• #028 採用ブランディング〜自社の魅力を候補者に伝える方法〜
    2026/06/15

    第28話:採用ブランディング〜自社の魅力を候補者に伝える方法〜


    いいことばかり書いてある採用ページは、むしろ疑われる時代——。いまの学生は、口コミ・SNS・OB訪問・インターンで企業のリアルを事前に調べ尽くす「ネタバレ就活」が当たり前。求人媒体に出せば応募が来る時代は終わり、企業の側が「選ばれる理由」を作らなければならなくなりました。では、自社の魅力を、どう候補者に届ければいいのでしょうか?


    今回のテーマは「採用ブランディング」。まず「採用広報(情報を届ける)」と「採用ブランディング(“らしさ”・世界観を届ける)」の違いを整理し、いま起きている「演出から透明性へ」「盛る採用から正直な採用へ」という大きな転換を読み解きます。さらに、AIが採用プロセスを激変させている現状も。ローソンはAI面接を“合否判定”ではなく学生の自己理解を助けるツールとして使い、キリンは面接官による評価のばらつきを補う共通軸として導入——同じAI面接官でも、使い方に各社のブランド方針が表れる、という話が面白いところ。後半は、白泉社・ZOZO・LINEヤフー・ソニーミュージック・森下仁丹など、“採用ページがそのままブランド表現になっている”事例を一気にご紹介します。


    キーワードは、AIで合理的な部分が揃うほど、最後の決め手は「その会社らしさに惹かれるかどうか」になっていく、ということ(AIは効率、人間は本質)。採用ページや動画はもう、ただの求人情報ではなく、ブランドそのものの表現の場です。そして第26話の「額縁は守って、中身は委ねる」とも地続きで、一貫した“らしさ”を伝えつつ、候補者に「自分はここでどう活躍できるか」を想像させる“余白”を残すことが肝になります。採用は、企業ブランドが一番試される場所。採用に悩む経営者・人事担当の方に必聴の回です。


    【今回のトピック】
    ・「採用広報」と「採用ブランディング」の違い——情報を届けるか、“らしさ”を届けるか
    ・「ネタバレ就活」時代の新常識——「盛る採用」から「正直な採用」へ
    ・AI面接の最前線——ローソン・キリンの事例に見る「同じツールでも表れる各社の色」
    ・採用ページは“最初の選考”——白泉社・ZOZO・森下仁丹などに学ぶブランド表現


    この番組は、企業ブランディングを手掛けるID株式会社が、ブランドの育て方について話すポッドキャストです。 ゼロから作るブランディングのノウハウや、クライアントと二人三脚で育てているブランドの裏側についてお話ししていきます。


    #育てるブランディング


    ▶︎▶︎今回紹介した採用サイト・動画

    ・ZOZO 新卒採用「Hello」
    https://corp.zozo.com/recruit/newgraduate/

    ・ソニーミュージックグループ 新卒採用2027(特設サイト)
    https://graduate27.saiyo.sme.co.jp/

    ・森下仁丹「第四新卒採用『オッサンたちへ』篇」(動画)
    https://www.youtube.com/watch?v=vtC11L1y3WE


    ▶︎▶︎MC

    ・北川 巧(ID inc. クリエイティブディレクター代表取締役)

    ・関口 春香(フリーランス、グラフィックデザイナー&イラストレーター)


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    ▶︎▶︎note(ポッドキャスト連動記事)

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    20 分
  • #027 ブランドストーリーの作り方〜共感を生む物語の構造〜
    2026/06/08

    第27話:ブランドストーリーの作り方〜共感を生む物語の構造〜


    今回のテーマは「ブランドストーリーの作り方」。「創業60年です」と言われても、ふーんで終わってしまう。でも「一度倒産しかけたけど、二代目が父の反対を押し切って家業を継いだ」と聞くと、つい続きが気になる——。機能や性能だけでは選ばれにくくなった時代、ブランドの最後の差別化要素になるのが「物語(ストーリー)」です。とはいえ、自社の物語をどう見つけ、どう組み立てればいいのか。意外と手がかりがつかめないものです。


