エピソード

  • ボイスドラマ「異世界マルス」
    2026/09/04
    「縄文とか、マジ興味ないんだけど。」歴史が苦手な久々野中3年生・輝李(エリー)が、学校の倉庫で見つけたのは——どう見ても「スマホスタンド」な縄文土器!?スマホを置いた瞬間、飛ばされたのはエルフと魔王が存在する異世界「マルス」だった!でも、この世界……どこかおかしい。5000年前の久々野。幼い頃の妄想。八尺川でなくしたスマホケース。そして「創造主」と呼ばれる輝李——。すべてがつながったとき、異世界マルスの本当の秘密が明らかになる・・・異世界×縄文時代×久々野。まさかの組み合わせで贈る、時空を超えたファンタジー!【ペルソナ】※舞台設定は現代・輝李(エリー/15歳/CV:坂田月菜)=久々野中学校3年生・静馬(しずま/35歳/CV:日比野正裕)=歴史教師・イブ(5015歳/CV:坂田月菜)=縄文時代から存在する異世界マルスに住むエルフ・アダム(5035歳/CV:日比野正裕)=異世界マルスを破壊しようと企む魔王【プロローグ/久々野中学校】◾️SE:教室のガヤ〜机をバン!と叩く音「輝李!」「うわ!びっくりした!あ、先生、ふぁ〜おはようごさいます・・」「おはようございます、じゃないだろ。午後イチの授業だっちゅうの。2学期始まったばかりなのに、よくそんなに居眠りできるな」「いえ、そんな・・・大したことじゃ・・・」「誉めとらんわ!」「あ、サーセン!」◾️SE:教室の笑い声「まあいい。今学期からは歴史の授業、縄文時代に入るから。みんな、ちゃんと聞けよ。ここ、テストに出るぞ。聞いとるか、輝李」「縄文とかまじ興味ないんだけど。同じ時代なら、中世ヨーロッパとか北欧とかの方がよくない?城とか騎士とか海賊とか、普通にかっこいいし」「あのなー。日本の縄文時代と、中世ヨーロッパや北欧バイキングの時代、一緒だと思ってるみたいだけどな。それ、時代が数千年もズレているんだよ」「え?まじ?」「なんでオレがウソ言うんだ。おい、輝李。罰として、お前倉庫までお使いに行け。授業で使う『縄文土器のレプリカ』を持ってこい!」はぁ、まじだりぃ。自分の忘れ物とか押し付けないでほしいんだけど。てか、まじで眠すぎ・・・ウチの名前は輝李(エリー)。久々野中3年。ガチで好きなのはゲーム・・・あ・・と・・違くて、eスポーツ。勉強はマジ無理。つか、ウチに超だるい用事押し付けてきたの、歴史の静馬だし。歴史ってマジ覚えること多すぎて、疲れるわ。縄文とか弥生とか言われても、イミフすぎて詰み。◾️SE:ひたひたと学校の廊下を上履きで歩く音え、てか倉庫遠いし暗いしで、マジ怖いんだけど。縄文、縄文って・・・縄文の資料どこにあんの。あ、これかも・・・『堂之上遺跡関係』って書いてあるデカいダンボール・・・◾️SE:ダンボールの中をガサゴソまさぐる音もう〜、土器のレプリカ、ってなんなん?壺とかお椀とかそういう系?いや、待って。あれじゃね?ゴーグルかけた宇宙人みたいなやつ・・・そんなん、どこにもないじゃん。てかそもそも堂之上遺跡とか、保育園のとき以来行ってないし。そういやあの頃マジで友だちいなくて、いつもひとりぼっちだったわ・・・堂之上遺跡の竪穴住居を見ながら、ひとりで一生妄想してたなあ・・・ん?あれ?ワンチャンこれじゃね?土器のレプリカ。板みたいなやつ。縄文っぽい模様がついてるし。でも、なんか違うっぽいっていうか・・・ほぼスマホスタンドじゃん。サイズ感といい、形といい・・・それは・・・手のひらにすっぽり収まるくらいの、土の塊。絶妙にコンパクトなサイズ。グレーというか、ちょっと青みがかった不思議な色をしている。土器にしてはツルツルしてるし。形はもうスマホスタンドそのもの。ウチは、思わず自分のスマホを出して置いてみた。すると・・・え・・・?周りの音が、一瞬で消えた。グラウンドから聞こえていた体育の授業も、遠くの道路を走る車の音も。次の瞬間、目の前の景色がグワッと歪んだ。目眩がして思わず目を閉じる。そのわずか一秒後。「え・・・?え・・・?ええええええええ!?」【異世界召喚シーン/異世界マルス】◾️SE:ヨーロッパの街の...
