エピソード

  • 小川未明 「月夜とめがね」
    2025/10/05

     お婆さんは一人暮らしの長い夜を、繕いものをしながら過ごします。目が弱ってきて針仕事もつらくなってきたようです。月の出た或る夜、そんなお婆さんに変わった客が訪れます。そしてお婆さんは、いつもと違う不思議な夜を過ごすことになります。

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    15 分
  • 川田 功 「乗合自動車」
    2025/09/29

     手練れの掏摸が刑事につけられています。気づいているのかいないのか、混雑した乗り合い自動車(バス)に乗ると、女性客の態度が癪に障り、その立ち居振る舞いに立腹します。そんなさなか目の前に、まさに掏ってくれと言わんばかりのカモが現れました。掏摸は一計を案じ、ひと騒ぎを仕掛けます。

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    17 分
  • 津村信夫 「月夜のあとさき」
    2025/09/24

    「戸隠では、蕈と岩魚に手打蕎麦」、これまで何度も戸隠を訪れている津村信夫は、そこで出会った夏の終わりの出来事、秋の宿での食膳、そして山の月と蕎麦打ちの様子を思い出します。山里の森閑とした月夜の晩の風情を感じる短編です。

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    8 分
  • 芥川龍之介 「羅生門」
    2025/09/18

     芥川の代表的作品です。時代は平安時代末期、災いが続いて荒廃した都の朽ち果てた大きな門で、秋の夕刻に、追い詰められた人間の我欲と無情さがあらわになっていきます。今昔物語集の「羅城門登上層見死人盗人語」と「太刀帯陣売魚姫語」をもとに、芥川がひとつの作品にしました。

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    23 分
  • 岩本素白 「雨の宿」
    2025/09/10

     いつの時代も、日本人にとって京都への旅は特別な感傷を抱かせるものではないでしょうか。時代とともに京都の風情も変わりましたが、多くの人々にとっての京都は、この随筆で岩本素白が体験したような詫び寂びの沁みいるような時を過ごす場所のように思えます。随筆の達人が京都に向かい、予定にない初めての宿を訪ねます。

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    9 分
  • 山川方夫 「邂逅」
    2025/09/02

     引っ越しをきっかけに、忘れかけていた幼き日の記憶が蘇ります。その記憶はところどころ曖昧で、なにか大切なことが抜け落ちてしまっている気がします。抜け落ちているなにかが明らかになったときに、より大きな謎のなかに迷い込むことになります。

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    14 分
  • 小山清 「老人と鳩」
    2025/08/30

     老いて資産もなく、健康にも難がありながら一人で暮らす。そんな身につまされる境遇で生きる老人が、暮しまわりで見かけるものい興味を示し、なにかを生み出すことを考え、人とのわずかなふれあいに心を動かします。さしたることも起こらずに続いていく人生を、それでも生き続ける様子が心に沁みる短編です。

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    24 分
  • 壺井栄 「港の少女」
    2025/08/23

     小豆島の港町を舞台にした短編です。戦争は人の命を奪い、ささやかに暮らす庶民の日常にも影を落とします。戦後の日本の姿は復興とともに語られがちですが、都市部を離れた地方では変わりなく繰り返される日常の中に、戦争に奪われたものの影響がゆっくりと切なくあわわれます。庶民の戦後の姿を映し出した作品です。

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    36 分