エピソード

  • 芥川龍之介 「仙人(鼠使い編)
    2025/06/15

     芥川龍之介は「仙人」のタイトルで二つの短編を残しています。これは先に書かれたものです。鼠の芝居を見せながら町から町へと渡り歩く男は、みすぼらしい老人と出会います。自分よりも苦しい人生を送っているように見える老人を知り、男にはある感情が芽生えていきます。

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    22 分
  • 田山花袋 「アカシヤの花」
    2025/06/10

     日露戦争の頃、中国の支社で働く二人の男が、本社の知人が社内不倫で左遷され、相手の女性は子供を産んだのちは不明という噂話に花を咲かせます。そんな二人が商用で中国を巡る旅をしているときに、ひょんな場所で噂の女性と出会います。田山花袋が本名の田山 録弥で発表した作品ですが、花袋名での登録としました。

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    18 分
  • 牧野信一 「辞書と新聞紙」
    2025/06/06

     王様は国の少年達の中から世継ぎの王子を選ぶとお布令を出します。全員が候補者で、王様の試験に合格した者が選ばれます。国中の少年達が書物にむかい勉強に励む一方で、貧しくて学ぶ書物を買えない羊飼いの一郎君にはなすすべがありません。それでも試験を受けなければなりません。どんな試験が行われたのでしょうか?

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    11 分
  • 宮沢賢治 「烏の北斗七星」
    2025/05/31

     かつて戦争で戦闘機よりも戦艦が主力だったころ、普段は商船として運用されている海運会社の船舶を、軍艦として艦隊に編成したものを義勇艦隊と呼びました。戦時でなければ普通の船、普通に暮らす人々も、いざ戦うことになれば与えられた役割に徹することになります。しかし、心をすべて変えることは出来ません。カラスの義勇艦隊の話です。

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    19 分
  • 鷹野つぎ 「虫干し」
    2025/05/16

     鷹野つぎは明治23年に、現在の静岡県浜松市の中流の商家に生まれました。少女時代から文学に触れて創作をはじめ、結婚や出産後も夫の転勤で各地を転々としながら、小説、随筆、詩や和歌を発表していきました。当時の浜松の四季のうつろいと子供たちの日々を題材にした作品をいくつも残しています。

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    7 分
  • 久生十蘭 「一の倉沢」
    2025/05/12

     息子が谷川岳で遭難した知らせを受けて救助活動に向かった父親は、自分自身の人生を見つめていくことになります。登山家として技を磨き山を制してきた若き日は過去のものとなり、今は仕事場で時間を潰すだけの日々を過ごしていました。遭難した息子の捜索活動は、自分自身の価値を試す試練に変わっていきます。

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    25 分
  • 幸田露伴 「野道」
    2025/05/07

     春うららかな頃、老境を楽しむ人生の先輩たちに誘われて、郊外の野道を散策します。持ってくるように言われた板切れに塗り込んだ味噌を準備し、なんでもない景色や草花の様子を慈しみながら、のどかな道行きを愉しみますが、一つの事件が起こります。滋味深い露伴の名作短編です。

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    19 分
  • 菊池寛 「蠣フライ」
    2025/04/25

     食いしん坊であった菊池寛による洋食と恋愛が絡み合う短編小説です。かつて愛した女は、自分に食事する姿を見られることを避けていましたが、大好物の蠣フライだけは別でした。ある日、汽車の食堂車でかつての女らしき姿を認めます。夫婦連のようです。過去が甦り、あの女なのかどうか気になります。

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    7 分