エピソード

  • 中南米の3つの変化がグローバル・ポートフォリオを再編しうる理由
    2026/02/09
    めったに見られない「春」が中南米に近づいている可能性がある――弊社中南米チーフ・株式ストラテジストのニコライ・リップマンはそう指摘しています。地政学、ピークに達した金利、そして選挙という3つの要素がそろい、投資主導の成長サイクルが始まる環境を整え、株価に大幅な上昇余地をもたらすというのがその理由です。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は弊社の中南米チーフ・株式ストラテジストのニコライ・リップマンが、投資家が中南米に注目すべきである理由についてお話しします。このエピソードは2月9日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。弊社リサーチのコアとなる投資テーマは実にシンプルです。中南米地域は現在「トリフェクタ」つまり、3つの重要な変化に直面しており、投資家がこれまで慣れ親しんだ同地域の投資ストーリーとは大きく異なる局面を示唆しているとみています。グローバルな人工知能(AI)設備投資サイクルを背景に、中南米においても投資サイクルもしくは設備投資サイクルに移行し、従来の消費サイクルから完全に逸脱するサイクルに、同地域が向かう可能性があると弊社はみています。 現在の中南米地域のGDPは、およそ6兆ドルあります。しかし、世界株式の主要ベンチマークであるMSCIオールカントリー・ワールド株式指数における中南米株式の割合はおよそ訳0.80%にすぎません。率直に言って、これではこの広大な地域を投資家が見逃してしまうのも無理はありません。しかし、3つの主な要因のおかげでこの状況が変わりつつあります。第1の要因は、多極化がますます進むこの世界での地政学の変化です。これについては、貿易のルール、安全保障における優先事項、そして描き換えられつつあるサプライチェーンに見られるとおりです。資本や投資も、こうしたルール変更に伴って動いていくことがよくあります。ご承知のように、中南米における米国の優先事項は明らかに変化してきましたし、それに伴って中南米諸国の優先事項やインセンティブも変化しています。第2に、中南米の金利はピークに達している可能性が高く、2026年に低下に転じる公算があります。借り入れコストが低下すれば、工場、インフラ、AI、その他あらゆる種類の新規投資のための資金調達が容易になり、実現可能性が高まります。さらに言えば、中南米地域ではほとんどすべての国において国内資本市場の規模と成長に大きな変化が見受けられます。これは改革の成果であり、以前と異なる新しいサイクルだとみて間違いありません。そして最後に、選挙が中南米地域全体で政策の重要な変化につながる可能性があります。コロンビアとブラジルの選挙が近づくなかで、財政責任重視に向かう兆候が多くの国で見られるのです。すでにアルゼンチン、チリ、メキシコでは、新しい政策立案者が従来のポピュリズムをやめた様子が見受けられます。したがって地政学、金利、各国の選挙の3要素を合わせると、「中南米の春」が来るかもしれないという弊社のテーマの核心にたどり着きます。現状と決別して財政再建、金融緩和、そして構造改革へと舵を切るかもしれない、ということです。そして弊社では、この動きは投資家の信認回復と民間資本の誘致につながる可能性があると考えています。弊社の「春」シナリオでは、経済成長率がブラジルとメキシコで6%、アルゼンチンで7%にそれぞれ上昇し、チリは4%にとどまる、そして金利は上昇ではなく低下するとみています。中南米地域の再評価を後押しするシナリオです。そして、多くの投資家が見逃していると思われる強力な要因がもうひとつあります。それは、すでに指摘した過去のサイクルとの大きな違いは、中南米諸国の国内貯蓄です。中南米の現地のポートフォリオは今日(こんにち)はるかに大きくなっており、資本市場の...
