『高千穂さんのご縁です。』のカバーアート

高千穂さんのご縁です。

高千穂さんのご縁です。

著者: RKKラジオ
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このコンテンツについて

仏教にまつわる色々なお話を、分かりやすくお話していただく番組です。仏教由来の言葉、豆知識、歴史、迷信、風習、教義、作法などなど。 出演は、熊本市中央区京町にある仏嚴寺の高千穂光正さん。お相手は、丸井純子さん。

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★地上波ではRKKラジオ(熊本)FM91.4 AM1197で、毎週水曜日 午後6時10分から放送中。是非生放送でもお聴きください。

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スピリチュアリティ
エピソード
  • 【終活】のお話 ~仏教の視点で見直す~
    2025/12/17

    終活を仏教の視点で見直します


    🔶終活の目的を整理します

    終活は、人生の終わりに向けて準備する活動です。残される人への負担を減らし、自分自身の不安を和らげ、人生の集大成を整える時間でもあります。


    🔶終活で整える主な項目

    物や人間関係の整理(片づけ、連絡先の整備)

    財産の整理(相続・生前贈与・口座や保険の確認)

    医療・介護の意思表示(延命の可否、在宅/施設の希望など)

    葬儀・埋葬の方針(形式・喪主・菩提寺・お墓/納骨堂/合葬墓/散骨 など)

    書面の準備(エンディングノート、遺言書)


    🔶変わる葬儀・お墓のかたち

    家族葬、直葬、1日葬など多様化が進み、墓所も合葬墓や納骨堂など選択肢が広がっています。背景には、同居の減少や住居事情(仏壇を置きにくい間取りなど)といった社会構造の変化があります。


    🔶「伝える」終活――情報共有が要です

    菩提寺(ぼだいじ)の所在・連絡先、先祖の墓所・納骨先

    葬儀社の希望、喪主・連絡リスト、形見分けの意向

    エンディングノートに書くだけでなく、家族と対話して共有しておくことが大切です。書面に残らない「経緯・思い」も会話で伝わります。


    🔶浄土真宗から見た核心――『白骨の御文(はっこつのごもん)』

    蓮如上人(れんにょ しょうにん)の『御文(=本願寺派では『御文章(ごぶんしょう)』)』は、いのちの無常を静かに示します。

    「朝には元気な人が、夕べには白骨となる身」――だからこそ、阿弥陀如来(あみだ にょらい)の救いに遇(あ)い、念仏を申す道を聞き開いていくことが肝要だと説きます。

    終活は手続きや物の整理にとどまらず、「いのちの行方」を聞き、今を生き直す仏縁の機会でもあります。


    🔶実践のヒント(チェックリスト)

    菩提寺・墓所・過去帳の確認/連絡先を家族で共有した

    医療・介護・葬儀の希望を書き出し、家族と話し合った

    財産目録・重要書類の所在を一箇所にまとめた

    エンディングノートと遺言書(必要なら公正証書)の使い分けを理解した

    仏事の基本(枕経・通夜・葬儀・年忌法要の流れ)を菩提寺に相談した

    仏さまの教えを聞く場(ご法話・報恩講など)に足を運ぶ予定を入れた


    🔶今週のまとめ

    終活は「残すための整え」と同時に、「今を生き直す学び」です。

    社会の変化で葬送の形は多様化。だからこそ情報共有と対話が重要です。

    浄土真宗の要は、無常に目覚め、阿弥陀如来の救いを聞き開くこと。手続きの準備と、ともに歩む心の準備を両輪にしましょう。


    🔴次回のテーマは「クリスマス・イブに寄せて」です。どうぞお楽しみに。


    お話は、熊本市中央区京町(きょうまち)にある仏嚴寺(ぶつごんじ)の高千穂光正(たかちほ こうしょう)さん。

    お相手は丸井純子(まるい じゅんこ)でした。

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    9 分
  • 【仏教と人権】──「仏のまなざし」で平等を考えます
    2025/12/10

    🔶世界人権デーの由来を押さえます

    12月10日は世界人権デーです。これは1948年(昭和23年)12月10日、パリで開かれた国連総会で「世界人権宣言」が採択されたことに由来します。宣言は前文と30条から成り、「すべての人は法の下に等しく保護される」ことなど、基本的人権の尊重という原則を国際的に掲げました。第2次世界大戦下の迫害や人権侵害の反省から、「人権の保障は世界平和の基礎である」という考えが広がったのです。


    🔶仏教の平等観をたどります

    お釈迦さまは、すべての命は等しく尊いと説きました。これは、身分差を前提にした古代インド社会において画期的な教えでした。生まれや地位に関わらず、人はみな苦(生老病死)を生きる同じ存在であり、そこに差を設けない――それが仏教の平等です。


    🔶カーストと「無差別」の教えを照らします

    当時のインド社会には、バラモン(司祭)・クシャトリヤ(王侯・武人)・ヴァイシャ(庶民)・シュードラ(労働者)等の身分秩序(のちにカーストと呼ばれる)がありました。お釈迦さまは、その区別を超えて出家者の集いを開き、身分や出自で価値を量らない「無差別」の実践を示しました。


    🔶念仏と平等──法然・親鸞の転換を押さえます

    時代が下ると、学識や財力に依る修行が重んじられ、宗教世界にも階層差が生じました。これに対し、法然上人・親鸞聖人は「南無阿弥陀仏」と念仏を申す道こそ、誰にでも開かれたすぐれた行であると示しました。能力や功徳の“量”で救いが分かれるのではなく、阿弥陀如来の本願によって、どの命にも等しくはたらきが届く――ここに仏教の平等が具体化します。


