• ep53-4 『サボる哲学:労働の未来から逃散せよ』前編/「やっちゃった!の生き方がいい」
    2026/07/13

    どうも、ホシノです。

    今回は私が勢いで同著者の本を8冊まとめ買いした選書、栗原康さんの『サボる哲学:労働の未来から逃散せよ』を掘り下げていきます。

    (今回は本題前の雑談が長めで失礼しました…!)

    さて、『サボる哲学』です。タイトルにある「逃散(ちょうさん)」とは、日本の農民たちが領主の圧政から逃れるために行った歴史上の反抗行為のこと。ストライキの逃げるバージョンのようなものです。労働が当たり前(むしろ美徳)の常識から逃げちゃえ、的なメッセージですね。

    この本は、労働とアナーキズムについての理解を深めてくれる一冊ですが、著者の栗原さんは冒頭でアナーキストを「無支配主義者」と定義しています。世の中がいかに支配者側の都合のいいようにシステム化され、構造化されているかを自覚した上で、「たまには反抗しておいたらいいんじゃない?」というスタンスで書かれているように思います(個人的には、徹底して抵抗せよ、というスタンスじゃないのが好印象だったんですよね)。

    ホシノが特に惹かれたのは、栗原さんの「とにかく短く言い切る言葉を連ねる」という軽快な文体です。とにかく読みやすくてニヤニヤしてしまうのに、いざ読み進めると驚くほど詳細に歴史の元をたどって紐解いてくれるので、ものすごく勉強になります。

    なかでも個人的に勇気づけられたのが、「やっちゃった」という生き方です。これは自主性(場やルールに従うニュアンス)とは異なり、自らの意思や意図が影響する前の、思いがけない行動(突発性)を指しています。「やってみたくてやっちゃった」という人間の素直な行動を大事にしようというメッセージは、ビジネスでよく言われる「PDCA」よりも、最近注目されている「DDRRRR(ディザイア・ドゥ・リフレクト・リフレーム・リアライズ)」の考え方にも通じるものを感じました。予定調和のプランに縛られず、動くことで自分の価値を見出していく自発的な生き方は、今の時代にこそ響くものがあるのでは。

    本の中では、そんな「やっちゃった」エピソードの塊のようなアナーキストの先駆者・大杉栄の生き様についても語られています。

    次回は、この本の中でさらに面白かった「海賊」のお話をご紹介します。お楽しみに!

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    16 分
  • ep53-3「論理的思考とは何か」後編/「世界の論理、4つの『型』」「日本人は共感を重んじる?」
    2026/07/05

    どうも、ホシノです。お待たせしました!アワノさんの選書、渡辺雅子さんの『論理的思考とは何か』を深掘りする第2弾をお届けします。

    ビジネスの世界にいると、アメリカ発の「結論ファースト(PREP法)」こそが正解だと思いがちですが、本書では国や文化の歴史に深く根ざした「独自の論理的思考」が4つの領域に分けて明かされます。

    • 【経済領域】アメリカ:効率性とゴール達成の論理主張を3つの根拠で支える「5パラグラフ・エッセイ」が主流。ビジネスでおなじみの逆算思考やロジックツリーも、ここから来ています。

    • 【政治領域】フランス:公共の利益と議論を尽くす論理ある主張(正)に対して必ず反対意見(反)を戦わせ、最後にそれらを統合した合体版(合)を導く構造。過去の哲学者の思想を引用しながら議論を深めることが求められます。

    • 【法律領域】イラン:真理と規範を守る論理晴れて白黒をつけるのが目的。最後にはことわざや詩(ポエム)、神への感謝を織り交ぜるのが論理的とされる、聖典に基づいた世界観です。

    • 【社会領域】日本:共感と道徳心の論理判断基準は「周りの人から共感されるか否か」。作文でも自分の体験を通じた変化や成長(起承転結)を語り、クラスメイトと感覚を共有することを重んじます。