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    20 分
  • ボイスドラマ「糸」
    2026/08/28
    あの日から、私たちの「糸」は紡がれていた――。1980年、飛騨・六厩。千鳥格子御堂の前で出会った15歳の桜小花と柊壱。ピアノを夢見る少女。飛騨の匠を夢見る少年。15歳の夏、22歳の再会、そして30歳――。別々の人生を歩んだ二人をもう一度結んだのは、故郷の風景と、あの日贈った一台のウォークマン、そして次の世代へと受け継がれた「夢」でした。「思えば私たちの糸は、あの日から紡ぎはじめていたのだろう・・・」【ペルソナ】※2人とも1965年生まれ・桜小花(さやか/15歳/23歳/30歳/CV:岩波あこ)=故郷・荘川で実家はそば農家・柊壱(しゅういち/15歳/23歳/30歳/CV:岩波あこ)=清見で飛騨の匠を目指す【第一章/出会い(1980年8月/15歳)】◾️SE:自転車のブレーキの音「きゃあ〜!」「どいて!どいてぇ〜!」「あぶない!」◾️SE:自転車の転倒音「やっちゃったぁ・・・」「あ〜あ」「ってててて・・・」「おい、大丈夫か?」「う〜、ひざ痛ぁ・・・あ、ごめんなさい! 急な坂道でブレーキが効かなくなっちゃって・・怪我、なかった?」「オレは平気だけど・・・お前、血が出てるぞ。膝」「え? あ、ほんとだ。またばあちゃんに怒られちゃうな。へへへ・・・・・・ってごめん。うちは桜小花。あんたは?見ない顔やけど・・・」「オレ?」「あたりまえでしょ。あんた以外誰がいるの?」「オレは・・・柊壱」「ふうん。どこの人?六厩じゃないよね」「森茂(もりも)」「森茂、って清見村やん」「そんなこと知らん」「知らん、ってあんた、住んでんでしょ」「1週間前からな」「引っ越してきたってこと?」「ああ・・・よりによって、こんなど田舎に」「悪かったわね、ど田舎で。でも住んでみればいいところよ。冬はちょ〜っと寒いけど」「好きで引っ越してきたわけじゃねえし」「どこから引っ越してきたの?」「東京だよ、ひばりが丘の団地」「そんな場所言われてもわからんわ。ふ〜ん。東京っこかあ・・・」「ふん」「で、なんで千鳥格子御堂(ちどりごうし/おみどう)の前にいるの?」「ん?・・・知らん。これ、そういう名前なんだ」「すごいでしょ。千鳥格子のその扉、釘を1本も使ってないのよ」「ええっ?じゃ、どうやって作ったんだ」「それが匠の技ってもんよ」「すごいな・・・」ずうっと苦虫を噛み潰してた柊壱の顔が、はじめてほころぶ。これが私と柊壱との出会いだった。2人とも中学三年生。15歳。荘川に住む私は、村立の荘川中学校。清見の柊壱は、清見中学校の森茂分校に通っている。だから学校で顔を合わせることはなかったけど、夏休みの間、柊壱はいつもここ、千鳥格子御堂にいた。うちはそば農家だから、種まきが終わったこの時期は大忙し。間引きに除草、中耕(ちゅうこう)や培土(ばいど)、そして台風対策。毎日毎日、六厩の家から千鳥格子御堂の前を通って畑へ。そば畑は、三尾河(みおご)へ向かう新軽岡峠(しんかるおかとうげ)の傾斜地にある。行きは、上り坂で大変だけど、帰りは下り坂で楽ちん。この夏、私は理由をつけて、ひとりで帰るようにした。そうすれば毎日柊壱とお話できたから。「さやか、ってどう書くの?」「桜の小さい花、って書くんだ。私が生まれた年、荘川桜に初めて花が咲いたの」「荘川桜って?」「ダムに沈んだ集落で咲いてた、おっきな桜の木。移植されて初めて花を咲かせたのが1965年」「そうなんだ」「ねえ、もうすぐ夏休み終わっちゃうね」「ああ」「そしたらもう・・会えないな」「なんで?土日とかにここくればいいじゃん。家、こっから近いんだろ?」「荘川中学校って新淵(あらぶち)にあるんよ。遠くて通えないから寄宿舎に入ってるの」「そうなのか」「シュウは中学卒業したらどうするの?」「オレ・・・高山の工業高校へ行こうと思って」「工業?」「うん。こういうのを作ってみたいんだ」「千鳥格子御堂?」「だってオレ、桜小花に聞いてから調べたんだ。了宗寺(りょうしゅうじ)を建てたとき、余った木材で作られたらしいんだけど・・・これ、いまや誰も再現できないんだってさ」「よく調べたわね」「桜小花は?...
