2,500円。固定給と歩合給の両方がある人は、別々に計算して足します。【ケース5 時給+月額の手当】時給1,200円・リーダー手当月1万2,000円・1日6時間×年240日(月平均所定労働時間120時間)なら、手当は1時間あたり100円で、1時間あたりの賃金は1,300円、時間外は1,625円。時給だけで計算すると1,500円で、125円の未払いになります。月10時間で1,250円、3年で4万5,000円。家族手当・通勤手当は、名前でなく中身(家族の人数や通勤費用に応じているか)で判断します。▶ 残業代計算ツール(無料・登録不要・計算過程つき)https://sharoushi-cloud.com/zangyoudai-keisan/──────────■ 休日出勤で間違えやすい2ケース(振替休日と代休・ひをまたぐ休日出勤)【ケース6 振替休日と代休】1時間あたり2,000円の人が法定休日に8時間働いた場合。振替休日を同じ週に取れば追加は0円、翌週に取って週48時間になれば25%の上乗せで4,000円。代休は休日に働いた事実が残るため、2,000円 × 1.35 × 8時間 = 2万1,600円。代休の日を無給とする決まりがあり、同じ締め日までに代休を取れば通常の賃金分1万6,000円を差し引いて5,600円が残ります(完全月給制などでは差し引...
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  • 【第8回】残業代の計算方法をゼロから解説!月平均所定労働時間から割増率までのお話
    2026/10/15
    「土日休みの会社で、社員が土曜日に出勤しました。休日出勤の割増、35%は必要でしょうか?」実は、答えは「その土曜日が、法律で決まった休日かどうか」で変わります。そして、残業代でいちばん怖いのは、1時間あたりの賃金を実際より低く計算してしまうこと。賃金を請求できる権利の時効は、現在、本来支払うべき給料日から3年です。社労士クラウドラジオ第8回は、残業代の計算を、会社の休日から1か月分の計算例まで、耳だけでスッと頭に入るように解説します。──────────■ 残業代の計算は3ステップ。まず怖いのは「単価の間違い」残業代は、①1時間あたりの賃金を出す(月給の人は、月給を月平均所定労働時間でわる)、②働いた時間を、ふつうの残業・休日の労働・夜10時以降の労働に分ける、③それぞれに1.25や1.35といった倍率をかけて合計する、の順に出します。単価が低ければ残業代も低くなり、その差が毎月積み重なって、最大3年分の未払いになることがあります。今回は1日8時間・週40時間の通常の働き方が前提で、変形労働時間制・フレックスタイム制の会社や、週44時間の特例がある一部の業種の常時10人未満の事業場は、数え方が変わります。▶ 【社労士監修】人を雇った!どうする?!初めての給与計算https://sharoushi-cloud.com/blog/column/setsuritu/kyuuyo/──────────■ 法定休日と法定外休日。土曜出勤が35%かどうかの分かれ目法律では、毎週少なくとも1日、または4週間で4日以上の休日を与えることが決まっていて、これが「法定休日」です。日曜日を法定休日と決めている会社なら、土曜日は「法定外休日」。法定休日の出勤は35%以上ですが(事前に休日を別の日に振り替えた場合は扱いが変わります。出勤後の代休とは違います)、法定外休日の出勤は35%ではありません。「土日休み」とだけ決めて、どちらが法定休日か決めていない会社で、平日はふつうに働いたうえで、土曜日と日曜日の両方に出勤した場合は、厚生労働省の考え方では、日曜日から土曜日までを1週間と数えて、後ろにある土曜日の出勤が法定休日の労働になります。どちらか1日だけの出勤なら、35%の休日労働にはなりません。▶ 就業規則は10人未満の会社でも作成すべき?就業規則作成の義務とメリットを社労士が解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/other/play38-kisoku/──────────■ 月平均所定労働時間。105日のまま計算すると、3年で約8万5,000円の差1日8時間働く会社では、年間休日105日前後がひとつの目安ですが、法律上の最低の休日数ではありません。月平均所定労働時間は、1日の所定労働時間が毎日同じ会社なら「(365日-年間所定休日)×1日の所定労働時間÷12」で出します。年間所定休日120日・1日8時間なら約163.3時間、105日のままだと約173.3時間です。月給27万円の人で比べると、1時間あたり約1,653円と約1,558円で、約95円の差。毎月20時間の残業が続くと、3年間で単純計算約8万5,000円の不足になります。▶ 残業代計算ツール(無料・登録不要・計算過程つき)https://sharoushi-cloud.com/zangyoudai-keisan/──────────■ 1時間あたりの賃金。除外できる7つの賃金は「名前」でなく「中身」で決まる計算のもとから除外できるのは、家族手当・通勤手当・別居手当・子女教育手当・住宅手当・臨時に支払われた賃金・1か月を超える期間ごとに支払われる賃金の7つです。役職手当・資格手当・皆勤手当などは含めます。名前が「住宅手当」でも、住宅の種類ごとに一律の金額を払っているなら、除外できません。基本給22万円・職務手当4万円・皆勤手当1万円(通勤手当・住宅手当は実費や家賃に応じて支給)なら、計算のもとは27万円で、1時間あたり約1,653円です。──────────■ 割増率と休日出勤。同じ8時間でも金額が変わる時間外労働(1日8時間・週40時間を超えた分)は25%以上、法定休日の労働は35%以上、深夜労働(夜10時〜朝5時)は25%以上。月60時間を超えた時間外労働は50%以上で、この60時間に法定休日の労働は入りません。時間外労働の上限は原則月45時間・年360時間で、これを超えて働かせるには特別条項付きの...
