『#68.5 ついに届いた読書感想文を紹介します!』のカバーアート

#68.5 ついに届いた読書感想文を紹介します!

#68.5 ついに届いた読書感想文を紹介します!

無料で聴く

ポッドキャストの詳細を見る

このコンテンツについて

番組初イベント、ラランドニシダの実家には帰らない ~ニシダ家の団欒 2025夏~ 配信チケット購入はこちらから →https://l-tike.zaiko.io/e/nishida 2025/7/18放送分アフタートークです。 ついに届いた読書感想文を紹介します! ※Youtubeは映像付きです! 『ただ君に幸あらんことを』感想 RNほっしー まず始めに、この度はニシダさんが執筆されたこの本を贈っていただいたこと、感謝申し上げます。二篇読ませていただきました。 感想はメールでは送りきれないため、この形で送付いたしますが、 ここに書かれた内容は、一部を切り取りもしくは全文、 ラジオやSNSなどにて使用されても構いません。 『国民的未亡人』は、主人公の夫・榊の人物像を少しずつ解明していくにつれ、主人公・美紘の気付きを経て、じわりとにじり寄る悲哀と絶望、それから拭えないもやつきの感覚を読者に与える作品と感じました。読む前に心配したのは、著者の顔を知っていると、声や顔つきがチラつくのではということでしたが、冒頭数ページで無用な心配だと知りました。ひたすら細かい情景描写や主人公の自然な女性らしい仕草は、全くニシダさんの風体を思わせません。そしてその細かく、冗長ではとすら言えるほどの情景描写は私の頭に、物の位置、空の色、空気の湿り気や人の肌の匂いまで全てを再現させるようでした。注釈かのようにどんどん出てくる描写に加え、息が詰まるような句点の少なさに、私は最初読みづらさを感じてしまったのですが、段々と主人公の感情の移ろいに共感するように、重く馴染んでいきました。 内容に入ります。穏やかで、そして特別派手でないが美しい家での主人公の朝支度から始まり、テレビクルーとのやり取りとインタビューを終えた時点でも、私はこの主人公の人間性がよく掴めずにいました。主体的か受け身なのかすらよく掴めない、が、どちらかというと容易くないという印象の持ち主です。過剰なまでに用意した多種の清涼飲料水群は、配慮の塊としてよりも、外面を整えておき余所行きの気遣いを見せることで下手に内面に触れさせないようにするための膜のようなものを感じたのです。私生活についてあまり喋ってくれない同僚のようなものでしょうか。夫で故人である榊のことについても一緒に、容易く教えてはくれなそうです。主人公目線の小説の話であるにも関わらず、「この人なんか喋りにくいな」と思っていました。読後の今にして思えば、この妙な違和感こそが話全体の空気感と結末を司っていたのです。美紘が夫のことを愛していたということだけは、疑いようのない事実と受け止めていました。ただし、彼女が話してくれるのはひたすらに外向けの『大スター榊』の表面だけで、彼に対しても人間味を感じさせてはくれません。それでも淀みなく質問に答えてくれるのは、心からの尊敬と愛があるからで、榊について探らせてくれないのは夫との宝のような思い出に指紋をつけさせたくないということなのだろうと考えていたのです。結果的に見てもそれは一部間違いではありま せん。彼女は間違いなく夫を愛している。少なくとも自覚している中ではそうなのです。美紘が「榊は不倫をしていた」と突きつけられたあたりから、段々と彼女の感情が開示されていくようでした。それからは私が知りたがった榊について、彼女も知っている限りを教えてくれるようになります。それだけ、この持ち込まれた話題は彼女にとって衝撃的で、風船という膜をつつき割られ水が弾け出たような出来事だったということでしょう。同時にそれは彼女が榊の全てを知る人物では無いという事実を示します。怒り、悲しんだ末の行動に、榊という人物について他人に聞いて情報を集めるという選択をとったことからも、彼女達の関係は良好であったとしても、こちらが深堀りするほどの中身が無いことを知らしめてきました。そして彼女が私に教えてくれた榊の知る限りのことは、既に余所に出された表面的な榊恭司の情報がほとんど全てだと改めて知ることになるのです。私が触れたかった宝のような思い出はただ一つ、恭司がリンゴをむ ...
まだレビューはありません