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「あの戦争」は何だったのか

講談社現代新書

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「あの戦争」は何だったのか

著者: 辻田 真佐憲
ナレーター: 橋本 英樹
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日本はどこで間違えたのか?
掲げた理想はすべて誤りだったのか?
「大東亜」は日本をどう見ていたか?

戦後80年、今こそ問い直す「私たちにとっての戦争」とは。

『「戦前」の正体』の著者が、右でも左でもない「われわれの物語」を編みなおす
現代人のための新・日本近現代史!

「日本の過ちばかりを糾弾することでも、日本の過去を無条件に称賛することでもない。過ちを素直に認めながら、そこに潜んでいた“正しさの可能性”を掘り起こす、言い換えれば「小さく否定し、大きく肯定する」語りを試みることである。それこそが、われわれの未来につながる歴史叙述ではないだろうか。
本書は、そのようにしてあの戦争を現在につながる大きな流れへと接続し、「われわれ」の物語を創出するための試みである。」  ――「はじめに」より


【本書の構成】

はじめに
第一章 あの戦争はいつはじまったのか――幕末までさかのぼるべき?
第二章 日本はどこで間違ったのか――原因は「米英」か「護憲」か
第三章 日本に正義はなかったのか――八紘一宇を読み替える
第四章 現在の「大東亜」は日本をどう見るのか――忘れられた「東条外交」をたどる
第五章 あの戦争はいつ「終わる」のか――小さく否定し大きく肯定する
おわりに

【本書の内容】

●日中戦争を「支那事変」と呼んだ背景
●「ペリーこそ戦犯」と主張した石原莞爾
●「アジア・太平洋戦争」か、それとも「大東亜戦争」か
●米英との「協調外交」は可能だったのか
●近衛文麿の「知られざる慧眼」
●東条英機による「史上初の外遊」
●「パレンバン奇襲作戦」の真実
●南京大虐殺記念館の「意外な実態」      ……ほか

©辻田 真佐憲 (P)2025 Audible, Inc.
軍事・戦争

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日本には表現の自由があるから、いろんな視点で近代の戦争を描いたほうがいいという論は確かにと思った。
シンガポール、マレーシア、ベトナム、香港の第二次世界大戦の日本に関する記述をみたことがあるが、確かにマレーシアよりシンガポールの日本に対する記述は厳しかった。
中国の博物館にも行ってみたいと思った。

博物館巡り

問題が発生しました。数分後にもう一度お試しください。

石破元総理との対談をテレ東で見て興味を持った。よかった。26/2/10聴了。

すばらしい

問題が発生しました。数分後にもう一度お試しください。

聞いている途中、ずっと不快な「ノイズ」がチクチク刺さった。

「右でも左でもない「われわれの物語」を編みなおす」という宣伝文句が独り歩きして、多くの読者が、これこそが中立で正しい現代の「戦争」史観だと勘違いするのではないか?と私は危惧する。E.H.カー「歴史とは何か」で「歴史とは、現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話だ」との言葉を持ち出すまでもなく、著者は何度も「歴史とは現在からの解釈」だと言っている。だとしたら、問題とするべきは、その「解釈」である。

著者の価値観。私には、十分に「嫌いな歴史観」に思えた。勿論、もともと価値観はすべて偏っている。肝要なのは、どういう視点を持つか。私流に大切にしたい視点は、それが弱い人たちにとっての、国民最大多数にとっての、「幸いの道」になるかどうか、である。著者の視点は富裕層の側に立ったそれのように思える。

本書の歴史観の目玉は以下の点だろう。①日本の戦争支配層には、ヒトラーのような独裁者はいない(無責任の体系)、②戦争経緯は「なし崩し」に推移した。
そんな歴史観は、60-70年前に丸山眞男や加藤周一が指摘していて、全然目新しさは感じなかった。最近わかった新事実の紹介は、興味深いが、それだけである。

加藤はそれでも、こんな欠点だらけの日本人でも、戦争に至らない道はないのか、雑種文化を始め日本文化をずっと研究しながら晩年まで探していたと思う。この著者にその視点はあるのか?歴史は学ぶ意味は、そこにこそあるはずだと著者もおそらく賛成するはずなのだが、こういう教養書でこそ、著者は示すべきなのではあるが、結局著者は何1つ示すことができていない。ただ、どうやっても戦争は避けることはできなかったと「実証的」に「示そうとした」だけである。

