『渡部龍朗の宮沢賢治朗読集』のカバーアート

渡部龍朗の宮沢賢治朗読集

渡部龍朗の宮沢賢治朗読集

著者: 渡部製作所
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Audibleで数々の文学作品を朗読してきたナレーター 渡部龍朗(わたなべたつお) が、宮沢賢治作品の朗読全集の完成を目指し、一編ずつ心を込めてお届けするポッドキャスト。 ▼ 朗読音声とテキストがリアルタイムで同期する新体験オーディオブックアプリ「渡部龍朗の宮沢賢治朗読集」iOS版 / Android版 公開中 ▼ 【iOS】https://apps.apple.com/ja/app/id6746703721 【Android】https://play.google.com/store/apps/details?id=info.watasei.tatsuonomiyazawakenjiroudokushu 幻想的で美しい宮沢賢治の言葉を、耳で楽しむひとときを。 物語の息遣いを感じながら、声に乗せて広がる世界をお楽しみください。渡部製作所 アート 文学史・文学批評
エピソード
  • 花壇工作
    2026/08/09

    📖『花壇工作』朗読 – 病院の中庭に、花で音楽を描くつもりでした🌷📐

    静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『花壇工作』。

    おれは設計図を持たず、仕事着のまま病院の中庭へ出かけて行きます。二つの棟にはさまれた緑いろの庭にテープを持って立っていると、そこにいた人たちが面白がって手伝いに来て、まっ白な杭がたちまちできあがります。窓のむこうには見物の顔がならびました。おれには自分の創造力に充分な自信があります。音楽を図形に直すのは自由なのだから、この庭に花で Beethoven の Fantasy を描くこともできる。そう考えていたのです。

    建物の影の落ちる限界を屋根まで見上げて計り、庭に二本の対角線を引かせて、その中心に杭を一本立てたところで、窓に院長が立ちます。どんな花を植えるのですか。花の名をいくつか答えるうちに、院長はとうとうこらえ兼ねて、靴をはいて中庭へ下りて来るのでした。

    おれの胸のうちには、まだ地面に置かれていない模様があります。日がまわるたびに青く移る、練瓦のジグザグな影。けれども中庭をとりかこむ窓には、たくさんの顔がならんでいるのです。

    四月の光の落ちる、緑いろの中庭。ひとりの園芸家のたった数時間を、朗読でじっくりとお楽しみください。


    #芸術 #怒り

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    7 分
  • サガレンと八月
    2026/08/02

    📖『サガレンと八月』朗読 – 北の海の風と波が、しきりに何かを訊いてくる🌊🐚

    静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『サガレンと八月』。

    オホーツク海のなぎさに立つ「私」に、西の山地から吹いて来たまだ少しつめたい風が、「何の用でここへ来たの、何かしらべに来たの」と、上着をぱたぱたかすめながら何べんも通って行きます。標本を集めに来たんだいと威張って答えてみても、その風はもう海の青い暗い波の上に行っていて、こちらの返事は一語ずつ切れ切れに持って行かれてしまうのです。やがて波までが音を強くして、拾ったばかりの貝殻のことで「私」に食ってかかってきます。

    話はいつのまにか、前の草はらで鮭の皮を継ぎ合せて上着をこさえるおっかさんと、指をくわえてはだしで小屋を出るタネリのところへ移ります。浜に落ちている寒天みたいなすきとおったものを拾ってはいけない、それで物をすかして見てはいけない。おっかさんはそう言いふくめますが、渚に下りたタネリは、それをつまみ上げて、すかして見たくてたまらなくなってしまうのです。

    なぎさで聴いたことが、しっかりしたつかまえどこのあるものなのか、それとも風や波といっしょに次から次と移って消えて行くものなのか、「私」にはわかりません。ただ、そこにある風や草穂のいい性質が聴く人のこころにうつって見えたなら、どんなにうれしいかしれません。

    乾いて飛んで来る砂と、はまなすのいい匂い。孔雀石いろと暗い藍いろに縞になった海。北の島の八月のなぎさに吹く、風のきれぎれのものがたりを、朗読でじっくりとお楽しみください。


    #冒険 #衝動 #少年

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    18 分
  • 林の底
    2026/07/26

    📖『林の底』朗読 – はじめ鳥はみな白かった、月夜に梟が語る色のはなし🌙🦉

    静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『林の底』。

    風もないしずかな晩、西のそらに古びた黄金の鎌がかかるころ、林の中の低い松の枝から、一羽のとしよりの梟が「私」に話しかけてきます。鳥の先祖が天から降って来たときは、どいつもこいつもみな白かったのだ、と。ところが「私」は、いつも頬をふくらせて尤もらしい顔をする梟を、あまり信用していません。この用のない晩に、大きな梟がどんなことを云い出すか、ぼろを出さずに辻褄をあわせて語れるものかどうか、なるべくまじめな顔でゆっくり聴いてみることにします。

    みな白かった鳥たちは、うしろから声をかけても振り向くのが別の鳥だったりして、ずいぶん間ちがいが多かったのだそうです。そこで手の長いとんびが、川岸の赤土の崖の下に染屋を出しました。鳥たちはよろこんで、大きいのも小さいのも、めいめい注文をつけては染めて貰いに出掛けて行きます。どうしてめじろは眼のまわりが、頬白は両方の頬が、白いまま残っているのか。「肺が小さくて息がつづかないからです」と大まじめに説く梟に、「私」は、両方おなじ形におなじ場所に残っているのは工合がよすぎるではないか、と口をはさみます。すると梟はしばらく眼をつむり、また別の理くつをひねり出すのです。

    とぼけた聞き手と、機嫌をよくしたり悪くしたりしながら語りつづける梟。話に調子を合わせたかと思えば、ふと心を別のことへ遊ばせる「私」。鉛のように重く青い月光に満ちた月夜の林で、二人のかわすふしぎな問答を、朗読でじっくりとお楽しみください。


    #人と動物 #月

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    24 分
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