エピソード

  • #43 朗読の旅(1)岩手県釜石市
    2026/07/22

    『動物哲学物語 ナイス実存』『幸運であるトムとセセリチョウの世界』を携えての、朗読の旅が始まりました。

    最初に訪れたのは、岩手県釜石市の「またたび書店」さんです。

私はかつて、東日本大震災で津波の被害にあった印刷所に残っていた「活字」から詩を作る

    「足りない活字のための言葉展」に詩人として参加したことがあります。

    今回の旅では、十数年ぶりにその作品「あめふらし」を朗読しました。


    また、『動物哲学物語 ナイス実存』からはインド水牛の娘をヒロインに据えた「寄り添う心」を披露しました。


    新花巻から釜石線で向かう釜石は、関東からは遠く感じられる場所です。

    でも、それだけに旅情が溢れます。

    「またたび書店」さんでの朗読を終えたあと、すぐ目の前の学校の校庭に鹿の群れが現れました。


    動物の物語を読み、動物を呼んでしまった。

    「浜千鳥」というお酒も美味しい釜石です。


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    17 分
  • #42 ナイス実存(7)もしも笑わないクオッカがいたら
    2026/07/15

    口角があがり、笑っているような表情に見えることから

    「世界一幸福な」と形容される動物、クオッカワラビー。

    この動物の笑顔にあやかりたいと、生息地の西オーストラリア州ロットネスト島には世界中から観光客がやってきます。


    「笑顔の秘密」と題された今回の物語に登場するのは、

    一度も笑ったことがない(笑顔には見えない)ために「ブアイソ君」というあだ名までついてしまったクオッカです。

    集団の標準から外れてしまった彼には、いったいどんな秘密があるのでしょう。


    前世という設定には賛否があろうかと思いますが、

    実は彼には、人間という現象だった時があり、

    第一次大戦、第二次大戦と、人生の大半を戦争に翻弄された作家だったのです。


    『動物哲学物語 ナイス実存』より、クオッカの章「笑顔の秘密」抜粋を朗読するとともに、サン=テグジュペリが母親に宛てた最後の手紙を、拙訳『星の王子さま』のあとがきから紹介します。


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    16 分
  • #41 ナイス実存(6)ハニーポッサムの詩情
    2026/07/08

    詩とは何でしょう?

    答えることは可能でしょうか?

    おそらく、詩人によって、文学者によって、その定義や成立線の感覚は異なるものです。

    むしろ、定義など存在しないとした方が詩的であると言えるかも知れません。


    とはいえ、詩を紡ぐ者にとって、自由という大海は何かの力を与えてくれるものではありません。

    表現の責任は、それぞれのルールや必須要素があって生まれるものです。

    私にも、詩を書く際の二つの「大事なこと」があります。


    発売されたばかりの『動物哲学物語 ナイス実存』では、

    ハニーポッサムの物語で「ポエジー(詩情)とは何か」という問いが登場します。

    語っているのは、ハニーポッサムのアニキとデカオです。


    ちなみに、ハニーポッサムは大きな珠玉(タマタマ)と

    哺乳類界最大の精子(肉眼で見える!)を持つ、しかし手のひらに乗るほどの小さな生き物です。


    詩とはいったい何なのか?

    今回はアニキとデカオの会話以外にも、

    谷川雁さんのエッセイの一部、

    またガルシア・ロルカの詩「海の水のバラーダ」(小海永二訳)を朗読します。



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    21 分
  • #40 ナイス実存(5)クロコダイルの苦しい恋
    2026/07/01

    ついに『動物哲学物語 ナイス実存』が発売されました。


    今回は、巻末に譜面も掲載しました『クロコダイルの恋』を紹介します。

    オーストリアや東南アジアの汽水域に生息する世界最大、最強の爬虫類クロコダイル。

    獲物と見れば襲いかかる、誰からも好かれないこの凶暴な生き物が、あることをきっかけにイルカの少女を好きになってしまいます。


    誰かを待つ。

    暖かな気持ちを持つ。

    クロコダイルは初めて恋を知ったことで、自分が生まれたことや、世界がここにあることを、初めて鮮やかな感覚と共に受け入れます。


    しかし、叶うはずがない恋でした。


    イルカの少女に裏切られたとわかったとき、

    思い詰めた気持ちは怒りへ、憎悪へと変わっていきます。

    もとの乱暴な気性に戻ったクロコダイルは、イルカの少女への復讐のために、大海原に向けて泳ぎだします。

    自分をこの世に出現させた「神様」にも喧嘩を売って。


    待ち構えているのは悲劇です。

    この物語のヒントとなったニーチェやアルチュール・ランボーの人生と同じく、暗い闇に沈んでいくラスト。

    でも、本当の最後の最後に・・・クロコダイルは気づきます。

    イルカの少女とまた逢えるのだと信じたあの日々こそが・・・。


    さあ、どんな結末が待っているのでしょう。

    ピクルス田村くんと収録した一発録りのCDアルバム『クロコダイルの恋』より、巻末付録の譜面となった「逢いたくて」を聴いていただきます。

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    21 分
  • #39 ナイス実存(4)パンダの場合
    2026/06/24

    いよいよ『動物哲学物語 ナイス実存』の刊行週となりました。6月26日の発売です。


    今回は、表紙にもなっているジャイアントパンダの物語を朗読します。

    口を開けば鋭い牙もあるパンダ。

    れっきとした熊やんなのに、なんで竹や笹ばかり食べているの?

