• 基礎金融英語 Basic English for Finance No.5 --- 銀行イノベーション:マネーを産み出すマジックへの道のり
    2022/12/30

    基礎金融英語

    Basic English for Finance (5)

    銀行イノベーション:マネーを産み出すマジックへの道のり


    ● ロンドンシティの中心地はなぜ北イタリアの地名なのか

      ロンドンの金融街、シティの中心は、イングランド銀行から東に向かう300メートルほどの通り、「ロンバルディア街」。これは、かつて、北イタリア、ロンバルディア出身の金融業者が軒を並べたのが起源。


    ● なぜ銀行はbankというか?

      北イタリアの都市、ヴェネツィア、ジェノヴァ、フィレンツェなどの広場に、金融業者たちが貨幣の交換台、小卓(banco)を置いて商売をやっていたのがbankの起源。


    【例文】

    bank : 

    late 15c., originally "money-dealer's counter or shop," from Old Italian banca and also from French banque (itself from the Italian word), both meaning "table," from a Germanic source (such as Old High German bank "bench, moneylender's table"), from Proto-Germanic *bankiz- "shelf," *bankon-. The etymological notion is of the moneylender's exchange table.

    https://www.etymonline.com/


    note:

    ・Old High German:古高ドイツ語。8世紀ごろから11世紀半ばまで続いたドイツ中南部の西ゲルマン語。

    ・Proto-Germanic:ゲルマン祖語。ドイツ語、英語、オランダ語、デンマーク語、ノルウェー語、スウェーデン語、アイスランド語などの祖先の言語。


    ● 重要な銀行イノベーション ─ 口座管理、複式簿記、信用状の発行

      現代の銀行でも、現金の取扱のオペレーションはもちろんやっているが、はるかに金額的に大きいのは、顧客の預金口座(current account)上のオペレーション。これは、現物ではなくて、紙の上、より正確に言えばコンピューター上の情報となる。情報をベースに本格的に金融ビジネスを行うようになったのが、ロンバルディアの金融業者。さらに、自社の状況を複式簿記(double-entry bookkeeping system)により管理し、また、顧客のaccountに残高があることを前提に信用状(Letter of Credit, L/C)を発行。


    ● マネーの創造にまつわる2つの誤解


    【例文】

    Two misconceptions about money creation

    The vast majority of money held by the public takes the form of bank deposits. But where the stock of bank deposits comes from is often misunderstood. One common misconception is that banks act simply as intermediaries, lending out the deposits that savers place with them.

    ...

    “Money creation in the modern economy”, Bank of England, 2014


    note:

    ・intermediaries:仲介者、中間者、手段

    ・lending out < lend out:貸し出しをする、貸し出す

    ・place:~をwithに出す。 eg. place an order with a shoe store「靴屋に注文を出す」


      イングランド銀行は、マネーの創造に関して、2つの誤解があると説明している。ひとつは、銀行は、預金者から預かった金を元手に貸付に回している、仲介者であると考えられている点。もうひとつは、経済学で説明される「貨幣乗数理論」(money multiplier theory)であり、これらは、現実にマネーが生れるプロセスを正確に表していないと述べている。

    続きを読む 一部表示
    21 分
  • 基礎金融英語 Basic English for Finance No.3 --- お金より前に信用取引、「オプション」取引まであった
    2022/09/11

    お金より前に信用取引があった。「オプション」取引まであった。

    ● Financeは近寄り難いというより、人間の「欲」が絡んだとても泥臭い世界。人類の歴史の中で、お金よりも先に、売買だけでなく、貸し借りの取引、金融取引があった。その後、現代にいたるまで、金融は、国の経済活動や栄枯盛衰も左右してきた。

    ● 「オプション」取引は、いつの時代からあったか?

      アリストテレス『政治学』のなかで、古代ギリシアの哲学者タレス(紀元前625年ごろ~547年ごろ)を紹介。天文学(=占星術)の知識を使って、収穫前に、オリーブの大豊作を予想し、オリーブオイル絞り機の使用権をごっそり買い取り、予想が当たって大儲け。

      オプション取引というと、ごく最近のもののように思うが、実は、古代ギリシアにオプション取引があった。


    【例文】

    Call options are financial contracts that give the option buyer the right but not the obligation to buy a stock, bond, commodity, or other asset or instrument at a specified price within a specific time period. The stock, bond, or commodity is called the underlying asset. A call buyer profits when the underlying asset increases in price.