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    16 分
  • ボイスドラマ「星の降る里/朝日編」
    2026/08/21
    夕焼けの道の駅を出発し、二人は約19km先の星空を目指した。秋神川のせせらぎ。真っ暗な峠道。足の痛みと、くじけそうになる心。それでも隣には、出会ったばかりの友達がいた。星夜が探す「フォーマルハウト」と、朝陽が探す「伊吹麝香草」。二人が長い夜の果てに見つけたものとは・・・【ペルソナ】・星夜=せいや(16歳/CV:坂田月菜)=東京・広尾のマンションに住むJK。夏休みを利用して母の実家・久々野へ遊びにきた星空・星座オタクの若干厨二病気味「みなみのうお座」が見たい・朝陽=あさひ(16歳/CV:蓬坂えりか)=朝日村で生まれ育ったJK。夏休みに自分の住む民家から鈴蘭高原の「星のベンチ」までナイトウォークを計画中。「伊吹麝香草」を採りにいきたい・星夜のママ=(42歳/CV:山﨑るい)=20歳で久々野を出て東京のヘアデザイナーとして働く【シーン1/高山線久々野駅ホーム】▪️SE:高山線鈍行列車が到着する音▪️SE:携帯電話の着信音「もしもし?あ、おばあちゃん?うん。いま久々野駅。あ、ちょっとだけ遅くなるかな。え?うん、ホント。だ〜いじょうぶだから。心配せんといて。帰り?ああ、うん。電話するから。ありがとう。うん、じゃあね』心配そうな声で、おばあちゃんが電話してくる。ま、そりゃそうだよね。夏休みの無謀な計画を、今朝いきなりおばあちゃんに話したんだもん。私の名前は、朝陽。16歳。高校生。朝日町に住んでいて、朝陽。小さい頃はよくからかわれたけど、いまはすっかりお気に入り。だって、自分の名前も、朝日町も大好きなんだもん。1番線に高山行きの下り普通列車が入ってきた。私はゆっくりと乗り込む。特急をやり過ごし、上りの列車が入ってくるまでは、しばらく待ち時間。私は『北天(ほくてん)の星』という本を広げて、読み始める。こういう、のんびりした時間って大好き。▪️SE:ディーゼル列車(キハ)の車内音【シーン2/高山本線高山行き鈍行列車】▪️SE:高山線下り普通列車が到着する音/走り込んでくる音「はぁっはぁっはぁっ・・・」美濃太田行き上り普通列車から降りてきた少女。ってか、私と同じ歳くらい。向かい側に停まっていた、この車両にすごい勢いで走りこんできた。そんなに慌てなくても、目の前に停まってるのに。おっきなスーツケースまで引いて。列車を乗り間違えたのかしら。ううん、違う。ホームのお母さん?に手を振ってる。列車が動き出すと、少女は振り向いてこちらへ歩いてきた。「あの、ここ、座っても大丈夫ですか?」「あ、はい。どうぞ。空いてますから」「ありがとうございます〜。よっこらしょっと」なんか、面白そうな子。私は本を読むふりをして、ちらちらっと彼女を見る。すると・・・「それ、北天の星?スターアトラス?」「え?」びっくりした。チラ見してたのバレたのかしら。私は冷静を装って、返事をした。「この本のこと?」「あ、うん・・・そうそう。いや、うちも星座とかガチオタだから」「すご〜い。スターアトラスなんて言葉、はじめて聞いた」「星図のことだよ。ひょっとして星とか好き?」「星は好き。今日高山へ行くのも星に関係あるんだ」「え?なに?なに?」「あ、そのまえに・・私は朝陽。『朝』の『太陽』って書くの。16歳、高校生よ。朝陽って呼んでね」「あ〜ごめんなさい。うちは、星夜。『星』に『夜』って書くんだ。歳はタメだよ。星夜って呼んで」「星夜・・・。かっこいい名前。うらやましいなあ」「なんで?朝陽の方がいけてるし」「ありがと」「で、星に関係することって?」「うん。『星空ベンチ』」「”星空ベンチ”!?なにそれ!?」「去年の11月にできたんだ。鈴蘭高原ってとこにある、『星を見るためだけのベンチ』」「え?すごぉい!」「『バスが停まらない停留所』にあるの」「やだ、なに?面白〜い!」「でしょ。その『星空ベンチ』まで、道の駅から歩いていくことを考えてるの。ナイトウォーク」「すごっ。その道の駅から星空ベンチまではどのくらいあるの?」「20キロ弱かなあ。上り坂だから5時間くらいはかかる」「すごすぎる!でも・・・めっちゃ興味...
