エピソード

  • 【青空朗読】水車のある教會 著者:オウ・ヘンリ/三宅 幾三郎 訳 読み手:矢野 淳子 時間:42分34秒
    2026/07/16

    水車のある教會

    著者:オウ・ヘンリ/三宅 幾三郎 訳 読み手:矢野 淳子 時間:42分34秒

     レイクランヅはハイカラな避暑地の目録には入つてゐない。クリンチ川の小さな支流に臨むカンバランド山脈の低い支脈の上に在る。もと/\レイクランヅといふのは、寂しい狹軌鐵道沿線の、二十數戸の靜かな村の名である。まるで、鐵道が松林の中で道に迷つて、怖く淋しくなつて、その村へ逃げ込んだやうにも見え、又村の方が道を失つて、汽車に故郷へ連れて歸つて貰ひ度さに、線路のふちに固まり合つてゐるといつた風にも見える。

     それに、レイクランヅといふ村の名も變だ。湖水なんか無いんだから、そのほか、附近には取立てゝ云ふ程の物もない平凡なところだ。

     村から半哩ばかりのところに、イーグル・ハウスといふ大きな廣い建物がある・・・

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    43 分
  • 【青空朗読】グースベリーの熟れる頃 著者:宮本 百合子 読み手:中村 昭代 時間:22分41秒
    2026/07/15

    グースベリーの熟れる頃

    著者:宮本 百合子 読み手:中村 昭代 時間:22分41秒

     小村をかこんだ山々の高い峯は夕日のさす毎に絵で見る様な美くしい色になりすぐその下の池は白い藻の花が夏のはじめから秋の来るまで咲きつづける東北には珍らしいほどかるい、色の美くしい景色の小さい村に仙二は住んで居た。

     十八で日に焼けた頬はうす黒いけれ共自然のまんまに育った純な心持をのこりなく表して居る、両方の眼は澄んで大きな瞳をかこんだ白眼は都会に育った人の様な青味を帯びては居なかった。

     何の苦労と云う事も知らずに育った仙二は折々は都会のにぎやかな生活をするのでその土地の方言は必してつかわなかった。

     下帯一枚ではだしで道を歩く女達が太い声で、ごく聞きにくい土着の言葉を遠慮もなくどなり散らすのを聞くと知らず知らず仙二は頭が熱くなって来る様にさえ思った・・・

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    23 分
  • 【青空朗読】牛女 著者:小川 未明 読み手:山城 美奈 時間:21分16秒
    2026/07/14

    牛女

    著者:小川 未明 読み手:山城 美奈 時間:21分16秒

     ある村に、脊の高い、大きな女がありました。あまり大きいので、くびを垂れて歩きました。その女は、おしでありました。性質は、いたってやさしく、涙もろくて、よく、一人の子供をかわいがりました。

     女は、いつも黒いような着物をきていました。ただ子供と二人ぎりでありました。まだ年のいかない子供の手を引いて、道を歩いているのを、村の人はよく見たのであります。そして、大女でやさしいところから、だれがいったものか「牛女」と名づけたのであります・・・

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    21 分
  • 【青空朗読】りんごの車 著者:新美 南吉 読み手:鈴木 佳子 時間:1分14秒
    2026/07/13

    りんごの車

    著者:新美 南吉 読み手:鈴木 佳子 時間:1分14秒

    りんごが三かご

    のつてる車、

    ころころいつた。

    子供が押した。


     (りんごが一かご

      あちらで売れた。)

    りんごが二かご

    木箱の車、

    ころころいつた。

    子供が押した。

     (りんごが一かご

      こちらで売れた。)


    りんごが一かご

    のこつた車、

    ころころいつた。

    子供が押した。


     (りんごが一かご

      どこかで売れた。)

    帰りは子供が

    のつてる車、

    ころころいつた、

    お家の方へ。

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    1 分
  • 【青空朗読】うさぎさん と おほかみさん 著者:村山 籌子 読み手:鈴木 星南 時間:2分29秒
    2026/07/12

