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映画のお話

著者: mizushimama
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  • 自分が観た映画について、おしゃべりの練習をかねて語ります。 なるべくネタバレしないように話します。 メッセージはこちらから👇 https://forms.gle/zep21THm7PwYrKwN8
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あらすじ・解説

自分が観た映画について、おしゃべりの練習をかねて語ります。 なるべくネタバレしないように話します。 メッセージはこちらから👇 https://forms.gle/zep21THm7PwYrKwN8
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エピソード
  • 113.Netflix「ブラックミラー」失敗した転職、そして配信ドラマの話
    2025/04/29
    転職して、ひと月が過ぎた。1ヶ月前に感じた空の青さは、今ではすっかり色褪せ、記憶の底に沈んでいる。三十代後半。未経験で飛び込んだIT業界の現実は、想像していた以上に厳しかった。嫌な人間がいるわけではない。業務もいまのところ定時で帰れるほどに落ち着いている。それなのに、心は日に日にすり減っていった。もし「辞めてもいい」と言われたなら、迷うことなく、すぐにでもその場を去るだろうと思った。朝、会社へ向かう道すがら、胸の奥に重いものを抱えながら歩く。出社して、パソコンに向かい、与えられた業務に手をつける。しかし、その作業に意味を見いだせない。周囲は淡々と働いているが、自分だけが異物のような気がしてならない。何を学べばいいのかも分からず、焦りだけが募る。夜になれば、ユーデミーで講座を見てはいるものの、内容は頭に入らず、ただページをめくるだけだ。IT業界に進んだ人たちの成功例を動画で見かける。プログラミングスクールで学び、地道に努力してきた人たちだ。それに比べ、自分はただ現状に耐えきれず、逃げるようにしてこの世界に飛び込んだ。準備も覚悟も、何もなかった。そんな自分が、今ここにいること自体、どこか場違いに思えた。昼休み。社内の空気に馴染めず、弁当を手に外へ出る。雑踏を抜け、たどり着くのは南池袋の墓地だった。冷たい風が吹く中、墓石の間に腰を下ろして弁当を広げる。そこでは、美容学校の制服を着た青年も、同じように弁当を食べていた。互いに言葉を交わすことはない。ただ静かに、同じ時間を共有していた。青年は、毎日のように同じベンチに座っていた。美容師を目指しているのか、それとも何か別の理由で、ここにいるのかは分からない。ただ一つ、彼もまた、この街の喧騒に馴染めずにいることだけは、はっきりと伝わってきた。弁当を食べ終えた後は、ベンチに座ったまま空を見上げる。灰色の雲が流れていく。これからの人生に、希望らしいものを見いだすことはできないまま、時間だけが過ぎていく。午後の仕事が待っているが、重い腰を上げるのに、毎回ひどく時間がかかる。そんなある日、Netflixで「ブラックミラー」の新作が配信された。映画を観るほどの気力はなかったが、短編ならと再生ボタンを押した。1話ごとに区切られた物語は、今の自分にとって唯一、心をどこか別の場所へ運んでくれる手段だった。6位は、第2話「ベット・ノワール」。あまりにも非現実的な展開に、気持ちが追いつかなかった。5位は、第3話「ホテル・レヴェリー」。古い映画に入り込み、もう一度人生をやり直す夢。それは甘い幻想でしかなく、現実の冷たさを突きつけられる。4位は、第4話「おもちゃの一種」。ゲームの中で生まれる意志。非現実の中に潜む現実。誰もが自分の意志で動いているつもりで、実は操られているのかもしれない、そんな不安を呼び起こした。3位は、第1話「普通の人々」。サブスクリプション社会への皮肉を込め、死を通して人間の虚無を描いた作品。滑稽さと痛みが入り混じり、観終わった後も、しばらく動けなかった。2位は、第6話「宇宙船カリスター号:インフィニティの中へ」。過去作の続編でありながら、期待を超える完成度だった。ジェシー・プレモンスの存在感が物語をさらに重たくしていた。そして、1位は、第5話「ユーロジー」。過去に囚われ、後悔に押し潰される男の物語。写真という媒介を通じて、失われた愛に触れようとする描写は、胸を締め付けた。自分もまた、過去に縋るように生きている。どのエピソードも、今の自分には沁みた。ブラックミラーの冷たさと虚無感は、まるで自分の内側を映す鏡のようだった。墓地で食べる冷えた弁当。美容学校の青年。吹き抜ける風。すべてが、静かに、しかし確実に、心を削り取っていく。未来は見えない。それでも、明日になればまた会社へ向かうのだろう。重い足を引きずりながら、誰にも気づかれないように、池袋の雑踏に紛れて。
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    24 分
  • 第4回「ゲストとお話」AIが映画を作れるか(ゲスト:エーミーさん)
    2025/03/31