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    19 分
  • ボイスドラマ「星の降る里/久々野編」
    2026/08/14
    東京では、友達がいなかった。だから彼女は、暗い星々の中でひとり輝く「南の孤独星」に、自分を重ねていた。夏休み、飛騨・久々野へ帰省した星夜が、列車の中で出会ったのは、朝日町に暮らす同い年の少女・朝陽。二人は約19km先の「星空ベンチ」を目指し、夜の山道へ歩き出します・・・【ペルソナ】・星夜=せいや(16歳/CV:坂田月菜)=東京・広尾のマンションに住むJK。夏休みを利用して母の実家・久々野へ遊びにきた星空・星座オタクの若干厨二病気味「みなみのうお座」が見たい・朝陽=あさひ(16歳/CV:蓬坂えりか)=朝日村で生まれ育ったJK。夏休みに自分の住む民家から鈴蘭高原の「星のベンチ」までナイトウォークを計画中。「伊吹麝香草」を採りにいきたい・聖夜のママ=(42歳/CV:山﨑るい)=20歳で久々野を出て東京のヘアデザイナーとして働く【資料/映画「朝日町の絶景/星空ベンチ」(飛騨あさひ観光協会)】https://www.hidaasahi.jp/観るスポット/星空ベンチ【シーン1/高山線で久々野駅】▪️SE:高山線普通列車の車内音/シートに腰掛ける2人「やばっ、充電器忘れたかも💦』「なに、聖夜?ま〜た忘れ物?」「ママ、駅にコンビニあるよね?』「あるわけないでしょ、久々野駅に」「ええええええ! 充電マジで終わるんだけどー!」「行く先々でなんかググってばかりいるからでしょ」「ググってないし!インスタでディグってるだけだし!」「一緒じゃん」「一緒じゃない!」「とにかく、あんたが使ってるような可愛い充電器は、高山まで戻んないと売ってないから」「じゃ、ワンチャン行ってくるわ」「は?ひとりで?」「あたり前じゃん、うちのこと、いくつだと思ってんの」「迷子とかなんないでよ」「だーかーらー、いくつだと思ってんの?」「16歳と3か月でしょ」ママがいじわるそうな顔で笑う。うちは星夜。漢字で書くと「星」の「夜」。渋谷区住みの、マジでイケてる女子高生!夏休みを利用してママの実家・久々野に帰省してきたんだけど・・・高山着いてから鈍行への乗り換え時間が、2時間半って・・・ガチでやばくない?ってか、うちら異世界転生すんの?やるじゃん、久々野・・・「星夜、もう久々野着くわよ。準備しなさい。あら、反対側のホーム、高山行きがもう停まってるわ。ちょっと。急がないと・・」「あーいい。いい。走るのだるいから次でいいわ」「なに言ってんの。山手線じゃないんだからね。これ逃したら、また1時間以上待たないといけないのよ」「マジ?」「マジマジ。だから、扉が開いたら、ダッシュで下りにかけこんで」結局、うちらが乗ってきた美濃太田行きが久々野に着いたのは3時13分。下りの高山行きが発車したのは3時14分だった。誰がこんな時間割組んだんだよ!っとにもう〜▪️SE:全力で走っていく足音【シーン2/高山本線高山行き普通列車】▪️SE:ディーゼル列車(キハ)の車内音「はぁっはぁっはぁっ・・・」ひっさしぶりの全力疾走。しかもスーツケースひいてとか、ありえんし。疲れたわ〜。お、席あいてんじゃん。同い年くらいの女の子の横。ラッキー、座っちゃおっと。「あの、ここ、座っても大丈夫ですか?」「あ、はい。どうぞ。空いてますから」「ありがとうございます〜。よっこらしょっと」「うふふ・・・」久々野から高山までは、たった20分。池袋から渋谷くらいじゃん。なのに、1回乗り遅れたら1時間30分待ちってどういうこと〜。なんてこと考えながら、ふと隣の席を見ると、窓際の女子が、なにか本を読んでいる。え・・・それって・・・「それ、北天(ほくてん)の星?スターアトラス?」「え?」あ、やば・・・つい心の声が口から出ちゃった・・・「この本のこと?」「あ、うん・・・そうそう。いや、うちも星座とかガチオタだから」「すご〜い。スターアトラスなんて言葉、はじめて聞いた」「星図のことだよ。ひょっとして星とか好き?」「星は好き。今日高山へ行くのも星に関係あるんだ」「え?なに?なに?」「あ、そのまえに・・私は朝陽。『朝』の『太陽』って書くの。16歳、高校生よ。朝陽って呼んでね」「あ〜ごめんなさい。...
