トラウマ 心の傷と向き合う
講談社現代新書
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ナレーター:
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井上 悟
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著者:
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杉山 登志郎
第1章 トラウマとフラッシュバック
第2章 非科学的だったカテゴリー診断
第3章 発達性トラウマ症と複雑性PTSD
第4章 トラウマ処理がなぜ必要か
第5章 TSプロトコールとはなにか
第6章 効果的な薬物療法を考える
第7章 トラウマ簡易処理 TSプロトコールの実際
第8章 ケーススタディから学ぶトラウマ処理の実際:K氏への治療
第9章 TS自我状態療法 多重人格の病理との対話
第10章 トラウマ治療の実用知識©杉山 登志郎 (P)2024 Audible, Inc.
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Audible制作部より
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複雑性PTSDとその治療法
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さて、TSプロトコールの「TS」はTraumatic Stressの略なのですが、僕は不勉強なのでずっと”Toshiro Sugiyama”や”Trauma Shori”の略だと思っていました(汗)たぶん、文才あふれる杉山先生のことですから、トリプルミーニングだと思うのですが。もし、杉山先生とお話しする機会が今後あるのなら、トリプルミーニングなのかどうか聞いてみたいと思います。
さて、トラウマ(特に反復性・複雑型)に対する考え方や介入の仕方はもちろんのこと、心理や精神についての学びなおしという意味で、この本は非常に参考になります。現在の精神疾患の診断概念は「カテゴリー診断」であり、あくまでも理念に基づく非科学的なものであるということ(穂高連峰のどこからどこまでが奥穂高岳で西穂高岳なのかという例えがすごくわかりやすかった)、TS処方のバックグラウンドにある薬理(特に小児に対する神経精神用剤の使用は、ごく少量が副作用防止の面だけでなく効果を考えても妥当であるということ)、パルサーによるTS処理は偶然の産物ではあるものの、こころの理論の側面から考察すると、認知行動療法などによるトップダウン方式のトラウマ処理とマインドフルネスのような心身に働きかけるボトムアップ方式のトラウマ処理を組み合わせ、知的能力や発達段階にかかわらず能動的に行えるようにしたものであり、一見とても奇異に見えるが、至極科学的で理にかなった介入ということを知りました。
もちろん、単回性トラウマであってもトラウマイベントがとても強く精神状態が不安定な患者さんや、反復性トラウマがあり行動異常が強い患者さんは、多職種介入が必要なので専門医療機関と連携しますが、プライマリーケア医として知識やファーストタッチの方法は知っておく必要があると痛感しました。
一方で、杉山先生は著書や講演の中で、やみくもな傾聴だけのカウンセリングは、フラッシュバックや解除反応を惹起するだけなのでNGとしていますが、これはカウンセリングがダメ、ということではなく、基本的には「寄り添いが大事」であり、そのうえで我々がよかれと思ったことで患者さんやご家族が苦しまないように、理論に基づくケアやキュアが大事だという意図なのだと思います。パルサーもTS自我療法も、患者さんやご家族への寄り添いの中で生まれたものなのですから。
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