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サマリー
あらすじ・解説
🎙️ 宮沢賢治「『注文の多い料理店』序」朗読 – 透明な風と桃色の朝をめぐる、ことばのはじまり。
『注文の多い料理店』――宮沢賢治が生前に世に送り出した、最初で最後の童話集。
その冒頭に置かれた「序」は、作品全体を貫く感受性と、作者のまなざしを静かに伝える短い文章です。
このエピソードでは、その「序」の全文を、丁寧な朗読でお届けします。
この「序」は、いわゆる前書きや解説のような性質のものではなく、
読み手に静かに語りかけるような、親密な雰囲気をまとっています。
氷砂糖、すきとおった風、桃いろの朝、森の中のびろうど――
それらは、どこか現実と夢のあいだにあるような風景として描かれ、
物語が生まれた源のような感覚をにじませます。
賢治は、この本のなかに「わたくしには、そのみわけがよくつきません」と正直に綴ります。
ある物語は「あなたのためになる」かもしれず、あるものは「わけのわからないところもある」と。
けれども、それでも「どうしてもこんなことがあるようでしかたない」という、
切実な思いを、そのまま差し出すように書かれています。
今回の朗読では、その素朴でやわらかな言葉の流れを大切にしながら、
耳にすっとなじむ声でお届けします。
ページをめくるのとはまた違うかたちで、
「序」のことばのなかにある静かなひかりを感じていただけることでしょう。