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    21 分
  • ボイスドラマ「根古石」
    2026/07/24
    悪夢に苦しむ少女。失われた故郷。そして、姿を消した一匹の猫。恐ろしくも切ない物語を、ぜひ最後までお楽しみください・・・【ペルソナ】※舞台は昭和35年春/荘川村中野から高山市(現在の市街地)へ・さくら(15歳/岩波あこ)=祖父母と暮らす荘川村中野から高山市の親戚の家へ・こうめ(15歳/坂田月菜)=高山市内にある旅館の娘。実は密かに金森の血統を守ってきた旧家・祖母(71歳/山﨑るい)=荘川村中野から親族の住む新淵へ・七儺(岩波あこ)=さくらの夢に現れて苦しめる【プロローグ:出会い】◾️SE:村の中の環境音「さくら・・高山へ行っても元気でな。しっかり勉強してこいよ」祖母が目を潤ませて私を見送る。祖父は何も言わず、寂しそうな顔をこちらに向けていた。昭和35年。1960年の春。荘川村中野。御母衣ダムの建設とともに、住人たちは引っ越しを始めた。ある者は郡上八幡へあるものは名古屋へまたあるものは東京へ・・荘川や白川村へ残る者はごくわずかだった。私はさくら。ここ荘川村中野で、祖父母との3人暮らし。祖父母は高齢を理由に遠くへは行かず、荘川村に残る決断をした。今後は新淵にある親戚の家で世話になる。本来なら私も一緒に新淵へ行くはずだった。だが今年はちょうど、中学卒業。高校進学の年。高山にある名門の進学校・神山高校へ行く。入学試験はこの春。3月。受験したときは、まさか受かるなんて思ってもみなかった。何も考えずに受験したので、合格してからは大変。祖父母は私のために、親戚中へ掛け合った。結局決まったのは、高山の叔父の家。県事務所近くの古民家に居候。通学は自転車。雪が降ったら大変そう。そして、今日が入学式。祖父母が見送る中野のバス停。祖父は必死で泣くのを我慢してる。潤んだ瞳を見ていると嬉しさよりも寂しさが募る。私にも、心配事がひとつ。新しい生活のことじゃない。実は引っ越しが決まってから、サクラの姿が見えなくなっちゃったんだ。サクラ、っていうのは、うちで飼っている三毛猫。私と同じ名前。私が生まれる前からいたから、もうかなりおばあちゃんのはず。祖父母は、新淵への引っ越しが決まった日、”サクラをどうしよう?”ってすごく悩んでた。聞くでもなく、私に抱かれたサクラは耳をそばだてていたけど・・え?まさか・・心配かけないために、自分で姿を消したの?翌日から祖父母と私・3人で、必死にサクラを探しまわる。でも結局、入学式の今日まで、その姿を目にすることはなかった。時間になり、遠くからバスがやってくる。そのとき・・・◾️SE:ネコの鳴き声(ニャー)「さくら?」振り返ってもなにもない。祖父も祖母も聞こえていないようだ。やがて、乗合バスがバス停に到着。私は後ろ髪を引かれながら、ステップを上がる。庄川(しょうがわ)のせせらぎが雪解け水を運んでいた。【シーン1:根古石】◾️SE:高山陣屋の環境音「じいちゃん、ばあちゃんがいつまでも元気でいられますように」桜山八幡宮。秋の高山祭の舞台。神山高校からの帰り道、私は宮川沿いの参道から、八幡さまへ。祖父母のことを思って真剣にお祈りした。私の大切な家族。見送りのときの顔が頭から離れない。私は、まるで神様に呼ばれるように、毎日参道脇に自転車を停める。でも、お参りする理由はそれだけじゃない。「サクラが無事でいますように」私が生まれたときから一緒の猫、サクラのことも、ずうっと心に引っかかっていた。八幡さまでは本殿に参拝。そのあとは江名子川(えなこがわ)のほとりへ。秋葉さまの前で自転車を停め、小さく頭を下げる。初夏の遊歩道は風が気持ちいい。安川通(やすがわどおり)から上三之町を通って市役所へ。中橋を渡れば飛騨県事務所。ここから叔父さんの家までは自転車で5分もかからない。このコース、ちょっと遠回りだけど、私のお気に入り。どうして県事務所の前を通るかというと・・・裏手に、『旧陣屋稲荷宮』っていうお稲荷さんがあるの。そこで、ちょっとかわったものを発見したんだ。『根古石』。『根っこ』に『古い』に『石』と書く。最初...
