エピソード

  • FRBにはまだ先がある可能性
    2026/09/17
    FRBは3年以上ぶりに利上げを行った後も、政策が引き締め的だとは見ていません。弊社の債券リサーチ・グローバル責任者であるアンドリュー・シーツが、それが今後の金融政策の道筋に何を意味し得るのかを解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、弊社債券リサーチ・グローバル責任者であるアンドリュー・シーツが、FRBが利上げを行った後も、なお金融政策が景気を支えていると考えている理由についてお話します。このエピソードは9月17日にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。昨日、FRBは政策金利を0.25%引き上げました。この利上げ自体は広く予想されていました。より注目されたのは、ウォーシュ議長がそれをどのように説明したかです。その決定後の記者会見で、同議長はFRBが「緩和の一部」を取り除いたと述べました。また、議長自身も多くの同僚も、金融環境全般を引き締め的と表現するのは難しいと考えている、と述べました。これは重要な区別であり、いまや市場の議論の核心となっています。金融政策がすでに引き締め的であるなら、追加利上げは、FRBが経済に対して、いわばブレーキをさらに強く踏むことを意味します。しかし、政策がまだ緩和的であるなら、利上げはアクセルを少し緩めるようなものです。つまり、FRBが提供している支援を少し減らすにすぎません。そして、それが委員会の見方であるなら、まだ先がある可能性を示唆しています。昨日の会合を受けて、弊社のエコノミストは現在、12月と3月にそれぞれ0.25%の追加利上げが行われ、FRBの政策金利誘導目標レンジは4.25~4.5%に引き上げられると予想しています。そして、その後は2027年末までこの水準が維持されると見ています。この新たな見通しは3つの要因に基づいています。1つ目は、まさにこの緩和をめぐる表現です。経済を均衡させる金利水準は、リアルタイムでは常に見極めが難しい。しかし、企業利益の力強い伸び、融資の拡大、企業活動の活発さを踏まえると、現在の金利水準が経済全体の活動を抑えているとは一概には言えません。FRBも同じように考えている可能性があり、そのために、より高い金利を多少受け入れやすくなっているのかもしれません。2つ目はインフレです。ウォーシュ議長は、インフレについては個々のデータよりもトレンドが重要だと繰り返し強調しました。そしてその観点から見ると、インフレ率はなお高すぎるように見えます。依然として多くの項目で3%を上回る伸びが続いています。FRBは、インフレ率が望むほどの速さで持続的に再び目標の2%へ向かっているとは、まだ確信していないようです。3つ目は地政学です。ウォーシュ議長は、7月の会合以降に変化した要素の1つとして、地政学的な動向を明確に挙げました。また、FRBは原油高だけでなく、いわゆる二次的影響にも注視していることも明らかにしました。つまり、燃料価格の上昇が、燃料を多く必要とするものの価格上昇につながるかどうかです。たとえば航空券は、経済の中でも価格上昇が最も速い分野の1つです。原油価格の上昇は、その大きな一因です。したがって、エネルギー市場がなお大きく混乱している中で、これは引き続き不確定要因です。もう1つ、留意すべき点があるかもしれません。委員会は、いわゆる長期的な中立金利、つまり長期的に見て最終的に到達し、経済を均衡させると考える金利の推計値も引き上げました。そして、これをおよそ3.25%に引き上げました。これは不確実な推計であり、ウォーシュ議長自身もその重要性を重視しない姿勢を示しました。ただ、方向性としては、均衡を保つ金利がより高いという見方は、現在の金利がどの程度の水準であれ、経済成長に対して以前考えていたほど引き締め的ではないことを意味します。その中立金利との比較で見ると、以前考えていたほど高...
