『出版・読書・コミック・図書館・デジタルパブリッシング』のカバーアート

出版・読書・コミック・図書館・デジタルパブリッシング

出版・読書・コミック・図書館・デジタルパブリッシング

著者: 飯田一史(出版ジャーナリスト、ライター)
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『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』『「若者の読書離れ」というウソ』などを手がけた出版ジャーナリストの飯田一史が執筆した著作や記事をもとに配信します。 基本的にAIにまとめさせたものなので不正確な要約や不自然な発音、読み間違いなどがありますが、あらかじめご了承ください 『町の本屋はいかにしてつぶれてきたか』 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784582860795 『「若者の読書離れ」というウソ』 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784582860306 『この時代に本を売るにはどうすればいいのか』 https://www.hanmoto.com/bd/isbn/9784065420355飯田一史(出版ジャーナリスト、ライター) アート 文学史・文学批評
エピソード
  • ニューヨークタイムズ / どんなかたちのペイウォールを採用するか? / NYTのサブスクリプションファネル / ファネルのそれぞれのフェーズでどんな施策をしているのか? / 複数の異なる商品やサービスをひとつにまとめて、お得な価格で提供する「バンドル戦略」 / バンドルと広告戦略のつながり / 日本の出版社、新聞社への示唆
    2026/05/02
    とくに雑誌を主軸にしている(していた)出版社や新聞社に参考にしてほしいのがニューヨークタイムズ(NYT)のビジネスモデルのデジタルシフトである。NYTは、直近では2000年段階と遜色のない営業利益率と純利益となっている。2022年には購読者数1000万人を超え、2027年末までに購読者数1500万人という新たな目標を設定した。しかし2000年から2015年までの15年間を見ると、総収益も営業利益率も落ち続けている。中長期的な停滞ゆえに「もうだめだ」と思われていた。この点では日本の出版業界と似ている。だが、2010年代中盤以降にデジタル中心の巻き返しが顕著に可視化されてきた。その意味では、日本のマンガ業界に似ている。NYTは2011年にデジタル課金(ペイウォール)を導入後、デジタル収益が成長率を牽引してきた。順風満帆だったわけではない。2012年の最終四半期にはデジタル購読者は約7・4万人だったが、2013年第2四半期には2・2万人まで減っている。出版物自体の売上も広告からの売上も減り、デジタル広告は衰退に転じ、デジタル購読も早くも頭打ちだと当時は語られていた(McKinsey & Company “Building a digital New York Times: CEO Mark Thomp-son” August 10, 2020 )。ところが直近では四半期ごとの数字を見ても、デジタルの専用購読者数、ARPU(Average Revenue Per User ひとりあたりの課金額)は伸び基調にある。広告収入も、増減はあれど減少傾向にはない。デジタル購読者数上昇にもデジタル広告の収益改善にも、徹底したCRM(Customer Relationship Management 顧客関係管理)データの活用が背景にある。NYTのマーケティング、CRMは日本の雑誌・新聞ビジネスの今後を考えるうえで参考にすべき点が多い。海外事例ということもあり横文字、耳慣れないカタカナの用語が多く感じるかもしれないが(このあとのビッグ5や欧米の書店の事例も同様)、そんなにむずかしい話はしていない。ついてきてもらいたい。どんなかたちのペイウォールを採用するか?無料コンテンツを豊富に用意した寛大な従量制ペイウォール(お金を払わないと記事や動画などの続きを見られないしくみ)は、有料課金へのコンバージョン(転換)率を低下させる傾向があることがわかっている。これが明らかになって以降、課金なしでは1文字も読めない「ハードペイウォール」の割合が増え、「月○本までは無料で読める」という上限を設定する「メーター制」の割合は減った。メーター制を採用する場合も、たとえばNYTは初期には月に20本の記事を無料で閲覧できた。だがその後、徐々に無料で読める記事の本数を減らしている。また、NYTはペイウォールを導入した2011年当初、ソーシャルメディアや検索経由のアクセスに対して「抜け道(loophole )」として無料での記事閲覧を許可していた。こちらも段階的に縮小・廃止された。現在ではNYTが選んだ特定の記事を、Facebook 「Instant Articles 」などを通じて一部だけを例外的に無料で読めるコンテンツにしている。「ギフト記事(Gift Articles )」を通じてNYT購読者が月10本まで記事を「ギフト」としてSNS上にシェアでき、そのリンク経由であれば非購読者も読める。The Guardian のような一部のメディアは、有料記事に対して、ユーザーのスクロール操作に合わせてつねに画面内に表示されるスティッキーバナー(「追従バナー」「フローティングバナー」)を配置したり、寄付を求めたりしている。これはガチガチのハードペイウォールだけでは、重要なニュース記事が人々にとって手の届かないものになる可能性があるとの考えからである。報道は広く知られることによって社会の公益に資するべきであるとの考えもあるから、一応、ちょっとは読めるようにしているわけだ。どのタイプのペイウォール戦略を採用するにせよ、無料会員登録を促し、メールアドレスを収集してニュースレターを配信する取り組みが増えている。会員になってもらい、ユーザーの同意を得られれば、非会員のときよりも多くの行動データを収集できる。また、直接...
