1984
(KADOKAWA)
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ナレーター:
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德石 勝大
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著者:
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ジョージ・オーウェル
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田内 志文
全体主義が支配する近未来社会の恐怖を描いた本作品が、1949年に発表されるや、当時の東西冷戦が進む世界情勢を反映し、西側諸国で爆発的な支持を得た。1998年「英語で書かれた20世紀の小説ベスト100」に、2002年には「史上最高の文学100」に選出され、その後も、思想・芸術など数多くの分野で多大な影響を与えつづけている。©Shimon Tauchi 2021 (P)KADOKAWA
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全体主義のおぞましさ
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結果、現実と少しだけズレた異世界という発想は共通していた。また、本作が『1Q84』のオマージュの対象となるにふさわしい名著であることも納得できた。他には直接的な共通点はそれほど多くないように感じた。
ただ、「1984」の「9」を「Q」に置き換えることで、「現実とよく似ていながら、どこかズレた世界」を一文字で表現し、さらにその先に深い何かがあるのではないかという奥行きまで感じさせる同氏のセンスには感心した。
深く考察すれば、まだ見えてくるものはありそうだが、このあたりにして、本書そのもののレビューに入りたい。
第一部は正直、低空飛行だった。全体主義国家、終わることのない戦争、監視社会。その世界観は、どこか北朝鮮を思わせ、目新しさは感じなかった。
しかし第二部に入り、一変する。
ジュリアとの出会いによって、それまで思想や社会を俯瞰していた物語が、一人の人間の内面へと焦点を移す。恋愛や情欲への期待、不安、葛藤。ウィンストンのモノローグは生々しく、一気に作品へ引き込まれた。
さらに、ゴールドスタインの著書によって、それまで断片的だった世界観が一つの思想として結びついていく。そして、権力とは何か、人間とは何かという本質へ踏み込んでいく。その思索の深さと、1949年にこれを書き上げたオーウェルの洞察力、そして構成力には圧倒された。
朗読も素晴らしい。静かで、どこか覇気がなく、諦めをまといながら、それでも心の奥底には消えない熱を秘めている。そんなウィンストン像が自然と浮かび上がり、作品世界と調和していた。
そして最後に、私が最も衝撃を受けたのは付録の「ニュースピーク」である。本文でもその恐ろしさはそこはかとなく感じていた。しかし付録を読み終えたとき、本当の恐怖はそこにあったのだと気づいた。
細部までの監視、強烈な拷問、歴史改竄や教育による思想統制。もちろん、それらも恐ろしい。しかし、それらには限界がある。
洗脳の行き着く先は、言語だった。
語彙と文法を改訂し、長い年月をかけて思考、文化、思想、歴史そのものを消し去る。人間から「考えるための道具」を奪えば、自由を求める発想すら生まれない。人を支配するのではない。人間そのものを書き換えようとする発想に、私は戦慄した。
全体主義は、ここまで行き着くのか。
全体主義はここまで行き着くのか
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