『心の生活習慣』のカバーアート

心の生活習慣

心の生活習慣

無料で聴く

ポッドキャストの詳細を見る

このコンテンツについて

心の生活習慣                     福岡県在住  内山 真太朗 近年、生活習慣病になる人が増えているようです。これは日々の食生活や生活リズムなど、何気ない小さな事の毎日の積み重ねが大きな要因の一つと言われていますが、人間関係で起こってくる事情も、これと同じ事なのかもしれません。 ある教会月次祭の日、おつとめも終わり、参拝者も帰られ、ひと息ついていた時、自転車に乗って教会に入ってくる人がいました。見れば、ついさっきまで一緒に月次祭を参拝していた信仰熱心な75歳の女性、タカコさん。 よく見ると、自転車に荷物をいっぱい積んでいるので、てっきりバザーに出す品を何か持ってきてくれたのかと思い、声をかけると「ちょっとしばらく教会に泊めてほしい」と言います。突然のことで驚きましたが、話を聞くと、夫婦げんかをしたとのこと。  タカコさんは、80歳になるご主人と夫婦で二人暮らし。ご主人は、若い頃は銀行マンとして支店長まで勤め上げ、社会的な信頼も非常に厚く、地域でも色んな役をつとめておられた方です。しかし、家庭では厳しく、ちょっと気に入らない事があると奥さんに当たり散らし、ひどい時には手が出てしまうこともあると言います。  教会月次祭のこの日、予定していた時間よりタカコさんの帰りが遅かった事にご主人は腹を立て、「だいたいお前は嫁としてのつとめが全く出来ていない!もう出ていけ!」と大激怒。そこまで言われると、売り言葉に買い言葉で、タカコさんは「出ていけと言われるなら出ていきます!」と言って、荷物をまとめて家を出て、行くところもないから教会に来た、ということでした。  まあ、せいぜい2、3日もすれば気持ちも落ち着いて帰るだろうと、最初は軽い気持ちで見守っていました。ところが、それから一週間経ち、二週間、三週間経っても一向に帰る気配はありません。 タカコさんは教会に来てからというもの、朝づとめ前から起きて、お掃除や洗濯、子供の世話まで、教会の用事は何でもやってくれるので助かりはしますが、ご主人の事が心配じゃないのかと尋ねると、「あの人は家事も自分でするし、一人で生きていけるから大丈夫」とキッパリ言います。 教会に来て一か月が経ち、ご主人から電話が掛かってきました。「もう帰ってきてくれ」と。私は内心、「あー良かった。これで治まる」と思い、タカコさんに電話を変わると、「あなたはこの前、私の事を全否定しましたね。私にあなたの嫁はもう務まりませんから、帰るつもりはありません」と平然と言ってのけ、電話を切ってしまいました。 これ以降も、何回もご主人から電話がありましたが、頑なに同じ返事を繰り返します。とうとう、事情を聞いたご主人の親族から連絡があり、「教会にご迷惑をおかけして申し訳ありません。ついては本人と一緒に教会に行って、タカコさんと話し合います」とのことで、早速来て頂きました。 あんなにお元気だったご主人がげっそり痩せて、歩くのもやっとの状態。奥さんに出て行かれてから一か月、まともな食事をしていなかったそうです。 教会で、一か月ぶりの夫婦再会。タカコさんと顔を合わせた瞬間、ご主人はボロボロ涙を流され、「私が悪かった。申し訳なかった。この一か月、お前のいない生活で、いかに自分が一人で生きていけないかが分かった。頼む、この通りだから帰ってきてほしい。もう一度、私にやり直すチャンスを下さい」。 大の男の魂のさんげ。それに対してタカコさんは、「私の事は先立ったと思って一人で生きて下さい。世の中には独り身の男性は大勢いますから。私はもうあなたの元には帰りません」とキッパリ言います。そこから一時間、話は平行線のままでその日は終わりました。 これはさすがに放っておく訳にはいかんと思い、とにかく私は第一にげっそり痩せたご主人が心配でしたので、それから毎日、タカコさんには内緒で、教会から食事を持って自宅にうかがい、ご主人と色々話をしながらご飯を食べることを続けました。 そして肝心なのは、タカコさんの心の向きを変えることだと...
まだレビューはありません