二人で語る、とは、、、、、セリフに込められた心の表現がより鮮やかに聞く人に届くように、男女二人の朗読者によって物語は語られていきます。

夫が愛したのは、なんと、御殿ご寵愛の男、だった･･･　女として、武家の妻として、揺れる心を描ききった佳編。——妻として、また二児の母として生きつつ、同人雑誌に作品を発表しつづけて十年余、みごと直木賞を受賞したときには「主婦作家」「プロ作家になれるかどうか」とまで評された安西篤子の実力をご堪能ください。

【袖時雨】袖に涙が落ちかかるのを、しぐれ（通り雨）にたとえていう語。（大辞林より）　　・・作家であり、また、詩人であった作者の、叙情性あふれる佳作。

町医の佐和玄得は、薬園の貸与の十年延長を請願してきた。弥右衛門はその町医の信望の篤さを知って請願書を受け付けるが藩の要職にある者はそれに反対し、大目付本間総兵衛は、息子平蔵と弥右衛門の息女雪との関係も抑えようとする。 （時代小説）

大店の豆腐屋・美濃屋に不思議な客がやってきた。 その男は焦げ茶色の宗匠頭巾をかぶり黒の同服を着て、太緒の雪駄をはき、飄々とすべるように歩いてくるのだ。そして、来るたびに油揚げを20枚注文すると、店先の床几に腰を下ろして全部、ぺろりと平らげてしまうのだった。 （時代小説）

ふた月ぶりで国元に帰ってきた児玉新之助は、 新妻きわに逢えると胸はずませてわが家の門をくぐる。 梅屋敷と呼ばれるほど梅樹の多い児玉家は紅梅が盛んであった。 （時代小説）

「ねえ、どうしてお金持になったおちかちゃんが植木職人の銀次さんと一緒になるのは健気で、貧乏人のわたしが三桝屋の若旦那と一緒になるのは図々しいんですか」。泣くおていに笑兵衛は笑ってみせた…。人は、傷つくほど優しくなれる――江戸は大島川沿いの澪通り、それぞれに苦しみをかかえて生きる人々と、見守るともなく見守る木戸番の夫婦の日々の物語。 監督/吉田純子・編集/三好達也_林岳史

神社の脇に４０代半ばの斎藤桂之助という男が住み着いた。無愛想な独り者・桂之助を、色々と気にかけてやるつね。そんなつねはある日、恋人の昌次から、勤め先の小料理屋の若旦那から金を盗み、心中したように見せかけて逃げようと誘われる･･（時代小説）

辻堂の茶店の女主人おすぎは、客にかわって、江戸に居るという葛籠職人の伊助を訪ねる。雪の夜ひたすら葛籠作りに没頭する伊助におすぎの気持ちは揺り動かされる･･･　愛の言葉もなにもない恋愛小説の秀作『一会の雪』　　桶師の浅吉が娼婦おりんに夢を訊く「一度自分の家の据風呂に入ってみたかった」「極上の据風呂をこさえてやりてえなァ」暖かい湯にひたっているような一時の『水明り』

夫が殺された。殺したのは夫の親友、その理由は金。残された妻の選んだ道は——（時代小説）　妻として、また二児の母として生きつつ、同人雑誌に作品を発表しつづけて十年余、みごと直木賞を受賞したときには「主婦作家」「プロ作家になれるかどうか」とまで評された安西篤子の実力をご堪能ください。

半年後に祝言を控えた愛娘・三千代が暴漢に襲われた。 定町廻り同心「仏の慶次郎」は、自刃した娘の遺言書を懐に復讐に燃えるが･･･（時代小説）

朋輩の家での碁の集まりで始まった乱闘事件に 巻き込まれた三輪新平は 婿養子の縁を自ら切って去って行く。 妻の袖に残されたのは、机上の一輪の山梔子の花。（時代小説）

嫁いだ先で起きた変事——舅と嫁がゆるしあいゆく心の襞を描く佳編（時代小説）　　･･･妻として、また二児の母として生きつつ、同人雑誌に作品を発表しつづけて十年余、みごと直木賞を受賞したときには「主婦作家」「プロ作家になれるかどうか」とまで評された安西篤子の実力をご堪能ください。