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  • 新しいFRB議長、新しい市場シグナル
    2026/02/02
    弊社の最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、ケビン・ウォーシュ氏の次期FRB議長指名が市場にどのような影響を与えるかについてお話しします。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社の 最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストのマイク・ウィルソンが、ケビン・ウォーシュ氏の次期FRB議長への指名がもたらす影響についてお話しします。このエピソードは2月2日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。1月30日にトランプ大統領は、ケビン・ウォーシュ氏を次期FRB議長に正式に指名しました。ウォーシュ氏について市場で語られている評価は比較的分かりやすく、FRBのバランスシート規模に対してタカ派寄りであり、金利については現在の指導部より柔軟で、無制限の流動性供給にはあまり積極的ではない、とみられています。こうした人物像は概ね正しいのですが、なぜ今ウォーシュ氏なのか、今回の指名でどのような問題を解決しようとしているのか、というより重要な問いには答えていません。私の見方では、その答えは政治ではなく、市場の動きから始まります。ここ数か月、貴金属価格は放物線を描くように上昇し、同時にドル安が続いてきました。現政権は、特に経済全体のリバランス戦略の一環として、ドル安は本質的に悪いことではないと明確に述べていますが、「管理された下落」と「無秩序な下落」には大きな違いがあります。これがなぜこれほど重要なのかを理解するには、視野を広げて状況を俯瞰する必要があります。現政権は、20年以上にわたり積み上がってきた巨額の債務負担を、最終的には経済成長によって乗り越えるという同じ目標のもと、3つの側面から米国経済のリバランスを同時に進めようとしています。現時点で歳出削減だけで対応するのは、経済的にも政治的にも現実的ではありません。名目成長こそが、唯一現実的な道筋なのです。現在の戦略は、より供給サイドに重きを置いています。すなわち、関税やドル安によって貿易構造を見直し、過度の消費から投資主導の経済へと転換し、移民政策の実施や規制緩和を通じて格差に対応するというものです。狙いは、政府ではなく企業が資本配分の判断を行える環境を整えるとともに、給付ではなく賃金を通じて所得を押し上げていくことにあります。もしこれが機能すれば、名目成長が加速し、生産性向上に支えられたより健全な実質成長とのバランスが実現していくはずです。市場は、ある程度すでにこのストーリーを織り込み始めています。昨春以降、景気敏感株がアウトパフォームし、市場の広がりが改善し、市場の牽引役は前のサイクルを支配していたメガキャップ銘柄から交代し始めています。中小型株も再び存在感を見せています。これはまさに、私の中心シナリオである「よりホットだが短い」景気拡大の中盤で見られる典型的な動きです。同時に、金価格の急騰は、別の動きが起きていることを示しています。貴金属がこれほど動くときは、投資家が「最終局面」に疑問を抱き始めているサインです。そこで登場するのが、ケビン・ウォーシュ氏です。今回の指名には、FRBのバランスシートに対する信認を回復し、こうした懐疑の勢いを和らげる狙いがあると考えられます。金曜日の値動きからすると、その狙いは奏功しました。金と銀は急落し、ドルは小幅に上昇し、株式と金利は比較的安定していました。この組み合わせは時間稼ぎを可能にします。そしてこの戦略が機能するには、まさにその「時間」が不可欠なのです。市場がこのストーリーを信じているかを測る最良の方法の一つは、S&P500と金価格の比率を見ることです。これは、生産的な成長への信認を測るシンプルで強力な指標です。直近の比率の急落は、主に金価格の上昇によるものでしたが、金曜日の急反転は...