    日本の学校教育では「自分の経験を語ってどう成長したか」というプロセスが良しとされるため、社会人になって急に「アメリカ式の結論ファースト」を求められて苦労するのは、ある意味で当然のことなのかもしれません。

    著者の渡辺さんは、利害や正義がぶつかり合うこれからの時代だからこそ、衝突を回避できる「日本的な社会領域の論理」が重要になってくるのではないかと結んでいます。

    状況や相手に合わせて、乗るロボット(論理の型)を上手に乗り換える……そんな柔軟なメタファーを意識してみると、ビジネスもコミュニケーションもぐっと面白くなるはずです。

    次回からは、栗原康さんの『サボる哲学』についてお話します。どうぞお楽しみに。

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    21 分
  • ep53-2「論理的思考とは何か」前編/「4つの論理的思考法」「採点不能の衝撃」
    2026/06/26

    どうも、ホシノです。今回はアワノさんの選書、渡辺雅子さんの『論理的思考とは何か』を掘り下げます!

    まずは著者の驚きの原体験から。日本の大学からアメリカのコロンビア大学院へ進学した著者ですが、提出した英語のレポートが教授からなんと「採点不能(0点以下)」と突き返されてしまいます。書き直しても連続で拒否され、悩んだ末に「アメリカ式の構造」に書き換えた途端、一気に高評価に!この衝撃から、国や文化によって「論理のルール(プロトコル)」が全く異なることに気づき、研究が始まったそうです。

    ビジネスで盲信されがちな「結論・根拠・結論(PREP法)」もアメリカ式の一つの型。イランなど他国ではその型で説明しても通用しないのだとか。

    今回はそのプロローグとして、ベースとなる「4つの論理的思考法」を解説してもらいました。

    • 論理(演繹):一般法則に当てはめて結論を導く(売上=単価×客数など)

    • レトリック:感情に訴えかけ、人を説得する(政治家やジョブズが得意な技術)

    • 科学(アブダクション):起きた結果から「なぜ?」と仮説を立てて検証する

    • 哲学:「そもそも売上とは何か?」と物事の本質を突き詰める

    「議論がかみ合わない」という時は、この4つのアプローチがすれ違っているのかも。相手や状況に応じて使い分ける認識を持つと、ビジネスでもかなり役立ちます。ちなみに科学や哲学思考が好きなアワノさんに対し、私ホシノは抜群に「レトリック」が好きだと判明しました(笑)。

    次回はいよいよ、文化や国による論理的思考の違いという本論へ迫ります。お楽しみに!

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    14 分
  • ep53-1 「論理的思考とは何か」「サボる哲学」/「ホテル暮らしのアワノ」「脱Apple・3kg減量」
    2026/06/18

    どうも、ホシノです。

    お久しぶりの配信となる今回。相方のアワノさんはホテル暮らしの単身赴任で超がつくほどの多忙中。慌ただしい日々の中、ホシノの方はというと、長年連れ添ったシステムから離れて「脱Apple」を敢行。Google Workspace等への移行と同時に、画面も時計機能も一切ない、ただ生体ログを取るだけの「Fitbit Air」を導入しました。睡眠の質や心拍を可視化して自分の身体の声を気にし始めたところ、なんと現在までに3kgの減量に成功!見た目もかなりスリムになりました(笑)。

    そんな身体と対峙する変化の中で、新シリーズ53として、お互いが今期読んでいく2冊の選書を紹介し合います。

    今回、ホシノが選んだ本は、栗原康さんの『サボる哲学:労働の未来から逃散せよ』です。過激なイメージのある「アナーキスト」を、冒頭で「無支配主義者」と定義する著者の熱量溢れる文体に一気に引き込まれ、なんと勢いで著作を8冊もまとめ買いしてしまいました。