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  • 【第7回】パート・有期雇用の労働局調査と、2026年10月に変わったルールのお話
    2026/10/09
    パートや契約社員を雇っている会社の皆さん、「労働条件通知書は、2026年10月の変更に対応できていますか?」と聞かれて、ドキッとしませんでしたか?実は、労働局から「報告徴収」という調査の通知が届く会社があります。令和7年度に調査を受けた企業のうち、約7割で是正指導が行われました。社労士クラウドラジオ第7回は、パート・有期雇用の労働局調査と、2026年10月に変わったルールを、耳だけでスッと頭に入るように解説します。──────────■ 労働局の「報告徴収」は、どんな調査?パートタイム・有期雇用労働法にもとづいて、労働局が会社に報告を求める調査です。担当は各都道府県の労働局にある雇用環境・均等部(室)で、残業代などを確認する労働基準監督署の調査とは、担当も根拠となる法律も違います。ただし、労基署が定期監督などの際に回収する「同一労働同一賃金チェックリスト」が、労働局の報告徴収につながることもあります。調査では書類の提出やヒアリングがあり、問題があれば助言・指導、必要に応じて勧告が行われます。報告をしない、またはうその報告をすると、20万円以下の過料の対象です。令和7年度に雇用管理の実態を確認した企業は1万1,005社で、そのうち7,966社(72.4%)で是正指導が行われました。これは調査を受けた会社の割合で、世の中の会社の7割が違反しているという意味ではありません。──────────■ 2026年10月に変わった3つのルール今回の変更は、法律そのものではなく、施行規則・雇用管理指針・同一労働同一賃金ガイドラインの見直しです。一つ目は、雇い入れるときなどに書面で伝える労働条件に、「正社員との待遇の違いの内容や理由について、説明を求めることができる」ことが加わったこと。二つ目は、ガイドラインで家族手当・住宅手当などの考え方が示されたこと。三つ目は、待遇差の説明方法と、正社員への転換についての指針が見直されたことです。「しなければならない」ものと「努める」「望ましい」ものは強さが違うので、分けて整理しておきましょう。▶ 労働条件通知書と雇用契約書の違いは?兼用方法から書類不備のリスクまで解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play113-keiyakusyo/──────────■ 調査で見られるポイントと、準備する資料令和7年度に指導が多かったのは、労働条件を書面で伝えること、雇い入れたときの説明、正社員への転換です。通知書のひな形の見直し、説明に使った資料と記録、転換制度の規程や意向を確認した記録を、今のうちに確認しておきましょう。実際に求められる資料は、手元に届いた通知書で確認してください。▶ 会社側の入社手続きマニュアル!必要書類から期限までチェックリスト付きで解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play99-manual/──────────■ 待遇差の理由は、待遇ごとに説明できますか?労働局に寄せられるパート・有期雇用の相談では、均等・均衡待遇に関する相談が全体の65%ほどを占めています。「パートだから」という理由だけでは説明になりません。比べる正社員を決めて、仕事の内容・責任・異動の範囲の違いを書き出し、基本給・賞与・手当・休暇を一つずつ確認します。待遇の名前、正社員の内容、パートの内容、何のための待遇か、差の理由の5つで一覧表をつくっておくと、説明を求められたときの資料を作る土台にもなります。──────────■ 通知が届いたらステップ1:通知書の内容(調査の根拠、提出する資料、期限、提出先、ヒアリングの日時)を確認する。ステップ2:担当者を決める。ステップ3:今ある資料を確認して、指定された資料を提出する。調査前からあったように見せるための作り直しや、日付をさかのぼった書き換えはしてはいけません。また、差をなくすために安易に正社員の待遇を下げるのではなく、パート・有期雇用の人の待遇を改善することが求められます。──────────■ よくある質問Q. 小さな会社でも対象ですか?A. はい。パートタイム・有期雇用労働法は、会社の規模に関わらず適用されます。Q. 家族手当や住宅手当は、...