    ・総称を表す無冠詞複数名詞:eg. I bought apples at the supermarket.では、スーパーで買った、1個ではない複数のリンゴを指す。一方、eg. Dogs are faithful animals.は、世の中全般の犬というものを総称的に指している。第一分の主語Call optionsも、Call optionというものを漠然と総称している。

    ・instrument:(=financial instrument)金融商品。英語の説明⇒Financial instruments are contracts for monetary assets that can be purchased, traded, created, modified, or settled for. In terms of contracts, there is a contractual obligation between involved parties during a financial instrument transaction.


    【例文】

    To place an investment you need to choose between a Call option and a Put option on a particular asset.

    ・place:(商品を)(客に)売りさばく、(資金・資本を)(~に)投下する、投資する(in, to ...)


    ● ものを貸し借りする取引(信用取引)、そこで発生する利子は、いつの時代からあったか?

      答えは、今から4千年以上昔の古代メソポタミア。

      「ハンムラビ法典」(紀元前1750年ごろ制定)は、今でいう商法や民放の取引法の規程を含む。

      大量に発掘されている、この時代の粘土板(タブレット)の大部分は、取引や物の貸し借りの記録、言い換えれば、契約書や借用証、土地所有権の移動の記録など。

    ● 金融取引は、お金の誕生よりも前からあった

      世界最古の金属貨幣は、紀元前670年にアナトリア半島のリュディアで発行された「エレクトロン硬貨」。ということは、金融取引は、お金の誕生より前からあったということ。


    【例文】

    An immediate interest cut might give a small boost to the economy.

    ・interest:金利、利子。ラテン語のinterは「間に」、esseは「あること」なので、 interestは「間にあること、間にあるもの」⇒「間にあって生まれる利益(もしくは損失)」⇒利子、利息

    ・An immediate interest cutはいわゆる物主語構文。ここは仮定の意味も含む。「ただちに金利カットをやれば~」。なので、mightはmayの過去形の意味ではなく、推量の意味。


    ● なお、紀元前3400年ごろ、人類最初の文字(楔形文字)が、メソポタミアで発明されたのも偶然ではなかった。文字より前に経済活動があり、経済活動が盛んになるとともに、記録の必要から文字の使用が増大した。⇒文字がなかったら、現代にいたる経済活動の急拡大は難しかっただろう。


    続きを読む 一部表示
    22 分
  • 金融英語精読 The ECB is ready to do whatever it takes to preserve the euro No.03
    2022/07/16

    今回の課題文は、金融ど真ん中のテーマで、2012年、当時、欧州中央銀行(European Central Bank)総裁だったマリオ・ドラギ氏が行った、有名なスピーチを読んでいます。前回のところでは、ユーロは、はるかに強くなった。実際に、米国や日本と比べても同じくらい健闘しているか、もしくはそれ以上のパフォーマンスを上げていると述べていました。

    【課題文】

    Verbatim of the remarks made by Mario Draghi (3)

    Then the comparison becomes even more dramatic when we come to deficit and debt. The euro area has much lower deficit, much lower debt than these two countries. And also not less important, it has a balanced current account, no deficits, but it also has a degree of social cohesion that you wouldn’t find either in the other two countries.

    That is a very important ingredient for undertaking all the structural reforms that will actually graduate the bumblebee into a real bee.

    The second point, the second message I would like to send today, is that progress has been extraordinary in the last six months.