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  • 株式投資家が見逃すべきでないサイクル半ばへの移行
    2026/09/15
    弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、市場がどのようにサイクル半ばの環境へ移行しつつあるのか、また、リーダーシップが持続的な利益を備えた、より質の高いアセットライトな企業へと移っている背景について解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、株式投資家にとってインフレが懸念材料とはならない理由について解説します。このエピソードは9月15日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。市場はこの数カ月、表面的に見ているだけでは気づかないほど、多くの調整を進めてきました。6月初め以降、S&P 500は方向感に乏しい動きとなっていますが、その水面下では主導役が大きく変わっています。景気サイクル初期に強かった、資本集約型の勝ち組企業から、フリーキャッシュフローがより潤沢で、利益率が高く、よりアセットライトな事業を持つ、質の高い企業へと主導権が移りつつあります。ソフトウェア、金融サービス、保険、ヘルスケアサービスでは、今年前半に半導体やその他の景気敏感株が享受していたような、利益予想の上方修正の強さが見え始めています。弊社は、これは経済が景気サイクルの初期から半ばへ移行しつつあることを、市場が確認している動きだと考えています。多くの投資家が昨日のニュースを議論している一方で、市場はすでに新しい主導役へと動き始めています。そのよい例が、先週発表されたインフレ指標です。結果は予想をやや上回り、メディアやFRBウォッチャーはかなり大きく反応しました。しかし、9月の利上げ確率は数カ月前から上昇しており、指標発表前の時点ですでに70%近くに達していました。現在は95%です。株式市場では、債券市場でのこうした織り込みの見直しと並行して、バリュエーションが切り下がってきました。要するに、インフレ指標は一部の人にとってはニュースだったかもしれませんが、市場にとってはそうではなかったということです。これを、FRBが対応で後手に回っていると見る向きもあるかもしれません。しかし債券市場は数カ月前からその展開を見込んでおり、実質的にはFRBに代わって引き締めを進めてきました。株式市場もこの力学をよく認識しているため、バリュエーションは低下し、指数はここ数カ月ほとんど足踏み状態が続いています。これは、典型的なサイクル半ばへの移行局面の動きでもあります。FRBがインフレ抑制という使命に軸足を移し始めるなか、力強い利益成長がバリュエーション低下によって相殺されるのです。言い換えれば、最初の利上げは「リスクオフ」を意味するわけではありません。ただし、それは6月以降に弊社が強調してきた、質の高い企業へのローテーションと全体的な見方を裏づけるものでもあります。その理由は利益にあります。以前からお聞きいただいている皆さまには繰り返しになりますが、ラッセル3000指数構成銘柄の利益成長率の中央値は10%台半ばでに達しており、これは2021年以来の速いペースです。また、利益予想の修正も引き続き堅調です。これは、まさにサイクル半ばの定石どおりです。利益が市場を支える主役となり、市場は弱気に転じているのではなく、より選別的になっているのです。より具体的には、市場はより高いキャッシュ・コンバージョン能力、より強い利益率、そしてより持続的な成長を求めています。だからこそ、今年夏の初めに起きたモメンタムの巻き戻しは誤解されてきました。一部の投資家はこれを、混み合ったポジションからレバレッジが抜けただけだと見ていますが、それではより大きなメッセージを見落としてしまいます。半導体は典型的な景気サイクル初期のセクターであり、6月には利益予想修正の広...