    AIとお話してみました

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    21 分
  • 112.映画「名もなき者」吉田拓郎と自分の青春時代を色々と思い出した話
    2025/03/17

    名もなき者とフォークソング

    語らずにはいられない。そんな気持ちになったのは久しぶりだった。その映画の名は『名もなき者』。ボブ・ディランの若き日を描いた伝記映画だ。主演はティモシー・シャラメ、監督はジェームズ・マンゴールド。彼の名を聞けば、映画好きならピンとくるだろう。『ウォーク・ザ・ライン』『フォードvsフェラーリ』など、実在の人物を深く掘り下げる手腕には定評がある。

    ボブ・ディランの青春と決断

    物語は1961年の冬、19歳のディランがたった10ドルを手にニューヨークへと降り立つところから始まる。ウディ・ガスリーやピート・シーガーといった偉大な先輩たちと出会い、フォークシーンでのし上がっていくディラン。しかし「フォーク界のプリンス」「若者の代弁者」として祭り上げられることに違和感を抱く。ついに彼は1965年7月25日、ニューポート・フォーク・フェスティバルでエレキギターを手にする。この決断が、フォークシーンを大きく揺るがすことになる。

    映画では、彼の感情表現が控えめだったという批判もあったが、そんなことはない。むしろ、歌や表情、目線の動きから伝わる微細な心の揺れが、この映画の最大の魅力だった。この時代のフォークシーンとの関係や、彼が影響を受けたミュージシャンなども巧みに描かれている。

    フォークの歴史と日本のフォークシーン

    ボブ・ディランの話をしていると、自然と日本のフォークシーンにも思いが向く。その筆頭が吉田拓郎だ。彼がデビューした頃、日本の音楽界はまだ作詞・作曲・歌唱が分業されていた。そんな中、吉田拓郎はシンガーソングライターとして台頭し、フォークの新時代を切り開いた。

    『イメージの詩』は、ボブ・ディランの影響を感じられる曲であり、その歌い方もディラン的だ。さらに『結婚しようよ』は、フォークからポップへと移行する過程を象徴する楽曲とも言える。

    フォークの特徴は、単なる音楽ではなく、社会と密接に結びついた文化だったことだ。60年代後半、反戦運動や学生運動とともに成長し、若者たちの声を代弁した。ピート・シーガーは「少しずつみんなで築き上げてきたものを、お前は大きなシャベルで掘り返すのか?」とディランに言ったが、まさにフォークからロックに転向したディランはこの時代から取り残されまいともがいていたのだろう。

    音楽と時代の変遷

    吉田拓郎の後、日本のフォークはインディーズ的なものとポップ寄りのお茶の間に受け入れられるような音楽の流れに分かれた。そして、80年代以降はユーミンの登場などもあり、徐々に政治色が薄れ、ポップミュージックへと変容していった。

    まとめ

    『名もなき者』は、単なる伝記映画ではなく、フォークミュージックの本質を描いた作品だった。そして、それは日本のフォークにも通じるものがある。ボブ・ディランの軌跡を追いながら、日本のフォークシーンを追いかけていた青春時代を思い出す。

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    30 分

映画のお話に寄せられたリスナーの声

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