    人は情報ではなく物語に共感する——その理由を、アリストテレスやジョセフ・キャンベルの「ヒーローズ・ジャーニー」までさかのぼって解説します。物語の最小単位は「主人公・葛藤・変化」の三つ。これを軸に、構造のまったく違う2つの実例を読み解きます。日本上陸30周年を迎えたスターバックスの「THE STAR フラペチーノ」(テーマは「原点に立ち返り、原点を超えていく」)と、ランドセルで世界の高級ブランド市場に挑む土屋鞄。スタバは現場のパートナーが選んだ歴代5種類を巡る“参加型の物語”、土屋鞄は1965年の創業から倒産危機、二代目の決断を経て地続きに語られる“時間の物語”です。


    2社に共通するのは、「過去を否定せず、過去から地続きの未来を語っていること」、そして「外側の物語と内側の物語が一致していること」。順調だった話ではなく、苦しかった・迷った・決断した“葛藤の歴史”こそが、共感を生む素材になります。そして物語は、語られるたびに育っていくもの。前回のSWAGの話ともつながる「現場の人が自分たちで語れる物語」をどう掘り起こすか。自社に眠る物語の素材を、思わず探したくなる回です。


    【今回のトピック】

    ・なぜ人は「情報」ではなく「物語」に共感するのか——主人公

    ・葛藤・変化の三幕構造 ・スターバックス「THE STAR フラペチーノ」——ブランド

    ・現場・ユーザー、三重に重なる物語の作り方

    ・土屋鞄の世界進出——1965年からの「葛藤の歴史」を次の章へつなげる物語の力

    ・過去を否定しない/外側と内側の物語を一致させる——共感を生むブランドストーリーの条件


    この番組は、企業ブランディングを手掛けるID株式会社が、ブランドの育て方について話すポッドキャストです。 ゼロから作るブランディングのノウハウや、クライアントと二人三脚で育てているブランドの裏側についてお話ししていきます。


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    23 分
  • #026 カルチャーをまとう〜SWAGに学ぶ、社員が“自走”するブランドの育て方〜
    2026/06/01

    第26話:カルチャーをまとう〜SWAGに学ぶ、社員が“自走”するブランドの育て方〜


    ブランドは「作って終わり」ではなく、その後ずっと育て続けるもの。とはいえ、「うちのカルチャーを大事にしよう」と社内で号令をかけても、なかなか自分ごとにならない——。立派な理念やガイドラインを整えても、現場に愛着が根づかない。多くの企業がこの壁にぶつかります。では、社員が自然とブランドを誇りに思い、自ら体現していく組織は、どうすれば作れるのでしょうか?


    今回は、岡山県津山市のコーポレートアパレル企業・Paintory(ペイントリー)の片山社長との出会いをきっかけに、「SWAG(スワッグ)」というカルチャーを切り口に展開します。SWAGとは、社員が企業ロゴ入りグッズを「着せられる」のではなく、自ら「まといたい」と選ぶ文化のこと。Evernoteの有名な逸話(社員が勝手に作ったTシャツを、会社が「やってることはいい、でもダサい」と公式化した話)から、Appleの招待状やカナダの芸術大学に見る「ダイナミックアイデンティティ」、そして「額縁=輪郭は守って、中身は現場に委ねる」という設計思想まで。第10・11話のインナーブランディング(心理的オーナーシップ・IKEA効果)とも接続しながら、ブランドを育て続ける組織のマインドセットを掘り下げます。


    行き着いた結論は、「ブランドを育てるのは“教育”ではなく“環境設計”」。人は「意識を変えてください」と言われても、なかなか変わらない。けれど環境が変われば、行動は自然と変わる——建築出身の北川ならではの視点です。理念体系の整理と「行動の可視化」を通じて、社員が日常の中でブランドを思い出し、感じ取れる“場”をつくる。これは大企業だからできる話ではなく、規模に関係ない「マインドセット」の問題。組織への理念浸透に悩む経営者、人事・広報担当の方に必聴の回です。


