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高千穂さんのご縁です。

高千穂さんのご縁です。

著者: RKKラジオ
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このコンテンツについて

仏教にまつわる色々なお話を、分かりやすくお話していただく番組です。仏教由来の言葉、豆知識、歴史、迷信、風習、教義、作法などなど。 出演は、熊本市中央区京町にある仏嚴寺の高千穂光正さん。お相手は、丸井純子さん。

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★地上波ではRKKラジオ(熊本)FM91.4 AM1197で、毎週水曜日 午後6時10分から放送中。是非生放送でもお聴きください。

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スピリチュアリティ
エピソード
  • 【仏教SDGs】について 今日からできる“仏教×SDGs”の実践例
    2025/10/15

    🔶「仏教とSDGs」をやさしく整理します


    SDGs(持続可能な開発目標)は、2015年に国連で採択された17の国際目標です。
    キーワードは「誰一人取り残さない」。貧困・教育・環境・ジェンダーなど、社会の課題を同時に解いていく視点を求めます。

    仏教にも、同じ方向を指す考え方が息づいています。ここでは浄土真宗の視点から、SDGsと響き合うポイントをまとめます。


    🔶SDGsの基本を押さえます

    SDGsは、国連加盟193か国が合意した“世界共通のものさし”です。
    目の前の課題だけでなく、その背景・つながり・未来世代まで含めて考えるのが特徴です。
    行動の理由を問い直し、選択を改善し続ける「学びの循環」が前提になります。


    🔶仏教と響き合うポイントを確認します

    浄土真宗には、阿弥陀さまの救いを表す「摂取不捨(せっしゅふしゃ)」という言葉があります。
    意味は「一切のいのちを摂め取り、決して見捨てない」。まさに“誰一人取り残さない”に通じます。

    また、龍谷大学が掲げる行動哲学「自省利他」は、自分の在り方を省みつつ、他者の利益・しあわせをはかる姿勢を示します。
    自己中心の殻を破り、関係の網の目の中で生き直す視点は、SDGsの基盤とよく重なります。


    🔶近江商人の「三方よし」に学びます

    近江商人は「売り手よし・買い手よし・世間よし」を商いの規範としてきました。
    取引当事者の満足だけでなく、社会全体の益を同時に実現する発想です。
    この精神は、仏教の慈悲や「摂取不捨」と相性がよく、現代で言えばSDGsの先駆けといえます。
    利益の追求を否定するのではなく、「どうすれば社会の益と調和するか」を問い続けることが要になります。


    🔶今日からできる“仏教×SDGs”の実践例を挙げます

    ・買い物:価格だけでなく、環境配慮・公平性・作り手の尊厳を意識して選びます。
    ・仕事:自部署の成果が「世間よし」につながる設計かを定期的に振り返ります。
    ・地域:過疎や孤立に目を向け、「取り残されやすい人」への橋渡しを習慣化します。
    ・学び:自分の思い込みを点検し、異なる立場の声を聴く“自省”の時間を持ちます。
    ・お寺:法要や行事を“分かち合いの場”として、食のロス削減やバリアフリーに取り組みます。


    🔶今週のまとめ

    SDGsは「誰一人取り残さない」世界への約束であり、仏教の「摂取不捨」や「自省利他」と深く呼応します。
    近江商人の「三方よし」は、個人・組織・社会の益を同時に実らせる道しるべです。
    まずは足元から。“私の選択”を少しずつ整えることが、持続可能な社会への確かな一歩になります。


    来週のテーマは「いい日・悪い日」です。どうぞお楽しみに。


    お話は、熊本市中央区京町にある仏嚴寺の高千穂光正(たかちほ こうしょう)さん。お相手は丸井純子(まるい じゅんこ)でした。

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    9 分
  • 【仏教とお米】迷信に惑わされずに歩む 一椀のご飯が教えてくれる“いのちのつながり”
    2025/10/08

    🔶「仏教とお米」に宿る“いのちへの感謝”

    秋は実りの季節です。お米をいただくたびに、たくさんの“いのち”のつながりに支えられて生きていることを思い出します。今回は、浄土真宗における「御仏飯(おぶっぱん)」を中心に、お供えの意味や作法、迷信との向き合い方までを整理してご紹介します。


    🔶御仏飯の意味を学びます

    御仏飯とは、炊きたてのご飯を仏さまにお供えすることです。

    「今からいただく食べ物は、私のいのちを生かす尊いご縁です」と確かめ、仏さまの光の中で感謝を表します。

    浄土真宗では、亡き人への“施し”というより、今を生きる私が“いのちの事実”に気づくためのご縁として大切にします。


    🔶器と置き方を整理します

    ご飯を盛る器は「仏器(ぶっき)」といいます。

    お内仏(仏壇)では、中央の阿弥陀如来、左右の親鸞聖人・蓮如上人の前にお供えします(お家の荘厳により並べ方は異なります)。

    量は多すぎる必要はありません。まごころをこめた“ひと椀”で十分です。


    🔶正午までに下げます

    御仏飯は原則として正午までにお下げします。

    これは、釈尊の時代から伝わる「過午不食(昼を過ぎて食さない)」の戒めに由来します。

    お下げした御仏飯は、感謝をもって家族でいただきます。供えたものを無駄にせず、“お下がり”としていただく姿勢が大切です。


    🔶水と華瓶(けびょう)を整えます

    コップの水だけを「喉が渇くから」とお供えする考え方は、浄土真宗の趣旨とは少し違います。

    仏前には一対の「華瓶(けびょう)」を置き、常緑の「樒(しきみ)」を挿します。

    樒は“香りある清らかな水”を象徴し、仏さまへの敬いと感謝の心をあらわします。


    🔶“好物のお供え”を考えます

    故人の好物を供える気持ちは尊いものです。

    ただし、浄土真宗では亡き人はすでに仏さまです。仏前には基本のお供え(御仏飯・華瓶など)を調え、好物は法要後に参列者でいただくなど、“いのちに感謝して分かち合う”形にするとよいです。