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  • 市場の好調が続く公算が大きいのはなぜか
    2026/01/30
    一部の投資家の懸念にもかかわらず、バリュエーションはしばらく予想以上に高止まりしそうだ――市場の主要な指標がそう示唆していることについて、弊社債券リサーチ・グローバル責任者の アンドリュー・シーツが解説します。 このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は債券リサーチ・グローバル責任者の アンドリュー・シーツが、変化が連日押し寄せてくるように感じられるこの世界での、安定への重要な道しるべについてお話しします。このエピソードは1月30日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。モルガン・スタンレー・リサーチでは、2026年には財政、金融、規制の3政策の緩和がさらなるリスクテイク、企業活動、アニマル・スピリッツを下支えするとの見方を中核的なテーマのひとつに位置付けています。たしかにバリュエーションはすでに高いのですが、世界の非常に多くの地域で多くの力が、景気の刺激という全く同じ方向にはたらいていることから、バリュエーションは想定よりも高い水準に、かつ想定よりも長い間とどまる可能性があります。米連邦準備制度理事会(FRB)、イングランド銀行、欧州中央銀行(ECB)そして日本銀行は、政策金利を市場の想定よりも大幅に下げるか、市場の想定よりも小幅な引き上げにとどめるだろうと弊社では考えています。また米国、ドイツ、中国そして日本の政府が歳出を増やすため、財政政策も景気を刺激するスタンスが続くとみています。そして、私がこのポッドキャストで先日お話ししましたように、頻繁に変わるわけではありませんが規制がこの方程式には欠かせない項目でが 、規制がさらにリスクを取ることを後押しする方向に向かっています。もちろん、景気を刺激する要素が多く揃い過ぎていたら、帆を何枚も広げたボートのように、制御不能になるかもしれないという懸念はあります。地政学の逆風が渦を巻き、金の価格がこの1年で2倍になっただけに、政府も、そして財政・金融・規制の3政策も変化が大きすぎるのではないかと思っている投資家は少なくありません。こうした懸念を具体的に表現すればどうなるでしょうか。たとえば、私が投資家にお話しするときには、次のように言い換えられると思っています――私たちがいま目にしているのは、将来のインフレ率の予想の急上昇なのか? 国債のボラティリティは今後大きくなるのか? 米ドルのバリュエーションはフェアバリューから劇的に乖離してしまったのか? クレジット市場にはストレスの初期の兆候が現れているのではないか?以上の疑問に市場でのプライシングに基づいてお答えするなら、今のところ、答えはいずれも「ノー」です。まず、向こう10年間の消費者物価指数(CPI)上昇率の市場予想は2.4%前後です。実際、これは2024年や2023年のそれとさほど変わりありません。次に、向こう1年間の米国金利の予想ボラティリティは、今年1月1日時点でのそれよりも低下しています。米ドルについては、いろいろな報道が飛び交っていますが、ブルームバーグのデータに基づく購買力平価に基づいて言うなら、おおむねフェアバリューに当たる水準で取引されています。そして、リスクの重要な先行指標だと長らくみなされているクレジット市場は、多くの地域で非常に好調であり、歴史的と言えるほどタイトなスプレッドがまだ続いているのです。米国の外交政策の不確実性、日本の金利の大きな動き、そしてそれ以上に大きな金価格の動き。これらはすべて、マクロ経済環境が不安定になるかもしれないという投資家の懸念を強めてきました。無理もないと思います。ですが今のところ、市場に基づく安定性の主要指標の多くはまだ持ちこたえていると弊社ではみています。以上のお話しは事実ですが、ファンダメンタルズについての見方、具体的には企業の利益成長についての弊社の...
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  • 米政府閉鎖の再発リスクとその影響について
    2026/01/28
    弊社グローバルリサーチ副責任者のマイケル・ゼザスが、米国で新たな政府閉鎖が起きるリスクについて、投資家が注意すべき点と、過度に反応すべきでない理由を解説します。このエピソードを英語で聴く。 トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日のエピソードは、弊社グローバルリサーチ副責任者のマイケル・ゼザスが、今週後半に米国政府が閉鎖される可能性について、投資家として何を心配すべきか、そして何を心配する必要はないのかをお話しします。このエピソードは1月28日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。ここ数週間、投資家の皆さまは、さまざまな政策リスクが市場に与える影響を考える必要がありました。たとえば、ベネズエラでの軍事行動による原油供給や新興国市場への影響、イランでの軍事行動の可能性、さらにはグリーンランドをめぐる米欧関係の分断リスクなどです。 それと比べると、今回の米政府閉鎖の可能性は、やや小さな問題のように思えるかもしれません。しかし、優れた投資家はすべてのリスクをしっかり管理します。