検索キーワード： ナレーター "大河内 葉子" すべてのカテゴリー

大正13年(1924年) 初出。山猫からおかしなはがきが届いた。裁判をするからおいでなさい、と言う。一郎は山猫の行方を尋ねながら裁判に向かう―

大正7年(1918)初出。「西郷隆盛は、城山の戦いで死んではいない」と語る老紳士と食堂車で語り合う事になった史学科の大学生 本間。「西郷隆盛は現在も生きている」と告げられた本間は…。

「今や、信玄の周辺人なく好機逸すべからずとみてとった謙信は馬廻りの剛兵十二騎をしたがえて義信の隊を突破し信玄めがけて殺到して来た。禅定のいたすところか、その徹底した猛撃は正に鬼神の如くである。」歴史随想集「日本合戦譚」収録の一遍。甲斐の武田信玄と越後の上杉謙信との間で行われた川中島の合戦。竜虎激突の最大のクライマックスを描く。

大正10年(1921年) 初出。一刻も早くパリに帰らなければならないカラタール氏はロンドンゆき急行に乗り遅れてしまったため、マンチェスターゆき臨時急行列車を手配しリヴァプールを出発した。しかし、マンチェスター駅からは予定時刻を過ぎても急行列車が到着しないとの連絡が入る―

歴史随想集「日本合戦譚」収録の一遍。第一次上田合戦から、小田原の役、関ヶ原の役、九度山流配、大阪の陣まで、智将真田幸村（信繁）の奮戦を父昌幸、兄信幸等とのエピソードを絡めて描く。

昭和23年(1948年)初出。 信長は悪魔であった。信長に諌言の遺書を残して自殺した老臣。悪逆無道の天下の執政松永弾正久秀との悪魔同士の不可思議な友情。数々の逸話を描く信長の前半生。(この作品は未完です。)

昭和25年(1950年)初出。 ある男が某作家へ、悩みを打ち明ける手紙を書いた。 何かに感激し、奮い立とうとすると、 どこからとも無く金槌で釘を打つ音が聞こえて来て、 如何なる感慨も失ってしまうのだと言う―

大正10年(1921年) 初出。支那の上海の或る町。アメリカの商人がインド人の婆さんに占いを依頼する。婆さんの占いは、「アグニの神」直々の御告げによるもので五十年来一度も外れたことがないと言う。しかしその占いのために犠牲になっている者がいた―

大正5年(1916年)初出。 工学士某氏の妻が姑を刺す事件が諸新聞に現れた。その妻は常識・教養のある女性で、良人との仲も睦まじかったと言う。 なぜそのような事件が起きてしまったのか?この事件を動機に、与謝野晶子が先進的な女の視点で意見する。

イタリアの作家アミーチスによる愛国小説「クオレ」の中の一挿話。イタリアのジェノヴァに暮らす少年マルコが、アルゼンチンのブエノス・アイレスに出稼ぎに行ったきり音信不通になった母アンナをたずねる為、自分ひとりでアルゼンチンへ旅に出る。

明治34年(1901年)初出。 『二ヶ月の学費が手に入って牛肉を食いに行たあとでは、いつでも菓物を買うて来て食うのが例であった。大きな梨ならば六つか七つ、樽柿ならば七つか八つ、蜜柑ならば十五か二十食うのが常習であった。』 俳人・正岡子規が幼少より愛した「くだもの」たちを語るエッセイ。

1921（大正10）年11月初出。「わが家の猫の歴史はこれからはじまるのである。私はできるだけ忠実にこれからの猫の生活を記録しておきたいと思っている。」ねずみの悪戯、興味のなかった野良猫、やがて飼い始めた子猫に徐々に惹かれてゆく様子を綴る。物理学者で夏目漱石の門下生でもあった著者の科学と文学を調和させたエッセイ。

1947（昭和22）年 初出。「子供の胸にひめられている苦悩懊悩は、大人と同様に、むしろそれよりもひたむきに、深刻なのである。その原因が幼稚であるといって、苦悩自体の深さを原因の幼稚さで片づけてはいけない。そういう自責や苦悩の深さは七ツの子供も四十の男も変りのあるものではない。」坂口安吾による、教員時代の体験を綴った自伝的短編小説。

明治35年(1902年)幼少の頃、『西国立志編』に感銘を受けた桂正作は以後、堅実・勤勉な生き方で自らの立てた目標を実行していく―正作という人物を通し、明治の小説家・国木田独歩が描く理想の人間像。同作家による『春の鳥』も収録。

『工場では学徒が三名死んでいた。二階がその三人の上に墜落して来たらしく、三人が首を揃えて、写真か何かに見入っている姿勢で、白骨が残されていたという。』 昭和48年(1973年)初出。同作者による『夏の花』のその後。 作者が見た被爆後の広島、原爆の傷に苦しむ人々、次々に消えてゆく命をありありと描き、原爆の恐ろしさを伝える。

注文の多い料理店 山奥へ狩猟にきた２人の青年紳士。迷った森で一軒の西洋風料理店を見つける。入店した彼らは扉ごとに貼られた注意書きに従って店の奥へと進んでいくが…。

『今、ふと己が生きていることと、その意味が、はっと私を弾いた。このことを書きのこさねばならない、と、私は心に呟いた。』 八月六日の朝、広島を原子爆弾が襲った。一命を拾った筆者は、Kとともに川を目指して避難する。 そこで見た景色は、ぺしゃんこの建物、立昇る煙、蝟集する避難者…

"""『良沢の顔は、究理に対する興奮で輝いていた。玄白も、良沢の高朗な熱烈な気持に接していると、自分の心のうちの妙なこだわりなどは、いつの間にか忘れていた。』江戸時代の医学書、『解体新書』翻訳にまつわる人々の姿を描いた菊池寛の名作短編小説。

1908年「早稲田文学」初出。日露戦争中、脚気のため入院したが劣悪な病院生活に我慢できず、完治しないまま病院を出てきたひとりの兵士。原隊に復帰すべく、広大な満州の地をさまよい歩くが…。

昭和7年(1932年)初版発行「自分で人を食えば、人から食われる恐れがあるので、皆疑い深い目付をして顔と顔と覗き合う。この心さえ除き去れば安心して仕事が出来、道を歩いても飯を食っても睡眠しても、何と朗らかなものであろう。」被害妄想にかられた狂人の心理を通して、当時の中国における封建社会・儒教文化の虚偽に迫った魯迅の名作短編小説。