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あらすじ・解説

明治13年。井ノ口トシ子は、九州にて美人聡明な母と堅物の漢学者である父の間に生を受ける。手芸の名人であったトシ子の母は博多随一の富豪、柴田忠兵衛にその腕前をかられ、当時の名優、中村半太夫の舞台を元に押絵の制作を依頼される。出来上がった作品、「阿古屋の琴責め」は柴田忠兵衛の屋敷が見物人で溢れるほどの傑作であった。その評判は瞬く間に博多中を駆け回り、母による押絵作りはいつしか井ノ口家の家計を支えるほどになっていく。そして不思議なことに、幾枚も作られていく押絵のモデルは決まっていつも、美貌の娘トシ子の顔であった。時は過ぎ、明治24年。柴田は新たな押絵を依頼する。彼がそのモチーフにと届けた、大量の錦絵に描かれし「里見八犬伝」の一幕にトシ子が見つけたものは、自分と「瓜二つ」の犬塚信乃の姿であった。そうして完成した押絵は柴田により櫛田神社に奉納され、その評判を聞きつけた父親は喜び勇んで神社へと足を運ぶ。しかし、群集でごった返す妻の作った押絵の前で、彼はある噂を耳にしてしまう。美貌の娘トシ子と、押絵に描かれた稀代の名優中村半太夫が瓜二つであり、自身の妻がトシ子を孕んだ時期が、最初に作った「阿古屋の琴責め」のために観劇した舞台の時期と一致していたことを。堅物でお世辞にも色男とは呼べない父親はその足ですぐに帰宅し、妻と中村半太夫の不義密通を疑い問いただす。「どうぞ、お心のままに遊ばしませ。不義を致しましたおぼえは毛頭御座いませぬが……この上のお宮仕えはいたしかねます。お名残り惜しうは御座いますが、あなたのお手にかかりまして……」 不義を認めぬが、腑に落ちない返事を繰り返す妻に怒り狂った父親は、その妻とトシ子を刀で切りつけ、自害して果てたのだった。独り一命を取り留めたトシ子が17歳になった時。ふとしたことで手にした歌舞伎雑誌に載っていた名優、中村半次郎が死に別れた母に瓜二つであることを目にしてしまう。母と半太夫の本当の関係は。トシ子と半次郎の関係は。想いの果てに翻弄された血の行方は。猟奇的作品をユーモラスに描き続けた夢野久作による、美しく儚い純愛小説の傑作。
(C)Pan Rolling

押絵の奇蹟に寄せられたリスナーの声

総合評価
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ナレーション
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ストーリー
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