そこで、この問題を整理していきましょう。現在、上院では予算をめぐる交渉が続いており、民主党は最近の出来事を受けて、移民取締りの運用方法について、ルールの厳格化と監督強化を求めています。共和党側も一定の歩み寄りを示してはいるものの、最大の制約はスケジュールです。下院は来週初めまで休会しているため、たとえ上院が今週中に採決を行っても下院が対応できず、一時的に政府資金が途切れる可能性があります。そのため、「今週末に短期間の政府閉鎖が起き、下院が再開した後に短いつなぎ予算が成立する」という展開は十分にあり得ます。これは、どちらの政党も閉鎖を望んでいないというよりは、戦略について完全に合意できていないうえ、時間が不足していることが理由です。もちろん、ひとたび閉鎖が起きると、長引くリスクもあります。しかし、弊社の基本シナリオでは、経済への影響は限定的になるとみています。歴史的に、政府閉鎖は、影響を受ける職員や政府請負業者にとって大きな負担となりますが、マクロ全体への影響は比較的軽く、また元に戻りやすい傾向があります。政府支出の多くは後から執行されますし、成長率への一時的な悪影響も、予算が復活すれば比較的早く解消されるためです。経験則では、「全面閉鎖の場合、1週間続くごとに、四半期ベースのGDP成長率を年率換算で 0.1ポイント押し下げる」程度とされています。そして、今回はすでに複数の歳出法案が可決済みであるため、想定されるのは「部分的な閉鎖」です。その場合、影響はさらに小さくなります。市場についても、反応は比較的穏やかになる可能性があります。政府閉鎖が企業収益やインフレ、またはFRBの見通しといった、資産のパフォーマンスを左右する重要な市場ドライバーを大きく変えることはほとんどありません。そのため市場は、こうしたノイズを受け流して、より本質的な材料に目を向ける姿勢が続くと考えられます。最後に、政治状況についても触れておきます。ただし、多くの投資家が考える意味とは少し違う観点で重要です。今回の政府閉鎖リスクは、大統領および共和党の支持率低下につながる一連の動きの延長線上にあります。そのため、多くの投資家は「この状況が中間選挙にどう影響するのか、そして政策はどう変わるのか」と弊社に質問されます。一見すると、こうした政治力学は、共和党が厳しい中間選挙を迎える可能性を示唆しているように見えるかもしれません。しかし、弊社としては、まだ確かな結論を出すには早すぎると考えています。そして仮に結論が出たとしても、それが市場にとって本当に重要かどうかは別の話です。第一に、市場にとって最も重要な政策、たとえば貿易、規制、産業戦略、リショアリング、そして近年では...
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  • 香港不動産市場の反転上昇
    2026/01/27
    弊社のアジア・ゲーミング・ロッジングおよび香港・インド・不動産リサーチ責任者プラヴィーン・チョウダリーが、ここおよそ約10年で初めて、香港の主要不動産セクターが同時に成長局面に入っている背景についてお話しします。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、アジア・ゲーミング・ロッジングおよび香港・インド・不動産リサーチ責任者プラヴィーン・チョウダリーが登場します。世界の投資家が常に注目しながらも、十分に理解されていないことの多い 香港不動産市場 を取り上げます。このエピソードは1月27日 に香港にて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。ニューヨーク、ロンドン、シンガポールの投資家が、なぜ香港の不動産動向を気にする必要があるのでしょうか。答えはシンプルです。香港は世界でもっともグローバルな影響を受けやすい不動産市場の一つであり、香港でサイクルが転換すると、アジア全体の流動性、資金フロー、そしてマクロ・センチメントの変化を映し出すだけでなく、時に先取りして示すことがあるためです。そして現在、2018年以来初めて、香港不動産の主要3部門、すなわち住宅価格、香港中環(セントラル)のオフィス賃料、小売店舗市場が同時に上昇に向かっています。このそろっての上昇はほぼ10年ぶりのことです。 この変化を生み出している要因とはまず牽引役となっているのが住宅用不動産です。住宅価格は2018年から30%下落した後、ようやく底を打ち、2026年は力強い回復の年になりそうです。弊社では、2025年に5%上昇したあと、2026年には10%超の価格上昇を見込んでおり、2027年もさらに上昇すると考えています。この市場コンセンサスに反した見方を支えるのは、主に3つの要因です。1つ目は政策です。2024年2月、香港政府は中国本土や海外の買い手にとって負担となっていた追加印紙税をすべて撤廃しました。印紙税とは不動産の購入時や売却時にかかる税金で、政府が需要を調整したり、税収を確保したりする主要な手段となっていました。この追加負担がなくなったことで、とくに中国本土の買い手にとっては、香港での不動産売買が格段にスムーズで、ペナルティのないものになりました。実際、撤廃後は中国本土の買い手による購入比率が全体の50%に達し、以前の10-20%から大きく跳ね上がっています。では、なぜこの見通しがコンセンサスと異なるのでしょうか。一般的には、中国本土の住宅市場が弱いと香港の住宅価格は上がらないと考えられているためです。