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  • FRB、フットボール、そして不確実性の対価
    2026/09/10
    弊社の債券リサーチ・グローバル責任者であるアンドリュー・シーツが、FRBの政策、AI関連の資金調達、エネルギー供給を巡る不確実性に対して、市場が投資家に十分な対価を支払っていない可能性があるのはどのようなときか解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、弊社の債券リサーチ・グローバル責任者であるアンドリュー・シーツが、アメリカンフットボールを題材に、不確実性の価値について何を学べるのかについて考察します。 このエピソードは9月10日にロンドンにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。私はこの季節が本当に好きです。外は少し涼しくなりました。街には新学期の始まりを告げる高揚感が漂っています。そして何より、ようやくアメリカンフットボールのシーズンがやって来ました。2025年に米国で放送されたテレビ番組の視聴者数上位100本のうち、90本はフットボールの試合でした。社会の分断が進み、コンテンツの視聴環境もますます細分化するなかで、これほど多くの人々の関心を集めていることは驚異的です。フットボールの人気を説明する要因は数多くありますが、時間とともに私がより実感するようになったものの一つが、その戦略的な複雑さ、とりわけ不確実性の価値です。次のプレーがランなのかパスなのかを悟られないようにすること、ブリッツを仕掛けるのか、仕掛けるならどこからなのかを隠すこと。コーチたちは最後の瞬間まで選択肢を残しておこうと懸命に努めます。そして9月を迎えるなかで、この戦略はフットボールだけに限られるものではありません。FRBを例にとってみましょう。市場は来週の利上げを約3分の2の確率で織り込んでいます。これは、NFLのチームがセカンド・アンド・セブンでパスを選択する確率とほぼ同じです。この不確実性の一因は、ジャクソンホールでのウォーシュFRB議長の発言をどのように読み解くかにあります。ウォーシュ議長は、基調的インフレ率が「明確に、かつ十分な速さで」目標に向かっているとFRBが確信する必要がある、と述べました。向かっていなければ、FRBには「なすべきことがある」と指摘しています。これは一般的に、利上げに一歩近づいたものと解釈されました。しかし、本当にそうなのでしょうか。十分な速さとは何を意味するのでしょうか。基調的インフレ率とは何を指すのでしょうか。そして「なすべきことがある」とは実際にはどういう意味なのでしょうか。結局のところ、弊社のエコノミストが予想するように年後半にインフレが改善するのであれば、この枠組みは同じくらい簡単に、何もしないという判断を正当化し得ます。弊社は、FRBが来週、金利を据え置くと予想しています。もっとも、これは確かにきわどい判断です。次に、AI関連の資金調達における不確実性があります。ここでの金額は非常に大きなものです。弊社のアナリストは、2027年に大手ハイパースケーラー6社の支出が1兆3,000億ドルを超えると予想しており、これは今年の記録的な水準から60%の増加になります。ただし、これだけの資金がどのように調達されるのかは、あまり明確ではありません。投資適格債から資産担保証券、直接金融から保証まで、パブリック市場とプライベート市場をまたいだ資金調達の選択肢はますます豊富になっています。支出自体は実現する可能性が高いように見えますが、その形態や他の市場にどの程度影響を及ぼすかは、より不確実です。私の同僚であるマシュー・ホーンバックとヴィチー・ティルパットゥールは今週初め、こうした不確実性の一部と、それが米国債利回りに及ぼし得る影響について説明しました。最後に、エネルギー市場にも不確実性が影を落としています。一部のアナリストは、ホルムズ海峡の原油の流れがようやく正常化しつつあると楽観しています。弊社はそう見ていません...
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  • AI投資ブームは報われるのか
    2026/09/09
    大手テクノロジー企業はAIに1兆4,000億ドル超を投じており、投資家は「それに見合う価値はあるのか」と問いかけています。弊社の米国インターネットアナリスト、ブライアン・ノーワックが、生成AIを活用するテクノロジーで25%~50%のリターンを生み出し得る3つのビジネスモデルについて考察します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回のエピソードでは、弊社の米国インターネットアナリスト、ブライアン・ノーワックが、生成AIを支える巨額の投資が実際に報われるのかについて考察します。このエピソードは9月9日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。AIは急速に日常生活に入り込んでいます。ソフトウェアの作成、購入前の調査、業務の自動化、情報検索など、数え切れないほど多くの用途で人々を支援しています。しかし、こうした活動のすべて、そして今後さらに増えていく活動を支えるには、非常に大規模なインフラの整備が必要です。弊社の推計では、大手クラウドプロバイダーは来年だけで、このAI基盤整備に1兆4,000億ドル超を投じる見通しです。