エピソード

  • 【地震に自信を】熊本地震から1ヶ月が経ちました(2026年8月30日 今村文彦先生)
    2026/08/31
    令和8年熊本地震は、7月28日16時27分頃に発生した内陸浅部を震源とする大規模地震です。直近の被害状況やこれまでに明らかになっている特徴、今後の主な課題を紹介したいと思います。震源は熊本県熊本地方、深さ約16 km、マグニチュード 7.1で、熊本県宇城市、八代郡氷川町で震度7、熊本市南区で震度6強、その他周辺市町村で震度5強〜6弱を観測しました。国内での震度7の観測は2024年能登半島地震以来です。8月中旬時点の集計で、死者39名、負傷者300名以上、全半壊含め1万3,000棟以上の住家被害があり、イオンモール熊本での爆発・崩落事故や、八代市の製紙工場での煙突崩落などが生じました。九州自動車道や主要国道の損傷・通行止め、また、ピーク時には数万戸規模の断水が発生しました。2016年の熊本地震から約10年というタイミングで、再び同地域を震源とするM7クラスの大揺れに見舞われました。復興を遂げつつあった地域基盤や住民の心理面に二重の大きな影響を与えています。① 周期1〜3秒の強い揺れと産業・商業施設被害:横ずれ断層型特有の激しい揺れが平野部を中心に広がり、木造住宅のみならず工場煙突の折損や大型商業施設の一部破壊・爆発事故など、大規模建築物や産業インフラへの大きなダメージが目立ちました。② 酷暑・真夏の避難環境:7月下旬〜8月初旬の最高気温が35℃を超える連日の猛暑の中で発災したため、避難所や車中泊、自宅の片付け現場における熱中症リスクが急増しました。・断水や停電が続く中、冷房設備の整った避難所の確保や給水態勢の強化が最優先課題です。環境悪化や車中泊に伴う体調不良(熱中症・エコノミークラス症候群・感染症)による「災害関連死」を防ぐ取り組みが求められています。 ・宇城市や八代市など一部地域で断水の完全解消まで期間(8月末頃見込み)を要しており、生活用水・飲料水の安定供給と幹線道路の早急な本復旧が急がれます。・10年前の熊本地震の記憶がフラッシュバックするなど、被災者の精神的負担が深刻化しています。長期的なメンタルヘルスケア態勢(PTSD・トラウマ対策)の構築が必要です。 ・避難地域の防犯と生活再建:空き巣等の不法侵入犯罪を防止するための巡回警備の徹底と、住家被害認定・り災証明書発行手続きの迅速化による住宅再建支援が求められます。
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  • 【地震に自信を】南海トラフ地震臨時情報(2024年)(2026年8月23日 今村文彦先生)
    2026/08/24
    2024年8月8日、宮崎県沖の日向灘を震源とするマグニチュード7.1の地震が発生したことを受け、気象庁は制度運用開始(2019年)以来初めてとなる「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。1週間の呼びかけ期間(8月8日〜8月15日)を経て呼びかけは終了しましたが、初の運用であったからこそ見えてきた成果・効果と混乱(振り返り)、そして今後の課題が明確になりました。成果・効果としては、個人や家庭での非常持出品のチェック、避難経路や安否確認手段の再確認など、平時の備えを再点検する直接的なきっかけとなりました。また、多くの自治体や事業者で、南海トラフ地震対策計画や初動対応フローを実地で検証する「社会実験」的な役割を果たしました。しかし、発表時期が夏休み・お盆休みの直前であったため、沿岸部を中心とする旅館・ホテルの大量キャンセル、海水浴場の開設中止、夏祭りや花火大会などイベントの延期・中止が相次ぎました。また、スーパーや薬局などで、水、パックご飯、米、防災用品の売り切れや品薄が発生しました。「注意」と「警戒」の区別がつかず、「〇月〇日に必ず巨大地震が来る(予知)」と誤解されたり、SNS上で偽情報・デマが拡散する事態が発生しました。 今後に向けた改善策・展望として下記が挙げられます。 ①情報発信の強化と一元化;臨時情報発出時には内閣府と気象庁が速やかに合同で記者会見を開き、「何をするべきで、何をしなくてよいか(過度な自粛や買いだめを控えること)」をわかりやすく発信する態勢を整備。②直感的で伝わりやすい図解広報;「平常時」「注意」「警戒」の際にとるべき行動パターンを、視覚的に理解できるピクトグラムやイラストを用いて平時から周知。③事業継続(BCP)と生活の両立;自治体や観光事業者、交通機関などが一律に自粛するのではなく、「避難態勢を整えた上で社会経済活動を継続する」ための実用的な標準マニュアルの更新。
