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市場の風を読む

市場の風を読む

著者: Morgan Stanley
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このコンテンツについて

モルガン・スタンレーが配信する金融ポッドキャスト「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)では、マーケットに影響を与える様々な事象について当社のソートリーダーによる考察をお届けします。

© Morgan Stanley & Co. LLC
個人ファイナンス 経済学
エピソード
  • 市場の安定がFRBにとって重要な理由
    2025/12/15
    FRBが毎月400億ドルの米国債購入を再開することを決定しましたが、その意味について、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストの マイク・ウィルソンがご説明します。 このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、先週のFRBの決定と、それが株式にとって何を意味するかについて、弊社最高投資責任者兼米国チーフ株式ストラテジストの マイク・ウィルソンがご説明します。このエピソードは12月15日にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。先週のFRBの会合は、弊社の前向きな2026年株式見通しをさらに後押しするものとなりました。FRBは予想通りタカ派的な利下げを実施しましたが、労働市場がさらに軟化すれば、追加の措置を取るとも示唆しました。利下げ以上に重要だったのは、FRBが資産購入の再開を決定したことです。具体的には、FRBは金融市場の円滑な運営を確保するため、毎月400億ドルのTビルの購入をすぐに開始する予定です。発表前に投資家と話をした限り、この購入額とタイミングは、コンセンサスや私自身の予想を上回るものでした。また、これは私が数ヶ月間議論し、来年の見通しでも強調してきた重要な洞察を裏付けるものです。まず、FRBは市場から独立しているわけではなく、市場の安定性が、完全雇用と物価安定という定められた二つの使命を超えて、FRBの政策において主要な役割を果たすことがよくあります。次に、債務と赤字の規模を考えると、FRBには財務省が政府資金調達を行うのを支援する追加責任があり、この関連で今後も財務省とより緊密に連携していく可能性が高いでしょう。最後に、予想よりも早く、より積極的に資金調達市場に介入するという決定は、FRBの定義する「量的緩和」ではないかもしれません。しかし、これは債務の貨幣化の一形態であり、特に財務省が長期国債よりも短期国債を多く発行する中で、依然として増加している米国債発行によるクラウディングアウトを直接的に緩和するものです。FRBの10月の会合では、流動性の引き締まりについて若干の懸念が示されましたが、私はこのポッドキャストで、これが株式の強気相場にとって最大のリスクであると述べてきました。流動性の引き締まりの証拠は、暗号資産や利益の出ていない成長株など、流動性に最も敏感な資産価格の動きに見られます。FRBはこれらの資産クラスのパフォーマンスにはあまり関心がないかもしれませんが、債券、信用、資金調達市場の金融安定性には関心があります。これが、FRBが大方の予想よりも早く、より大規模な形で資産購入を再開した理由でしょう。先ほど述べたように、短期国債の発行を今後増やすという財務省の目的を踏まえ、弊社はこれを債務の貨幣化の一形態と見ています。さらに重要なのは、これらの購入が市場に追加の流動性を提供し、利下げと組み合わせることで、FRBがインフレ目標の未達をそれほど心配していないことを示唆している点です。これは「経済を過熱させる」という2021年初頭から続く弊社のシナリオに極めて合致しています。念のため申し上げると、インフレ加速は、FRBが2022年のように「パンチボウル」を取り上げざるを得なくならない限り、資産価格にとってポジティブな要因です。皮肉なことに、短期的なリスクは、このように予想よりも大規模な資産購入プログラムであっても、市場が円滑に運営されるために必要な準備金の水準をFRBが大幅に過小評価していた場合、不十分になる可能性があるということです。これは2019年に起こったことであり、FRBがそもそもスタンディング・レポ・ファシリティ(常設レポファシリティ)を作った理由です。しかし、これはどちらかというと必要に応じて使われるツールです。FRBが円滑に機能する金融市場に必要な準備金の水準を過小評価していた場合、市場が求めたり、必要...
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    7 分
  • クレジット・サイクルは過熱しているのか?
    2025/12/12
