エピソード

  • 役員退職後の経営関与を取り消された事例
    2025/11/11

    令和2年12月15日裁決

    元代表取締役に支払われた退職金の損金算入をめぐり、審査請求人が行った税務署の更正処分の取り消しを求める事案に関する裁決書の抜粋です。主な争点は、元代表取締役が退任後も実質的に会社の経営に従事していたとみなされ、「みなし役員」として扱われるため、その支払いが退職給与として損金算入できるか否かでした。その他、更正通知書の送達の適法性効力発生日理由付記の不備、および更正期間の制限の適用についても詳細に議論されています。最終的に、裁決機関は元代表取締役が実質的に退職していなかったとは認められないとし、退職金は損金に算入されると判断し、原処分の全てを取り消すという結論に至っています。

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  • 飲食店の売上除外と客引きへの報酬
    2025/11/09

    (令和5年12月4日裁決)ある飲食店経営法人(請求人)に対して行われた、法人税等の青色申告承認取消処分更正処分、および賦課決定処分の適法性・相当性を争う事案の概要と審判所の判断を提示しています。主な争点は、クレジットカード売上金や専売料の収益を意図的に帳簿に記載しなかった行為が「隠蔽または仮装」に該当するか否か、それによる青色申告の承認取消が妥当か否か、そして、客引きへの営業代行報酬(客引き報酬)が損金に算入されるべきか、およびその消費税の仕入税額控除の適用が認められるか、の4点に集約されます。審判所は、社長が意図的に売上を除外したと認め、青色承認取消は適法であると判断しましたが、損金算入すべき客引き報酬の金額については、原処分庁の認定額よりも増額修正すべきと結論づけました。

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  • 太陽光パネル事業が損益通算NGとされた事例
    2025/11/09

    令和4年12月14日裁決太陽光発電事業への取り組みに関する損失を他所得との損益通算が認められなかった事例です。争点は、納税者が申告した損失が事業所得として認められる「事業」に該当するか否かであり、原処分庁はこれを「雑所得」として更正処分を行いました。裁決書は、複数の大規模な太陽光発電設備の多くが客観的に存在しないか、請求人に取得されていなかったという基礎事実を認定しました。一方で、自宅の屋根に設置された小規模な太陽光発電設備からの売電収入は認められましたが、規模や収益性、請求人の本業(会社役員)との比較から「事業」には該当しないと判断されています。最終的に、この取り組み全体は「事業」ではなく雑所得に該当し、原処分の一部取消しが決定されました。

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  • 会社が滞納した税金を役員個人が支払う?~第二次納税義務とは~
    2025/11/09

    令和5年12月14日裁決

    納税者(滞納会社)が請求人(元役員)に対し不動産と生命保険契約上の地位などを役員退職慰労金として支給したことに関し、二次納税義務の告知処分が行われた事案です。争点は、支給された不動産の所有権が滞納会社から請求人に譲渡された財産であるか否かと、その支給額が国税徴収法第39条に定める「無償又は著しく低い額の対価による譲渡」に該当するか否かの2点に絞られています。裁決では、不動産の譲渡は実体のある取引であったこと、また、役員退職慰労金の支給額が相当と認められる金額を大幅に超過しており、対価的均衡を著しく欠くことから、二次納税義務の告知処分が適法であると判断されています。裁決に至る経緯として、滞納会社が国税の納税猶予を受け、その後破産手続きに至るほどの財政難であった状況や、同族会社という特殊な関係性が考慮されています。

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  • 一括前受金を受領した年度の売上にされて争った事例
    2025/10/31

    # 令和5年12月21日裁決

    部品製造業者が取引先から受け取った金型等の製作費用相当額益金算入時期に関する法人税および消費税等の更正処分の適否を扱っています。争点は、新型コロナウイルス感染症対策として取引先から一括で支払われた費用(本件一括払費)を、受領した事業年度に全額益金に算入すべきか、それとも従前の24か月の分割で収益計上すべきかという点でした。税務署側は一括計上を主張しましたが、審判所は、金型等相当額の契約の性質を請負契約と準委任契約などを含む混合契約と認定し、その対価の請求権は24か月の均等分割で順次確定するという業者の会計処理が公正処理基準に適合すると判断しました。その結果、更正処分はすべて取り消されることになりました。

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  • 取得後すぐの造作撤去費用は、損失か?
    2025/10/22

    飲食業を営む法人が、前の賃借人から事業を引き継ぐ際に生じた費用をめぐる法人税の課税処分に関する不服申し立てについて述べています。具体的には、この費用が**一時の損失として計上できる「造作等の取得費」**であると主張する法人と、数年にわたって償却すべき「繰延資産」であると判断する税務当局との間で、解釈の相違が生じています。審判所は、当該費用が建物の賃借に際して支払う権利金と同等の性質を持つ「借家権の取得費用」に該当し、繰延資産として償却期間に応じて処理されるべきであると判断し、税務当局の主張を支持しています。これにより、法人の所得金額が再計算され、過少申告加算税の賦課決定も適切であると結論付けられました。

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  • 退職金が架空計上と認定された事例
    2025/10/18

    平19.11.15、裁決事例集No.74 146頁

    同族会社である審査請求人が行った法人税の確定申告に関する税務争訟についての解説です。元取締役や従業員への退職給与の損金算入について、原処分庁は一部が架空、一部が過大であるとして更正処分を行い、請求人がその取り消しを求めたものです。主要な争点として、退職給与の支給事実の有無役員退職給与の過大性の判断、および退職給与の損金算入における事実の仮装の有無が挙げられています。最終的な判断では、従業員や元取締役への退職給与の一部には支給事実がなかったと認められ、また前代表者とその夫に対する役員退職給与は功績倍率法に基づき過大と認定され、原処分庁の更正処分が適法であると結論付けられています。

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  • これって経費ですか?個人事業の経費判断基準
    2025/10/17

    個人事業主の経費判断ルールについて、事業の支出を**「必要経費」「家事費」「家事関連費」の三つに分類し、それぞれの定義と処理方法を説明しています。特に、事業とプライベートの費用が混在する家事関連費を必要経費として認めてもらうための二つの条件**(主たる部分が業務に必要であること、必要な部分を明確に区分できること)に焦点が当てられています。さらに、税務調査における経費判断の難しさが、弁護士会の懇親会費用を巡る裁判例を引用して示されており、最終的に事業主に求められる客観的な記録の保持と説明能力の重要性が強調されています。

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