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#8 特集:村田沙耶香(後半)『世界99』と『エブエブ』

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このコンテンツについて

本パートから本格的に『世界99』の世界を読み込んでいきます。我々が特に重要だと思うのが、下巻における空子と白藤の関係性の変異であり、この2人の言動を観察していると「もしもあの人混みの前で君の手を離さなければ / もしも不意に出たあの声をきつく飲み込んでいれば」と思わずにはいられない場面がいくつもある。もっとこうしていればあんなことにはならなかったんじゃないか...と。思想も境遇も全く違う人間どうしの不和を解決するためには一体何が必要なのか?


その答えを映画『エブエブ(エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス)』から見つけていきたいと思います。『世界99』と『エブエブ』、どちらも「家族」ひいては「母娘関係」をテーマの中心に扱った作品であり、そのうえ主人公が多層的な世界を複雑に横断していくという共通点もあります。家族という切っても切れない深い絆、が時にもたらす重責と業。21世紀において「血」や「家族」といった逃れられない束縛(システム)は、我々の想像をはるかに超えるレベルでこの世界を動かす基盤として機能しており、それは「世襲」をもとに歴史を積み重ねながら、長きにわたって我々日本人の熱狂の中心に存在し続ける「政治」や「芸能」のあり方をみても明白です。その事実について我々はもっと真剣に考える必要がある。『世界99』と『エブエブ』この2作品をじっくりと参照することで、きっとこの現代社会を生き抜いていくための手引きが見つかるはずです。

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