9年目のランドセル 岡山県在住 山﨑 石根 5月末のある日、我が家と同じ天理教の教会の奥さんから、妻に相談がありました。 「私がお手伝いしている日本語教室に、ベトナムの生徒さんがいるんだけど、その男の子に使ってもらえるランドセルを探しているの」とのこと。 さっそく、「うちの息子のお古で良かったら喜んで」とお返事して、一度ランドセルを見に来てもらうことになりました。 我が家のランドセルには、それぞれに色々な思いが詰まっていました。 5人いる子どもたちの、長男、次男、長女までは、妻の両親が入学祝いとして新しいランドセルを買い与えてくれたのですが、妻は当初からそれを「6年間しか使わないなんて、もったいない」と口にしていました。選んだランドセルは決して高級なものではないのですが、かと言って安価なものでもありませんでした。 そんな訳で、4番目の三男が小学校に入学する時に、ちょうど長男が卒業したばかりでしたので、妻が両親に「もうランドセルは買わなくて大丈夫。今あるものを大切に使わせてもらうから」と、新しく購入することを断ったのでした。 三男は、長男が6年間使い切ったランドセルを引き継ぎました。長男も大切に使ってはいたのですが、それでも安物をしっかり使い込んだので、2年がいいところでした。三男が小1、小2と使い切って、いよいよくたびれた時に、今度は次男が小学校を卒業し、お兄ちゃんの2番目のランドセルが三男に下がってきたのです。 そして、それも同様に2年間使い切り、「もう結構傷んできたなあ」と心配していた時に、妻のママ友の前川さん(仮名)が「息子のランドセルを良かったら使って欲しい」と声をかけて下さったのでした。 さて、小5、小6と今度は前川君のランドセルを使わせてもらった三男ですが、前川君のランドセルは、それまでの我が家のものとは違って、立派なしっかりしたランドセルでしたので、耐久性もバッチリ、まだまだ綺麗な状態で三男もお気に入りでした。 ですので、この状態だったらベトナムの子にも十分使ってもらえるかも知れないと思い立ち、「前川君とうちの子で、8年間使ったランドセルですが、それでも良ければ…」とお返事したのです。 ちなみに5番目の末娘に関して言えば、彼女が入学した時には、まだ長女が小学生でしたので、信者さんのお知り合いから女の子のランドセルを下げてもらいました。末娘はそのお古のランドセルを小1から3年間使い、小4からは晴れてお姉ちゃんのランドセルを引き継ぎました。 そんな末娘も小6になり、図工の時間に自分のランドセルを模写する授業があったようです。先日、参観日に行くと、教室の壁にランドセルの絵がたくさん飾られていて、彼女も水色の可愛らしいランドセルをとても上手に描いていました。そして、その絵の下に「このランドセルは私とお姉ちゃんの宝物! 8年間ありがとう!」とメッセージが書いてあったのです。それを見て、妻と一緒に何とも言えないあったかい気持ちになりました。 数日後、相談してくれた教会の奥さんと、同じく日本語教室でボランティアをされている方が、二人で私たちの教会を訪ねてくれました。実際にランドセルを見てもらい、またそれ以外にも使ってもらえたらということで、妻が絵の具セットやクレヨン、クーピー、ピアニカなどのお下がりも準備し、選んで持ち帰って頂きました。 それからさらに数日経ったある日、嬉しそうにランドセルをしょっている小学1年生のベトナムの男の子の写真が、妻のスマホに送られてきました。 「前川君とうちの子が使わせてもらったランドセルが、また小学校に通わせてもらえるんやなぁ」と、妻は涙ぐみながら喜びました。そして、「前川君にも教えてあげたい」とその写真を転送すると、同じように前川君のお母さんもウルウルされたようでした。 天理教教祖「おやさま」は、「物は大切にしなされや。生かして使いなされや。すべてが、神様からのお与えものやで(教祖伝逸話篇138「物は大切に」)」と教えて下さいました。 教祖は、物を、単に捨てないとか、大事にとっておくのではなく、...
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