エピソード

  • フォロワーどこいった? 「いいね!」してもほぼ買わない問題 #287
    2025/10/24

    漫画家として生計を立てる道は、大きく3つあると思います。商業誌連載、電子プラットフォーム掲載、そしてAmazon等で収益化する方法です。どの道で勝負していくか、自身の適性とあわせ検討してみましょう。


    ただし、SNSで人気を得てAmazon等で収益化する道を目指す場合、「いいね」と「商業として売れる」は全くの別物であり、設計自体が異なるものだと理解しておくことが重要です。


    特に以下の3点は、しっかり意識しておきましょう。


    1)「いいね」はしても、購入・課金するほど強い動機を持つ人は意外に少ないです。自身の「いいね → 購入」の率を思い返せば、きっと納得できるはず……。


    2)ファンとフォロワーは別の存在です。フォロワーという広い集合体の中に、濃いファンが少数いるだけ。「たまに見たい」からフォローしてるだけの人が大半です。課金してくれるのは、フォロワーではなくファンです。


    3)ヒューマンドラマ的な話は「いいね」はされやすい一方、購入にはつながりにくいです。人は欲望が刺激されないと、お金を出してくれません。


    シンプルな結論としては「人からお金を出してもらうのは大変」だということです。


    なお、SNSフォロワーから購買に至るのは「大体2%」という理論はよく囁かれますし、実際それぐらいかと思われます。


    ただ、このラジオを聴いてくださってる皆さんには、ぜひもっと高い比率でマンガスクリプトDr.ごとうの書籍を買ってほしいと思っています……! よろしくお願いします……!

    続きを読む 一部表示
    29 分
  • “めくり”を使いこなせ! マンガのページはいつ区切る? #286
    2025/10/22

    漫画技術を語る上で欠かせないのが「めくり問題」。ページをめくらせるタイミングをコントロールすると同時に、めくった瞬間に読者を少し驚かせるような演出が欠かせません。


    なぜなら、漫画は“リズム”で読ませるものだからです。


    漫画の最小構成単位は「出来事・感情・感情」の3コマ。この繰り返しでリズムが生まれ、読者を物語へと引き込みます。


    ページ構成も同様です。構成のしっかりした漫画は、概ね4ページごとに場面転換が入りますが、注意して読めば転換点は「主人公の能動的感情」で区切られていることがわかります。


    良いリズムを生むコツは、まさにここにあります。


    最近は雑誌だけでなくSNSやWebtoonなど多様な掲載先があるため、各々でのリズムを掴むことが難しくなっていますが、皆さんもぜひリズムを意識して描いてみてください!

    続きを読む 一部表示
    19 分
  • 1秒から1分まで! 1ページの体感時間、プロの設定方法 #285
    2025/10/20

    物語の中の「時間」は、1ページあたりどれぐらいのペースで進むのが望ましいか。答えはズバリ「1秒〜1分」ほど。4ページなら、4分程度までを描くのが限界でしょう。


    それ以上の時間を描こうとすると、物語のリズムが崩れ、読者は臨場感を失ってしまいます。逆に臨場感のある物語ほど、読者の読む時間と漫画内の時間はシンクロしているはずです。


    だからこそプロの漫画家は「ページ内で時間を早送りする」のではなく、「ページ内はゆっくり進め、話やページの切り替わりタイミングでパッと飛ばす」描き方をしています。


    1ページあたりのセリフの文字数で考えてみてもわかりやすいでしょう。1ページ内での吹き出しは5,6個が平均的ですが、1個あたり20文字程度だとすると、100文字程度しか描けないのです。


    こうして数字として書き出してみるだけで、漫画の中の「時間の流れ」を掴むのがいかに難しいかが伝わってくると思います。でも、だからこそ漫画を描く皆さんは、意識して取り組んでみてください!

    続きを読む 一部表示
    17 分
  • 普通では読まれない! 魅力に変えられるクソ重い感情 #284
    2025/10/17

    重い感情、いわゆる“クソデカ感情”を描きたいと考えている方、実は多いと思います。ただ、やりすぎると読者が離れてしまうかもしれず、どの程度配慮しながら描くべきかの判断も難しいのではないでしょうか。


    一般的に有効かつシンプルな対策として知られるのは、「可愛い要素」を入れておく手法です。物語を重い展開にしたい時ほど、絵柄などを最大限に可愛くしておくことで、バランスを取るようにしましょう。


    また、読んでいて楽しいと感じる重さの基準は、人によって大きく異なります。だからこそ、商業作品として重い物語を描きたい場合は「媒体を選ぶ」「読者層を選ぶ」ことが重要になります。


    とはいえ、自分好みの“最高に濃い”作品を作ることも大切です。薄い味と濃い味、その両方を並行して作るのが、特に今の時代は合っているのではないでしょうか。


    そんなわけで今回は、クソデカ感情をどう読者に伝えていくかについて、じっくり考えてみたいと思います!