2025年中頃の市場コンセンサスでは、この回復はHIBOR(香港銀行間金利)の急低下に対する一時的な反応に過ぎないとの見方が大半でした。しかし弊社は、需給のミスマッチ、賃料上昇と金利低下によるポジティブキャリー、そして中国と世界をつなぐ金融ハブとしての香港の役割がいまだ健在であることが主要な要因だと考えています。2つ目に、需要の基礎的な部分が着実に強まってきています。香港の人口はコロナ期に減少しましたが、2025年前半には再び増加に転じ、750万人に達しました。さらに、各種の「人材誘致スキーム」により2025年のビザ承認数は14万人と、コロナ前のおよそ約2倍に増えています。新規世帯の形成も長期平均を上回り、中国本土の買い手も非常に大きな購買力となっています。3つ目の要因は、アフォーダビリティ(購入しやすさ)です。住宅価格は数年にわたって下落が続いた結果、家計にとっての「購入しやすさ」が長期平均まで戻りました。実際、価格と所得の比率は2011年頃の水準まで改善しています。ここに米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げの影響を受けた住宅ローン金利の低下が加わることで、抑制されていた需要が再び戻りつつあります。さらに「資産効果」も見逃せません。2025年にはハンセン指数がおよそ約30%上昇し、株式市場の反発は歴史的に不動産購入に...
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  • 2026年の相場を方向付ける4つの主要テーマ
    2026/01/26
    今年のカギとなる投資テーマは何なのか、それらは市場と経済にどう影響するのか。モルガン・スタンレーの考えを弊社テーマ別リサーチおよびサステナビリティリサーチ・グローバル責任者のスティーブン・バードが解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は弊社テーマ別リサーチおよびサステナビリティリサーチ・グローバル責任者のスティーブン・バードが、2026年の市場と経済の特徴を決める4つの主要なテーマについてお話しします。このエピソードは1月26日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。さて、最近の市場のノイズやひっきりなしに生じる相場の変動にうんざりなさっていませんか。もしそうなら、 それはあなただけではありません。今日では、短期的な相場の変動をいかに無視するか、そして世界を本当の意味で変えているもっと大きなトレンドにいかに焦点を合わせるかを理解することが、投資家にとって最も高いハードルの一つになっています。モルガン・スタンレー・リサーチでは以前から、市場について考察する際、特にボラティリティが極端な時期に考察する際に、テーマ分析を重視しています。テーマというレンズを1枚挟むとノイズを避けやすくなり、経済、産業、社会を作り変える構造的な力に注意を集中しやすくなるからです。実際、この見方はすでに成果を上げています。2025年には弊社のテーマ別株式カテゴリーがMSCI世界株価指数を平均で16%、S&P500種株価指数を同27%アウトパフォームしました。長期的な投資テーマはアルファを強力に押し上げうるという弊社の見方を、まさに裏付ける成績でした。2026年の弊社の枠組みは4つのテーマを軸にしています。人工知能(AI)とテクノロジーの普及、エネルギーの未来、多極化世界、社会の変化という4つです。このうち3つは 去年昨年からの持越しですが、いずれも大きな変化を見せています。残る1つは、弊社の以前の考察を大きく拡張させたものです。1つ目の「AIとテクノロジーの普及」はこれまで通り重要ですが、明らかに成熟・進展しています。 2025年にはAIにできることが急激に増えていることに注目が集まりましたが、2026年にはその性能が非線形的な改善を遂げていることと、AIにできることと現実世界での導入レベルとのギャップが拡大していることが強調されるようになっています。ここで重要なのは、ソフトウェアとハードウェアの効率が高まっているにもかかわらず、コンピューティング需要はその供給を大きく上回ってしまうと思われることです。AIを利用するケースが増え、その内容も複雑化するにつれて、インフラが――とりわけコンピューティング・パワーと呼ばれる処理能力が――決定的な足かせになってしまうのです。2つ目はエネルギーの未来です。ここにきて新たに緊急性を帯びてきているテーマです。先進国のエネルギー需要は横ばいで推移すると長らく想定されてきましたが、足元では増加傾向に転じつつあります。AIインフラとデータセンターがその主な要因です。2025年に比べますと、このテーマは供給面の話から政策に注目する話へと広がりを見せています。エネルギー・コストの上昇は消費者の目にもますます明らかになっており、いわゆる「エネルギーの政治」という概念が浮上しています。政策立案者は、一つの施策を優先するならほかの施策を後回しにしなければならない「トレード・オフ」があるときでさえ、安くて頼りになるエネルギーの確保を優先するよう迫られています。また、電力網を不安定にしたり家計の負担を増やしたりせずに電力を確保する新しい戦略も登場しつつあります。3つ目は多極化世界です。これも去年昨年のテーマをもとにしていますが、輪郭がより鮮明となっています。各国が安全保障、耐久力、自給自足などを重視するにつれ、グローバル化の崩壊が続...
