『渡部龍朗の宮沢賢治朗読集』のカバーアート

渡部龍朗の宮沢賢治朗読集

渡部龍朗の宮沢賢治朗読集

著者: 渡部製作所
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このコンテンツについて

Audibleで数々の文学作品を朗読してきたナレーター 渡部龍朗(わたなべたつお) が、宮沢賢治作品の朗読全集の完成を目指し、一編ずつ心を込めてお届けするポッドキャスト。 ▼ 朗読音声とテキストがリアルタイムで同期する新体験オーディオブックアプリ「渡部龍朗の宮沢賢治朗読集」iOS版 / Android版 公開中 ▼ 【iOS】https://apps.apple.com/ja/app/id6746703721 【Android】https://play.google.com/store/apps/details?id=info.watasei.tatsuonomiyazawakenjiroudokushu 幻想的で美しい宮沢賢治の言葉を、耳で楽しむひとときを。 物語の息遣いを感じながら、声に乗せて広がる世界をお楽しみください。渡部製作所 アート 文学史・文学批評
エピソード
  • 双子の星
    2025/12/21

    ⭐『双子の星』朗読 – 天の川の岸辺、小さな二つの星の物語🌌🎶

    静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『双子の星』。

    天の川の西の岸に、すぎなの胞子ほどの小さな二つの青い星が見えます。あれはチュンセ童子とポウセ童子という双子のお星さまの住む、水晶でできた小さなお宮。二つのお宮はまっすぐに向い合い、夜になると二人はきちんと座って、空の星めぐりの歌に合せて一晩銀笛を吹きます。それがこの双子のお星さまの役目でした。

    ある朝、泉のほとりで大烏と蠍が争い、互いに深い傷を負います。二人は両者を手当てし、蠍を家まで送り届けようとします。その重さに肩の骨が砕けそうになりながら、時間に遅れようとも、一歩ずつ進む双子の星。またある晩、彗星に誘われて旅に出た二人を待っていたのは——。

    天上の銀の芝原と海の底の泥。透きとおる水晶のお宮と、暗い波の咆える海。銀笛の音と星めぐりの歌。小さな双子の星の前に現れるのは、光と闇、善意と裏切り、役目と災難。けれども二人はどこまでも一緒に、その小さなからだで、ひたむきに進んでいきます。

    空の泉、りんごの匂い、銀色のお月様、大烏、蠍、彗星、竜巻——幻想的な存在たちが次々と現れ、双子の星とかかわります。星の世界の情景が、透明な言葉で丁寧に描かれていきます。

    宮沢賢治が紡ぐ、天上と海底を巡る幻想の物語。双子のお星さまの旅路を、朗読でじっくりとお楽しみください。


    #星座 #童子 #歌曲

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    49 分
  • 朝に就ての童話的構図
    2025/12/14

    📖『朝に就ての童話的構図』朗読 – 霧降る苔の世界と、小さな兵隊たちの朝🌫️🐜

    静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『朝に就ての童話的構図』。

    霧がぽしゃぽしゃと降る苔の上で、蟻の歩哨がスナイドル式の銃剣を構え、羊歯の森の前を行ったり来たりしています。伝令の蟻が走ってくる。子供の蟻たちが手をひいて笑いながらやってくる。そんな霧の中、楢の木の下に突然現れた真っ白な謎の建造物。「北緯二十五度東経六厘の処に、目的のわからない大きな工事ができました」——子供の蟻たちは、歩哨の言葉を繰り返し、報告のために駆けていきます。

    蟻の兵隊たちの厳めしい世界。軍隊組織、伝令、銃剣、聯隊本部、陸地測量部——まるで人間の社会のような規律正しい営み。けれどもその眼差しの先にあるのは、苔の上の出来事。小さな世界の大騒動と、とぼけたユーモア。厳格さとおかしみが、霧の中で隣り合わせに在ります。

    霧降る薄暗い世界から、赤い太陽の昇る青い朝へ。蟻たちの視点から描かれる、苔の世界の一朝の風景。小さな兵隊たちが織りなすこの不思議な物語を、朗読でゆっくりとお楽しみください。


    #兵隊

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    7 分
  • なめとこ山の熊
    2025/12/07

    📖『なめとこ山の熊』朗読 – 雪と月光の峯々で交わる、命と命🐻❄️

    静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『なめとこ山の熊』。

    なめとこ山は霧と雲を吸ったり吐いたりする大きな山。熊の胆で名高いこの山で、熊撃りの名人・淵沢小十郎は、犬を連れて谷を渉り、峯を越えて歩きます。実は、なめとこ山の熊どもは小十郎のことが好きでした。木の上から、崖の上から、おもしろそうに小十郎を見送っています。けれども、小十郎が鉄砲を構えるときは別でした。小十郎は熊を撃つたび、こう語りかけます。「おれも商売ならてめえも射たなけぁならねえ」「てめえも熊に生れたが因果ならおれもこんな商売が因果だ」と。

    ある春の夕暮れ、小十郎は月光の中で母熊と子熊に出会います。二疋は向うの谷の白いものを見つめて語り合っています。「雪だよ」「雪でないよ」「霜だねえ」——やがて母熊が気づきます。「あれねえ、ひきざくらの花」。小十郎は音を立てないようにこっそりと戻っていきます。またある夏、樹の上の熊は小十郎に向かって叫びます。「もう二年ばかり待ってくれ」と。そして約束の二年目、その熊は小十郎の家の垣根の下で倒れていました。

    山では名人と呼ばれる小十郎も、町では荒物屋の主人の前で叮寧に頭を下げ、安い値で毛皮を買い叩かれます。豪気な山の主と、みじめな町での姿。殺す者と殺される者、それでもどこか通い合っている小十郎と熊たち。月光、雪、ひきざくらの花——自然の中で繰り広げられる命のやりとり。

    淵沢川の水音と、白い雪の峯々。なめとこ山を舞台に紡がれる、小十郎と熊たちの物語を、朗読でじっくりとお楽しみください。


    #怒り #人と動物 #月

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    34 分
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