エピソード

  • 梶井基次郎 「小さき良心 断片」
    2025/12/12

     その場の勢いで間違いをしでかしてしまい街を彷徨う男の脳裏には、さまざまな出来事が浮かんでは消えていきます。ついさっきまで友人と愉しく飲んでいたのに、状況が一変してしまいました。追い詰められ、自己肯定し、昔を思い出し、男は逃げ続けます。

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    24 分
  • 高村光太郎 「人の首」
    2025/12/07

     彫刻家でもある高村光太郎が、電車の中で人間を観察します。人々の顔を見ては面白さを感じ、魅力を発見し、人間を発見していく様子が興味深く描かれます。見知らぬ少女の顔をまじまじと見てしまい、のちにバツの悪さを感じる様子など可笑し味を感じさせる随筆です。

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    14 分
  • 山本周五郎 「酒屋の夜逃げ」
    2025/12/01

     以前は近所の商店の御用聞きが家々を回って、日ごろの暮らしに必要なものの注文を取り配達してくれました。支払いはつけで月末や年末に払ったものです。山本周五郎も馴染みの酒屋で頼んでは、後でまとめて払うつもりが懐ぐらいと折り合わず、酒屋の主人の人の良さに甘えて、ついつい支払いをあと伸ばしにしてしまいました。そのうち酒屋がつぶれてしまい…。

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    8 分
  • 尾崎放哉 「石」
    2025/11/26

     自由律俳句の代表的存在である尾崎放哉は、一流の経歴を持つエリート人生を歩んでいましたが、家族も仕事も捨てて流浪の人生を送りました。その最晩年は、島の小さな庵に居を移して終の棲家とします。その島に転がる石を見て思いを巡らせたのがこの随筆です。これからしばらくして放哉は人生の幕を閉じます。

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    11 分
  • 宮沢賢治 「セロ弾きのゴーシュ」
    2025/11/20

     活動写真館の楽団に所属するセロ(チェロ)奏者ゴーシュは、うまく弾くことが出来ずに楽団長に叱られてしまいます。その日を境に毎晩遅く動物たちが訪ねて来るようになり、怒ったり面倒臭がったりしながらも、動物たちの相手をしながら演奏することになってしまいます。

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    41 分
  • 菊池寛 「身投げ救助業」
    2025/11/14

     明治に入り琵琶湖から京都へ水を引くために、疎水工事が行われました。そして岡崎公園近くの疎水にかかった古い橋が、いつしか京都の自殺の名所となります。たまたまその近くに住んだ老婆が、川に身投げした自殺者に竿を突き出して救い、報奨金を得たのをきっかけに、いつしか身投げを救うことが生業になったのです。

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    24 分
  • 芥川龍之介 「お富の貞操」
    2025/11/07

     江戸開城後、上野の山に立てこもった彰義隊を新政府が征伐するという前日、住民が避難し閑散となった町に残った乞食は入りこんた町屋で、猫を連れに戻ってきた女と待ち合わせします。そこで乞食が良からぬ気持ちを抱き、女は猫を巡って貞操と尊厳の選択を迫られることになります。

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    34 分
  • 小酒井不木 「犬神」
    2025/10/28

     かつて西日本の各地には犬神にまつわる迷信が信じられており、狐憑きのように犬に憑りつかれると、家族まで犬神の筋と呼ばれて地域から特別視され、婚姻などでも特殊な掟にしばられていたそうです。医学博士で日本の探偵小説の黎明期に活躍した小酒井不木が、その犬神信仰を題材に創作した怪奇小説です。

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    30 分