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    22 分
  • ボイスドラマ「覚醒」
    2026/07/17
    80年前の朝日村。戦争孤児の少女と、正体を隠して生きる少女。二人の出会いが、現代へ続く「覚醒」の物語を動かし始めます。飛騨に伝わる八百比丘尼伝説を描いた和風ホラーボイスドラマです・・・【プロローグ:出会い】◾️SE:村はずれの辻の環境音/〜駆けつける足音八夜の泣き声「お願いです、通してください。私はただこの村に用があって」「おまえら!なにしとるんや!」「なんじゃあ?伽耶!邪魔するなて」「大人がよってたかって、女子(おなご)をいじめるとはなにごとや!」「女子 って、お前も同じくらいの歳やろうに」そうだ。わしと同じくらい。十六か十七くらいの女の子が、目の前で泣いている。「それにいじめとるんやないぞ。このガキが、村に入ろうとするからじゃ」「ええやないか。入れてやれば」「あほか。ただでさえ、食糧難やっちゅうのに、これ以上よそもんに食い扶持減らされてたまるか」「おまえらだって、名古屋とか大阪から疎開してきた、よそもんだろ」「うるせえ。つべこべ言うと、お前も村から叩き出すぞ、伽耶!」怖い顔して私を睨みつける疎開者たち。1946年。益田郡(ましたぐん)朝日村。終戦からまもなく1年が経とうという頃。朝日には名古屋や大阪から、疎開者がぞくぞくとつめかけた。なかでも多かったのは引揚兵や復員兵たち。小さな村はよそものでごった返していた。ただでさえ平地が少なく、米の収穫量が限られている朝日村。急激な人口流入は激しい食糧難をもたらした。配給や耕作地をめぐる諍いも毎日絶えない。疎開者たちは森を切り拓いて自分たちのために畑と住処(すみか)を作った。林業に関わっていく者も多い。彼らはいつも数人で村の辻に立ち、入ってくる者を見張っていた。「ええか。ガキ。十(とお)数えるうちに出ていかんと、痛い目を見るぞ!いち!」「待て!この子はわしが面倒みる。連れてくぞ」「おいおい。ガキがガキの面倒みるってか」「うるさい。そんなこと言っとってええのか。今度腹痛(はらいた)になっても薬草を煎じてやらんぞ」「う・・なんだと・・」わしは、少女の手をとり、うちへ向かって歩いていく。疎開者の男は恨めしそうな顔でわしを睨んでいた。【シーン1:ともだち】◾️SE:朝日川のせせらぎ/小さな足音「ありがとう」消え入りそうな声で少女が呟く。「助けてくれて」「ええんやよ。わしだって、もともとよそもんやし」「どういうこと?」「戦時中はわしも疎開者やったんだて」「え・・」「実家は名古屋や。戦況が悪化した去年の正月。とうさまとかあさまは、わしをひとりでここ、朝日村へ行かせたんや。「そうなの・・」「そのすぐあとで名古屋の大空襲や。B29が、とうさまとかあさまと家を焼き尽くした」「そんな!」「新聞もなんも教えてくれんからな。わしが知ったのは、5月になってから。名古屋城が焼け落ちた、ってみんな騒いどった頃や。ちょうどそのころ、疎開先のここへとうさまとかあさまのお骨が届いた」「やだ・・」「お骨ったって、骨なのかどうかもようわからん。砂みたいな焦げカスだけや。その中に手紙がねじこまれとったわ」「手紙・・?」「親戚のおじさんからでな。みんな、家も焼けてしもうたで、帰ってくるな。お骨はそっちで弔ってくれ、って」「ひどい・・」「ああ。でも戦争なんて、そんなもんやろ。そういうわけでわしは戦災孤児になった」「そう・・」「今からいくんは、わしのうちや。炭焼き小屋だけどな。杣衆(そましゅう)の面倒みてやるかわりに、住まわせてもろうとるんじゃ」「面倒・・?」「うん。わしには薬草の知識があるからな」「薬草?」「ああ。よもぎとかクロモジとか。朝日には掃いて捨てるほどあるじゃろ。わしが疎開する前、かあさまが薬草のこといろいろ教えてくれてな。これは食べれる。これは食べたらあかん。ゲンノショウコってやつは腹の具合がわるいときに煎じて飲む。ドクダミは便秘に効く。ヨモギは風呂に入れて疲れをとれ。怪我したら、クロモジの葉を粉末にして止血しろ・・・」「すごい・・」「なんか感じるものがあったんじゃろなあ。かあさまは...
