お金より前に信用取引があった。「オプション」取引まであった。
● Financeは近寄り難いというより、人間の「欲」が絡んだとても泥臭い世界。人類の歴史の中で、お金よりも先に、売買だけでなく、貸し借りの取引、金融取引があった。その後、現代にいたるまで、金融は、国の経済活動や栄枯盛衰も左右してきた。
● 「オプション」取引は、いつの時代からあったか?
アリストテレス『政治学』のなかで、古代ギリシアの哲学者タレス(紀元前625年ごろ~547年ごろ)を紹介。天文学(=占星術)の知識を使って、収穫前に、オリーブの大豊作を予想し、オリーブオイル絞り機の使用権をごっそり買い取り、予想が当たって大儲け。
オプション取引というと、ごく最近のもののように思うが、実は、古代ギリシアにオプション取引があった。
【例文】
Call options are financial contracts that give the option buyer the right but not the obligation to buy a stock, bond, commodity, or other asset or instrument at a specified price within a specific time period. The stock, bond, or commodity is called the underlying asset. A call buyer profits when the underlying asset increases in price.
・総称を表す無冠詞複数名詞:eg. I bought apples at the supermarket.では、スーパーで買った、1個ではない複数のリンゴを指す。一方、eg. Dogs are faithful animals.は、世の中全般の犬というものを総称的に指している。第一分の主語Call optionsも、Call optionというものを漠然と総称している。
・instrument:(=financial instrument)金融商品。英語の説明⇒Financial instruments are contracts for monetary assets that can be purchased, traded, created, modified, or settled for. In terms of contracts, there is a contractual obligation between involved parties during a financial instrument transaction.
【例文】
To place an investment you need to choose between a Call option and a Put option on a particular asset.
・place:(商品を)(客に)売りさばく、(資金・資本を)(~に)投下する、投資する(in, to ...)
● ものを貸し借りする取引(信用取引)、そこで発生する利子は、いつの時代からあったか?
答えは、今から4千年以上昔の古代メソポタミア。
「ハンムラビ法典」(紀元前1750年ごろ制定)は、今でいう商法や民放の取引法の規程を含む。
大量に発掘されている、この時代の粘土板(タブレット)の大部分は、取引や物の貸し借りの記録、言い換えれば、契約書や借用証、土地所有権の移動の記録など。
● 金融取引は、お金の誕生よりも前からあった
世界最古の金属貨幣は、紀元前670年にアナトリア半島のリュディアで発行された「エレクトロン硬貨」。ということは、金融取引は、お金の誕生より前からあったということ。
【例文】
An immediate interest cut might give a small boost to the economy.
・interest:金利、利子。ラテン語のinterは「間に」、esseは「あること」なので、 interestは「間にあること、間にあるもの」⇒「間にあって生まれる利益(もしくは損失)」⇒利子、利息
・An immediate interest cutはいわゆる物主語構文。ここは仮定の意味も含む。「ただちに金利カットをやれば~」。なので、mightはmayの過去形の意味ではなく、推量の意味。
● なお、紀元前3400年ごろ、人類最初の文字(楔形文字)が、メソポタミアで発明されたのも偶然ではなかった。文字より前に経済活動があり、経済活動が盛んになるとともに、記録の必要から文字の使用が増大した。⇒文字がなかったら、現代にいたる経済活動の急拡大は難しかっただろう。