朗読街道

病のため、甲州鎮撫隊に従軍できない沖田総司と、総司にかくまわれた女・お力。お力は総司を懸命に介抱していたが、その正体は―

昭和25年(1950年)初出。漱石を慕い集ってくる若手たち、家族との問題、二人で出かけたときのエピソードなど筆者の知る漱石像が描かれている。京都と東京の紅葉の違いを考察する『京の四季』同時収録。

秋の冷たい川に入ってがまん勝負をしていた久助君たち。勝負に勝った兵太郎君は、そのあと突然苦しみだしてしまう。兵太郎君が死んでしまうのではないかと心配する久助君だが、仲間達たちは普段から死んだまねをよくしていた兵太郎君を半信半疑に見ている―

大正13年(1924年)初出。慶安の変を起こした由井正雪の一味を捕らえた松平伊豆守。しかし正雪は囲まれた宿で自殺したとの知らせが届く。そして、伊豆守の元に正雪の遺書が届けられた―

「セメント樽の中の手紙」松戸与三は、セメント樽の中から箱を見つける。その中には衝撃的な内容の手紙が入っていた。「淫賣婦」も収録。

「赤い煙突」病床の彼女は窓から隣の3本の煙突を眺めていた。なぜかその真ん中の赤い煙突は煙を吐かない。「嘘」も収録。

「かぶと虫」小さい太郎はかぶと虫を捕まえた。そして、友達を訪ねるが…。「和太郎さんと牛」も収録。

「明るき世界へ」木の芽が地上に出て、自然の脅威を目の当たりにする『小さな芽』幸福の島を目指す『幸福の島』の二編構成。「飴チョコの天使・空晴れて」も収録。

弁護士・西村敬吉を訪ねてきた活動役者の清水茂。彼の依頼は、遺言状の作成。活劇の撮影中、カメラマンが誤って射殺されるという事件が起きたが―

噂高き画家ベエシル・ハルワアドが肖像画のモデルにした少年ドリアン・グレイは、たいへんな美青年であった。伊達者ヘンリイ・ウォットン卿は彼の美しさを驚嘆し、“人生と幸福とについての新しい見方”を教える―

夏の終わり、中野五郎は望遠鏡をのぞいていると、見慣れぬ白い船をみつけた。その船にはとても美しい女性と、大震災で亡くなったはずの叔父・細川三之助の姿があった。中野は、その船に近づく―

お姫さまは、お城の外に出たことがない。外の世界を見てみたいと思っていたお姫さまはある日城に入ってきた女の乞食と着物を交換し広い世の中を見る旅に出る―

花のき村にやってきた五人組の盗人。しかし盗人の「かしら」以外は昨日まで別の仕事をしていた新米盗人。村の偵察をさせるが、皆うまくいかない。もう一度弟子らを偵察に行かせた「かしら」のもとに一人の少年が現れる―

“運好くば聴ける、後生の好くない者は聴けぬ”という高野山の霊鳥・仏法僧鳥の啼き声を聴きにゆく紀伊・高野山紀行。その他エッセイ『最上川』『曼珠沙華』『遍路』『支流』同時収録。

夫婦生活を荒廃させてしまった夫・嘉七と、その結果、不倫に手を染めてしまった妻・かず枝。お互いの過ちにけじめをつけるため心中を決意し、二人最期の時を過ごす―

さいかち淵で発破漁をする大人たちを見た「ぼく」の親友「しゅっこ」はその翌日、毒もみを使ってみんなで魚をとろうと言い出した。「ぼく」はそれに反対するが―

備後国の少年武士・平次郎と、その隣人・権八は大熊山のばけものに逢ってみたくなる。二人でくじ引きをし、当たりを引いた平太郎が大熊山へ行くことになった―

筆者女学生時代の体験談。念願の女子大付属女学校に入学したが、名古屋のS校に転校。転校による苦悩、当時の後悔が綴られている。その他、筆者の思い出を綴った『ハナとタマシイ』『汽車』『お泊り』同時収録。

グリム童話代表作の一つ。雪のように白い肌の、美しい白雪姫。国一番の美女でありたい継母の女王にその美しさをねたまれ、姫は命を狙われる―お菓子の家が印象的な『ヘンゼルとグレーテル』同時収録。

「私」と同居人の御面師は村の祭で使われる仮面を作っていた。この祭の裏では毎年、村の反感を買った者がリンチされるという慣わしがあり―日曜日、いつまでも寝ている父親を起こそうとする娘の短編『お父さんのお寝坊』同時収録。