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    16 分
  • どのようにしてWeb小説を投稿する作家と、投稿された小説の読者を獲得しているのか。 もっとも影響力が大きいのは、そのサイト発の映像化作品である。アニメ化、映画化、 ドラマ化されたウェブ小説があると、そのタイトル名で検索したユーザーが投稿サイトに 流入する。「小説家になろう」が国内最大のユーザー数となりえているのは、1クールにア ニメ化されるタイトル数がほかのどの投稿サイトよりも多いからである。
    2026/04/26
    に影響力が大きいのは、マンガ化、書籍化作品だ。書店ないし本を通じて作品を知った読者が、その作品がウェブ発だと知り、検索して投稿サイトに流入する。したがってコミカライズや書籍化のタイトル数も顧客獲得競争において重要になる。そのため、ウェブ小説投稿サイト事業の新規参入者は、作家も読者もいない状態で、すでに投稿作品の書籍化、マンガ化、アニメ化がコンスタントになされる体制が完成している先行事業者と競争することになる。ただし、ウェブ小説ユーザーは広告によっても獲得できる。たとえば2017年7月にローンチされたDMM TELLER(現テラーノベル)は人気タレントの橋本環奈を起用したテレビCMの放送以降、アプリが100万以上ダウンロードされ、2018年1月に200万ダウンロードを達成した。とはいえ「投稿サイト」という性質上、自発的に小説を書いてアップロードする作家を集めなければならない。だが日本では「本を出したい」と考えている書き手が多い。読者とは異なり、広告でサービスの存在を知らしめるだけでは、良い作品を投稿してくれる作家は集まらない。作家を獲得するには、受賞作品の書籍化を前提としたコンテストの実施や、投稿作品がコンスタントに本になる体制作り、ひいては当該プラットフォーム発作品のマンガ化、アニメ化の実績などが必要となる。しかし、ほとんどの新興サイトは数年以内に閉鎖または停滞に陥る。だからウェブ小説の投稿者には、映像化作品が出てようやくこのサービスは当面クローズしないだろう」と見込み、投稿先の選択肢にカウントするようになる作家も少なくない。新規参入する事業者にとっては、きわめて厳しい競争環境だ。文芸市場に占めるウェブ小説書籍化の割合ウェブ小説は、出版市場においてどの程度の影響力を持っているのか。出版科学研究所が発行する「出版月報」2021年9月号によれば、ウェブ発のライトノベル書籍(文庫は含まず、単行本のみ)の新刊の推定発行金額は2020年が約102億円であり、文芸単行本全体に占めるライトノベル単行本の割合は冊数ベースで43・7%、金額ベースで37・2%を占める 。これはあくまで「単行本サイズのライトノベル」としてKADOKAWAのMFブックスやアルファポリスのレジーナブックス、エタニティブックスといったレーベル単位で把握されている数字だ。実際には文芸単行本の中にはライトノベルジャンル以外にもウェブ発のヒット作がある。近年でいえばカクヨム発の背筋『近畿地方のある場所について』や、投稿サイトではなく記事メディア「オモコロ」とYouTube発だが「不動産ミステリー」と題した雨穴『変な家』シリーズなどだ。これらも鑑みると、文芸単行本市場においてウェブ発の小説は、すでに4割から5割程度の売上を占めていると推定される。文庫に関する推計は発表されていない。だが、たとえば「TikTok売れ」(BookTok )と呼ばれる、ショート動画プラットフォームでの本紹介動画の影響によって若年層向けの小説が爆発的に売れる現象が2020年からあり、スターツ出版は過去二度のケータイ小説ブームを上回る収益となっている。その中核を担うライト文芸作品の初出媒体は、同社の小説投稿サイト「野いちご」「ノベマ!」であったり、あるいは同社サイト出身作家による書き下ろしであったりすることが大半である。やはり「出版月報」2021年9月号を引くと、ウェブ発のライトノベル書籍の「推定発行金額」は2013年が約30億円、2014年が約50億円、2015年が約82億円、2016年が約100億円、2017年が約105億円、2018年が約108億円、2019年が約107億円、2020年が約102億円と推移している。『出版指標年報』ではその後、新刊・既刊を合わせた「推定販売金額」を「市場規模」として毎年発表しているが、やはり100億円規模で2023年までは横ばいになっていた――2024年は86億円と前年比大幅減となったが。「横ばい」というと「すでに成長が止まっている」との印象を受...