    🔶避けたい迷信を確認します

    ご飯に箸を突き立てる、通夜に火を絶やさない“火の番”、葬儀後に塩をまく――これらは地域の俗習・迷信によるところが大きいです。

    火気のつけっぱなしは危険ですし、恐れや穢れの観念で亡き人を遠ざける発想は、阿弥陀さまの平等の救いにそぐいません。

    “感謝と念仏”を要に、安心・安全を優先した実践に整えましょう。


    🔶今日からできる“ひと手順”をまとめます

    朝、炊きたてのご飯を小さく盛って仏器に供える。

    一礼し、声に出さずとも「いただきます」と心で称える。

    正午までにお下げし、感謝をもっていただく。

    華瓶の樒を清潔に保ち、仏前を整える。

    迷信で不安にならず、念仏と感謝を深める。


    🔶今週のまとめ

    御仏飯は、私たちが“いのちのご縁”に気づき直すための、毎日の小さな礼拝です。

    お供えは仏さまへのお礼であり、同時に自分自身の心を正す実践でもあります。

    一椀のご飯から広がるたくさんのつながりに手を合わせ、今日の一日を丁寧にいただきましょう。

    来週のテーマは「仏教とSDGs」です。どうぞお楽しみに。


    お話は、熊本市中央区京町にある仏嚴寺の高千穂光正(たかちほ こうしょう)さん。

    お相手は丸井純子(まるい じゅんこ)でした。

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    9 分
  • 【月のうさぎ】 自ら火に飛び込んだうさぎの話
    2025/10/01

    🔶「月のうさぎ」に宿る布施と慈悲

    お月見で親しまれる「中秋の名月」には、古くから心を澄ませる時間という意味合いがあります。今回は、月面にうさぎが見えるとされる由来を、仏教説話「ジャータカ(本生譚)」に基づいてわかりやすくご紹介します。月をめでる習わしと、そこに息づく布施と慈悲のこころをたどります。


    🔶中秋の名月の由来

    中秋の名月は、中国の「中秋節」を起源とする行事です。旧暦8月15日に月の恵みを喜び、実りに感謝する風習が日本へ伝わりました。日本では平安期に貴族文化として受容され、のちに庶民へ広がりました。お月見団子や秋の収穫物を供えるのは、自然への感謝を形に表す作法です。


    🔶月のうさぎの仏教的ルーツ

    月にうさぎがいるという伝承は、仏教の本生譚「ジャータカ」に由来します。お釈迦さまの前世を語る物語群の一つで、うさぎ・猿・山犬・カワウソが登場します。物語は、命を懸けた布施と、戒を守る尊さを伝えます。


    🔶物語のあらすじ(施しを求める修行者)

    森に修行者が現れ、動物たちに食べ物の施しを求めます。カワウソは川辺で魚を見つけ、持ち主の不在を理由に持ち帰ります。

    山犬は番小屋で肉や乳に出会い、応答がないまま持ち出します。猿は木の実を集め、正当に得た食べ物を用意します。


    🔶物語のあらすじ(うさぎの自己犠牲)

    うさぎは何も蓄えがなく、施せる食べ物を見つけられません。うさぎは「私をお召し上がりください」と自らを差し出します。修行者に殺生をさせないため、自ら火中へ飛び込む方法を選びます。これは「不殺生」の戒を守るための、徹底した思いやりの表れです。


    🔶結末と月面に刻まれたしるし

    修行者の正体は、仏法を守護する帝釈天でした。帝釈天は、うさぎの尊い布施心を後世に伝えるため、月の面にその姿を刻みます。以来、月にはうさぎの姿が見えると語り継がれます。物語は、無私の徳が永く記憶される尊さを示します。


    🔶物語が語る仏教の徳目

    うさぎは「布施(与える行い)」を身をもって示しました。修行者に殺させない配慮は「不殺生戒」を尊ぶ態度です。他者の苦を引き受けようとする心は「慈悲」の体現です。形だけでなく、心の在り方にこそ徳行の核心があると物語は教えます。


    🔶月光が象る智慧と平等の慈悲

    仏教では、闇を静かに照らす月は「智慧」の象徴と語られます。月光は分け隔てなく万物を照らし、「平等の慈悲」を想起させます。

    阿弥陀さまの光明になぞらえられ、迷いの闇を導く比喩として親しまれてきました。


    🔶季節の行事としての実践

    お月見団子や秋の恵みを供えることは、日々の「いただきます」を深める実践になります。月を仰ぐひとときは、利他心や感謝を見つめ直す時間になります。自然のめぐみに手を合わせる所作が、心の静けさを育てます。


    🔶今週のまとめ

    「月のうさぎ」は、自己犠牲的な布施と慈悲の象徴として語り継がれてきました。月光のように、静かで温かな心を忘れず、季節の行事を味わいたいものです。中秋の名月を前に、物語が照らす徳のひかりを胸に刻み直します。


    🔴来週のテーマは「仏教とお米」です。どうぞお楽しみに。


    お話は、熊本市中央区京町にある仏嚴寺の高千穂光正(たかちほ こうしょう)さん。

    お相手は丸井純子(まるい じゅんこ)でした。

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