    【今回のトピック】

    ・SWAG文化——「着せられるユニフォーム」と「自ら選んでまとうグッズ」の決定的な違い

    ・Evernoteの逸話に学ぶ、自発性を止めず質を引き上げる「育てる」マインドセット

    ・ダイナミックアイデンティティ——額縁(輪郭)は守り、中身は現場や個人に委ねる設計思想

    ・ブランドを育てるのは「教育」ではなく「環境設計」——行動が自然と出る“場”のつくり方


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    ▶︎▶︎今回ご紹介した企業

    ・株式会社paintory(ペイントリー)

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  • #025 中小企業のためのAI×ブランディング実装ガイド〜限られたリソースで、最初の一歩をどう踏み出すか〜
    2026/05/25

    第21話から走ってきたAI×ブランディング実践シリーズ——リサーチ、ペルソナ、らしさ、VI、トンマナ。それぞれの工程でAIをどう活かすかをお話ししてきました。今回はその総まとめ回。スタートアップや中小企業に視点を絞り、「結局、何から手をつければいいのか?」「限られた人・時間・予算の中で、どう実装していくか?」を、北川自身が中小企業の経営者としての視点も交えながら語ります。


    中小企業がブランディングでぶつかる壁は、3つに整理できます。①人——専任の担当者がいない(社長兼マーケ兼総務、というのが当たり前)。②時間——日々の事業を回すので精一杯で、中長期の仕事に手が回らない。③専門性と予算——コンサルや代理店を使うとそれなりの費用がかかり、投資判断のハードルが高い。これらの壁、AIの時代になって明らかに高さが変わりました。「消える」とまでは言わないけれど、登りやすく、超えやすくなった。専任がいなくても、AIを横に置けば確実に0.5人分の手が確保できる。リサーチや叩き台作りの工数は何分の1にも縮められる。専門知識も自社で扱える可能性が出てきました。


    そのうえで北川がおすすめするのは、「内側を固める」よりも「外側に発信する」を優先する順番。教科書的にはMVVを固めて社内浸透を図ってから外、という流れですが、社員10〜30人規模の会社さんは、社長と社員の距離が近く日々の会話でだいたい意思統一できている。だからまずは外側——ロゴ、コーポレートカラー、ホームページや会社案内のメッセージを整える方が、商談化率や採用応募率に直結する伸びしろが大きい。理念体系も、パーパス・ミッション・ビジョン・バリュー・行動指針を全部揃えようとすると半年〜1年かかってしまうので、まずはスローガンとミッションだけ最低限整える。VIやトンマナは、前回話したGoogleのDESIGN.mdとClaude Design、Canvaを組み合わせれば自分たちで方針まで決められる時代。リソースの限られた中小企業ほど、使わない理由はありません。


    【今回のトピック】

    ・スタートアップ・中小企業がぶつかる「人・時間・専門性と予算」の3つの壁とAIで変わる風景

    ・「内側より外側」——中小企業がまず手をつけるべき場所

    ・理念体系を全部揃えなくていい——スローガンとミッションに集約する考え方

    ・Whyを議論する場づくりと、AIの「広げる・絞り込む」両刀使い


    この番組は、企業ブランディングを手掛けるID株式会社が、ブランドの育て方について話すポッドキャストです。 ゼロから作るブランディングのノウハウや、クライアントと二人三脚で育てているブランドの裏側についてお話ししていきます。


    #育てるブランディング


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    15 分
  • #024 AIで「トンマナ」をどう統一するか〜DESIGN.mdとClaude Designが示す新基準〜
    2026/05/18