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    19 分
  • ボイスドラマ「スイートラディッシュ」
    2026/07/10
    高校では目立たない存在。だけどネットの世界では、何万人ものファンに愛される人気VTuber。そんな二つの顔を持つ女子高生・ナヴィが主人公の物語です。【ペルソナ】※ナヴィはフランス語で「赤かぶ」・ナヴィ(17歳JK)=高山市内の高校2年生。陰キャでコミュ症。対人恐怖症。だが裏の顔は・・・スウィートラディッシュ=全国的に大人気のVtuber。通称『スイラジ』すべてが謎・ジン(17歳)=高山市内の高校2年生。祭り屋台に命をかける祭り男子。だが裏の顔は・・・フェニックス=スウィートラディッシュと人気を二分するイケメンVTuber。通称『ホウ』・イチゴ(17歳/CV=岩波あこ)=スイラジガチ推しの同級生。別に友達ではない・ナヴィのママ(CV=山﨑るい)=Vtuberのことはよくわからないけど薄々気づいている【プロローグ:LIVE配信】◾️SE:アニソンのアウトロ〜「みんな〜!おつラディ〜!スイートラディッシュの”歌ってみたライブ”、最後の曲は『アイニキテ』でした〜!アンコールのコメントもたくさんありがとう〜!ア〜シの想い、”ラジ部”のみんなに届いたかな?っ。次の配信は来週!スケジュールはXに載せるから、ちゃんとチェックして待っててね?遅刻は厳禁だよ〜!忘れたらおこだからね〜ハッシュタグはいつもの『スイラジ』〜そしゃ、バイバイ!」「あれ・・、いまアタシ、なんてった?あ〜、まいっか」◾️SE:LIVE終了の音「ピ」ア〜シはスイートラディッシュ。通称”スイラジ”。みんな知ってる、人気ナンバーワンのアイドルVtuber。今夜のライブ配信も、10,000人以上のファンが参加してくれた。バーチャルスタジオをレンタルして、3曲もうたっちゃったからねー。スイラジのビジュは、王道のアイドル系。​​ゆるふわに巻いた高めのツインテール。赤かぶをモチーフにしたリボン付きの結び目。ラディッシュのしずくをイメージしたチョーカー。トップスは赤白のギンガムチェックのビスチェ。デコルテがきれいに見えるハートネック。肩口はシースルー素材のパフスリーブ。ボトムスはボリュームたっぷりの3段フリルミニスカート。腰の後ろには、赤かぶの葉をイメージしたオーガンジーリボン。ダンスするたびにひらひらと揺れる。スイラジは、大手事務所に所属せず、フリーで活動中。ゲーム実況とかはやらずに、フリートークと歌がメイン。アイドルVtuberの世界では、イケメンVのフェニックスと人気を二分してる。・・・っとあ、あか〜ん。もうこんな時間やん。勉強やんなきゃ。明日期末なのに〜そう。スイートラディッシュの中の人は、ア・タ・シ・・現役JKのナヴィ。市街地の高校に通う二年生なんだ。仮想世界ではバリバリのアイドル。1万人の前でも余裕で歌えんのに、リアル出ると・・・マジ無理。詰む。だってアタシ、陰キャ、コミュ症なんだも〜ん!【シーン1:期末1日目】◾️SE:教室のチャイムやっぱりだめだったぁ。終わった〜。英語も歴史も数学も全滅。まじで1ミリも分かんなかった〜。余裕で赤点だ〜。期末前日にライブ配信やるなんて・・・バカじゃん、アタシ。「ねえ、昨日のスイラジ見た?」え?「そうそう、あの最後の・・」昨日のアタシのライブのこと?「だよね!言ったよね。『そしゃ』って」あ・・・「うんうん。やっぱそうじゃない。スイラジってさ・・」やばっ。「高山住み〜!?」やらかした〜。やっぱバレてたか〜。「ひょっとして私たちの周りにいたりして〜?きゃ〜!」期末1日目終わったあと、みんな教室に残ってだべってる。ってか、みんな昨日ライブ見てたの?期末前日に。でもでも。どうする?「ほ〜んとにいるかもよ〜」さっきからずっとマウントとってるイチゴと・・目が合った・・・え?一瞬の沈黙。そして・・・「ないない!」はぁ〜っ。よかった、アタシ。陰キャで。と思ったそのとき・・・「ちげーよ」ジン・・・「スイラジがこんなとこにいるわけないだろ」いるけど・・・「それに『そしゃ』なんて言ってない。『そいじゃ』の聞き間違いだよ」「え〜そうかな〜。『そしゃ』って言ったじゃん」うん。言った。たぶん・・・「なコトより、明日の...
