エピソード

  • 国木田独歩 「画の悲しみ」
    2025/08/15

     子どものころ、画が好きで周囲からも画力を認められていたことを思い出す。しかし同じ学校には、自分より優れた画を描く少年がいて、いつの間にか対抗心を持つようになる。二人の交流を回想しながら、その後の人生と運命について思いをはせ、せつない感情が沸き上がる様子が心を打つ。

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    21 分
  • 小山清 「老人と鳩」
    2025/08/09

     老人は失語症を患い独り暮らしをしています。暮らしはつつましく、身の回りの小さな出来事が日々の彩りとなります。ふとしたきっかけではじめたモノづくりと、喫茶店で知り合った少女とのささいな交流が、また新たな変化をもたらします。日常の細部を丁寧に描いた、晩年の小山清の短編です。

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    24 分
  • 壺井 栄 「裁縫箱」
    2025/08/04

     母一人子一人で貧しく暮らしている12歳のヨシノは、母親に誘われ街に出かけ、思いもかけない経験をします。それは母親が近い未来に起こることを知っていたかのような出来事でした。弱き人々の暮らしに根ざした壺井栄らしい作品です。

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    29 分
  • 島田清次郎 「若芽」
    2025/07/28

     若くして亡くなった文士の死を扱った作品ですが、作者の島田清次郎自身が若くしてデビューして脚光を浴びながら、その後の放縦な行動で破滅的な人生を歩むことになり、早逝したことと重ねると作品の意味合いを考えさせられます。

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    25 分
  • 奥野他見男 「支那街の一夜 ”馬賊に捕らわれた人の話”」
    2025/07/22

     日清日露戦争後の中国は、世界が虎視眈々と狙っており、日本にとっても重要な意味をもっていました。そのため現在と同様に企業進出から観光まで多くの日本人が渡って活気をていし、中国の街の様子や文化について、日本国内でも多いに注目されていました。その国を当時の大流行作家が旅して書き残した紀行随筆の一話です。

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    16 分
  • 加納作次郎 「少年と海」
    2025/07/16

     「赤い鳥」に発表された児童文学です。能登の漁村を舞台に、海が荒れる予兆を感じた幼い少年が、これから起きる変化を想像するうちに、目の前で起きていることを見失ってしまいます。再評価されつつある加納作次郎の作品です。

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    20 分
  • 蘭郁二郎 「足の裏」
    2025/07/11

     特殊な性向を持った青年の奇妙な活動を描いた戦前の掌編です。作者は10代で江戸川乱歩に認められ、昭和モダンの時代らしい怪奇幻想の味わいがある探偵小説を発表していた蘭郁二郎です。谷崎とはひと味違うフェティシズムが、若々しい筆致で展開します。

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    21 分
  • 伊藤佐千夫 「告げ人」
    2025/07/06

     楽しい村祭りの前夜に、いわくつきの近親者の訃報がもたらされるところから話は始まります。家族が家父長制で結びついていた時代に、土地の慣習にしたがって暮す旧家が舞台となっています。現代とは違った家族のカタチが浮き彫りになる作品です。

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    31 分