戦争の起点を1931年の日中戦争開始に求めるのに、結局は本当の起点を維新時のペリー来航に求めている(林房雄の論を全面肯定はしないと言いながら、結局採用している)。英米により、富国強兵は「強いられた」のだから、戦争に至ったのは「仕方なかった」という風に私は読めた。

著者も言っているが「何が書かれていないか」が大切なのである。私は、明治憲法発布前に富国強兵の理論支柱になった福沢諭吉の反対側に、中江兆民の「小国論」があったことを知っている。或いは著者は、戦前の石橋湛山の「小国論」を紹介して、「その先見性には驚かされる。そうしていれば良かった」とまで評価しながら、その論を退ける根拠に、「この論では戦後の繁栄は望めなかった(西側の支援があったから「高度経済成長」を実現できたのだ)」とここのみ、不確かな未来論で批判している。「高度経済成長」が最も素晴らしい選択肢だとしている。石橋湛山の論はなる程、米国の従属国にはならないで小国として地独立国として地道に努力し少し貧しい国になったかもしれない、いや返って独自性を発揮して凄い国になったかもしれないが、私は小国になることが「平和よりも戦争を選ぶ」根拠になるとは思えない。

著者が東南アジアの博物館を殆ど実際に見学したことは評価する。私は韓国は勿論のこと、台湾、ベトナムの公立近現代博物館を観て回ったけれども、日本とは違う視点が持ててとてもオススメです。著者の言うように、是非とも日本国立近現代博物館を建てて欲しい。キチンと議論して「私たちの物語」を作って欲しい。

以上、テーマが学生時代の問題意識である「史観」に関わることなのでつい熱くなったかもしれない。低評価レビューのときには、キチンと根拠を示すことが、私の信条である。

以下、枝葉末節かもしれないが、チクチク刺さった部分を個別メモしておきたい。

・15年戦争史観は左派のイデオロギーであり、大東亜戦争史観は右派のイデオロギーである。そうではなく、イデオロギーを排すといつて実証主義が台頭しているが、これも「イデオロギーを排するイデオロギー」の面もある。
→戦後の家永三郎を中心にした15年戦争史観が左派から支持されていたのは知っているが、だからといってあの主張が「イデオロギー」だったとは到底思えない。そもそも家永三郎は共産主義者ではない。また、実証主義者の弱点に言及しているのは良しとしても、著者自身も「イデオロギーを排するイデオロギー」論者の面もあるように思えるのは穿ち過ぎか?「イデオロギー」という言葉自体が、私には「レッテル貼り」のための言葉にしか思えない。

・「アジア太平洋戦争」という言葉を排して「大東亜戦争」という呼称を採用するのは、決して右派の論を容れたわけではないことを延々と説明している。
→しかしながら、これが「現代の歴史観」から、もし定着してしまうと、結局は「右派イデオロギー」なるものに取り込まれる危険性を著者は考えなかったのだろうか。同様の理由で「八紘一宇」の評価も同じ危惧を感じる。

・民間の遊就館(靖国神社)の詳しい「戦争博物館」の紹介はあるのに、どうして同じく近現代の「総合的な」展示がある立命館大学「平和ミュージアム」の紹介はないのか。

・ここまで東南アジアの博物館巡りまでしているのに、東南アジアが西側諸国と違い、何十年間も紛争を起こさなくなった原動力たるASEAN運動に対する言及はない。

・「日本の黄金時代が昭和と言って間違いない。」「戦後が新たな建国である。」
→著者はよっぽど、高度経済成長時代が素晴らしい時代だったと思っているらしい。その文脈から言えば、高市首相の云う米国のような軍事会社が国をリードする「強く豊かな日本」になるのを支持するのは、必然だと思われる。
もし、そうだとすれば、その結果、戦争できる国からする国になり、やがて近代史のように避けることのできない戦争に突き進むのも「結果的に」学術的にその史観を用意することになると思う。

私は嫌いです

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