    第24話:AIで「トンマナ」をどう統一するか〜DESIGN.mdとClaude Designが示す新基準〜


    「AIに同じ指示をしたつもりなのに、出てくるデザインが毎回違う」——これ、心当たりがある方は多いのではないでしょうか。ロゴが決まり、カラーが決まった後の「展開フェーズ」、つまりSNSやWeb、各種クリエイティブでトンマナをどう揃えるか。この実務上の頭痛の種に、ここ数週間、業界の大きな動きが2つ走りました。今回はそのニュースを絡めながら、AI時代の「ブランドの渡し方」を考えます。


    ひとつ目はGoogleが公開した「DESIGN.md」。「.md」というのはマークダウン形式の拡張子で、人間が読みやすく、かつAIが効率的に解釈できる記述フォーマット——AIに指示するプロンプトの標準形のひとつです(Webコーディングで使う「マークアップ」とは似て非なるもの、というところからリスナーと一緒に整理しています)。DESIGN.mdの中身は、色・フォント・余白のルールに、「なぜこの色なのか」「この色は何を象徴するのか」という意味づけがセットで書かれている。第22話のブランドオントロジーの話と直結するアプローチです。ふたつ目がAnthropicの「Claude Design」。チャットの会話だけで、Webのワイヤーやスライド、バナーデザインまで出せるツールで、最初にブランドのデザインシステムを読み込ませれば、そこから作るもののトンマナが保たれる。出力はPDF・PowerPoint・Canvaへ持っていけるほか、コーディング側のClaude Codeへ橋渡しすることもできるという、Anthropicのしたたかなエコシステム戦略も垣間見えます。


    ここで一点注意したいのは、DESIGN.mdは「ブランドそのものを定義するファイル」ではなく、あくまでデザインをするときのルール、つまりデザインシステムであるということ。トンマナを統一するには、その上位にあるブランド戦略との接続が必要です。とはいえ、GoogleもAnthropicもOpenAIも、「AIが生成するデザインの質と一貫性をどう保つか」という共通課題に本格的に取り組み始めた——切り込みのフェーズに確実に入っている。近い将来、ブランドガイドラインそのものをAIが整理してくれる時代が来る予感もあります。次回は、第21話から走ってきたAI×ブランディング実践シリーズのまとめ回。中小企業・スタートアップ向けに、限られたリソースで何から手をつけるかをお話しします。