    続きを読む 一部表示
    21 分
  • スポーツ漫画の成功の鍵! スポーツ“以外”をどう描くか? #283
    2025/10/15

    スポーツ漫画というジャンルを描く上で、何よりも意識しなければならないポイント。実はそれは「スポーツの魅力で勝負しないこと」かもしれません。


    スポーツの面白さや醍醐味といった部分は、漫画で体感させることはできません。さらに全てのプレイの結果が作者の意思次第である以上、スポーツの部分だけで熱狂させ続けることは不可能でしょう。


    では、どうすれば面白いスポーツ漫画になるのか。それは、倒すべき敵やライバルをいかに魅力的に描けるか、に尽きます。


    逆にこの要素無しで、スポーツの魅力・醍醐味だけで描こうとすると、作品は迷走してしまいがちです。


    好敵手の魅力がポイントになるのはどんなジャンルにも共通しますが、今回はスポーツ漫画の構造を解説しながら、あらためてその重要性について紹介していきたいと思います!

    続きを読む 一部表示
    21 分
  • 誰でも使える! 真面目な人も描ける“楽しい”演出 #282
    2025/10/13

    どんな漫画にも入っている要素ながら、真面目な人ほど取り入れるのが難しいのが“ユーモア”です。そこで今回は、誰でも自然にユーモアを入れられるようになる「特効薬」を紹介します。


    それは、主人公にある事件が起きたとき、常に8通りの行動パターンを考えてみるという方法。なぜなら、パターンを出すのがだんだん苦しくなった時にこそ、不意に面白いアイデアが生まれてくるからです。


    軌道修正しながら描く習慣が身につき、柔軟にストーリーを動かせるようになることも期待できる「8通りの行動パターン」の効果について、しっかり解説していきます!

    続きを読む 一部表示
    18 分
  • ストーリーに活かせ! 漫画に映えるのは自分の生き方 #281
    2025/10/10

    フィクションを描くときほど、実体験から得られた感情を結びつけて描く必要があります。


    なぜなら漫画の大半は実際には未経験の出来事であり、作者の「こうだったらいいのにな」の願望を描いたものになるからです。


    人間は自身が経験・体験したことについて、誰もが非常に濃く感情を語ることができる一方、100%想像だけで何かを描いてしまうと、非常にふわふわした内容にしかなり得ません。


    だからこそ、漫画で読者にリアリティを感じさせるためには、経験・体験と紐づけることが重要なのです。


    もちろん武勇伝のような派手なものである必要は一切ありません。「こういうミスをした」「こうやってメンタルを保った」というようなものでいいのです。


    大切なのは、そこにリアルな気持ちを入れ込めるかどうか。皆さんもぜひ自身の経験をよく観察し、見直してみてください!

    続きを読む 一部表示
    19 分
  • 中堅漫画家の罠! ストーリーに意味を詰めすぎ問題 #280
    2025/10/08

    それなりに経験がある漫画家さんでも、意外と陥ってしまいがちな創作上の罠。それが「作品の中で、意味やメッセージを直接言いすぎ問題」です。それをやってしまうと、読者は冷めてしまいます。


    作品に込められた意味やメッセージとは、書き手ではなく読者のほうで見出すもの。直接的に言ってしまうと押し付けになり、感情体験として浅いものになってしまいがちに。


    かつて自分がメッセージ性やテーマ性を受け取った作品を思い返してみると、意外と直接言っていたわけではないことに気づくのではないでしょうか。


    SNSでは浅い感情体験を描くほうがバズりやすいため、ますます気づきにくくなっていますが、お金を払いたくなるような深い感情体験は、直接的なものからは決して得られません。


    「これで読者にどこまで伝わるのだろう…」と不安になる気持ちは当然ですが、書き手の自分自身がテーマを叫ぶことはせず、読者を信じて受け取ってもらうようにしましょう!

    続きを読む 一部表示
    20 分