『コンテンツ過剰接続』のカバーアート

コンテンツ過剰接続

コンテンツ過剰接続

著者: 私はこーへ / キムラ
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このコンテンツについて

番組概要: 様々なポップカルチャーと世の中の接続を過剰に受信する𝑪𝒖𝒍𝒕𝒖𝒓𝒆 𝑮𝒂𝒏𝒈 𝑹𝒂𝒅𝒊𝒐 ハッシュタグは#過剰接続でお願いします! また、note( https://note.com/c_overconnection )にて打合せの模様や編集後記を公開中! 番組の感想・あなたのおすすめコンテンツを常に募集中! 回答はGoogleフォームリンクから → https://forms.gle/Es4tnBXoADvjrK9P9 詳細: コンテンツがあり、ファンダムがいて、考察がある。そんな昨今のカルチャー状況の中、どこにも行かずPOPの中に踏みとどまり、アレとコレとを接続し、その先を見出す。『コンテンツ過剰接続』は全身全霊で音楽、映画、アニメ、美術、その他諸々を摂取するあなたをカルチャーギャングへ導きます。この番組を聴取した先に、あなたの日々の文化的生活の価値転倒、「よくわかんないけど、なんかわかった!」の発現があったりなかったりすることでしょう。 Twitter: 私はこーへ( https://x.com/minicoolkohe ) キムラ / Kimura( https://x.com/kimu_ra1 ) 連絡先(ご依頼など): contents.overconnection@gmail.com私はこーへ / キムラ 社会科学
エピソード
  • #9 特集:メロクロ〜My Melody & Kuromi Summer〜
    2025/08/12

    今回の特集は、先日Netflixで配信が開始されたストップモーションアニメ作品『My Melody & Kuromi』です。2025年はマイメロディが50周年、クロミが20周年のアニバーサリーイヤー。そんな長年親しまれてきた「メロクロ」の2人を描いた本作ですが、皆さんはもうご覧になられましたか?「どうせ子供向けアニメでしょ?」などと高を括ってらっしゃる方々、是非とも今すぐ観てください


    今作「メロクロ」の素晴らしいポイントは、優しく朗らかな性格のマイメロディと、自分の心に正直なクロミのふたりの性格と関係性をそのまま忠実に取り入れながら、その上で現代の我々がまさに直面している社会の問題や病理についてもきちんとと描いているところです。脚本を担当した根本宗子はインタビューで「今作ではマイメロとクロミの二人の関係性をもとに、"対立の先にある優しさ”を描いた」と語っています。他者を見てつい欲望や嫉妬を抱えてしまうこと、そんな欲望や嫉妬にここぞとばかりに漬け込んでくる存在がいること、その結果、思いもしなかった誰かを傷つけてしまうこと。そんな幾度も繰り返し続ける失敗を、果たして我々はどうやって乗り越えていけばよいのか。混沌を極めるいま、改めて考え直さねばならない非常に重要なテーマを、わかりやすく簡潔に、しかしどこまでも深く描いているのが本作なのです。


    株式会社サンリオの創始者である辻信太郎は「人々がお互いに思いやりを持ち、仲良く暮らせるコミュニティ(集団)を作りたい」と語ります。第二次世界大戦時中、甲府空襲を経験した辻は、その悲惨な経験をもとに、「みんなが仲良くなるにはどうしたらいいだろう?」「どうしたら平和な世界になるんだろう?」と考え続け、その願いや祈りのもとに、サンリオは今日まで様々なキャラクターやコンテンツを生み出してきました。みんなが少しでも楽しく仲良く暮らすために、サンリオから、そしてこの「メロクロ」から学ぶべきことがいくつもあると思うわけです。


    日本の夏は暑くなりすぎて、最近では日中にあまり蝉が鳴かなくなりました。当たり前だったことは当たり前じゃなくなり始めていて、我々は少しずつ何かを忘れていきながら、そのくせ大して大事でもないことを一生懸命に頭に詰め込み、せっせせっせと日々を生きています。人間として本当に大切な何かを失ってしまう前に、かけがえの無い喜びや悦楽とは何か?それを「メロクロ」から教わることにしましょう。


    ※サンリオHPより『いちご新聞8月号|いちごの王さまからのメッセージhttps://www.sanrio.co.jp/news/goods/strawberrynews-message-202508/

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    52 分
  • #8 特集:村田沙耶香(後半)『世界99』と『エブエブ』
    2025/08/05

    本パートから本格的に『世界99』の世界を読み込んでいきます。我々が特に重要だと思うのが、下巻における空子と白藤の関係性の変異であり、この2人の言動を観察していると「もしもあの人混みの前で君の手を離さなければ / もしも不意に出たあの声をきつく飲み込んでいれば」と思わずにはいられない場面がいくつもある。もっとこうしていればあんなことにはならなかったんじゃないか...と。思想も境遇も全く違う人間どうしの不和を解決するためには一体何が必要なのか?


    その答えを映画『エブエブ(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)』から見つけていきたいと思います。『世界99』と『エブエブ』、どちらも「家族」ひいては「母娘関係」をテーマの中心に扱った作品であり、そのうえ主人公が多層的な世界を複雑に横断していくという共通点もあります。家族という切っても切れない深い絆、が時にもたらす重責と業。21世紀において「血」や「家族」といった逃れられない束縛(システム)は、我々の想像をはるかに超えるレベルでこの世界を動かす基盤として機能しており、それは「世襲」をもとに歴史を積み重ねながら、長きにわたって我々日本人の熱狂の中心に存在し続ける「政治」や「芸能」のあり方をみても明白です。その事実について我々はもっと真剣に考える必要がある。『世界99』と『エブエブ』この2作品をじっくりと参照することで、きっとこの現代社会を生き抜いていくための手引きが見つかるはずです。

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    1 時間 25 分
  • #7 特集:村田沙耶香(前半)『世界99』と『エブエブ』
    2025/07/20


    今回の特集は村田沙耶香の小説『世界99』です。


    上下巻合わせて900ページ近い超大作であるこの作品には、私たち読者が日頃から無意識に受け入れている「正しいこと」「普通のこと」といった常識を、根本から揺さぶる圧倒的な強さがあります。この物語の登場人物たちの行動や思考が、一見すると異常でありながら、その異常こそが現代社会の規範が持つ矛盾や欺瞞がありありと露呈してゆく。この物語を読む私たちは、何が「普通」で、何が「異常」なのかという根源的な問いを突きつけられることになります。


    この衝撃を我々はどう受け止めればよいのか。ここで「過剰接続」の出番です。


    今回はA24の『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(エブエブ)』という映画を引き合いに出しながら、両作品に共通する事項について、つまりは「家族観」や「多様な選択の可能性」といったトピックを中心に考えていきます。


    『エブエブ』におけるマルチバースという設定によって、主人公エヴリンは「もしあの時こうしていたら…」という無数の可能性を目の当たりにします。カンフーマスター、映画スター、ソーセージの指を持つ人間など、様々な「あり得たかもしれない自分」を経験することで、彼女自身のアイデンティティが揺らぐことになります。このアイデンティティの揺らぎによってエブリンは自身の中の多様さ、複雑さを受け入れていく過程が描かれます。


    『世界99』も『エブエブ』も、両者ともに、現代社会では当たり前となった感覚やシステムを揺さぶり、それによって発生したカオスの中から新たな意味を見出すという点で、非常に重要な作品であるということを訴えたいと思います。


    今回も重いテーマになりますが、どうぞ最後までお付き合いください。

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    51 分
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