• #70 爪を預けた女とナイフを握った女【ピカソ編6】
    2025/08/10

    マリー=テレーズとドラ・マール――二人の女性がピカソの絵に与えた影響は、愛の形そのものだった。安らぎと柔らかな線をもたらしたマリー=テレーズは、ピカソから切った爪や髪まで託されるほど信頼された存在。一方、激情と鋭い色彩を引き出したドラ・マールは、初対面でナイフの曲芸を披露し、ゲルニカ制作時の唯一の同伴者となった。画布に刻まれた微笑みと涙は、二人の愛の軌跡であり、ピカソの筆を大きく変えていった。

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  • #69 1億5000万ドルの真実、ピカソ最高傑作に隠された若き恋人マリー・テレーズ【ピカソ編5】
    2025/08/03

    46歳のピカソが地下鉄で一目惚れした17歳の少女マリー・テレーズ・ワルテル。彼女をモデルに描かれた「夢」は、オークションで1億5000万ドルという破格の値がつくも、出品者の肘が絵に当たり穴が開くという前代未聞の事件でキャンセルに。7年後、修復された同作品は再び競売にかけられ、さらに高値で落札されました。キュビズムでも新古典主義でもない、ピカソの全時代を通じて最も美しいとされるこの時期の作品群に隠された、禁断の恋の物語とは。

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  • #68 平面に立体を詰め込んだバグ、キュビズム誕生【ピカソ編4】
    2025/07/27

    ピカソとジョルジュ・ブラックがタッグを組み、絵画を“分解”し再構築するという前代未聞の試みに挑んだ、それがキュビスムの誕生です。目はあっち、鼻はこっち、まるで画面がバグを起こしたような肖像画が生まれた背景には、恋愛模様やセザンヌの理論、そしてピカソ自身の飽くなき探究心がありました。芸術と理論の実験室から生まれた新たな表現が、なぜ人々の心をざわつかせ、笑わせ、そして考えさせたのか? キュビスム誕生の裏にある、複雑でユーモラスな人間ドラマをお届けします。

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  • #67 ピカソの作品が下手に、なぜ『アビニョンの娘たち』は30年眠っていたのか?【ピカソ編3】
    2025/07/20

    ピカソの代表作の一つである『アビニョンの娘たち』は、完成後すぐに「意味がわからない」と酷評され、約30年もの間アトリエの片隅で眠り続けました。なぜ当時の人々はその価値を見抜けず、そしてなぜ後に傑作として世界的評価を受けるようになったのでしょうか。このエピソードでは、作品が生まれた背景となったアフリカ彫刻との出会い、ピカソ自身の絶え間ない変化への欲求、さらには評論家アンドレ・ブルトンによる再発見のドラマを紐解いていきます。リスナーは、時代を超えて評価が逆転する芸術の不思議と、ピカソがいかにして「現代美術の革命」を起こしたのかを深く理解することができるでしょう。

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  • #66 偉大な画家の目覚めは浣腸だった?【ピカソ編2】
    2025/07/13

    浣腸による覚醒で人生が始まった?わざと下手になっていった?

    その出だしから普通ではなかった巨匠中の巨匠、ピカソ。多くの人が上手くなるために修練を積む中、これ以上上達しようがない技量で人生が始まった画家は、どのように「下手になっていった」のか?

    その出生から最初に個性が確立された「青の時代」について、美術史上最高の天才の生涯を見ていきます。

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  • #65 何者にも括られない『ピカソ』というジャンル、変わり続けた画家の人生劇場【ピカソ編1】
    2025/07/06

    この回では、ひとつの枠組みに収まらず常に変貌を続けたピカソの生涯と創作活動に焦点を当てます。青の時代、キュビスム、陶芸などジャンルを横断し、革新と模倣を巧みに織り交ぜながら、常に市場のトップを維持し続けた彼の創作の秘密に迫ります。また代表作《ゲルニカ》制作の裏にあったスペイン内戦だけでなく、私生活における離婚調停など個人的な背景にも触れ、ピカソの創作を支えたエネルギーの根源を紐解きます。変化し続けることを恐れず、自らをアップデートし続けたピカソの生き方は、ビジネスや日常生活においても新たな視点と刺激を与えることでしょう。

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  • #64 絵は残らず、伝説だけが残った、「幻の画家たち」が刻んだ“ものがたり”
    2025/06/29

    実物を失ったからこそ語り継がれた――ゼウクシス、パラシオス、アペレスの逸話は、絵そのものではなく“体験”の鮮烈さで歴史に刻まれました。笑い、欺き、愛という人間臭いドラマが、鑑賞者の想像力を解放し、のちの芸術家たちに「見えない名画」を描かせたのです。見えないキャンバスに宿った情動の軌跡が、現代の私たちにどんな示唆を与えるのか、耳で味わう美術史の旅へ出発しましょう。

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  • #63 天才の裏側で崩壊した人生、クローデルが追い求めたもの【ロダン編2】
    2025/06/22

    彫刻界の頂点に君臨したロダンの陰で、才能を開花させながらも狂気に飲み込まれていった女性彫刻家、カミーユ・クローデル。その卓越した技術は師ロダンを彷彿させると賞賛される一方で、彼女の存在を永遠にロダンの影に縛り付けることとなった。自らの独自性を追い求め、葛藤と絶望の中で精神を病んでいった彼女が作品に込めたのは、どのような叫びだったのか?今回は、クローデルが生涯を通じて追い求めた「ロダンではない自分の美」と、彼女を襲った悲劇的な運命に迫ります。アートの華やかな世界の裏側に潜む、才能と狂気の壮絶なドラマを通じて、真の自己を表現することの難しさとその価値を深く掘り下げます。

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    25 分