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  • 市場の規制緩和という追い風
    2026/01/15
    米国政府による規制緩和の取り組みはどのような影響をもたらすのか。銀行のバランスシートから資産のバリュエーションに至るまで、弊社債券リサーチ・グローバル責任者の アンドリュー・シーツが展望します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は債券リサーチ・グローバル責任者の アンドリュー・シーツが、緩和政策の中心テーマのひとつについて、そして米国モーゲージ債券市場の最新動向についてお話しします。このエピソードは1月15日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。向こう1年間についての弊社の考察で重要なのは、金融政策と財政政策、そして規制政策の3つが同時に緩和されるという異例な展開になっていることです。このようなことは、通常なら起こりません。この種の支援策は、経済が今よりもはるかに厳しい状況に陥っているときにのみ講じられるのが普通です。しかも、弊社の予測によれば2028年末までに人工知能(AI)とデータセンター関連で3兆ドルを超える投資が行われるという、非常に大きな相場下支え要因があります。それと並行して3つの緩和政策が実行されていくのです。このすそ野の広い緩和策はグローバルなテーマでもあります。日本では、財政がさらに拡張されるとの期待から株価が上昇しています。欧州では、ドイツが歳出を拡大し続けるとみられる一方、欧州中央銀行(ECB)とイングランド銀行は市場予想を上回る幅で政策金利を引き下げると思われます。しかし、昨今よく見られるように、話の中心にいるのはやはり米国です。弊社では、米国のコアインフレ率が目標水準を上回っていても、FRBは今年も利下げを続けると考えています。また、米国政府による歳出は歳入をおよそ 約1兆9000億ドル上回る見通しです。関税収入による調整があるものの 「大きく美しい一つの法案(OBBBA)」による減税が発効するためです。しかし、私が今日注目したいのは、景気刺激策という3本脚の腰かけを支える3本目の脚です。おそらく、人々の関心を最も集めるのは金融政策と財政政策の緩和でしょうが、実は規制緩和という重要な政策レバーもこれら2つと同じ方向に入れられるのです。規制政策はわかりにくく、若干退屈な話題になりうることも否めません。しかし、金融市場がどのように機能するかを考えるときには、極めて重要になります。規制は、多くの種類の資産の買い手に刺激をもたらします。銀行・保険セクターという非常に重要なセクターの買い手にとっては、特にそうです。まず、ある資産が魅力的に映るためにはどれほどの価格で売買される必要があるか、特定の市場参加者が保有できる(あるいは、できない)資産の量はどの程度か、といったことは、規制によってほぼ当然に決まることがあります。規制政策は世界金融危機の発生を受けて劇的に厳しくなりましたが、ここにきて緩和され始めています。弊社の米国銀行株アナリストによれば、金融規制にとって重要な一歩となる自己資本ルールの最終化が今年のうちに実施され、金融システム上重要な巨大金融機関(GSIB)のバランスシートに計5兆8000億ドル前後もの貸し出し余力が生じる見通しです。また12月半ばには、通貨監督庁(OCC)と連邦預金保険公社(FDIC)が、2013年に導入した貸付のガイドラインを撤回しました。このガイドラインのために、銀行はこれまで、比較的多額の債務を抱える企業への貸し付けをあきらめてきました。そしてつい先週には米国の現政権が米国のエージェンシー MBS、すなわちファニーメイとフレディマックが2000億ドルのモーゲージ債を購入してバランスシートで保有すると発表しました。この重要な市場で急激にスプレッドを縮小する大きな動きだと言えます。このように、投資家にとっては読み取るべきポイントがいくつかあると弊社では考えます。金融、財政、そして規制という3...
