『渡部龍朗の宮沢賢治朗読集』のカバーアート

渡部龍朗の宮沢賢治朗読集

渡部龍朗の宮沢賢治朗読集

著者: 渡部製作所
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Audibleで数々の文学作品を朗読してきたナレーター 渡部龍朗(わたなべたつお) が、宮沢賢治作品の朗読全集の完成を目指し、一編ずつ心を込めてお届けするポッドキャスト。 ▼ 朗読音声とテキストがリアルタイムで同期する新体験オーディオブックアプリ「渡部龍朗の宮沢賢治朗読集」iOS版 / Android版 公開中 ▼ 【iOS】https://apps.apple.com/ja/app/id6746703721 【Android】https://play.google.com/store/apps/details?id=info.watasei.tatsuonomiyazawakenjiroudokushu 幻想的で美しい宮沢賢治の言葉を、耳で楽しむひとときを。 物語の息遣いを感じながら、声に乗せて広がる世界をお楽しみください。渡部製作所 アート 文学史・文学批評
エピソード
  • 二人の役人
    2026/09/06

    📖『二人の役人』朗読 – 萱の穂の光る九月の野原と、きのこをさがす日曜の朝🌾🍄

    静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『二人の役人』。

    九月の野原は、草の穂と小さな林とでいっぱいでした。私は藤原慶次郎といっしょに、毎日そこへきのこや栗をとりに出かけます。ある日曜の朝、いつもの入口まで来ると、白い立札が一本立っていて、きょうはえらい人が来るから中へ入ってはいけない、と書いてありました。

    それでも二人は、そのえらい人の顔を見てやろうと、野原でいちばん奇麗な林まで走って行き、草のなかにかくれます。待っていても人の来る気配はなく、こわさはいつのまにか薄れて、二人はきのこをさがしはじめました。そこへ慶次郎が耳もとで、来たよ、と云うのです。草の間からすかして見ると、二人の役人が、みちを外れてこちらへまっすぐ近づいて来るところでした。

    つかまるものと覚悟した二人は、とったきのこをそっと棄てます。ところが役人たちは、子どもらのいることに気づきもしないで林の前に立ちどまり、かかえてきた袋の口を解きはじめるのでした。

    草のなかにひそんでいるあいだ、聞こえてくるのは大人たちの声ばかりです。息もつまるようだった時間は、その声とともにだんだんほどけていきます。はんのきの下には日ざしが点々と落ちて、九月の光はどこまでも明るいのです。

    いまその野原は、畑や練兵場になっています。それよりもっと立派だったころの、青い萱と栗の木の林にみたされた九月の一日を、朗読でじっくりとお楽しみください。


    #少年 #冒険

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    23 分
  • 耕耘部の時計
    2026/08/30

    📖『耕耘部の時計』朗読 – 雪あかりの白い農夫室と、暮れて雪になる冬の一日❄️✨

    静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『耕耘部の時計』。

    雪の照りかえしで白びかりのいっぱいな、冬の農場の農夫室。まん中の大きな釜からは湯気が盛んにたち、農夫たちは脚絆を巻いたり藁沓をはいたり、はたらきに出る支度をしています。そこへ俄かに戸があいて、赤い毛布でこさえたシャツを着た若い男が、きょうからこちらで働くようにと云われて参りましたと告げてはいって来ました。みんなの仕度ができるのを待つあいだ、男はふと、室の正面にかかった円い柱時計を見あげます。青じろくてつるつる光る、どこでも見たことのないような盤面です。

    自分の腕時計とくらべて、あいつは十五分進んでいるな、と男が竜頭を引いて針を直そうとしたとき、そばで見ていた子供の百姓がくすりと笑いました。するとどう云うわけかみんなも一斉に、その青じろい美しい盤面を見あげながら、どっと笑ったのです。玉蜀黍の脱穀がひとくぎりついた昼どきにも、午の食事がすんだあとにも、男はこっそり自分の腕時計に目を落とします。時計はそのたびにちがう顔をしていて、そのたびに、農夫室には気のよさそうな笑い声が起こるのでした。

    窓ガラスの向うでは、うるんだ白い雲が、額もかっと痛いようなまっ青なそらをあてなく流れていきます。炉を囲んで、郷里はどこだ、いつまでこっちに居るつもりだい、と低いやりとりがつづき、今夜は一尺は積るな、帝釈の湯でまた熊が捕れたそうだ、と話は移っていきます。雪を渡ってカランカランと鐘の音がとどけば、そりを牽いて来た馬が、きれいに歩調を踏んで厩の方へ歩き出すのです。

    日暮れからはすっかり雪になりました。農夫室には電燈が明るく点き、火はまっ赤に熾って、外ではちらちらと雪が降っています。停車場まで酒を呑みに出掛けた人たちも、もう行くのはやめたろうと思われるような降りかたです。

    湯気と炭火と、降りつむ雪。冬の農場に過ぎていく一日を、朗読でじっくりとお楽しみください。


    #柱

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    16 分
  • さいかち淵
    2026/08/23

    📖『さいかち淵』朗読 – ぎらぎら光る河原と、川に明け暮れる夏休みの眩しい日々☀️🌊

    静かに語られる物語の世界へようこそ。今回お届けするのは、宮沢賢治の『さいかち淵』。

    夏のあいだ、村の子どもらは毎日のようにさいかち淵へ通います。「ぼく」と、いちばん仲のいいしゅっこも、きょうもいっしょに出かけて行きました。河原は白く焼けて、木も草も日ざしにぐったりし、淵の水だけが深くつめたく澱んでいます。そこへ、発破をかけて魚をとる大人たちがやって来ました。真先に気づいたしゅっこは、みんなを下流へさがらせて、何も知らないふりをして遊んでいろと云いつけます。やがて川の底から重い音がひびいて、淵の水がもちあがりました。

    魚を囲っておいたところへ、見なれない身なりの人が通りかかります。子どもらの魚をかきまわし、そのまま浅瀬を行ったり来たりしてなかなか去らないので、木の上にならんだ子どもらは、しゅっこの合図で声をそろえて文句を云いました。その人は困ったような顔をして、崖をのぼって畑のほうへ消えてしまいます。あとには、なんだか気の毒なような、がらんとした心もちが残りました。

    次の日、しゅっこは、もっといいことをして見せると云って、小さな子どもらまで残らずさそって歩きます。蝉の声のふりしきる林を抜け、匂いのむっとする河原を通って、みんなで淵へ急ぐ。東の空には雲の峰が高く湧きあがり、遠くの山がぎらぎら青く光っていました。しゅっこの手には、紙に包んだ青い石があります。それを卑怯だと思った「ぼく」は、そのさそいには乗りませんでした。

    川べりは、いつもこどもらの声でいっぱいです。呼び名も、はやし立てる声も、水音と日ざしのなかに混ざって、どこまでも眩しい。日が高くなるほど石は焼けて、水はいよいよ冷たく、そのまん中には、底の知れない淵がしずかにたたえられているのです。

    光る河原と、まっ青な空と、深い水。さいかち淵で過ごされた八月の二日を、朗読でじっくりとお楽しみください。


    #少年 #冒険

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    22 分
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