    【語句注】

    ・not less:劣らず

    ・current account:銀行の当座預金、国際収支の経常勘定(貿易・サービス収支のほかに、海外との利子や株式の配当金とのやり取りなどを加えた結果)

    ・a degree of:ある程度の~、幾分かの~【同】a certain degree of

    ・social cohesion  :社会的一体性;社会的結合  eg. The Council of Europe defines social cohesion as “the capacity of a society to ensure the well-being of all its members, minimizing disparities and avoiding marginalization”.「欧州評議会は、social cohesionについて『格差を最小化し、社会的排除を回避しながら、全メンバーの満足度を保証する社会の能力』と定義している」

    ・either:(否定文)どちらの~も(ない)⇒両方が否定される eg. I couldn't find any house on either side of the road.「道のどちら側にも家はなかった」

    ・ingredient:(混合物の)成分、要素、原料、材料、内容物 eg. the ingredients for soup「スープの材料」(出来事などの)重要な要素、構成分子 eg. the ingredients of a lecture「講演の主内容」

    ・undertaking < undertake:引き受ける、請け負う、着手する、乗り出す

    ・graduate:他動詞で「(~を)卒業させる」


    続きを読む 一部表示
    19 分
  • 金融英語精読 The ECB is ready to do whatever it takes to preserve the euro No.02
    2022/06/11

    2012年の歴史的なスピーチから、続きを読んでいきます。

    【課題文】

    And now – and I think people ask “how come?” – probably there was something in the atmosphere, in the air, that made the bumblebee fly. Now something must have changed in the air, and we know what after the financial crisis. The bumblebee would have to graduate to a real bee. And that’s what it’s doing.

    The first message I would like to send, is that the euro is much, much stronger, the euro area is much, much stronger than people acknowledge today. Not only if you look over the last 10 years but also if you look at it now, you see that as far as inflation, employment, productivity, the euro area has done either like or better than US or Japan.

    Source : https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2012/html/sp120726.en.html

    【語句注】

    ・and now:(文)さて、ところで;(話)次の登場者の紹介などで、「さて今度は, では次に」eg. And now ladies and gentlemen, Mr. Frank Sinatra.「さてみなさん, フランク・シナトラ氏の登場です」

    ・how come?:米語の砕けた会話で「どうして、なぜ」。whyよりも口語的。eg. How come you're here?「どうしてここにいるの?」

    ・probably:「たぶん、十中八九、おそらく」。このほか推測を表す副詞には、maybe, perhaps, possiblyがある。probably, maybe, perhaps, possiblyの順に話し手の確信度は弱くなる。このうち、maybe, perhapsの確信度はほぼ同じくらいだが、perhapsの方が書き言葉的。

    ・look over:~を調べる(=examine, check)

    ・as far as:~に関しては eg. As far as your ideas, I agree with most of them.「あなたの考えに関しては、私はそのほとんどに同意する」

    ・either A or B:AかBのどちらか

    続きを読む 一部表示
    21 分
  • 金融英語精読 The ECB is ready to do whatever it takes to preserve the euro No.01
    2022/06/09

    この講座では、経済・社会系を中心とした英語の文章を題材に、「分析的に読むこと」を皆さんといっしょにやって行きます。分析的に読むことは、ただたんに細かく読むだけではありません。というのも、もともと課題文は、いろいろなヒントと情報にあふれています。ルールに従ってそれぞれの要素を関連付けて、それがまとまった部分となり、そして全体として「何が言いたいか」、につなげていく必要があります。これは、重要な細部を見落とすことなく、同時に、全体を的確にとらえるダイナミックな活動で、これが自然に上手にできるようになることが、聴く、書く、話す力も同時に高めます。この講座で皆さんと一緒にやっていきましょう。

    今回の課題文は、金融ど真ん中のテーマで、2012年に開催された、カンファレンスにおける、ある意味で、歴史的なスピーチから選びました。

    【課題文】

    I asked myself what sort of message I want to give to you; I wouldn’t use the word “sell”, but actually I think the best thing I could do, is to give you a candid assessment of how we view the euro situation from Frankfurt.

    And the first thing that came to mind was something that people said many years ago and then stopped saying it: The euro is like a bumblebee. This is a mystery of nature because it shouldn’t fly but instead it does. So the euro was a bumblebee that flew very well for several years.