    いつもからかいに来る野うさぎを追いかけて崖から落ちてしまったパンダの少年。

    彼が夢うつつで見ることになった巨大な生命樹とは何か?



    あらゆる生命が網の目のように関係し合い、命の循環においてみんな役割を持って生きているという捉え方は、「ザ・センス・オブ・ワンダー」「沈黙の春」などでレイチェル・カーソンが明確に提唱し、文明と自然に対する20世紀半ばの常識を大きく揺り動かしました。


    パンダもまた、生命樹のある分岐点において大いなる選択をした(あるいはせざるをえなかった)生きものです。

    レイチェル・カーソンが説くところの自然のあり方と、パンダの運命を絡めて話したのですが、なんとなんと! 編集時に、その部分をうっかりカットしてしまいました。


    よって、今回はちょっと話が繋がらない構成になっています。

    パンダが竹を食べるしかない状態に追い込まれたこと。

    それでも自然は全体として、途切れることなく続いてきたのだということ。

    破壊してしまうのだとすれば、それは人間の文明であること。

    そのあたりを想像して行間を繋いでくだされば、なんとか聴けると思います。


    編集時のカットしすぎ。とほほ、です。

    ごめんなさいね。

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    16 分
  • #38 ナイス実存(3)オシドリの場合
    2026/06/17

    『動物哲学物語 ナイス実存』の刊行まで10日を切りました。登場する動物たちと物語に秘められた哲学者の思想を順次お伝えしていきます。


    今回は、鳥です。オシドリの物語を朗読します。

    地上から10メートル以上というとんでもなく高いところに巣を作るオシドリ。ヒナはまだ飛べないうちに巣立ちを強制され、小さな翼で羽ばたきながらもほぼ真下へ落下していきます。

    舞台の設定は、朝鮮半島の軍事境界線。

    主役のパルは、ある悲惨な状況を目撃し、巣の樹洞に引きこもってしまいます。


    巣立ちできないまま、パルは飢えて死んでしまうのでしょうか?

    そんなとき、ある声が聞こえてきます。


    この物語の根底には、晩年のゲーテが弟子のエッカーマンに語った言葉と、昆虫記ではなく、植物学においてファーブルが語ったある事実が隠されています。


    また、6月13日に、ピアニストの髙橋望さんと行ったポエトリーリーディング『響き合う言葉 金子みすゞ』の話もします。


    熱狂や多数決の暴力がはびこる時代に、大事な視点とは何か? という話です。


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    18 分
  • #37 ナイス実存(2)カンガルーの場合
    2026/06/10

    『動物哲学物語 ナイス実存』の刊行が近づいてきました。


    登場する動物たちと物語に秘められた哲学者の思想を順次お伝えしています。


    今回は、カンガルーの物語を朗読します。

    小さなネズミカンガルーから2メートル近い高さになるアカカンガルーまで、その大きさは多様です。

    一般に、小型のものをワラビー、中型をワラルー、大型をカンガルーと呼ぶようですが、厳密な区分けはありません。


    運動神経が鈍く、コンプレックスもあり、自分の居場所を見つけられないでいるワラビーの少年が今回の主役です。

    登場する思想は二つ。

    まずは、老子の一節。すべての価値判断は相対的であり、根拠がないとするくだり。

    もう一つは、私が勝手に唱えている「ゆるゆる教」の教えです。(信者は私一人)

    老子とゆるゆる教がどんな物語を紡ぐのか。

    アカカンガルーに圧倒され、居場所を求めて彷徨うワラビーの少年になったつもりでお聴きください。


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    21 分
  • #36 ナイス実存(1)コアラの場合
    2026/06/03

    楽しみながら、学びながら、冒険しながら書いている『動物哲学物語』の第2弾、『ナイス実存』が刊行されます。(6月26日、集英社インターナショナルより)

    個々の動物の生態と哲学者の思想から生まれたオーストラリアとアジアの動物たちの物語集です。


    この物語集の主役は次の動物たちです。

    コアラ、ウォンバット、マツカサトカゲ、ワラビー、タスマニアデビル、フクロモモンガ、ハリモグラ、クロコダイル、ハニーポッサム、クオッカ、ジャイアントパンダ、オランウータン、ジュゴン、オシドリ、インド水牛、キングコブラ、インドサイ、ヒマラヤタール、アムールトラ、ラクダ・・・


    動物たちとつながる哲学者や作家は、ユング、キルケゴール、デューイ、老子、ラカン、ニーチェ、フッサール、釈尊、サン=テグジュペリなど。

    挿絵は全て、このシリーズでコンビを組んでいる溝上幾久子さんの銅版画作品です。


    刊行後は、全国で歌や語りのイベントをしていきます。

    2年前に行った「朗読の旅」の再来です。どこにでも行きますので、気軽に声をかけてください。


    イベントの一発目は、6月28日、NHK文化センター梅田教室での講演と朗読です。

    朗読の効能についてもお話ししますよ。

    本の販売とサイン会も行います。も学生は参加費が無料になるようです。


    以下の場所でのライブイベントも決定しています。

    7月12 日 秋田 由利本荘市

    8月2日 札幌 六花亭ホール(きたこぶしホール)

    8月3日 白老町 ライブスペース蔵


    今回は、第1話「森の夢のコアラ」の冒頭の部分を朗読しますね。



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    17 分