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    19 分
  • 【第6回】初めての給与計算、従業員の入社から最初の給料日までの流れのお話
    2026/10/09
    「従業員の入社日が決まった!あとは給料日に、計算して振り込めばいいよね」と思っていませんか?実は、初めての給与計算でつまずくのは、計算そのものではありません。計算の前の「準備」で、ほとんど決まってしまいます。社労士クラウドラジオ第6回は、入社が決まってから初めての給料日までの給与計算の流れを、5つのステップに絞って、耳だけでスッと頭に入るように解説します。──────────■ 結論:先にルールと手続きを決めておく締め日や支払日、遅刻したときの引き方など、ここを決めないまま入社日を迎えると、計算のたびに迷います。あとから変えると、従業員とのトラブルにもなりやすいところです。また、給料は日割りにしても、健康保険や厚生年金の保険料に日割りはありません。残業も全部が25%増しではなく、深夜や休日では率が変わります。▶ 【社労士監修】人を雇った!どうする?!初めての給与計算https://sharoushi-cloud.com/blog/column/setsuritu/kyuuyo/──────────■ ステップ1・2:入社前のルール決めと、必要な書類決めておきたいルールは、締め日と支払日、勤務時間と法定休日、遅刻・早退・欠勤の引き方、入社した月の日割りの4つです。あわせて、賃金が都道府県の最低賃金を下回らないかも確認します。常時10人以上の従業員がいる事業場には、就業規則の作成と届出の義務があります。書類は、給与所得者の扶養控除等申告書と、振込口座・振込への同意の2つが要です。申告書がないと、原則として、扶養の人数を反映しない「乙欄」の表で所得税を計算することになります。給料の銀行振込には、本人の同意に加えて、労使協定が求められています。▶ 就業規則は10人未満の会社でも作成すべき?就業規則作成の義務とメリットを社労士が解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/other/play38-kisoku/▶ 会社側の入社手続きマニュアル!必要書類から期限までチェックリスト付きで解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play99-manual/──────────■ ステップ3・4:働いた時間の確定と、総支給額毎日の残業を15分未満で切り捨てる処理は認められていません。認められているのは、その月の残業・休日労働・深夜労働を、それぞれ合計したあとの、1時間未満の端数処理だけです。割増賃金の率は、法定労働時間を超えた残業が25%以上(1か月60時間を超えた分は50%以上)、深夜労働が25%以上、法定休日の労働が35%以上です。所定労働時間を超えても法定労働時間に収まる残業や、法定休日ではない休日の出勤など、間違えやすい場面も解説しています。月給の人の残業代は、月給を時間単価に直してから計算します。時間単価は、日割りにする前の月給で計算するのがポイントです。▶ 【社労士監修】時間外労働60時間超の割増率変更への対応についてhttps://sharoushi-cloud.com/blog/column/setsuritu/zangyo/──────────■ ステップ5:控除を引いて、支払う給料から天引きしてよいのは、法律で決まっているものと、書面で協定を結んだものだけです。法定控除は所得税・住民税・社会保険料・雇用保険料など、協定控除は社宅や寮の費用、食事代などです。労災保険料は全額が会社の負担なので、天引きしません。社会保険料は、一般的には前月分を今月の給料から引きます。2026年4月分の保険料からは、健康保険料とあわせて「子ども・子育て支援金」の負担も始まりました。料率は見直されることがあるので、最新の案内で確認してください。支払うときは、賃金支払いの5原則を守り、給与明細を渡し、賃金台帳に記録します。▶ 初めて従業員を雇用した際に会社が行う社会保険・労働保険の手続きを解説!https://sharoushi-cloud.com/blog/column/setsuritu/play97-hajimete/──────────■ よくある質問Q. 月給に残業代を含める「固定残業代」にしてもいいですか?A. できます。ただし、基本給と固定残業代の金額、何時間分なのかを、はっきり分けて決めてください。決めた時間を超えた分や、固定残業代では足りない分は、追加で支払います。Q. 給与計算は、自分でやるべきですか?それとも社労士に頼むべきですか?A. ルールが決...