そして、演算能力は2025年から2028年にかけて4倍になる可能性があり、およそ120ギガワットに達するとみています。しかし、こうした支出の拡大は、投資家の間に多くの疑問を生んでいます。最もよく聞かれる問いの1つは、これらの企業がこうした何兆ドルものデータセンター・インフラ投資から、どの程度の投下資本利益率を得られるのか、というものです。この問いに対して、弊社のボトムアップ分析は心強い答えを示しています。弊社は、新たに登場しつつある3つのAIビジネスモデルにおいて、およそ25%~50%の投下資本利益率、つまりROICを実現する道筋があるとみています。ROICは、投資が採算に合うかどうかを測るうえで有用な指標です。最初に必要となる資本に対して、税引き後営業利益をどれだけ生み出せるかを示す指標と考えるとわかりやすいでしょう。弊社が分析した最初のビジネスモデルは、演算能力の貸し出しです。これはAI経済のインフラ層にあたります。クラウドプロバイダーは、高性能の画像処理半導体、つまりGPUを備えたデータセンターを構築し、その演算能力を顧客に貸し出します。弊社の基本ケースでは、大規模な次世代データセンターは、AI向け演算能力を貸し出すだけで、およそ30%の投下資本利益率を生み出すことができます。また、貸出価格が変動したとしても、弊社のシナリオでは、リターンは20%台前半から40%近くまでの範囲となります。したがって、こうした施設の建設に多額の費用がかかり、大きな資本が投じられるにもかかわらず、この分野の経済性はかなり魅力的だと考えています。弊社が分析した2つ目のビジネスモデルは、AIラボが自社のモデルを持ち、さらに自社のインフラも保有するケースです。こうした企業は、APIを通じて消費者や企業にモデルへのアクセスを提供し、利用者はそのモデルを活用します。場合によっては、そのモデルを使ってアプリケーションを開発し、それが将来的に経済全体の生産性や効率性を高める源泉となる可能性があります。このシナリオでは、経済性はさらに高くなる可能性があると弊社は考えています。モデル開発企業が基盤となるインフラを自社で保有している場合、弊社の基本ケースでは、およそ75%の増分営業利益率と、40%超の投下資本利益率が生み出されます。こうした投下資本利益率は目覚ましいものですが、では、これらのリターンが実際に実現するかどうかを左右する要因は何でしょうか。2つのことが非常に重要です。1つ目は、開発企業がトークンに対してどの程度の価格を設定することができるかです。トークンとは、AIモデルが処理する情報の単位です。2つ目に非常に重要なのは、このインフラがどれだけ効率よくトークンを処理できるかという点です...
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  • 330億ドル規模のAIセキュリティ市場機会
    2026/09/01
    AIエージェントが企業の機密システムにアクセスするようになる中、企業には、その行動を制御する新たな方法が必要です。ミータ・マーシャルが、エージェント型AIのアイデンティティ・セキュリティという新興市場について解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回のエピソードでは、弊社の米国サイバーセキュリティおよび通信・ネットワーク関連機器アナリスト、ミータ・マーシャルが、職場で私たちに代わって行動し始めているAIアシスタントを取り上げ、重要な問いを投げかけます。こうしたエージェントには、どのような行動を認めるべきなのでしょうか。そして、その権限はどのように付与すべきなのでしょうか。 このエピソードは9月1日にニューヨークにて収録されたものです。 英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。私たちが日々の仕事をこなすうえで、AIの助けを借りる場面はますます増えています。文書の要約やデータ分析、会議中のメモ作成などをAIに頼んでいます。ただし、こうしたツールは単に質問に答えるだけの存在から、私たちに代わって行動する存在へと次第に軸足を移しつつあります。そうなると、セキュリティ上の課題は、単にツールを管理することから、まったく新しいデジタル労働力全体を統制することへと大きく変わります。弊社の推計では、今後数年のうちに、人間の従業員1人当たりAIエージェントが79個、マシン・アイデンティティが109件に達する可能性があり、この問題はさらに大きくなるとみられます。従来の職場におけるアイデンティティ・セキュリティは、「あなたは誰か」「何にアクセスできるか」という2つの基本的な問いに答えるために構築されてきました。オフィスの入館証を思い浮かべてください。入館証は本人を識別し、どのドアを開けられるかを決めます。しかし、AIエージェントの場合、この問いに答えるのははるかに難しくなります。AIエージェントは自律的に動作し、複数のアプリケーションやデータベースを横断し、ほかのエージェントと協働できます。また、人が直接関与しなくても行動を起こします。そのため企業は、エージェントが何にアクセスできるかだけでなく、なぜアクセスが必要なのか、どのくらいの期間必要なのか、そして実際に何をしたのかまで把握する必要があります。これが、エージェント型AIのアイデンティティ・ソリューションを支える中核的な基盤です。