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  • インド市場復活の可能性
    2026/01/14
    弊社インド・リサーチ責任者兼チーフ株式ストラテジストのリダム・デサイが、「2025年に他の新興国市場をアンダーパフォームしたインド株は、回復に向かうのか」という大きな論点についてお話しします。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社インド・リサーチ責任者兼チーフ株式ストラテジストのリダム・デサイが、今年のアジアにおける大きな論点のひとつ、歴史的な低迷のあと、インド株式は強さを取り戻せるのか、についてお話しします。このエピソードは1月14日 にムンバイにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。インド株は2025年、他の新興国市場に対して、1994年以来およそ30年ぶり にの大差でアンダーパフォームして1年を終えました。その理由としては、サイクル半ばでの成長減速、割高なバリュエーション、インドにはAI関連の明確な投資テーマが存在しないことが挙げられます。さらに、米国との通商協議の遅れや、世界的な強気相場におけるインドの「低ベータ」も、アンダーパフォーマンスの要因となりました。しかし、潮目は変わりつつあります。バリュエーションは大幅な調整が入り、おそらく10月に底を打ったと考えられます。さらに重要なのは、インドの成長サイクルが予想以上の上振れに向かっているとみられることです。政策当局は景気の勢いを取り戻すために、リフレに全力で取り組み、積極的な政策を次々と実施しています。インド準備銀行は利下げを行い、預金準備率を引き下げ、市場に流動性を供給し、さらには銀行規制の緩和を進めるなど、景気を後押しする施策を展開しています。政府も公共投資を前倒し、1兆5,000億ルピー規模の大幅なGST減税を発表し、国民がモノやサービスへの支出を増やせるよう後押ししています。こうした一連の動きに加え、インドと中国の関係改善、中国政府の新たな「反内巻き」政策、包括的なインド・米国通商協定の可能性などが、回復に向けた着実な基盤となっています。要するに、パンデミック後には厳しかったインドの経済スタンスが緩和に向かっているのです。こうした変化は、今後の市場に対する投資家の見方に大きな変化をもたらす可能性があります。インドのマクロ環境も進化しています。GDPに占める原油比率の低下、特にサービス分野における輸出比率の上昇、財政健全化の進展などは全て、貯蓄の不均衡が縮小していることを示しています。これは、構造的に今後、金利が低下することを意味します。柔軟なインフレ・ターゲティングのもと、インフレ率と金利の変動幅もさらに縮小するでしょう。高成長、低ボラティリティ、金利低下が揃えば、株式のP/E倍率は上昇するでしょう。加えて、家計の資産構成が株式にシフトしている点も重要です。国内ミューチュアルファンドへの継続的な資金流入が、こうした傾向を裏付けています。投資家の懸念は理解できますが、文脈の中で捉える必要があります。企業の資金調達が増えているのは、バリュエーションの高さだけではなく、将来の成長を示している場合も多いのです。株式への資金シフトが続く中、国内投資は引き続き堅調です。インド株式のプレミアムは、堅固な長期成長期待と、実質金利の低下見通しを反映したものです。政策面でも成長押し上げに向けた取り組みは力強く、実質成長率は上振れる可能性があります。インドは現時点でAI分野をリードしているわけではありませんが、2月に予定されているAIサミットは、技術イノベーションにおけるインドの役割についての懸念を和らげるかもしれません。投資家が注目すべき重要なカタリストは何でしょうか。企業収益の上方修正、インド中銀のさらなるハト派姿勢、民営化などの政府の改革、長らく待たれている米国との通商協定などが挙げられます。一方で、世界の成長減速や地政学的環境の変化といったリスクにも注意が必要...
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