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    20 分
  • 【第5回】36協定(サブロク)協定の締結・更新と、違反リスクのお話
    2026/09/26
    サブロク協定を「去年も同じ内容で出したから、今年もそのままコピーで大丈夫」と思っていませんか?実は、協定の有効期間が切れた瞬間、たとえ1日でも空白ができると、その間の法定時間外労働や法定休日の労働は違法な状態になってしまいます。社労士クラウドラジオ第5回は、サブロク協定の締結・更新の実務と、違反したときのリスクを、耳だけでスッと頭に入るように解説します。──────────■ 協定は「結んで届け出る」まで一連の手続きですサブロク協定は、協定を結ぶ相手を確認する、内容を協議する、労働基準監督署に届け出る、これが、法定時間外労働や法定休日の労働をさせるための大前提です。協定の内容を従業員に周知することも、法律で義務づけられています。協定には必ず有効期間があり、多くの場合1年間に設定されています。▶ 36協定の更新は毎年必要?更新手続き流れや必要書類、提出期限を解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play100-congrats/──────────■ 労働者代表の選び方が、協定の有効性を左右しますまず、その事業場に労働者の過半数で組織する労働組合があるかを確認します。ある場合は、その組合と協定を結びます。ない場合に選ぶ代表者は、パートやアルバイトも含めた全労働者の過半数を代表する人でなければいけません。サブロク協定を結ぶ代表者を選ぶことを全員に知らせたうえで、投票や挙手など民主的な方法で選ぶ必要があり、会社が一方的に指名したり、管理監督者を選んだりすることは認められません。ここが不適正だと、協定そのものが無効になってしまいます。また、残業時間を管理する対象期間は1年間とされていて、協定の有効期間についても1年間とするのが一般的です。自動更新の定めを置くこと自体はできますが、何もしなくてよいわけではなく、更新のときには労使双方から異議がなかったことを確認したうえで届出が必要です。1年の起算日は自社の運用に合わせて労使で決められます。必ず4月1日でなければならないわけではありません。一度決めたら毎年同じ時期に切れ目なく管理することが大切です。──────────■ 締結・届出の実務は五つのステップです①協定を結ぶ相手の確認(過半数労働組合がなければ労働者代表を選出)、②協定内容の協議・協定書の作成、③協定届の作成(厚生労働省が公開している最新の様式を使用。過半数代表者と結ぶ場合は適格性のチェック欄も忘れずに)、④所轄の労働基準監督署への届出、⑤全従業員への周知。協定書や届出の控え、代表者の選出記録などは、更新後も少なくとも3年間は残しておきましょう。なお、協定届の様式を協定書として兼ねることもできます。複数の事業場がある場合は、電子申請なら、一定の条件のもとで本社が各事業場の分をまとめて届け出る仕組みがあります。細かい条件は見直されることがあるため、利用する前に最新の案内を確認してください。ただし、協定を結ぶこと自体は事業場ごとに必要です。──────────■ 更新忘れは「取り返しがつかない」リスクです更新を忘れたまま法定時間外労働や休日労働をさせた場合、6か月以下の拘禁刑または30万円以下の罰金という罰則の対象になることがあります。しかも、サブロク協定は法定時間外労働や法定休日の労働をさせる前に届け出ておく必要があるため、急いで再届出をしても、空白期間の残業を適法にすることはできません。有効な協定がない状態で法定時間外労働や法定休日の労働を命じること自体が問題になります。重大な違反などで送検された場合には、労働局が公表する違反事案の一覧に企業名が掲載されることもあります。一覧には掲載期間がありますが、報道や転載はその後も残ります。▶ 36協定の更新忘れは経営リスクそのもの!罰則と発覚後の対処法を社労士が解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play101-36gogo/──────────■ 見落としがちな落とし穴・代表選出の形骸化:「去年と同じ人で」と会社だけで決めて自動的に再任してしまうケース。今回の協定を結ぶ権限がある代表者かを確認してください...