この問題がもたらすリスクは、すでに相当な規模に達しています。現在、職場環境で起きる侵害のおよそ80%には、盗まれた、または不正利用された認証情報が関係しています。過去1年間に、10社中9社がアイデンティティ関連の侵害に遭い、83%が2回以上経験しています。ここに、人間1人当たり数百に上る可能性のあるマシン・アイデンティティやAIアイデンティティが加わり、それぞれが常時、機械の速度で稼働すると考えると、問題ははるかに大きくなります。AIエージェントを管理する方法の1つが、常設権限ゼロです。エージェントに恒久的なアクセス権を与えるのではなく、特定のタスクを実行するための権限だけを付与し、作業が完了したらその権限を取り消します。ただし、ここには課題があります。現在、特権アクセスのうち、このジャスト・イン・タイム型、または常設権限ゼロの仕組みで管理されているのは39%にすぎません。しかも現実には、すべての申請を人が承認することはできません。今後は、ランタイム・ガバナンスと呼ばれる仕組みを通じて、より多くの判断をリアルタイムで自動的に行う必要があります。その結果、弊社の基本シナリオでは、エージェント型AIのアイデンティティ市場だけで、世界全体で約330億ドルの市場機会になり得ると推計しています。これにより、アイデンティティ市場全体では、今後数年で600億ドルを超える規模になります。I普及によって...
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  • コーヒーから缶飲料へ:米国で進むカフェイン摂取の変化
    2026/08/31
    若い世代が、カフェインの摂取スタイルを変えつつあります。弊社の米国家庭用品・飲料アナリスト、ダラ・モーセニアンが、エナジードリンクへの需要の高まりが、今後長年にわたって飲料の消費習慣にどのような影響を及ぼす可能性があるのかを解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。今回は、米国家庭用品・飲料アナリストのダラ・モーセニアンが、米国の次世代の消費者が、毎日のカフェイン摂取のあり方をどのように大きく変えつつあるのかを解説します。このエピソードは8月31日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。何世代にもわたって、米国人にとってカフェインといえばコーヒーでした。朝起きてポット一杯のコーヒーをいれるか、コーヒーショップに立ち寄って一日を始める、というのが定番でした。しかし、今では状況が違います。若い消費者は、一日のスタートを切るための選択肢がはるかに多い環境で育ってきました。最近、コンビニエンスストアやジム、大学の図書館に足を運ぶと、カフェインを摂取する手段として、エナジードリンクがますます有力な選択肢になっていることが分かります。こうしたカフェイン入り飲料を飲む量が増えている理由は、とても単純です。より多くのエネルギーを得たいからです。過去3カ月間にエナジードリンクの摂取量を増やした消費者のうち、61%が、もっとエネルギーが必要だったと回答しています。新しいものを試してみたいという気持ちも重要です。44%が新しいフレーバーを試すことを理由に挙げ、37%が新しいブランドを試していると回答しました。およそ3,000人の米国消費者を対象に弊社が実施した調査では、今後もエナジードリンクには大きな成長余地があることが示されています。現在エナジードリンクを飲んでいる消費者に尋ねたところ、今後3カ月間に摂取量を増やすと答えた人の割合は、減らすと答えた人の割合を19ポイント上回りました。これは弊社の過去の調査結果を大きく上回っており、男女いずれにも当てはまります。おそらくさらに興味深いのは、摂取量を増やすと見込んでいるのが誰なのかという点です。人口動態は、従来よりエナジードリンクの消費を左右する重要な要因となってきました。若い世代は、従来のコーヒーや炭酸飲料に代えて、エナジードリンクを選ぶ傾向を強めています。弊社の調査で特に重要なのは、25~34歳と35~44歳の年齢層が、今後摂取量を増やす意向を最も強く示したことです。これは、非常に若い時期からエナジードリンクを取り入れた消費者が、年齢を重ねてもこのカテゴリーから離れていないようであることを意味します。つまり、その習慣をそのまま持ち続けているのです。また、カフェイン入り飲料の市場はゼロサムではないことも重要です。確かに世代ごとの好みは変化していますが、市場全体のパイは実際に拡大しています。カフェイン入り飲料の中で最もシェアを伸ばしているのはエナジードリンクですが、弊社の調査では、エナジードリンクの摂取量の増加分のうち、コーヒーから直接切り替えた分はわずか20%、炭酸飲料から直接切り替えた分は22%でした。つまり、需要の大半は実際、カフェイン入り飲料全体にとって純増分なのです。今後については、エナジードリンクがカフェイン入り飲料の中で最も成長率の高い分野となり、年率で一桁台後半の成長が続くと弊社は予想しています。手の届く価格で楽しめるちょっとしたぜいたく品として定着するにつれ、アルコール飲料やスナックなどに取って代わる動きさえ見られます。特にこの動きはGLP-1によって後押しされており、減量によってエネルギーが低下した消費者のカフェイン需要も一段と高まっています。したがって、エナジードリンク・カテゴリーでは、力強い一桁台後半の成長が続く可能性が高いとみています。過去...
