『三島由紀夫 悲劇への欲動』のカバーアート

三島由紀夫 悲劇への欲動

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三島由紀夫 悲劇への欲動

著者: 佐藤 秀明
ナレーター: 丸山 純路
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「悲劇的なもの」への憧憬と渇仰。それは三島由紀夫にとって存在の深部から湧出する抑えがたい欲動であった。自己を衝き動かす「前意味論的欲動」は、彼の文学を研ぎ澄ませ昇華させると同時に、彼自身を血と死へ接近させてゆく。衝撃的な自決から半世紀。身を挺して生涯を完結させた作家の精神と作品の深奥に分け入る評伝。

©2020 Hideaki Sato (P)2021 Audible,Inc.
エッセイ

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Audible制作部より

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分からなくなった。いくつか三島さんのドキュメントや本も読んだはずだが、結婚されていてお子さんが二人いらっしゃるのにもびっくりした。どうも自決のところばかりがフォーカスされすぎて来たようで、本書はそういった世俗的な部分も描かれていて面白い。問題は、切腹のシーンである。多分そこは筆者にあまり関心のないところなんだろうが、まるで難なくこなしたかのごとくサラッと描かれており、本懐を遂げて最後に生きづらさの中で満足を得た、といった感じで終わる。だがそれは、英雄化の行き過ぎというものだ。現実には、ものすごい数の躊躇い傷を作ったものの結局致命傷に至らず、あまりの激痛に介錯を急かすも、一人目が下手すぎて三度も失敗し、(これがどれほどの残酷さか!)のたうち回った挙げ句、二人目は一撃で首を落としたが、床は血の海だったと言う。どこに満足があるのだろうか。割腹の覚悟と技術の間にはその実途方もない距離があり、本人に最後に残ったものは満足どころか、早く楽にしてくれ、と願うばかりの激痛のみだったのだ。人を神にしてはいけない。

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