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  • 【第4回】36(サブロク)協定の基本と残業時間の上限のお話
    2026/09/26
    従業員に残業や休日出勤をお願いする予定がある社長さんへ。「うちは残業なんて滅多にないから」と思っていませんか?実は、法定労働時間を超える残業や法定休日の労働は、たった数時間でも、サブロク協定の届出がないまま行うと法律違反になってしまいます。会社の規模や従業員数は関係ありません。社労士クラウドラジオ第4回は、サブロク協定の基本と、残業時間の上限を、耳だけでスッと頭に入るように解説します。──────────■ サブロク協定とは、会社と労働者側が結ぶ労使協定です法定労働時間を超える残業や、法定休日の労働をさせるなら、事前にサブロク協定を結んで、労働基準監督署に届け出ておく義務があります。従業員が1人の事業場でも、原則として対象になります。法定労働時間は原則1日8時間・週40時間ですが、常時10人未満の商業や保健衛生業などには週44時間の特例があります。法定休日も原則は毎週1日で、4週間を通じて4日以上という与え方が認められています。サブロク協定は、労働基準法第36条に基づく労使協定のことで、協定を結んだら、その内容を「協定届」という書類にまとめて労働基準監督署に届け出ます。会社の規模や人数だけでは免除されません。▶ 36(サブロク)協定とは?時間外労働の上限規制を基本からわかりやすく社労士が解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play39-36kyotei/──────────■ 働く人によって、残業のルールが違います18歳未満のかたには、そもそも時間外労働や休日労働をさせることができません。妊娠中・産後1年未満のかたも、本人から請求があった場合は同じです。反対に、「管理監督者」は労働時間の規制の対象外ですが、これは部長や店長といった肩書きだけで決まるものではなく、職務や権限、勤務の裁量、待遇などの実態で判断されます。育児や介護をしているかたにも別のルールがあり、小学校に上がる前のお子さんを育てているかたが請求した場合、時間外労働は月24時間・年間150時間以内に制限されます。──────────■ 業種・業務によっては特例があります医師や自動車運転の業務、建設業などは、かつては上限規制そのものの適用が猶予されていました。今は、医師や自動車運転の業務に、一般の労働者とは異なる上限規制が設けられています。上限の時間数は業務によって違い、単月100時間未満や複数月平均80時間以内といった一般のルールが、そのまま当てはまるとは限りません。建設業については2024年4月から、災害復旧・復興事業の一部特例を除いて、一般の会社と同じ上限規制が適用されるようになっています。▶ 2024年4月に建設業も36協定の対象!残業時間の上限規制と新様式の書き方・記載例を社労士が解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play43-kensetsu/──────────■ 残業時間の上限は、月45時間・年360時間が原則ですサブロク協定で設定できる残業時間の上限は、原則として月45時間・年360時間です。対象期間が3か月を超える1年単位の変形労働時間制をとっている場合は、月42時間・年320時間と別に決まっています。月に20日働くとして毎日2時間の残業を続けると、1か月は40時間で月45時間の枠に収まって見えますが、1年では単純計算480時間となり、年360時間の上限を超えてしまいます。月と年、両方の管理が必要です。繁忙期などでこれを超える必要がある場合は、「特別条項」付きのサブロク協定を結ぶ必要があります。▶ 36協定における残業時間の上限(月45時間/年360時間)や超えたらどうなる?社労士が解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play42-zangyo/──────────■ 特別条項でも、守るべき上限は四つあります特別条項を結んでも無制限に残業させられるわけではありません。①時間外労働だけで年間720時間以内(法定休日の労働は含まない)、②時間外労働と法定休日労働を合わせて単月100時間未満、③同じく2〜6か月のどの平均でも月80時間以内、④月45時間を超えられるのは年間6か月まで、という四つの上限を守る必要があります。②と③には法定休日の労働時間も含まれる点が混同しやすいポイントです。また、...
