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wisの古井由吉1-(2)『杳子(下)」

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wisの古井由吉1-(2)『杳子(下)」

著者: 古井 由吉
ナレーター: wis(ないとうさちこ)
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【解説】
 古井由吉は、1937年生まれで、「内向の世代」の代表的作家と言われている。「杳子」は、1971年の第64回芥川賞を受賞した独特の文体の作品。
 登山が趣味の「私」は、山深い谷底で、心に病を持つ若い女性・杳子と出会う。都会に戻った後も二人は逢瀬を重ねるが、杳子の不可解な言動や、精神的な揺らぎに、「私」は翻弄され、徐々に二人の世界に没入していく。
 作家の三田誠広は、異色の本作品について次のように指摘している。「古井由吉はスタイリッシュな書き手です。「スタイル」とは、「文体」のことです。・・・古井さんの文章は独特です。まわりくどいと感じることもありますし、もったいぶっているという気がすることもあるのですが、簡単には真似のできない緻密な文章ですし、何かただごとではない不思議な空間に誘い込まれるような感じになってしまう、怪しい魅力に満ちた文章といっていいのではないでしょうか。・・・この杳子という女性、まあ、精神を病んでいるのでしょうが、・・・かなりふうがわり、よくいえばエキセントリックな人物です。対処のしようによっては、アブナイ感じがする女性と、どんなふうにつきあっていくのか、読み進むにつれて、スリリングな展開になっていきます。」
「(文体を抑え気味にして平易な文章のリアリズムで書いている『妻隠』と芥川賞の決選投票になって)『杳子』が選ばれたということで、・・・それ以後、古井さんはつねに文体で勝負するという、スタイル一辺倒の作家になっていったのです。」
「スタイルとは、ただの「困った話」を、一流ブランドの包装紙で包み込むようなものです。最初の一行から、これは何やらすごい小説らしいと思わせ、未知の世界に引きずり込んでいく。リアリズムのように見せながらも、ここには異様な美があります。・・・この作品は、スタイルだけで成立した作品だということもできますし、スタイルしかない、といってもいいのです。これが純文学なのですし、これが芥川賞なのです。」(小説丸サイト「小説の書き方」より)

©2026 響林社 (P)2026 響林社
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