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  • 米国債務拡大に対するワシントンの動き
    2026/08/28
    米国の債務が予想を上回るペースで増える中、11月の中間選挙から読み取れるワシントンの動きについて、弊社米国公共政策リサーチ責任者、アリアナ・サルバトーレが考察します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、米国の財政政策が再び注目されている理由と、来る中間選挙から読み取れる債務の全般的な先行きについて、弊社の米国公共政策リサーチ責任者、アリアナ・サルバトーレが解説します。このエピソードは8月28日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。財務省が最近発表した国債買い戻しを受け、米国の財政政策が再び投資家の注目を集めています。買戻しが発表された週、債務総額は大方の予想より数ヵ月も早く大台を超え、初めて40兆ドルに達しました。弊社のアンドリュー・シーツが指摘するように、債務総額はとても膨大です。ただ、より注目すべきは、金額そのものではなく、増大する債務が経済の足かせになり始めているかどうかという点です。現時点において、米国債市場で信用問題が生じているとは言い切れません。しかし、そうだからこそ、財政が再び議論の俎上に載っています。その背景には、様々な理由があると私たちは考えます。景気後退に陥っていないにもかかわらず、米国は大規模な財政赤字に陥っています。弊社エコノミストによれば、赤字は2027年までGDP比6%前後で推移する見込みで、有権者は高水準で推移する債務を明らかに懸念しています。それでは、ワシントンではなぜ緊縮財政がもっと議論されないのでしょう。その答を簡単に言えば、政治的インセンティブが緊縮財政と相反するためだと私たちは考えます。単純化し過ぎることを承知で言えば、財政健全化、つまり赤字削減には、歳出削減か増税のいずれかを実行する必要があります。しかし、そうした選択に伴う政治的代償は即座に表面化します。したがって、特に選挙を控えた時期には、タイムリミットを伴う重大な決定や既存制度に対するリスクが争点として浮上しない限り、与野党どちらにもそうした政策変更に前向きになるインセンティブがないと考えます。では、選挙後はどうでしょう。中間選挙そのものが財政政策の軌道を修正するきっかけになると私たちは考えていません。ただし、その後の方向性を知る有効な手掛かりにはなると思います。私たちは特に2つの点に注目しています。1つ目は社会保障です。11月の中間選挙で最大の争点になる可能性は低いものの、老齢・遺族保険信託基金問題のタイムリミットが徐々に迫っているため、債務を巡るより広範な議論の行方を占う試金石として役立つかもしれません。最新の評議員報告書では、老齢・遺族保険信託基金が2032年第4四半期に支払能力を失うと予測されており、このまま法改正がなければ、予定給付額の約78%しか賄えなくなる可能性があるとのことです。ただし、この問題の争点としての重要性は、今年11月の中間選挙よりも2028年の大統領選挙でより高まりそうです。この年の選挙で勝利した人物が、基金が枯渇する時期に大統領の座に就いているからです。それでも、11月の中間選挙からは、政治的な争点がどこに収斂しつつあるかを読み取ることはできると思います。最近の世論調査からすると、有権者にはかなり一貫した傾向が見られ、すなわち、有権者は政治家に行動を取るよう求めており、幅広い給付削減よりも、高所得者への増税を支持する様子が読み取れます。また、所得分布の最上位層を対象にするものに限れば、給付削減にも比較的前向きであるようです。2026年中間選挙の候補者の多くが社会保障税の課税対象となる所得上限の引き上げに足並みを揃えたり、一部の共和党候補が受給開始年齢の引き上げといった主張を選挙運動で前面に出さなくなったりした動きには、こうした背景があると考えます。候補者が打ち出...