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  • 【東北大学防災UPDATES!】コンピューターの進化(2026年8月16日 森口周二先生)
    2026/08/17
    2026/8/16 災害科学国際研究所 災害評価・低減研究部門 計算安全工学研究分野教授 森口周二先生 コンピューターの劇的な性能向上は災害科学の発展に大きく貢献しています.世界最速のスーパーコンピューターを例に上げれば,20年前と比べて約1万倍の性能を持つほどにまで演算性能が上がりました。この進化により,都市規模の地震・豪雨シミュレーションによる災害リスク評価や,リアルタイム予測といった社会実装が進んでいます.一方で,土砂災害への適用は,入力データの不完全さという課題がボトルネックになっており,未だ限定的です.今後もコンピューターの更なる進化に期待しながら,その潜在能力を十分に引き出して社会問題の解決に資する研究を進めたいと思います.
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  • 【地震に自信を】仙台明治青年大学での60周年記念講演(2026年8月16日 今村文彦先生)
    2026/08/17
    仙台明治青年大学は昭和41年(1966年)6月に創立。市民センター等で行われていた「老壮大学」の修了生たちが「老壮大学の大学院のような学び場を」と提案したことから誕生した市民主体の生涯学習大学です。仙台市在住の満61歳以上(老壮大学等の修了生)が対象で、受講生は約700名にのぼります。本科生の修業期間は6年ですが、修了後も「研究生」として在学し続けられるため、「卒業のない大学」として長年親しまれています。「学生主体の自主運営」が看板で、学生の中から選出された運営委員会が年間の学習計画策定から講師の依頼、会計処理、講座当日の受付・司会進行までを行っています。学習内容は歴史、郷土史、健康・医療、科学、文学、時事問題など多岐にわたります。全学生を対象としたアンケート調査をもとにカリキュラムが編纂されるため、学生目線の関心に寄添った講座が毎月2回開講されています。クラブ・同好会活動など多彩なキャンパスライフと地域貢献が特徴で大学祭もあります。 先月7月22日、太白区文化センター楽楽楽ホールを会場に「創立60周年記念式典」が行われ、私が『15年を迎えた東日本大震災の経験と教訓 - 次への備えを』と題した記念講演を行わせていただきました。東日本大震災から15年目、発災当時の経験や風化させてはならない記憶・教訓の継承や今後想定される自然災害に向けた事前防災・減災のあり方、高齢者自身や地域コミュニティが取り組むべき現実的な「備え」と避難行動における留意点などを紹介、みなさん熱心に耳を傾けてくださいました。https://meiseidai.jp
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  • 【GLOBAL TALK】アメリカ・ミシガン州出身の仙台市国際交流員 ウィリアム・ホーさん(2026年8月9日)
    2026/08/10
    ゲスト:アメリカ・ミシガン州出身の仙台市国際交流員 ウィリアム・ホーさん
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  • 【地震に地震を】地震火山地質こどもサマースクール in 気仙沼(2026年8月9日 今村文彦先生)
    2026/08/10
