『114.映画「リンダリンダリンダ」終わらない歌を歌おう』のカバーアート

114.映画「リンダリンダリンダ」終わらない歌を歌おう

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■映画『リンダリンダリンダ』を観た

今回取り上げるのは『リンダリンダリンダ』。山下敦弘監督による2005年公開の作品です。最近リバイバル上映されていて、ちょうど時間もできたので観に行ってきました。

この映画は女子高生たちが文化祭でブルーハーツのコピーバンドを組む、というだけのシンプルな物語です。自分が初めて観たのは大学生の頃、DVDでした。当時はブルーハーツが好きで、その勢いもあって強烈に胸を打たれた記憶があります。

ただ年齢を重ねるにつれて、この作品を見直すのが少し怖くなっていました。「男性監督が女子高生の青春を描く」ことへの違和感。どこか男の願望、ロリコン的な匂いを感じてしまうんじゃないか、と。それで長い間、再鑑賞を避けていたんです。

けれど今回改めて劇場で観たら、確かにそういう視点はゼロではありません。懐メロを女子高生に歌わせるという自己満足的な部分もあります。でもそれ以上に伝わってきたのは「音楽をやりたい」という純粋な衝動でした。理由なんていらない。ただやりたいからやる。その熱が画面に溢れていて、とても気持ちがよかった。

上映後、観客の多くは自分より一回り上のおじさん世代で、拍手している姿も見かけました。「やっぱりこの映画はおじさんたちが好きなんだな」と思いつつ、それでも自分もまた心を動かされたのは事実でした。

『リンダリンダリンダ』はストーリーの複雑さで勝負していません。むしろ単純さの中に青春がある。

舞台は群馬県前橋市。地方都市の風景、ガラケーなど少し古いガジェットは時代を感じさせますが、それが逆にノスタルジックな味わいを生んでいました。不思議と映像は今観ても古臭さがなく、田舎の空気感が美しく切り取られていました。

何より、登場人物の「やりたい」という衝動が画面からあふれている。演技も自然体で、青春の一瞬を切り取ったようなリアリティがありました。

そして音楽。ブルーハーツの「僕の右手」「リンダリンダ」「終わらない歌」が流れる。特にエンディングの「終わらない歌」は、今の自分の心境に重なって響きました。

観終わった後はとにかく歌いたくなる。ロックバンドをやりたい衝動が甦る。そんな映画でした。

久しぶりの映画配信ということで、前半は近況報告を長々としました。正直、辛いことも多かった数か月でしたが、ようやく一区切りがつき、新しい道に進めることになりました。

そのタイミングで観た『リンダリンダリンダ』は、自分にとっても再出発を象徴するような映画になった気がします。音楽をやりたい衝動、何かを始めたい衝動。それを思い出させてくれる。

もしまだ観たことがない方がいたら、ぜひ劇場で、あるいは配信で触れてみてください。懐かしさと新鮮さが同時に味わえる、そんな不思議な魅力のある作品です。

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