    【今回のトピック】

    ・AIにデザインを任せた時の「毎回バラバラ問題」と、業界の最新動向

    ・Google「DESIGN.md」——プロンプトの標準フォーマットが公開された意味

    ・Anthropic「Claude Design」——デザインシステム読み込みと会話ベース修正、Claude Codeへの連携

    ・マークダウンとマークアップの違い、デザインシステムとブランドガイドラインの関係


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    #育てるブランディング


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  • #023 AIが変えるVI開発 〜ロゴ・カラー提案の新しいカタチ〜
    2026/05/11
    第23話:AIが変えるVI開発〜ロゴ・カラー提案の新しいカタチ〜「ロゴはAIで作れる時代」と言われるようになって久しいですが、本当にそうなのか? Canva、DALL-E、Midjourney、Adobe Firefly、Tailor Brands——数十種類のロゴ生成ツールが「数秒でロゴが出てくる」世界を実現しています。でも、デザインの現場で実際に使ってみるとわかります。「出てくるもの」と「使えるもの」は全然違う。「うちっぽい」ではなく「それっぽい」になってしまうこの落とし穴の正体を、本編の入り口で解きほぐします。実践編の第4弾となる今回は、第9話で話したVI(ビジュアルアイデンティティ)を実務目線で再訪し、ロゴとカラーの開発プロセスでAIがどう機能するかを具体的に語ります。ポイントは「探索フェーズ」での活用。50パターン、100パターンを数分で出させて、方向性の種を見つける道具として使う。ただし、プロンプトに「ロゴ作って」とだけ書いてもいい結果は出ません。ミッション、ターゲット、ブランドパーソナリティ——前回触れたブランドオントロジーの話につながりますが、関係性を含めて言語化した上で渡すことで、AIの提案は文脈に寄り始めます。カラーについても、競合が使っていない「空いている色域」を調べさせる逆張り戦略、配色理論に基づくサブカラー・アクセントカラーの大量提案など、感覚ではなくエビデンスベースで色を選ぶ方法を紹介します。そして、デザイナーの価値はこの先むしろ高まるという話も。AIが大量の選択肢を出せる時代だからこそ、「なぜ丸なのか」「なぜこの角度なのか」「この色にどんな想いを込めたのか」——その意味づけをブランドの理念やストーリーと結びつけて説明できる人の価値が上がる。効率の問題はAI、本質の問題は人間。VI開発でも同じ構造です。最後に、branding.bzの3つ目のミニアプリ「カラー定義ツール」もご紹介。業種とブランドパーソナリティから、メイン・サブ・アクセントカラーの叩き台を出してくれる無料ツールです。【今回のトピック】 ・AIロゴツールで「うちっぽい」ではなく「それっぽい」になる構造的な理由 ・ブランド基盤(ミッション・ターゲット・パーソナリティ)をプロンプトに入れる方法 ・競合と差別化する「空いている色域」の探し方と逆張り戦略 ・AI時代に高まるデザイナーの新しい価値——「なぜこのデザインなのか」の意味づけこの番組は、企業ブランディングを手掛けるID株式会社が、ブランドの育て方について話すポッドキャストです。 ゼロから作るブランディングのノウハウや、クライアントと二人三脚で育てているブランドの裏側についてお話ししていきます。#育てるブランディング▶︎▶︎MC ・北川 巧(ID inc. クリエイティブディレクター代表取締役) ・関口 春香(フリーランス、グラフィックデザイナー&イラストレーター)▶︎▶︎ID. inc Website ・https://include.bz/▶︎▶︎番組で紹介した無料ツール「カラー定義ツール」・https://branding.bz/tools/colors▶︎▶︎note(ポッドキャスト連動記事) ・https://note.com/kitakawa▶︎▶︎branding.bz カラー定義ツール・https://branding.bz/tools/colors▶︎▶︎配信スケジュール・毎週火曜日 朝7:00AM▶︎▶︎お便りフォーム・https://forms.gle/eLWAVXnw7JNs3T6ZA
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  • #022 AIで「らしさ」は作れるのか?〜最先端のブランドオントロジーの構築とは〜
    2026/05/04

    第22話:AIで「らしさ」は作れるのか?〜最先端のブランドオントロジーの構築とは〜


    AIは、ブランドの「らしさ」を理解できるのでしょうか?前回、AIが作るペルソナには「感情のリアリティ」が薄いという話をしましたが、今回はその根っこにある問題に踏み込みます。「上質で親しみやすい」と書いてあれば、AIは「上質」な文章も「親しみやすい」文章も書けます。でも、「うちのブランドにとっての上質かつ親しみやすい」という、その会社だけの独特な塩梅は、まだ再現できない。なぜか——その答えのキーワードが「ブランドオントロジー」です。


    「オントロジー」は、もともとは哲学用語で「存在論」と訳される言葉ですが、近年はデータマネジメント領域で「人がどのように情報の意味を理解しているかを、AIにわかるように設計する技術・枠組み」として使われています。今回は、ブランドの知識を「事実」ではなく「関係性」として構造化する考え方を、ケラーのブランド連想ネットワーク理論や「スタバ」の連想例を使って解きほぐします。あわせて、マーケ担当者の約8割が「AI活用によるブランドの没個性化」を懸念しているという調査結果と、そこから生まれるジレンマにも触れます。