    うさぎさん と おほかみさん

    著者:村山 籌子 読み手:鈴木 星南 時間:2分29秒

     うさぎさんが散歩してゐました。もうなつになりかけでしたから、きれいな花が咲いてゐました。そしていゝ匂(にほ)ひがしてゐました。

     一人で歩くのは、うさぎさんには、初めてです。なぜといつて、うさぎさんは小学校の二年生でしたから。一人だつたので、とてもこわかつたのでした。うさぎさんは大変背がひくいでせう。ですから、鼻の先に見えるものは、草と、葉ばかりでしたから、ずつと前や、うしろから、何が出てくるか、ちつともわかりません。

     ところが、うしろのはうで、がさがさといふ音がしたのです。うさぎさんは胸の中がひつくりかへるほどびつくりしました。

     がさがさいふ音が、とてもひどく、ちかくなりました。そして、うしろをふりむいてみましたら、毛だらけの、目が二つあつて、口の大きなものが、ちらりと見えました・・・

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    2 分
  • 【青空朗読】良夜 著者:饗庭 篁村 読み手:ヨシオカ ミエコ 時間:34分40秒
    2026/07/11

    良夜

    著者:饗庭 篁村 読み手:ヨシオカ ミエコ 時間:34分40秒

     予は越後三条の生れなり。父は農と商を兼ねたり。伯父は春庵とて医師なり。余は父よりは伯父に愛せられて、幼きより手習学問のこと、皆な伯父の世話なりし。自ら言うは異な事なれど、予は物覚えよく、一を聞て二三は知るほどなりしゆえ、伯父はなお身を入れてこの子こそ穂垂という家の苗字を世に知らせ、またその生国としてこの地の名をも挙るものなれとて、いよいよ珍重して教えられ、人に逢えばその事を吹聴さるるに予も嬉しき事に思い、ますます学問に身を入れしゆえ、九歳の時に神童と言われ、十三の年に小学校の助教となれり。父の名誉、伯父の面目、予のためには三条の町の町幅も狭きようにて、この所ばかりか近郷の褒め草・・・

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    35 分
  • 【青空朗読】ウグヒスブエヲ フケバ 著者:新美 南吉 読み手:都築 洋子 時間:3分2秒
    2026/07/10

    ウグヒスブエヲ フケバ

    著者:新美 南吉 読み手:都築 洋子 時間:3分2秒

     ムラノ コドモタチガ ウグヒスブエヲ フキマシタ。

     ミンナデ イツシヨニ ニギヤカニ フキマシタ。

    「ケキヨケキヨケキヨ、ヨ、

     ケキヨケキヨ、ヨ」

     ミンナハ アタタカク ナツテ クルト ハヲリヲ ヌイデ フキマシタ。

     スルト モリヤ ヤブノ ナカニ ヰタ ウグヒスタチハ ソレヲ キキマシタ。

     ソコデ、ウグヒスタチハ ミンナデ イツシヨニ、キカラ キヘ ツタハリナガラ、ニギヤカニ コドモタチノ ハウヘ アソビニ ユキマシタ。

    「ヤア ウグヒスガ アソビニ ヤツテ キタ」ト、イヒナガラ、コドモタチハ テヲ ウツテ コロコビマシタ。

     トコロガ、ミンナト ハナレテ、オカアサンヲ ナクシタ カアイサウナ コドモガ ヘイニ モタレテ ヰマシタ・・・

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  • 【青空朗読】流言蜚語 著者:寺田 寅彦 読み手:宮澤 賢吉 時間:9分47秒
    2026/07/09

    流言蜚語

    著者:寺田 寅彦 読み手:宮澤 賢吉 時間:9分47秒

     長い管の中へ、水素と酸素とを適当な割合に混合したものを入れておく、そうしてその管の一端に近いところで、小さな電気の火花を瓦斯の中で飛ばせる、するとその火花のところで始まった燃焼が、次へ次へと伝播して行く、伝播の速度が急激に増加し、遂にいわゆる爆発の波となって、驚くべき速度で進行して行く。これはよく知られた事である。

     ところが水素の混合の割合があまり少な過ぎるか、あるいは多過ぎると、たとえ火花を飛ばせても燃焼が起らない。尤も火花のすぐそばでは、火花のために化学作用が起るが、そういう作用が、四方へ伝播しないで、そこ限りですんでしまう ・・・

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