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    17 分
  • 【第3回】従業員を雇用する時に必要な労働契約(労働条件通知書・雇用契約書)の締結と法定三帳簿のお話
    2026/09/15
    いよいよ新しい仲間を迎える社長さんへ。「人を雇うときの手続きは、役所への届出さえ済ませておけば大丈夫」と思っていませんか?実は、それより前に明示しておくべき労働条件(「労働条件通知書」)があり、これを怠ると30万円以下の罰金の対象になります。社労士クラウドラジオ第3回は、従業員を雇うときに必要な、労働条件通知書・雇用契約書の締結と、法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)の作成を、耳だけでスッと頭に入るように解説します。──────────■ 労働条件通知書と雇用契約書、役割の違い労働条件通知書は会社から従業員への一方的な「通知」で、法律上の交付義務があります(違反すると30万円以下の罰金)。一方の雇用契約書は、双方が条件に「合意」したことを確認する書類です。「雇用契約書」という書類の作成自体は義務ではありませんが、労働契約法では契約内容をできる限り書面で確認することとされています。雇用契約書に法律上の明示事項がすべて書かれていれば、労働条件通知書を兼ねることもできます。ただし、合意の証拠がないと労使トラブルで会社側が不利になりやすいため、実務上は両方を「労働条件通知書 兼 雇用契約書」として1枚にまとめるのが効率的です。▶ 労働条件通知書と雇用契約書の違いは?兼用方法から書類不備のリスクまで解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play113-keiyakusyo/──────────■ 交付は「契約を結ぶとき」。2024年4月改正にも要注意労働条件通知書には、就業場所・業務内容・賃金・退職に関する事項など、法律で定められた項目を必ず明示する必要があります。2024年4月の改正で「就業場所・業務の変更の範囲」が新たに追加事項になりました。労働者が予見できる程度まで、範囲を具体的に書くのがポイントです。有期契約では、更新上限の有無や、一定の場合の無期転換に関する事項も追加されています。交付のタイミングは法律上「労働契約を締結する際」です。内定によって労働契約が成立する場合は、内定の時点がこれにあたります。採用通知と一緒に兼用書類を渡し、内容を確認してもらって、できれば入社前に署名・返送してもらう流れがおすすめです。役所への社会保険・労働保険の届出より前に済ませておく書類、という位置づけです。──────────■ 法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)の作成・保管実務で「法定三帳簿」と呼ばれるのが「労働者名簿」「賃金台帳」「出勤簿」です。労働者名簿と賃金台帳は労働基準法で作成が義務付けられており、出勤簿やタイムカードなどの労働時間の記録も作成・保存しておく必要があります。保管期間は原則5年(当分の間は3年)ですが、保管期間の数え始め(起算日)が帳簿ごとに違う点に注意してください。労働者名簿は退職した日、賃金台帳は基本的に最後の給与記入日(支払日が後ならその支払日)、出勤簿などの重要書類はその記録が完結した日から数えます。労働者名簿・賃金台帳の作成や帳簿の保存を怠ると、こちらも30万円以下の罰金の対象です。在職中でも、賃金台帳や出勤簿の記録は起算日が違う点に注意してください。▶ 会社側の入社手続きマニュアル!必要書類から期限までチェックリスト付きで解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/kitei/play99-manual/──────────■ 放置すると何が起きるか罰金そのものよりも実務で怖いのは、労使トラブルに発展したときの実害です。明示した労働条件と実態が違うと、従業員は即座に契約を解除できる「即時解除権」を持っています。また、基本給と固定残業代の区別がはっきりしていないと、裁判で残業代を払ったとは認められず、未払い残業代の支払いを命じられることもあります。求人票の記載と労働条件通知書の内容がズレていないか、採用の段階から確認しておくことが、入社直後のトラブルを防ぐ一番の近道です。──────────■ 補足:36協定・就業規則も忘れずに雇入れ時健康診断や、法定労働時間を超える残業や法定休日の労働をさせる場合の36協定、常時10人以上の事業場での就業規則の整備も、...