    https://kodomoss.jp 本日から明日10日の1泊2日で「第25回 地震火山地質こどもサマースクール in 気仙沼」が開催されます。日本地震学会・日本火山学会・日本地質学会の地学系3学会、三陸ジオパーク推進協議会、および気仙沼市が連携して開催する小・中・高校生向けの体験型科学教育プログラムで、全国から40名以上にご応募いただきました。今回は、気仙沼市東日本大震災遺構・伝承館や気仙沼中央公民館などを会場に、被災地・気仙沼という「生きた現場」での実践学習を目指しています。東日本大震災の大きな被害を受けた気仙沼・三陸エリアで、津波のメカニズムや震災の教訓を教科書上の知識としてではなく、実際の地形・遺構・実験を通してリアルに体感・学習します。また、大学や研究機関の第一線にいる研究者と子どもたちが超近距離で対話し、「研究者は現場で何を見て、どう問いを立て、どう確かめるのか」というプロの科学的探究アプローチを直接受け継ぐことができます。明日13時からは公開フォーラムがあり、子どもたちが2日間の成果を発表するほか、専門家による基調講演(私が担当します)を行います。事前登録は必要ありませんので、気仙沼中央公民館へお越し下さい。 サマースクール伝統の理念として、自然の脅威(防災・減災)だけでなく、豊かな地質やジオパークがもたらす「自然の恵み・地域の魅力」をセットで理解する視点を養います。過去のサマースクール参加者から地学・防災工学・都市計画分野への進学や、地域ジオガイドとして活躍する人材が生まれています。本大会を通じ、将来の防災リーダーや研究者の卵が育つことが期待されます。
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  • 【東北大学防災UPDATES!】崖地形との共存(2026年8月2日 森口周二先生)
    2026/08/03
    災害科学国際研究所 災害評価・低減研究部門 計算安全工学研究分野教授 森口周二先生 2026年7月9日、仙台市太白区向山二丁目の崖地形で崩壊が発生しました.長い年月の中で広瀬川が作り上げた河岸段丘の崖地形です.崖地形の崩壊は,表面の風化や地震・豪雨などの外力により発生しますが,この現象自体は自然界では珍しいものではありません.ただし,風化が原因であれば,徐々に進行するものであり,その進行速度は人間の時間スケールに対して非常に長いものになります.災害が発生するとそのリスクが可視化されるため,その場所が他の場所と比べて著しく災害リスクが高いというイメージになりがちですが,日本全国何かしらの災害リスクにさらされています.また,仙台における崖地形は古くから仙台の文化や街並みに大きな影響を与えてきた存在でもあります.災害という一方的な視点だけではなく,平時の利便性や景観などの視点も含めながら,そこに住むという覚悟をもって災害との共存を考えていく必要があります.
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  • 【地震に地震を】AI時代の防災・減災「哲学と学び」(2026年8月2日 今村文彦先生)
    2026/08/03
    AIの進化に伴い様々な利活用が行われていますが、その中で、「倫理、哲学」や「問いを立てる力」が注目されています。特に、人命の確保や想定外の事態に直面する「防災・減災」の分野で重要になると思われます。その重要性、課題、今後の注意点は以下の通りです。・防災における「哲学と学び」の重要性:AIはデータから避難ルートや被害予測を迅速に算出できますが、最終的な意思決定には人間の考えや倫理など哲学が不可欠です。自分の命が助かること、周りの方達を助けることなどでは、多くの葛藤や板挟みが生まれています。同様に、救助資源の投入先やインフラ復旧の順位など、災害時に発生する「正解のない倫理的ジレンマ」は、データ計算ではなく人間の倫理(哲学)でしか判断できません。・想定外への対応力:AIは過去データの最適化が得意な反面、激甚化する複合災害には対応できません。「AIの予測が通じない場合はどうするか」という不確実な問いを立て、泥臭くシミュレーションを重ね、地域の強靭性を高めることが求められています。・AI防災が直面する課題:AIへの過度な依存は人間の「思考の浅薄化」を招き、災害時に致命傷となり得ることも懸念されています。避難指示アプリへの依存は「通知がないから安全」という油断や、通信障害による途絶時にどう動いていいか分からないといった、デジタル依存型の脆弱性を生み出します。 ・今後の注意点: AIという強力な道具を得た現代だからこそ、人間の思想や倫理が災害時の命(明暗を分ける)の格差に直結します。平時から「人間独自の思考の深み」を鍛えておくことこそが、最大の減災となると考えます。
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