    Source : https://www.ecb.europa.eu/press/key/date/2012/html/sp120726.en.html

    【語句注】

    ・; (semicolon):セミコロンの前後では、それぞれが主語と動詞とがそろった完全な文である必要(コロンの場合には、後の部分が完全文である必要はない)。この前後で、同じトピックについて述べることも、別の方向に転換することも可。therefore, however, moreover, furthermore, nevertheless, accordingly, instead, consequentlyの意味で文を繋げる。

    ・actually:「現実に、実際に、ほんとうに」。予想やあらかじめの考えとの対比を表して「実は、本当は」。eg. He looks like fool, but actually he is not.「彼はおろかに見えるが実はそうではない」。ここから、さらに相手の言っていることを婉曲に修正する際に(意外と思うでしょうが)「本当のところでは、実際は」。eg. They should have arrived there now, - Actually, they haven’t.「彼らはもうそちらへ付いているはずだが。-それが、まだなんですよ」。さらには、新情報を加えたり、話題を変えるなど注意を引く際にも使用。eg. Did everything go alright? – Well, actually, it was a disaster.「すべてうまく行ったのかい?-それが、実は、悲惨でした」

    ・candid:率直な、正直な、あけすけな、包み隠しのない

    ・Frankfurt:[中] ((地名)) フランクフルト(ドイツの都市)Frankfurt am Main 〈a. M.〉\フランクフルトアムマイン(ドイツ中部の商工業都市でゲーテの生地)、Frankfurt an der Oder 〈a. d. O.〉\フランクフルトアンデアオーダー(ドイツ北東部の都市).[語源] Franke(フランク人)+Furt(浅瀬).つまり「フランク人の渡り場」の意.FurtはイギリスのOxford(オックスフォード)やBosporus(ボスポラス海峡;ギリシア語で「牛の渡り場」)にも含まれるが,Fjord(フィヨルド)などともにfahren(行く)に連なる言葉である.なおマイン川河畔のフランクフルトには次のような伝説が伝えられている.ザクセンから撤退してきたカール大帝(Karl der Große)がこの地まで来たところで行く手を阻まれ窮地に陥ったが,一頭の鹿がマイン川を渡るのを見て後に続き難を逃れたという【プログレッシブ 独和辞典】

    マイン川河畔で開かれたコンサートの映像はこちら。

    https://www.youtube.com/watch?v=TzWYSyMa5yo&t=66s

    ・bumblebee:「マルハナバチ(丸花蜂)」。体に比べ小さめの羽を持ち、特徴ある羽音の飛行を行うことから、かつて、翅の揚力では体重を支えられないと計算され、マルハナバチの飛行は航空力学上不可能とされが、現在は、レイノルズ数や動的失速(dynamic stall)を考慮に加えた計算によって解明されている。【Wikipedia】

