• 渡部龍朗の宮沢賢治朗読集

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渡部龍朗の宮沢賢治朗読集

著者: 渡部製作所
  • サマリー

  • Audibleで数々の文学作品を朗読してきたナレーター 渡部龍朗(わたなべたつお) が、宮沢賢治作品の朗読全集の完成を目指し、一編ずつ心を込めてお届けするポッドキャスト。 幻想的で美しい宮沢賢治の言葉を、耳で楽しむひとときを。 物語の息遣いを感じながら、声に乗せて広がる世界をお楽しみください。
    渡部製作所
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あらすじ・解説

Audibleで数々の文学作品を朗読してきたナレーター 渡部龍朗(わたなべたつお) が、宮沢賢治作品の朗読全集の完成を目指し、一編ずつ心を込めてお届けするポッドキャスト。 幻想的で美しい宮沢賢治の言葉を、耳で楽しむひとときを。 物語の息遣いを感じながら、声に乗せて広がる世界をお楽しみください。
渡部製作所
エピソード
  • どんぐりと山猫
    2025/04/27

    🎙️ 宮沢賢治「どんぐりと山猫」朗読 – 一通の奇妙なはがきから始まる不思議な冒険の予兆。

    ある土曜日の夕方、一郎の家に届いた一通の不思議なはがき。
    送り主は山猫。内容はただひとつ、「あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい」。字は乱雑で、墨が手につくほどの雑さ。しかし、一郎はそのはがきに心を奪われ、次の日を待ちきれずに興奮を隠せませんでした。まるでそれが何か大きな冒険の始まりを告げるかのように、胸が高鳴ります。

    翌朝、一郎が目を覚ますと、すっかり明るくなっていました。外の山々はまるで昨日新たに作られたかのようにうるおい、すっきりとした風が吹き抜けていました。急いで食事を済ませ、ひとり山へと向かう一郎。道中、彼は不安と興奮を感じながらも、次々と現れる木々や滝、動物たちに出会い、そのすべてに山猫の足跡を追って行きます。

    栗の木に、滝に、きのこに、リスに――どれもが一郎に「山猫は今、違う方へ行ったよ」と答えるのです。そのたびに一郎は疑問を抱きつつも、もっと深く、もっと遠くへ進んでいく決意を固めます。果たして、その先に待っているのは何か、彼の目に映るのはどんな景色なのか。興奮と共に物語は進み、山の奥へと一郎は足を踏み入れていきます。

    『どんぐりと山猫』は、宮沢賢治の中でも独特な世界観を持った物語で、ユーモアと幻想が絡み合っています。山猫という不思議な存在を通して、子どもたちと自然の深い結びつき、または大人たちが忘れてしまった感覚を呼び覚ますような作品です。賢治が描く自然は、ただの背景ではなく、物語の一部として生き生きと動き、物語をより深く、豊かなものにしています。

    この朗読では、賢治の言葉のリズムを大切にしながら、静かな冒険へと誘います。どこか懐かしく、でも新鮮なこの物語は、子どもから大人まで、誰もが楽しめる内容です。特に自然の中で過ごす時間や、何気ない日常の中にある小さな冒険を感じることができる一篇となっています。

    それでは、冒険のはじまりを、どうぞお楽しみください。

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    26 分
  • 『注文の多い料理店』序
    2025/04/20

    🎙️ 宮沢賢治「『注文の多い料理店』序」朗読 – 透明な風と桃色の朝をめぐる、ことばのはじまり。

    『注文の多い料理店』――宮沢賢治が生前に世に送り出した、最初で最後の童話集。
    その冒頭に置かれた「序」は、作品全体を貫く感受性と、作者のまなざしを静かに伝える短い文章です。
    このエピソードでは、その「序」の全文を、丁寧な朗読でお届けします。

    この「序」は、いわゆる前書きや解説のような性質のものではなく、
    読み手に静かに語りかけるような、親密な雰囲気をまとっています。
    氷砂糖、すきとおった風、桃いろの朝、森の中のびろうど――
    それらは、どこか現実と夢のあいだにあるような風景として描かれ、
    物語が生まれた源のような感覚をにじませます。

    賢治は、この本のなかに「わたくしには、そのみわけがよくつきません」と正直に綴ります。
    ある物語は「あなたのためになる」かもしれず、あるものは「わけのわからないところもある」と。
    けれども、それでも「どうしてもこんなことがあるようでしかたない」という、
    切実な思いを、そのまま差し出すように書かれています。

    今回の朗読では、その素朴でやわらかな言葉の流れを大切にしながら、
    耳にすっとなじむ声でお届けします。
    ページをめくるのとはまた違うかたちで、
    「序」のことばのなかにある静かなひかりを感じていただけることでしょう。

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    4 分
  • 『注文の多い料理店』新刊案内
    2025/04/20

    🎙️ 宮沢賢治『注文の多い料理店』新刊案内 – “心象スケッチ”としての童話集、そのはじまりの言葉

    今回お届けするのは、宮沢賢治の童話集『注文の多い料理店』に寄せて、彼自身が執筆した“新刊案内”の朗読です。
    この文章は、作品の巻頭に添えられた序文とは異なり、まだ無名の一青年作家が自らの最初の一冊に託した文学的広告文
    出版当時の読者に宛てて、どんな世界がこの本に詰まっているのか、どんな思いでこの童話集を世に出すのか、静かに、しかし確かな熱をもって綴られた一篇です。

    冒頭、「イーハトヴは一つの地名である」と語り始めるこの文章は、単なる本の紹介文ではありません。
    それはまるで、読者を幻想と理想の間にある透明な国土へと招くような、文学的序詞(プレリュード)のようでもあります。
    アリスの鏡の国、テパーンタール砂漠、イヴン王国……地理学の地図では見つけられない場所の名を挙げながら、賢治は“イーハトヴ”という内なる宇宙の在処を語り出します。
    それは彼の心象にのみ存在する日本の一県——けれど、そこでは人は氷雲の上を飛び、蟻と語り、風と影と共に旅をすることさえできる。

    この案内文が語るのは、童話という形式を借りながら、詩でもあり哲学でもあり、そしてひとつの信仰でもあるような文学です。
    「これは正しいものの種子を有し、美しい発芽を待つもの」と賢治は述べ、けっして既成の宗教や倫理の残りかすではないと断言します。
    それは決してユートピアを語る理想主義でもなければ、子どもを眠らせるだけの空想でもない。
    再三にわたり“けっして〜ではない”という否定を繰り返す文体のうちに、賢治がいかにこの本に、自分のすべてを賭けていたかが、じんわりと伝わってきます。

    彼がこの童話集に込めたのは、「心象スケッチ」という独自の方法で捉えられた人生の断片です。
    それは馬鹿げていても、難解であっても、必ず“万人の共通”に届くと信じている。
    そしてそれこそが、童話という形式が可能にする、最も誠実な文学のかたちなのかもしれません。

    たった一冊の、たった一度の刊行に添えられたこの案内文は、100年の時を経てもなお、読む者、聴く者の胸の奥に静かに届く力を持っています。
    それはもしかすると、今の私たちがかつてどこかに置き忘れてきた感受性の、微かな呼び声なのかもしれません。

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    9 分

渡部龍朗の宮沢賢治朗読集に寄せられたリスナーの声

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