    🔶『仏説阿弥陀経』の蓮の喩えを味わいます

    経典には「青色は青光、黄色は黄光、赤色は赤光、白色は白光を放つ」と説かれます。蓮はそれぞれの色のまま光を放ちます。仏の光に照らされた命は、ありのままの個性のまま尊く輝く、という譬えです。だれかと同じになることではなく、「違いのまま等しく尊い」――それが仏の平等です。


    🔶人権と仏のまなざしを重ねます

    世界人権宣言は「人間の平等」を掲げます。仏教はそこへ、さらに「いのち全体」への視野を重ねます。人も他の生き物も、互いに命をいただき合って生きる存在です。仏のまなざしに学ぶなら、差別や排除を退け、違いを違いのまま尊重する具体的なふるまい(言葉づかい、配慮、制度づくり)へと私たちの実践は導かれます。


    🔶今週のまとめ

    12月10日は世界人権デーで、人権尊重を国際社会が確認した日です。

    仏教の平等は「仏のまなざし」に立ち、出自や能力によらず、すべての命が等しく尊いと見る立場です。

    法然・親鸞は念仏の道を、誰にでも開かれた救いとして位置づけました。

    『仏説阿弥陀経』の蓮の喩えは、「違いのまま等しく光る」平等のかたちを示します。

    人権の実践に、仏のまなざしを重ねて、日々の言葉と行為に平等を育てていきます。


    次回テーマは「終活」です。どうぞお楽しみに。


    お話は、熊本市中央区京町(きょうまち)にある仏嚴寺(ぶつごんじ)の高千穂光正(たかちほ こうしょう)さん。

    お相手は丸井純子(まるい じゅんこ)でした。

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    9 分
  • 【成道会特集:お釈迦さまの「中道」を今日に生かす】
    2025/12/03

    🔶成道会(じょうどうえ)特集|今回の放送でお伝えしたこと


    12月8日の成道会に合わせて、お釈迦さまが悟りに到るまでの道のり(四門出遊→出家→苦行と中道→スジャータの乳粥→菩提樹下の成道→初転法輪)を、できごとの順にたどりました。物語としての面白さだけでなく、「いま私がどう生きるか」へつながる視点も添えて解説しています。


    🔶放送の流れ(ダイジェスト)


    1. 出発点:王子シッダールタの不安

      ・豊かな生活を送りながらも、心は満たされなかった——ここに「苦(ドゥッカ)」の自覚が芽生えます。

    2. 四門出遊:老・病・死・出家者との遭遇

      ・老い・病い・死の現実に直面し、「苦を超える道」を探す決意が生まれます。

    3. 出家と6年の苦行

      ・ストイックな苦行を徹底するも、「苦行そのものでは悟れない」と見切りをつけ、中道へ。

    4. 転機:スジャータの乳粥

      ・心身を整え、再び“見る力”を取り戻す準備段階。

    5. 成道:菩提樹下の瞑想

      ・煩悩(誘惑)を見極め、明けの明星のころ「目覚め(ブッダ)」に到達。

    6. 初転法輪:鹿野苑で五比丘に説く

      ・四諦と八正道を示し、仏教の車輪が回り始めます。

    🔶放送で押さえたキーワード

    ・ブッダ=「目覚めた人」:新発見ではなく、元からある真理への到達。

    ・中道:快楽と苦行の両極端を離れた実践の道。

    ・四諦と八正道:苦の事実と、その終息に向かう具体的な実践指針。

    ・臘八会(ろうはちえ):多くの寺院で12/8に営まれる成道の法会名。


    🔶エピソードの読みどころ(番組の視点)

    ・「なぜ“苦行”ではなく“中道”なのか?」——身体をすり減らす修行から、心身を調える実践へ。

    ・「最初に説いた相手が“かつて去った五比丘”である意味」——関係の修復と普遍性の示し。

    ・「科学的知見と信仰的伝承の重ね合わせ」——史実(地名・人名・法要)と伝承(明星・49日瞑想など)を区別して紹介。

    ・「現代への置き換え」——“目の前の苦をどう見るか”“中道を日々の選択にどう落とすか”。


    🔶放送内の具体例(こんな話をしました)

    ・老・病・死を「見ないままにしない」ことの効用。

    ・SNS時代の“過剰な苦行”と“過剰な快楽”——心身のバランスを取り戻す「中道」のヒント。

    ・仕事・家庭・介護など、揺らぎの中で「いま取れる最善」を選ぶ視点。

    ・“悟りは遠い理想”ではなく、「苦を正しく見る」小さな実践の継続だという提案。


    🔶今回のまとめ

    成道会は、「苦」を避けずに見つめ、中道を実践へつなげる日です。四門出遊から初転法輪までの道のりを、歴史と伝承の双方から確認し、今日の暮らしの“選び方”に落とし込みました。


    🔶次回予告

    次回は「仏教と人権」。尊厳・平等・差別観と、仏教の視点を重ねてお届けします。


    🔶出演

    お話:熊本市中央区京町(きょうまち)・仏嚴寺(ぶつごんじ)
       高千穂光正(たかちほ こうしょう)さん
      

      進行:丸井純子(まるい じゅんこ)


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    9 分
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