    一方、アワノさんの選書は、渡辺雅子さんの『論理的思考とは何か』です。ビジネスシーンで盲信されがちな「結論、根拠、結論」というアメリカ式の合理的なロジカルシンキングだけが世界の正解ではない。フランス、イラン、そして日本など、それぞれの国や文化の歴史に深く根ざした「独自の論理的思考」が存在することを明かす、「思考を1つに絞るな」というメッセージが心に刺さる一冊です。

    詳しい内容は次回以降お話していきますね!お楽しみに。

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    9 分
  • ep52-5『未完の西郷隆盛』(先崎彰容さん)/ヤポネシア論と独自の視点を持つこと
    2026/05/18

    こんにちは、ホシノです。前回に引き続き、先崎彰容さんの著書『未完の西郷隆盛 日本人はなぜ論じ続けるのか』(新潮選書)をテーマにお届けします。


    今回は、西郷隆盛が島流しにされた奄美大島のエピソードを中心に、島尾敏雄の「ヤポネシア論」についてアワノさんが紹介してくれました。

    ヤポネシア論とは、日本を大陸の東端としてではなく、北海道から沖縄、さらには南の島々へと海でつながる文化圏として捉え直す視点のことです。

    そこには「日本の近代化って本当にこれでよかったんだっけ?」「日本人ってなんだっけ?」という本質的な問い直しが含まれているそうです。

    前回も少し触れましたが、実はホシノも、奄美大島に住んでいた経験があります。今回の収録では、本には書かれていない現地のリアルな空気感や、教科書的な英雄としての西郷隆盛とは少し違う、島の人々に伝わるエピソードなども交えてお話しさせてもらいました。

    学校で教わるような大きな物語を鵜呑みにせず、違う視点を持って自分なりの見方を作っていくこと。そんな歴史を相対化する面白さを感じていただける内容になっています。ぜひお聴きください!

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    12 分
  • ep52-4『未完の西郷隆盛』(先崎彰容さん)/なぜ日本人は彼を論じ続けるのか?
    2026/05/11

    こんにちは、ホシノです。今回からはアワノさんの選書ターン。先崎彰容さんの著書『未完の西郷隆盛 日本人はなぜ論じ続けるのか』(新潮選書)をテーマにお届けします 。


    大河ドラマで2回も主役になるほど、日本人に圧倒的な人気を誇る西郷隆盛 。今回の配信では、「なぜ私たちは150年も前の人物を、今もなお何回も引っ張り出したくなるのか?」という、この本が提示する本質的な問いについてアワノさんが紹介してくれました 。


    アワノさんの解説によれば、そこには明治維新と第二次世界大戦(敗戦)という、日本が外国の圧力に負け、大きく変化した歴史が関係しているそうです 。西洋化や近代化(大久保利通的なもの)と引き換えに失ってしまった、日本人らしい死生観や「敬天愛人」に代表される思いやりの心 。それらを一身に体現している象徴として、私たちは西郷隆盛という存在にロマンを求めているのかもしれません 。


    番組内では、氷河期世代として自身の生き方に迷いながら近代日本の思想を問い直す著者・先崎さんご自身の魅力にも触れています 。福沢諭吉から司馬遼太郎、三島由紀夫、吉本隆明に至るまで、錚々たる知識人たちがこぞって西郷隆盛を論じてきた背景は非常に興味深い内容でした 。


    実は私自身も、西郷隆盛は好きな歴史上の人物だったのですが、以前「奄美大島」を訪れた際に、彼に対する少し違った見方が生まれる出来事がありました 。


    次回の後編では、その奄美大島でのエピソードや、彼の島妻であった「とぅま(愛加那)」さんの話題も交えながら、さらに深掘りしていく予定です 。そちらも合わせてお楽しみに!まずは前編、ぜひお聴きください。

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    9 分
  • ep52-3 『本当のことを書く練習』(土門蘭さん)/「情報化」と「野外教育」の接点
    2026/05/04

