箭竹
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ナレーター:
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斉藤 範子
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著者:
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山本 周五郎
このコンテンツについて
山本周五郎は「文学には“純”も“不純”もなく、“大衆”も“少数”もない。ただ“よい小説”と“わるい小説”があるばかりだ」を信念とし、普遍妥当性をもつ人間像の造形を生涯の目的とした作家で、時代小説を中心に沢山の作品を残しています。 その作風は今なお古臭さを感じさせず、繊細に描かれた人の心の機微や人情に、思わず笑わされたり、胸を打たれたりする魅力に溢れています。
<あらすじ>
家綱は快い音を立てて、まっすぐ的に突き立った矢を見て、
「やはりこの矢だ」
と頷いた。扈従の者が家綱に命じられて矢立に残っている矢を差し出すと、家綱はその筈巻の下にあたるところを一本ずつ丁寧に調べてみた。するとその中の一本の筈巻の下の所に、「大願」という二字がごく小さく銘のように彫り付けてあった。先程的を撃ちぬいた矢にもそれがあった。去年ごろから時々その矢に当たるのだったが、持った時の重さや弦を放れる時の具合や、快い飛びざまなど、色々と言い条件がそろっているので、家綱も気にかかっていたのである。 家綱は丹後守を呼んでこの矢がどこから出たもので、いかなるものの作かを調べさせると、それは三河の国岡崎の水野けんもつ忠善の献納であることが分かった。丹後守が忠善の元を訪れると、忠善もまた献上品のなかにこのようなものがあることに驚いた。忠善は自ら帰国してその真意を取り糺すよう答えるが……
<山本周五郎(やまもと・しゅうごろう)>
1903~67年。小説家。山梨の生まれ。本名・清水三十六(さとむ)。名は生まれ年からつけられ、筆名は東京で徒弟として住み込んだ質屋「山本周五郎商店」にちなんだ。20代前半に作家活動を始め、39歳の時『日本婦道記』が直木賞に推されたが受賞辞退。その後も多くの賞を固辞する。江戸の庶民を描いた人情ものから歴史長編まで作品は数多い。代表作には、「樅(もみ)ノ木は残った」「赤ひげ診療譚」「おさん」「青べか物語」「さぶ」などがある。1987年9月には、「山本周五郎賞」が新潮文芸振興会により設定された。©2019 PanRolling
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