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    6 分
  • ウェブ小説 / そもそもウェブ小説とは? / 文芸市場に占めるウェブ小説書籍化の割合 / 日本におけるウェブ小説販売モデルの困難 / 中韓以外のウェブ小説は日本と同じ「ウェブ小説書籍化+映像化権ビジネス」
    2026/04/19
    日本や韓国、中国、アメリカの動向を踏まえてデジタルでの売上を伸ばしやすいジャンルを考えると、マンガ以外ではウェブ小説、なかでもエンターテインメント要素が高く、シリーズ化しやすいロマンスやファンタジーなどだろう。そうした観点から、この章ではウェブ小説について検討していく。インターネット上に書かれた小説、中でも「出版社のサイト上に掲載されたプロの作家の作品」ではなく「一般ユーザーが投稿する小説」がウェブ小説(Web 小説)、ネット小説、オンライン小説などと呼ばれてきた(ここでは「ウェブ小説」と表記する)。2000年代に二度のブームがあった「ケータイ小説」も、日本独自規格のモバイルインターネット(iモード)上で生まれたウェブ小説の一種といえる。なお、ウェブ小説は広い意味では電子書籍に含まれることもあるが、基本的には別物である。EPUBやpdf 形式で制作され、Kindle などで販売・配信されている電子書籍の話はここではしていない。中国では2003年にウェブ小説投稿サイト「起点中文網」が、韓国では2005年に「ムンピア」がウェブ小説の話売り課金モデルを採用し、いずれの国でも他の事業者にも波及して成功を収めている。「人民網」2025年6月19日「中国のネット文学のユーザーが5・75億人に」の報道によれば、中国のネット文学産業は主要プラットフォーム50を足し合わせると2024年に約440億元(約9000億円) 。韓国出版文化産業振興院(KPIPA )「2024年ウェブ小説産業現況実態調査」によれば韓国では2024年に約1兆3500億ウォン(約1500億円)。中国でも韓国でも、その多くが話売り課金による売上である(中国では3割ほどが版権売上と見られる)。両国ともに2010年代から2020年代までのあいだに、10倍以上の市場規模になった。一方で日本におけるコミック市場の規模は出版科学研究所の推計では2024年に7043億円(うち電子コミックが5122億円)であるのに対し、小説市場の規模はおそらく紙と電子を合わせても、かなり多く見積もって600〜700億円台にすぎない。韓国コンテンツ振興院(KOCCA)「2024ウェブトゥーン産業実態調査」によればウェブトゥーン(縦スクロールのデジタルコミック)の産業規模(総売上高)は2023年に2兆1千890億ウォン(2341億円)。前述したようにウェブ小説はその半分以上の約1500億円である。日本では今や小説市場はマンガ市場の10分の1以下にすぎないが、仮にウェブ小説市場が中国や韓国のように課金モデル導入によって爆発的に成長し、韓国同様にウェブ小説がデジタルコミックの半分規模にまで達すれば、紙の小説市場と合わせて年間3000億円以上、ウェブ小説だけで2000億円台のマーケットになりうる。しかし日本でウェブ小説の課金モデルを導入する試みは成功し、普及してきたとはいえない。何がボトルネックになっているのか。そもそもウェブ小説とは?2000年代以降、ひとつのサイト上にさまざまな書き手が作品を投稿する小説投稿プラットフォームが登場した(ウェブ小説の歴史についてくわしくは拙著『ウェブ小説30年史』を参照)。現在では代表的な投稿プラットフォーム(ウェブ小説投稿サイト)にヒナプロジェクトの「小説家になろう」、KADOKAWAの「カクヨム」、アルファポリスの「アルファポリス」、スターツ出版の「野いちご」「ノベマ!」「ベリーズカフェ」などがある。ウェブ小説投稿サイトおよびその運営企業の中で「どこが有力(人気)なのか」という問いに答えるのは簡単ではない。というのも、登録アカウント数が多くても過去のブーム時にたくさん作られたものの現在は休眠状態のものが多いサービスもある。ユーザー数や作品数が膨大でも二次創作が中心で、マンガ化やアニメ化といったIP展開が可能なオリジナルの人気タイトルの割合が少ないサービスもある。逆に、アクティブなユーザーの数がそれほどではなくとも、書籍化作品が書店・取次のベストセラーランキングに入...
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    18 分
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