    続きを読む 一部表示
    24 分
  • 基礎金融英語 Basic English for Finance No.2 --- 英語語彙はハイブリット構造、そもそもFinanceの意味
    2022/06/09
    この講座は、金融の基礎的な知識とそこで使われる金融英語との両面からがっつり取り組もうという、一粒で二度おいしい、よくばりな講座です。もちろん、私が担当している別の講座では、経済・社会系を中心とした英語の文章を題材に、「分析的に読むこと」をやっていますが、この基礎金融英語でも、「分析的に読む」基本的なスタンスは同じです。「そうなっていますからとにかく覚えてください」ではなく、できるだけ「なぜ、そうなっているのか」からお話して行きます。 ● "Lexical bar" 英語語彙のハイブリット構造は母語話者にとっても壁になる。   英語の語彙習得上でぶつかる大きな壁。英語は、やまと言葉にあたるゲルマン系語彙と外来語のラテン語系語彙とのハイブリット構造。   日常的な言葉(歯)と派生語(歯科医)を比較。英語だけ、形が、まるきり異なる。       (日)歯 ⇒ 歯科医       (英)tooth ⇒ dentist       (西)diente ⇒ dentista       (仏)dent ⇒ dentiste       (伊)dente ⇒ dentista   Lexical barがあるために、高校に上がったら、「もう一度、別の言語を学びなおしてください」と言われるようなもの。英語母語話者でさえ苦労する。これに、綴り字と発音が必ずしも一対一に対応しない問題も加わる(このために米国でどんなことが起こっているのかについてわかるTEDのビデオのリンクは以下のとおり)。   前回みたように、金融用語の多くはラテン語起源なのでなおさら難しい。 ● 日本語語彙にも英語のlexical barと似たようなことが起こっている。   漢語や英語起源の外来語を中心とした学術系語彙は、日本語固有のやまと言葉とは別。 【例文】 (3) In no way are we going back to a 1979-80 recession. We have broadened our base since then and have strong finances. note: ・In no way:「少しも[全く・全然・決して]~ない」。ex. In no way are we going back to a 1979-80 recession.「1979年~1980年の景気後退に戻ることは決してないだろう」 ・have broadened < broaden:広げる、拡大させる、深める。形容詞は、broad。 (4) The rights issue last year strengthened the finances and left year end net cash of £77m. note: ・Rights issue:「新株予約権無償割当」。上場会社が、既存株主の保有株式数に応じて新株予約権を無償で割り当てる形の増資手法。増資に応じる株主は新株予約権を行使して株式を取得でき、増資に応じない株主は、新株予約権そのものを市場で売却することができる。公募増資や第三者割当増資は、特定の投資家のみに新株が配分されるため、株式価値の希薄化を招き、既存株主は損失を被ることが多いが、新株予約権無償割当は、株主が自分の意思で選択できることから、持ち分の希薄化による不利益が生じにくい特徴がある。rights offeringともいう。 ・net cash:「ネットキャッシュ」企業の手元流動性(現金・預金+短期保有有価証券)から有利子負債を差し引いた金額。金額が多いほど財務の安全性が高いことを示す一方で、投資を積極的に行っていない企業はM&Aのターゲットにされることがある。 ● このようにfinancesと複数形で使われるときには、Monetary resources, especially those of a company or a public entity.「とくに企業や公的組織の、金銭的な供給源、すなわち財源、資力、資金」の概念。 (5) Finance on all our new machines is provided by Future Loans Ltd. (6) They should be able to assist with additional finance if they are giving you a grant. note: ・assist:(人を…の面で)助ける(in, with ...)eg. assist a person with money / in the way of money. ● この場合のfinanceは、The provision of a loan, payment instalment terms, or similar arrangement、「ローンや融資、なんらかの支払い手段の提供」の概念。 (7) In 1872 Menger was enrolled into the law faculty at the University of Vienna and spent the next several years teaching finance and political economy. note: ・enroll:~を(学校・軍隊・会・講座などに)登録する、入会(入学)させる(for,(英)on,(米)in ...)、(人を)名簿に記載する、~を(会員・兵隊などとして)登録する(as ...)。eg. Over 40,000 students are enrolled in that university.「あの大学には4万人以上の学生が在籍している」 ・spend … doing:(時間を…して)過ごす、送る。eg. spend every Saturday (in) ...
    続きを読む 一部表示
    23 分
  • 基礎金融英語 Basic English for Finance No.1 --- 金融は難しいのか
    2022/06/09

    はじめに

    この講座は、金融の基礎的な知識とそこで使われる金融英語との両面からがっつり取り組もうという、一粒で二度おいしい、よくばりな講座です。もちろん、私が担当している別の講座では、経済・社会系を中心とした英語の文章を題材に、「分析的に読むこと」をやっていますが、この基礎金融英語でも、「分析的に読む」基本的なスタンスは同じです。「そうなっていますからとにかく覚えてください」ではなく、できるだけ「なぜ、そうなっているのか」からお話して行きます。

    この講座の対象となる方々は2つと考えています。まず、第一に、金融業界にお勤め、もしくは企業財務にかかわる仕事をされており、かつ、これから、英語で仕事をする必要がある方々です。もちろん、こうした方面で、将来、仕事をしたいと考えている方、学生さんも含まれるでしょう。もうひとつは、翻訳のお仕事をされている方々です。

    翻訳の仕事に関して言えば、翻訳業界では、AI・機械翻訳で仕事がなくなるのではということがよく聞こえてきます。が、詳細は省きますが、AI翻訳、機械翻訳全盛の現在でも、金融ビジネスの分野では、いまだに人間の翻訳家が必要となります。

    第一回では、Financeという言葉そのものについて検討していきます。

    続きを読む 一部表示
    22 分