    後半では、業界の最前線で動いている2つの事例を紹介します。大広の「Brand Dialogue AI」——企業発信・消費者の声・AIの認知という3視点のギャップを構造化するアプローチ。そして博報堂の「Branded AI Agent」——ブランドを「生き物」として捉え、AIエージェントに人格を宿すソリューション。特に博報堂の中島氏が掲げる3つの設計思想(①「想い」を一人の消費者の言葉に変換する、②ブランドらしさを「形容詞」ではなく「動詞」で定義する、③知識をブランド独自の解釈で編集する)は、AI時代のブランド設計を考えるうえで非常に示唆的です。最後は「画一化されたシステムにはアノマリーが必要」という北川流の結論で締めます。


    【今回のトピック】

    ・ブランドオントロジーとは何か——「事実」ではなく「関係性」の構造化

    ・AIが「上質かつ親しみやすい」の塩梅を再現できない構造的な理由

    ・大広「Brand Dialogue AI」と博報堂「Branded AI Agent / tsubuchigAI」の最新事例

    ・ブランドらしさを「形容詞」ではなく「動詞」で定義する設計思想


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  • #021 ペルソナも育てる時代へ〜AI活用と感情の解像度〜
    2026/04/27

    第21話:ペルソナも育てる時代へ〜AI活用と感情の解像度〜


    「30代女性・会社員」——そんなターゲット設定で、本当にチームの中で同じ顧客像が共有できているでしょうか?言葉が同じでも、人によって思い浮かべる人物像はまるで違います。だからこそ、第6話で話したように「具体的な一人」まで描き切る必要があるわけですが、そこを一から自前でやろうとすると、時間も労力もかかってしまう。AIを使えば、この作業の入り口が大きく変わります。


    実践編の第2弾となる今回は、ブランド構築7ステップのうちステップ⑤「伝え方を考える」フェーズから、ペルソナ設計にフォーカス。リサーチ結果(PEST、競合ポジショニング、STP、自社の顧客データ)をAIに渡して、ターゲット層に対するペルソナを複数パターン生成してもらう。北川が実務で行っている、20パターンを出して5パターンに絞り込んでいくプロセスを紹介します。あわせて、顧客データを扱うときのオプトアウト設定や個人情報加工の注意点にも触れます。


    ただし、AIが作るペルソナには明確な弱点があります。属性や行動パターンは精度高く出てきても、「感情のリアリティ」が薄い。人が何かを選ぶとき、表向きは価格や機能で比較しているように見えて、最後の決め手は「これを使ってる自分、なんかいい感じ」という感情的な納得だったりします。化粧品やスタバの例を交えながら、AIの素案にチームで議論を重ねて「本音」を入れていく方法、そして第18話で触れた電通の「1億人AIペルソナ」と同じ発想で、自分たちでも擬似インタビューを行う方法までお話しします。さらに「ペルソナも育てる」という視点で、1年前との比較によって顧客像の変化を可視化するアプローチも。最後に、branding.bzから新しくリリースしたペルソナビルダー(カスタマージャーニーマップまでPDF出力可能)もご紹介します。


    【今回のトピック】

    ・AIに渡すべきリサーチ情報と、個人情報を扱う際のオプトアウト・加工の注意点

    ・20パターン出して5パターンに絞り込む、北川流ペルソナ生成プロセス

    ・AIが苦手な「感情のリアリティ」をチーム議論と擬似インタビューで補う方法

    ・ペルソナも「育てる」——1年前との比較で顧客像の変化を可視化する


    この番組は、企業ブランディングを手掛けるID株式会社が、ブランドの育て方について話すポッドキャストです。 ゼロから作るブランディングのノウハウや、クライアントと二人三脚で育てているブランドの裏側についてお話ししていきます。


    #育てるブランディング


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    ・北川 巧(ID inc. クリエイティブディレクター代表取締役)

    ・関口 春香(フリーランス、グラフィックデザイナー&イラストレーター)


    ▶︎▶︎ID. inc Website

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    ▶︎▶︎番組で紹介した無料ツール「ペルソナビルダー」

    ・https://branding.bz/tools/persona


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