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    21 分
  • ボイスドラマ「クロモジ」(後編:朝日町編)
    2026/07/03
    飛騨の山々に自生する薬木「クロモジ」。その爽やかな香りは、人の心をほっと落ち着かせてくれます。福地山の山中で出会ったひとつの出来事。何気ない日常の中で見失いかけていた想い。そして、誰かを思う気持ち。自然の恵みと人とのつながりを描いた、心温まる物語・・・【ペルソナ】・よもぎ(26歳/CV:蓬坂えりか)=カフェ「よもぎ」オーナー。漢方薬剤師。薬草を求めて奥飛騨温泉郷福地温泉の山へ入ったとき道に迷ってしまう→冷静なよもぎは薬草掘り用のスコップを岩にうちつけて、国際基準となっている山の遭難信号のリズムを鳴らす・シズル=シュウ(38歳/CV:日比野正裕)=東京で働いていたマーケティング会社を辞め、地域おこし協力隊として奥飛騨温泉郷福地温泉に移住。福地温泉を選んだのは元々化石に興味があったから。現在は信飛トレイルの活動に関わり、福地温泉の旅館を手伝いながら平湯のカフェにも集まる【シーン1:再会/カフェよもぎ】◾️SE:カフェの雑踏「よもぎちゃん、そのヘンテコな置物はなんだい?こないだから気になっとったんやけど」「これ?三葉虫のペーパーウェイトよ。レプリカだけど」「へえ〜なんか形とか大きさとかアレみたいやな。あの、ほれ、ゴキ・・」「やめてよ、マサさん。これ、オリジナルで作ってもらったのよ。世界でひとつだけのウェイトなのに」「作ってもらった?だれに?」「ないしょ」「おお、おお、すみにおけんな、よもぎちゃんも」常連客のマサさんが、三葉虫を指差してからかう。1週間前に、シズルさんが作ってくれた、ちょっぴり歪なペーパーウェィト。彼が持っている化石で型をとって作ってくれた。ここは朝日町の薬膳カフェ『よもぎ』。私はオーナーのよもぎ。今日もたくさんのお客さんで賑わっている。◾️SE:カフェの雑踏〜お客さんの来店を告げるカフェベル「いらっしゃいませ・・・あ・・シズルさん・・」「よもぎさん・・きちゃった・・・すみません・・連絡もせずにいきなり」「いえ、そんな・・大歓迎よ」「おお〜。王子様の登場やな」「もう〜。マサさん!こんど言ったらもう漢方の処方してあげないから」「あはは・・・」「さ、すわって」「はい、ありがとうございます」「まずはこれ、どうぞ」「あ・・」「トウキとクロモジの『巡り(めぐり)アロマ茶』よ」「ああ、この前の・・」「トウキは冷え性の改善、クロモジは胃腸を整えるの」「へえ〜」「クロモジっていうのは、よもぎと並ぶ朝日の至宝。このお茶は、奥飛騨と朝日のイイトコどり」「そうなんだ」「食前茶よ、召しあがって」「食前茶?」「そ。ランチ、食べていけるんでしょ」「うん!ひょっとして薬膳ランチ?」「そうよ、召しあがって」「楽しみだな〜」私がその日、シズルに出したのは、薬膳参鶏湯(サムゲタン)。レシピはもちろん、この前福地で採取した薬草たち。トウキの根、ナツメ、クコの実に、もち米を入れてトロトロに煮込む。臭み消しと香り付けにもクロモジの枝を入れてある。薬膳参鶏湯、実はあれから毎日準備してたんだ。シズルさんがいつきてもいいように、って。我ながら私って、ピュア。ふふ・・「すっごく美味しい!体中がポカポカしてくる」「そおかぁ、こんところ毎日ランチがサムゲタンだったのはこういうことかぁ」「マサさん、うるさい。ヘンなこと言ってると、蜘蛛だ淵へ引きずり込むわよ〜」「お〜こわ〜。女郎蜘蛛よもぎかぁ」「もう〜」「ねえ、よもぎさん」「なあに?」「クモダブチってなに?」「ああ、蜘蛛だ淵?そうねえ・・・よかったらランチのあと行ってみましょうか」「あ、はい」好奇心満開で私たちを見るマサさん。それを横目に、私たちはお店を出た。留守番を頼んだおばあちゃんは、何も言わずにニコニコしている。シズルのSUVで秋神ダムへ。真上から照りつける太陽は、もう夏の準備を始めていた。【シーン2:仄暗い水底より/秋神ダム・蜘蛛だ淵】◾️SE:ダム周辺のざわめき〜野鳥の鳴き声「これが秋神ダムかぁ」「蜘蛛だ淵はあのあたりかな」「ダムの底?」「メンテナンスで水抜きするときか、夏に渇水...
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