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  • 【第2回】初めて従業員を雇うときの社会保険・労働保険のお話
    2026/09/13
    初めて従業員を雇う社長さんへ。「アルバイト1人だけだから」と思っていませんか?実は届出先が最大3か所(年金事務所・労働基準監督署・ハローワーク)に分かれることがあり、社会保険の資格取得届は「雇用した日から5日以内」という短い期限があります。社労士クラウドラジオ第2回は、初めて従業員を雇うときに必要な社会保険・労働保険の手続きを、耳だけでスッと頭に入るように解説します。──────────■ まずは全体の流れ手続きは大きく2つに分かれます。社会保険(年金事務所)と労働保険(労働基準監督署・ハローワーク)は、それぞれ独立して進められます。順番があるのは労働保険の中だけです。・社会保険:加入条件を満たす従業員について、年金事務所で「資格取得届」・労働保険:まず労働基準監督署で「保険関係成立届」。雇用保険に入る従業員がいれば、そのあとハローワークで「適用事業所設置届」と「雇用保険被保険者資格取得届」▶ 従業員の雇用手続きと必要書類を解説!加入が必要になる保険は?https://sharoushi-cloud.com/blog/column/nyuusya/play96-koyou/──────────■ 社会保険の手続き(年金事務所)会社そのものは、多くの場合すでに社会保険の適用事業所になっています(第1回で解説済み)。今回新たに必要になるのは、雇う従業員本人を加入させる「健康保険・厚生年金保険 被保険者資格取得届」です。【期限】雇用した日から5日以内【提出先】管轄の年金事務所この届出で、従業員はマイナ保険証が使えるようになり、必要な方には資格確認書が交付されます(従来の健康保険証は2024年12月以降、新規発行が終了しています)。▶ 健康保険証の廃止で2024年12月2日から社会保険手続きはどう変わった?マイナ保険証についても解説https://sharoushi-cloud.com/blog/column/play37-hokensyo/扶養家族がいる場合は、同じタイミングで「健康保険被扶養者(異動)届」も提出します。目安は年間収入130万円未満などの条件です。対象になるのは基本的にフルタイムの従業員。パート・アルバイトの場合は、1週間の労働時間や1か月の労働日数が正社員のおおむね4分の3以上あるかどうかで判断します。4分の3未満でも、会社の規模や労働時間によっては対象になることがあるので、迷ったら年金事務所に確認してください。▶ 社会保険の加入条件や加入手続きの流れと加入方法の全まとめhttps://sharoushi-cloud.com/blog/column/setsuritu/syaho/──────────■ 労働保険の手続き(労基署→ハローワーク)労災保険と雇用保険をあわせた「労働保険」は、会社として初めて加入する手続きです。労災保険は人を雇えば必要になり、雇用保険は雇用保険に入る従業員がいる場合に必要になります。なお、ここでは一般的な会社や事務所を前提にしています(建設業や農林漁業などは流れが異なります)。まずは労働基準監督署へ。【保険関係成立届】保険関係が成立した日の翌日から10日以内【労働保険概算保険料申告書】翌日から50日以内(実務上は成立届と同時提出が一般的)ここまでの2つが労働保険の手続きです。これとは別に、初めて従業員を雇った事業場では、労働基準法の「適用事業報告」も労基署へ遅滞なく提出します。▶ 適用事業報告の手続き内容|スポット(単発)の社会保険手続き代行https://sharoushi-cloud.com/blog/procedure/tekiyoujigyou/受理されると「労働保険番号」が割り振られ、控えが交付されます。この控えは、次のハローワークでの手続きで必須になるので、なくさないようにしてください。労災保険は、パート・アルバイト・日雇いでも、労働者として雇う人は原則として全員が補償の対象です。労働時間や日数は関係なく、個人ごとの加入手続きもありません。労基署の手続きが終わったら、次はハローワークです。【雇用保険適用事業所設置届】雇用保険の適用事業所になった日(雇用保険に入る従業員を初めて雇った日)の翌日から10日以内【雇用保険被保険者資格取得届】雇用保険に入った月の翌月10日までハローワークでは、労基署で取得した労働保険番号や保険関係成立届の控えの提示を求められます。先にハローワークだけで済...
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