齢73歳にして、北海道開拓を志した医師・関寛斎。藩医師を経て、戊辰戦争における野戦病院での功績など、これまでの地位や名誉を捨ててまでも寛斎は北の大地を目指した。その彼を傍らで支え続けた妻のあい。

たよ が離縁した男･仙三郎をさがして、若き武士・康之助が訪ねてきた。そのまま二人はずるずると共に暮らし始める。「腕は立ちそうにも見えないが、頭は切れるのだろう。太平が続くと、こういう思い上がりがふえてくる。」･･そんな康之助はたよに、夫婦にならないかと言う。（時代小説）

後家のふみは、ある日、孫の師である川島葵の思いがけない一面を知り心が騒ぐ。夫と疑いもなく過ごした歳月をいぶかるようになる。すっかり女であることを忘れていたふみが、葵のことを考えると、心揺さぶられるようになる･･･（時代小説）

父を亡くし裸足で茹卵を売って糊口をしのいでいた娘が、とうとう呉服商田原屋の嫁にまでなった。なのに「深川へ帰りたいんです」。少女だった女は泣く。「人の心まで粗末にするようになって…」。人は、傷つくほど優しくなれる――江戸は大島川沿いの澪通り、それぞれに苦しみをかかえて生きる人々と、見守るともなく見守る木戸番の夫婦の日々の物語。　監督/吉田純子・編集/三好達也_林岳史

小間物問屋の老舗「三々屋」のかんざしは、粋で贅沢なものと決まっていた。しかし、若くして店を継いだお紺は、番頭や職人の反対を押して模様を線であらわして銀の量を減らし、手ごろな値段の新しいかんざしを売り出した･･･（時代小説）

上野広小路の、老舗菓子司「金沢丹後」では、小豆の精製に上質な水がたくさん必要だった。これまでは筋向いの本阿弥家の、ゆずり葉の井戸を自由に使わせてもらっていたのだが、本阿弥家代替わりになり･･･（時代小説）

日雇人足の作蔵は、爪に火を灯すようにして苦しい生活の中から金を貯め、有名な料理屋「春江亭」に、古金問屋の若旦那と称して訪れる。そこで働いている女中のおみちと出会う･･･（時代小説）

芝露月町にある評判の鰻屋「十三川」の入り婿･爽太は、事件を事件にせずにすませてしまう一風変わった岡っ引であった。おつやは、着物を買いに行く友だちのおあきに付き合って、古着屋へ行ったところ･･･　心の機微をしみじみと描き出した、江戸情趣あふれる一作。（時代小説）

「それもこれも、みな死ぬまでの暇つぶしよ」　　呉服屋「波奈屋」の娘で１０歳のいとは、誘拐されるところを五十がらみの男に助けられる。「あんただって、あいつとしめしあわせて、助けるふりして、どこかへ連れてゆくつもりかもわかんないじゃない」と言ってのけた縁で、その男・荻水と親しくなった･･･（時代小説）

弓町で男が２人怪我をした、そのうち１人が慶次郎を呼んでくれと頼んでいるという。身体に受けた傷と言い分とが合わないのだ･･･＜傷＞　　　ふと、すれ違った女の顔を見て、慶次郎は一瞬背筋に悪寒が走った。尋常ではないその様子が気になり、後をつけて行った･･･＜饅頭の皮＞　　慶次郎縁側日記シリーズの２作を収録。（時代小説）

「あの亭主は何だね。まともな噺は喋れやしない。生涯、前座で終わっちまうよ」　噺家・かん生の嫁は、男みたいな軀つきの野暮な女だった。かん生はしだいに、彼を贔屓にしてくれる深川芸者の染八に惹かれていく･･･（時代小説）

治兵衛は彫金、朝湖は絵描き、容姿気質とも天と地ほどひらきのある二人だったが、互いの友情はこの上なく深かった。（時代小説）