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  • 米国の債務増加が問題になり始めるのはいつか
    2026/08/26
    弊社債券リサーチ・グローバル責任者のアンドリュー・シーツが、金利上昇と米国債務の増加が、いつ、どのように単なる抽象的な懸念では済まなくなるのかを解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードでは、弊社債券リサーチ・グローバル責任者、アンドリュー・シーツが、金利の上昇と債務の増加が、実際にどの時点から問題になるのかを解説します。このエピソードは8月26日にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。米国は、建国後約240年間で、およそ20兆ドルの連邦債務を積み上げました。そして、直近のわずか10年間で、さらに20兆ドルの債務を積み増しました。投資家にとっての問題は、第一に、この債務負担がいつ経済活動にブレーキをかけ始めるのか、さらに悪いケースとしては、現在の比較的落ち着いた状況を揺るがすようなストレスをいつ生み出し始めるのか、ということです。では、1つ目の問いから見ていきましょう。債務が経済活動に影響が及ぶまでのハードルは、かなり高いようです。AIをめぐる活発な動きがあるにもかかわらず、米国企業の債務は、経済全体に占める比率で見ると、この10年間ほぼ変わっておらず、実際、パンデミック前の水準を下回っています。米国の家計部門のバランスシートは、さらに健全です。家計債務の対GDP比は、コロナ禍前を下回り、2000年の水準も下回っています。しかも、これだけでは家計の強さを十分に表していない可能性があります。債務の多くは、過去の低金利局面の低い住宅ローン金利で固定されている一方、バランスシートの反対側にある家計資産は大幅に増え、過去最高水準に達しているためです。金利とエネルギー価格が上昇しているにもかかわらず、今年、消費者と企業がともに予想以上の底堅さを保ってきた理由の一端は、ここにあるのかもしれません。公的部門と民間部門のバランスシートに見られるこうした傾向の違いは、米国に限ったものではありません。欧州でも政府債務が増える一方、それ以上に民間部門の債務削減が進んでいます。日本では公的部門の借り入れが増える一方、民間部門のレバレッジはかなり安定しています。経済の公的部門と民間部門のこうした違いには、政策上の選択がある程度反映されています。政府は、課税と歳出のバランスをどう取るかを決めます。そして米国に限らず、多くの国がこの10年間に減税を進める一方、公的部門の借り入れ増加を増やしてきました。そうした選択を踏まえれば、民間部門の財政状態に比べて公的部門の財政状態が悪化することは、特に驚くようなことではありません。健全なバランスシートのおかげで、米国の家計と企業が金利上昇の影響を受けにくくなっているとすれば、ストレスの兆候はどこに表れるのでしょうか。これほど多額の債務があるにもかかわらず、米国債市場は今のところ、実際にはかなり落ち着いています。米国のインフレ期待は年初来でほぼ変わっておらず、債券市場の予想変動率も歴史的な低水準にあります。実際、米財務省が最近、債券市場に介入したことが投資家にとって大きな驚きとなった理由の一つは、こうした通常のストレス指標が見られなかったことです。むしろ、利回り上昇が市場により大きな影響を及ぼし始める時点は、別の要因、つまり資産配分に左右される可能性があります。現在、30年物米国債の利回りは、その期間の予想インフレ率をおよそ3%上回っています。米国の長期投資適格社債の利回りも、再び6%を超えています。そのため、利回り上昇がいつ問題になり始めるのかという問いは、企業がいつ借り入れをやめるのか、あるいは消費者がいつ支出を控えるのかということよりも、投資家がいつ、株式より債券のほうが割安だと判断するのか、ということに関係しているのかもしれません。今のところ、弊社のリサーチ...
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