『あこがれ』のカバーアート

あこがれ

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あこがれ

著者: 川上 未映子
ナレーター: 三木 美
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人って、いつぽっかりいなくなっちゃうか、わからないんだからね

元気娘のヘガティーとやせっぽちの麦くん。寂しさを笑顔で支えあう小学生コンビが、大人の入口で奇跡をよぶ! 渡辺淳一文学賞受賞作。

おかっぱ頭のやんちゃ娘ヘガティ ーと、絵が得意でやせっぽちの麦くん。クラスの人気者ではないけれど、悩みも寂しさもふたりで分けあうとなぜか笑顔に変わる、彼らは最強の友だちコンビだ。麦くんをくぎ付けにした、大きな目に水色まぶたのサンドイッチ売り場の女の人や、ヘガティーが偶然知ったもうひとりのきょうだい……。互いのあこがれを支えあい、大人への扉をさがす物語の幕が開く。©川上未映子 (P)2021 Audible, Inc.
大衆小説 現代文学

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Audible制作部より

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『個』の生活がなりたってしまう今日。やっぱり素敵な人間関係に巡り会うため、どんどん人に出逢いたい!と、12歳の主人公に教えられた爽やかな気持ちで聴きおえました。

幼なじみの思い出が素晴らしい

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2つのエピソードのオムニバスになっているけれど、1つ目は麦の視点、2つ目はヘガティーの視点。
登場する小学生がみんな、どこかシャレていてセンスが良くて、頭も良くて、制服を着ている小学校(=私立?)というのがポイントなのかもしれないけれど、でもそれが全然嫌味じゃない。麦のあだ名付けのセンスなど脱帽する。
下手な恋愛ものを読むのは苦手なのですが、これは恋愛というより「あこがれ」としか言いようのない、なんとも爽やかなストーリー。
ナレーションも文句なしに素晴らしい。

恋愛ではない「あこがれ」

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2026/04/08聴了。
大きく二つの章で成り立つ本作。それぞれの章は繋がっていおり、登場人物も重複する。タイトルの通り「あこがれ」を基軸として物語が回る。それぞれ甘酸っぱい若者の青春像が描き出されている。そこに「あこがれ」がいい感じのステップとなり、少年少女が成長していく姿が見られる。

以下、本文に触れる。未読の方はお読みにならない事を願う。
第一章。
少年が歳上の見た目が目立つ女性に「あこがれる」話。この女性の描き方が上手い。また少年の気持ちの移り変わりが何とも言えないもどかしさと共に表現されている。登場人物の少女が立派で小学生とは思えない思考経路で物事を考えていく。だが、違和感では無いのである。そういった相続系の少女がいてもおかしくないと思える、また考えられる、感じられる雰囲気がそこにはある。また登場してくるヒロインとでも言うか。年上の女性についての描写もなかなかに格好いいところがある。少年が「あこがれ」を伴って、恋、焦がれる気持ちもわかる。そしてラストが何とも言えないスピルバーグ感が満載である。

第二章
前章で登場していた友人の少女が今回の主人公である。小学生が揺れる複雑な、大人の人間関係に翻弄されつつ、少女が一歩一歩、大人へと向かっていく様子が描写されて、芸術性の高い表現になっている。しかも描写が的確で上手であるために、大人がそれを見ると、非常にめんどくさい少女像になっており、将来メンヘラ化するんじゃないかと思われるような描写もあり、この多感な時期の揺れ動く少女の心の動きや在り様を的確に表現している。所々、文章の表現が上手であり笑わせてくれるところもあるのがオツである。パワーストーンの何の努力もしないで、と言う件や、その他の箇所でもクスッと笑えるところが小気味良い。またラストへの滑空から着地へのランディングが滑らかである。

それではここまで読んでくれた方々、ありがとう。それでは、アルパチーノ!

川上未映子版・スピルバーグ作品

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4年生だった2人は後の章で6年生になる。うまく言葉に出来ず処理できなかった感情も思考も、たった数年で大人たちから離れて話せるようになる。でも知らない街へ出かけるのはまだ少し冒険だ。でも間違いなく一人の人間として成長している。親や身近にいる者ほどそうしたことに気づけないものかもしれない。

わずか年月の違いでもかくも見事に描き分ける作者の力量はいうまでもなく、この2人とナレーターさんの演技も素晴らしい。朗読ならではの魅力を存分に感じられる名作だと思う。

まだ子ども。でも十分大人だ。

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川上未映子さんの作品は、深く鋭い感性と、美しい文体が魅力だ。

ただ今回は、ごく普通の小学生の男女が主人公。一章は小学4年生、二章は6年生の時を描き、主人公が入れ替わる連作短編のような構成になっている。この設定で、いつもの川上作品らしさが出るのだろうかと思った。

しかし、その年齢なりの理解や発想、未熟だからこその不器用さや焦りが見事に表現されていて、とても引き込まれた。さすがの筆力である。

むしろ、私には子どもを見ているという感覚があまりなかった。経験や知識の差こそあれ、そこには一人の人間としての人格があり、一つの魂が確かに存在していた。昔から「三つ子の魂百まで」と言われるように、その人の核となる部分は、幼い頃にはすでに形づくられているのかもしれない。

余談だが、ふとした描写やモノローグで、「これ、村上春樹だっけ?」と思う瞬間がある。川上作品ではいつもそんな瞬間があるのだが、今回もやはりそう感じた。作家として多大な影響を受けたものが、作品に息づいているのだろうと想像する。あの空気感を一瞬でも味わえるのは、私には嬉しい。

朗読も素晴らしかった。一方で、女の子は非常に内省的で大人びている。父親が映画評論家とはいえ、小学4年生でアル・パチーノ好きという設定でもある。そして朗読のクオリティも高いため、とくに二章では子どもらしさをあまり感じない場面もあった。

彼らに憧れをもった

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