    こんにちは、ホシノです。引き続き、土門蘭さんの著書『本当のことを書く練習』(ダイヤモンド社)をテーマにお届けします。

    今回は、この本を読んでホシノが個人的に「残しておきたい」と感じたポイントをアワノさんと語り合いました。

    一つ目は、養老孟司さんの言葉として紹介されていた「情報化」について。自分が五感を通して感じた事象を、他の人にも伝わる「言葉」にしていくプロセスを「情報化」と呼ぶそうです。しかし現代は、すでに誰かが情報化したものをインプットし、アウトプットするだけの「情報処理」に偏りがちではないでしょうか。このお話を読んで、アワノさんが取り組まれている「野外教育」との意外な共通点に気づきました。座学(=情報処理)では得られない、自然の中で「自ら感じ、体験する」ことこそが、自分にとっての「本当のこと(=情報化の第一歩)」に迫る大切なアプローチなのだと実感しました。

    二つ目は、「生きること」と「考えること」のバランスについて。書くこと(=考えること)に行き詰まった土門さんが、散歩に出て外の世界(=生きること)に触れたことで、再び書くべきことに出会えたというエピソード。自分の中に潜るだけでなく、他者や外の世界と交差することで「本当のこと」が書けるようになるというバランス感覚は、土門さんが小説だけでなくインタビューの仕事も大切にされている理由に繋がっているようです。

    そして最後に、「書くことは一つのレジスタンスである」というお話。世間の常識や大きな圧力に飲み込まれそうになったとき、「自分はどう感じているのか」を言葉にして書き留めることで、それに抵抗する強さが生まれます。自分軸をしっかり持っている強い人たちは、きっと日頃から「本当のこと」に迫るために、書き、考えている人たちなのだと思います。

    アワノさんの次回の選書『未完の西郷隆盛』にも通じそうなこの「強さ」のお話。ぜひお聴きください!

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    17 分
  • ep52-2 『本当のことを書く練習』(土門蘭さん)/20年前には出なかった本じゃないだろうか?
    2026/04/26

    こんにちは、ホシノです。今回は、2026年3月に刊行された土門蘭さんの著書『本当のことを書く練習』(ダイヤモンド社)をテーマにお届けします。

    SNSでの発信も身近になり、AIを使えば誰でも「通りの良い綺麗な文章」が簡単に作れてしまう今の時代。だからこそ、「自分にとっての本当のこと」を正確な言葉にすることの難しさと、その価値がますます際立ってきているように感じます。

    他人が求めるペルソナについつい合わせてしまい、自分の感情を素直に出せなくなるジレンマは、皆さんも一度は感じたことがあるのではないでしょうか。ちなみにホシノはその傾向がとても高い、という自己認識です。


    今回の配信では、この本を手がかりに、「本当のことを書く」ための具体的なアプローチについて本の内容をご紹介しています。


    普段から本当のことを書き慣れていないと、自分の感情にアクセスする言葉の「水路」が詰まってしまうというお話。その水路を掃除するためのインフラとしての「日記」の活用法や、「書くことがない」なら「なぜ書くことがないのか?」と自問自答を繰り返すプロセスは非常に実践的だと感じました。

    また、つい口出しをしてくる「読む自分(内なる編集者)」に一旦退場してもらい、「書く自分」をのびのびと解放する方法など、気づきが多くありました。

    万人に向けた一般的な言葉よりも、自分自身を研ぎ澄ませた「N=1の本当のこと」の方が、結果として他者に深く届き、繋がりを生む。これは広告づくりや、向田邦子さんのエッセイが持つ魅力にも通じる本質的な部分ですよね。


    「書くこと」に向き合いたい方はもちろん、自分自身の本心と向き合いたい方にもぜひ聴いていただきたい回です。ぜひお聴きください!


    次回の後編では、ホシノがこの本から得た個人的な気づきについて、さらに深くお話ししていく予定です。そちらも合わせてお楽しみに。

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    25 分