Audible会員プラン登録で、12万以上の対象タイトルが聴き放題。

Audible会員プラン 30日間無料体験

会員は、12万以上の対象作品が聴き放題
オフライン再生可能
プロの声優や俳優の朗読で楽しめる
Audibleでしか聴けない本やポッドキャストも多数
無料体験終了後は月会費1,500円。いつでも退会できます。
¥ 2,000 で購入

¥ 2,000 で購入

下4桁がのクレジットカードで支払う
ボタンを押すと、Audibleの利用規約およびAmazonのプライバシー規約同意したものとみなされます。支払方法および返品等についてはこちら

あらすじ・解説

「草川の旦那さん。大変です。起きて下さい。モシモシ。起きて下さい。私は深良一知(ふからいっち)です」

 暑い暑い七月の末の或る早朝であった。山奥の谷郷村駐在所の国道に面したホコリだらけの硝子戸をケタタマシク揺ぶりながら、一人の青年が叫んだ。

 それは見るからにここいらの貧乏百姓の児と感じの違った、インテリじみた色の白い鼻筋のスッキリとした美しい青年であった。慌てて走って来たものと見えて、手拭浴衣の寝巻に帯も締めない素跣足が、灰色の土埃にまみれている。……と……駐在所の入口になっている硝子戸が内側からガタガタと開いて、色の黒い、人相の悪い顔に、無精鬚をぼうぼうと生した、越中ふんどし一つの逞ましい小男が半身を現わした。

「どうしたんか」

「アッ。草川の旦那さん」

 草川巡査はねむそうな眼をコスリコスリ青年の顔を見直した。

「何だ。一知じゃないかお前は……」

「はい。あの……あの……両親が殺されておりますので……」

「何……殺されている? お前の両親が……」

「はい。今朝、眼が醒めましたら、台所の入口と私の枕元に在る奥の間の中仕切が開け放しになっておりましたから、ビックリして奥の間の様子を見に行ってみますと、お父さんと、お母さんが殺されております。蚊帳(かや)が釣ってありますので、よくわかりませんが、枕元の畳と床の間のあいだが一面、血の海になっております」

「いつ頃殺されたんか。今朝か……」

「……わかりません。昨夜……多分……殺された……らしう御座います……」





夢野久作



日本の小説家、SF作家、探偵小説家、幻想文学作家。1889年(明治22年)1月4日-1936年(昭和11年)3月11日。他の筆名に海若藍平、香倶土三鳥など。現在では、夢久、夢Qなどと呼ばれることもある。福岡県福岡市出身。日本探偵小説三大奇書の一つに数えられる畢生の奇書『ドグラ・マグラ』をはじめ、怪奇色と幻想性の色濃い作風で名高い。またホラー的な作品もある。
(c)2017 Pan Rolling

巡査辞職に寄せられたリスナーの声

総合評価
  • 4 out of 5 stars
  • 星5つ
    0
  • 星4つ
    4
  • 星3つ
    1
  • 星2つ
    0
  • 星1つ
    0
ナレーション
  • 4.5 out of 5 stars
  • 星5つ
    2
  • 星4つ
    3
  • 星3つ
    0
  • 星2つ
    0
  • 星1つ
    0
ストーリー
  • 3.5 out of 5 stars
  • 星5つ
    0
  • 星4つ
    3
  • 星3つ
    2
  • 星2つ
    0
  • 星1つ
    0

カスタマーレビュー:以下のタブを選択することで、他のサイトのレビューをご覧になれます。

レビューはまだありません。