『どのようにしてWeb小説を投稿する作家と、投稿された小説の読者を獲得しているのか。 もっとも影響力が大きいのは、そのサイト発の映像化作品である。アニメ化、映画化、 ドラマ化されたウェブ小説があると、そのタイトル名で検索したユーザーが投稿サイトに 流入する。「小説家になろう」が国内最大のユーザー数となりえているのは、1クールにア ニメ化されるタイトル数がほかのどの投稿サイトよりも多いからである。』のカバーアート

どのようにしてWeb小説を投稿する作家と、投稿された小説の読者を獲得しているのか。 もっとも影響力が大きいのは、そのサイト発の映像化作品である。アニメ化、映画化、 ドラマ化されたウェブ小説があると、そのタイトル名で検索したユーザーが投稿サイトに 流入する。「小説家になろう」が国内最大のユーザー数となりえているのは、1クールにア ニメ化されるタイトル数がほかのどの投稿サイトよりも多いからである。

どのようにしてWeb小説を投稿する作家と、投稿された小説の読者を獲得しているのか。 もっとも影響力が大きいのは、そのサイト発の映像化作品である。アニメ化、映画化、 ドラマ化されたウェブ小説があると、そのタイトル名で検索したユーザーが投稿サイトに 流入する。「小説家になろう」が国内最大のユーザー数となりえているのは、1クールにア ニメ化されるタイトル数がほかのどの投稿サイトよりも多いからである。

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に影響力が大きいのは、マンガ化、書籍化作品だ。書店ないし本を通じて作品を知った読者が、その作品がウェブ発だと知り、検索して投稿サイトに流入する。したがってコミカライズや書籍化のタイトル数も顧客獲得競争において重要になる。そのため、ウェブ小説投稿サイト事業の新規参入者は、作家も読者もいない状態で、すでに投稿作品の書籍化、マンガ化、アニメ化がコンスタントになされる体制が完成している先行事業者と競争することになる。ただし、ウェブ小説ユーザーは広告によっても獲得できる。たとえば2017年7月にローンチされたDMM TELLER(現テラーノベル)は人気タレントの橋本環奈を起用したテレビCMの放送以降、アプリが100万以上ダウンロードされ、2018年1月に200万ダウンロードを達成した。とはいえ「投稿サイト」という性質上、自発的に小説を書いてアップロードする作家を集めなければならない。だが日本では「本を出したい」と考えている書き手が多い。読者とは異なり、広告でサービスの存在を知らしめるだけでは、良い作品を投稿してくれる作家は集まらない。作家を獲得するには、受賞作品の書籍化を前提としたコンテストの実施や、投稿作品がコンスタントに本になる体制作り、ひいては当該プラットフォーム発作品のマンガ化、アニメ化の実績などが必要となる。しかし、ほとんどの新興サイトは数年以内に閉鎖または停滞に陥る。だからウェブ小説の投稿者には、映像化作品が出てようやくこのサービスは当面クローズしないだろう」と見込み、投稿先の選択肢にカウントするようになる作家も少なくない。新規参入する事業者にとっては、きわめて厳しい競争環境だ。文芸市場に占めるウェブ小説書籍化の割合ウェブ小説は、出版市場においてどの程度の影響力を持っているのか。出版科学研究所が発行する「出版月報」2021年9月号によれば、ウェブ発のライトノベル書籍(文庫は含まず、単行本のみ)の新刊の推定発行金額は2020年が約102億円であり、文芸単行本全体に占めるライトノベル単行本の割合は冊数ベースで43・7%、金額ベースで37・2%を占める 。これはあくまで「単行本サイズのライトノベル」としてKADOKAWAのMFブックスやアルファポリスのレジーナブックス、エタニティブックスといったレーベル単位で把握されている数字だ。実際には文芸単行本の中にはライトノベルジャンル以外にもウェブ発のヒット作がある。近年でいえばカクヨム発の背筋『近畿地方のある場所について』や、投稿サイトではなく記事メディア「オモコロ」とYouTube発だが「不動産ミステリー」と題した雨穴『変な家』シリーズなどだ。これらも鑑みると、文芸単行本市場においてウェブ発の小説は、すでに4割から5割程度の売上を占めていると推定される。文庫に関する推計は発表されていない。だが、たとえば「TikTok売れ」(BookTok )と呼ばれる、ショート動画プラットフォームでの本紹介動画の影響によって若年層向けの小説が爆発的に売れる現象が2020年からあり、スターツ出版は過去二度のケータイ小説ブームを上回る収益となっている。その中核を担うライト文芸作品の初出媒体は、同社の小説投稿サイト「野いちご」「ノベマ!」であったり、あるいは同社サイト出身作家による書き下ろしであったりすることが大半である。やはり「出版月報」2021年9月号を引くと、ウェブ発のライトノベル書籍の「推定発行金額」は2013年が約30億円、2014年が約50億円、2015年が約82億円、2016年が約100億円、2017年が約105億円、2018年が約108億円、2019年が約107億円、2020年が約102億円と推移している。『出版指標年報』ではその後、新刊・既刊を合わせた「推定販売金額」を「市場規模」として毎年発表しているが、やはり100億円規模で2023年までは横ばいになっていた――2024年は86億円と前年比大幅減となったが。「横ばい」というと「すでに成長が止まっている」との印象を受...
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