    2026年にはクレジット・サイクルが燃え尽きる前にさらに熱く燃え上がるかもしれない――そう考えられる理由を、弊社コーポレート・クレジット・リサーチ責任者の アンドリュー・シーツがご説明します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、コーポレート・クレジット・リサーチ責任者の アンドリュー・シーツが、2026年のグローバル・クレジット市場の見通しについてお話しします。、クレジット・サイクルが燃え尽きる前にさらに熱く燃え上がるかもしれないと弊社が考える理由をご説明します。このエピソードは12月12日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。まさかこんな状況が続くはずはない――2026年のプランを練っているグローバル・クレジット投資家の多くは、おそらくそうつぶやいているでしょう。米国とアジアでは、クレジット・スプレッドが25年以上前に見られた水準にまで縮小しています。社債の発行はますます活発になっており、企業の設備投資も急増しています。格付けが最も低い社債の市場では、プレッシャーの兆候がはっきりうかがえます。そして、クレジット投資家は心配するように教育されています。こうしたことはすべて、いやこれ以外の現象も、クレジット・サイクルが自らの重みに耐えられなくなりひび割れし始めている兆候なのではないか、というわけです。まだそこまでは達していない、というのが弊社モルガン・スタンレーの見方です。弊社はむしろ、2026年にはクレジット市場が燃え尽きる前にさらに熱く燃え上がるだろうと考えています。その理由の一部は、異例なほど景気刺激的な環境に求められます。まず、中央銀行が金利を引き下げています。政府は支出を増やしており、規制も緩和されつつあります。おまけに、人工知能(AI)関連の投資サイクルは一世代に一度あるかないかの巨大な投資サイクルかもしれません。こうしたことが相まって、リスクを取ることができる企業セクターはさらにリスクを取りにいく公算が大きいと思われるのです。そのため、来年のクレジット投資の方針は2005年や1997-1998年のそれによく似たものになるだろうと弊社ではみています。どちらの時期も設備投資、企業買収活動、金利、そして失業率という4種類の指標の水準が、弊社の来年の予想値にかなり近いのです。そして2026年を展望するにあたっては、これら2つの時期が相反する2つの見方を提示してくれます。2005 年は、低所得の消費者が本当に苦労し始めているものの、すなわち、当時は中国でしたが、今日ではAI投資がそれにあたるかもしれませんが、別の力が作用して市場全体は好調を維持しているという時期に近いのかもしれません。一方、1997年や1998年は、新しいテクノロジーは本当に世界を変えていくと投資家が確信を強めている時期に近いと言えるでしょう。当時の新しいテクノロジーはインターネットでしたが、今日のそれはAIです。この状況が変わっていくうえで重要になるのは社債の発行状況だろう、と弊社では考えています。これは各地域にとって大きなテーマであり、米国、欧州、そしてアジアのクレジット市場全体に対する弊社見解の重要なポイントのひとつでもあります。来年の米国市場における投資適格社債の純発行額は2025年に比べて60%以上多くなり、計1兆ドル前後に達すると弊社では予想しています。この発行額増加の原動力は、設備投資と企業買収が幅広いセクターで増えることに加えて、テクノロジー企業によるAIへの投資が増え続けることにあります。これらの社債がすべて市場で売りに出されれば、それに応じて米国のスプレッドは拡大せざるをえなくなるでしょう。高利回りのおかげで社債購入需要が非常に旺盛な場合でも、そして景気が最終的に持ちこたえる場合でも、スプレッドは拡大するのです。欧州やアジアの投資適格社債、そして...
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    8 分
  • AIが電力経済に革新を起こす
    2025/12/02
    弊社の南アジア・エネルギー担当アナリストのマヤンク・マヘーシュワーリーが、AIによる前例のない電力需要が今後数年間で電力業界をどのように変革するかについて解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社の南アジア・エネルギー担当アナリストのマヤンク・マヘーシュワーリーが、AIと電化が世界の電力のルールをどのように書き換えているかについてお話しします。このエピソードは12月2日 にシンガポールにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。もし最近、電気料金が上昇していると感じたり、AIに関する話題がニュースで頻繁に取り上げられていると感じている方がいらっしゃれば、それはあなただけではありません。私たちの電力の使い方、そして必要性は急速に変化しており、一般家庭から大手テック企業まで、すべての人に影響を及ぼしています。世界の電力消費は、過去10年余りで最も速いペースで急増しています。年間需要は2030年まで毎年1兆キロワット時以上増加する見込みであり、その成長の5分の1近くはAI主導のデータセンターによるものです。弊社では、2028年までにデータセンターへの投資額が およそ約3兆ドル、2028年までの3年間で電力消費の伸びがおよそ約126ギガワットに達すると推計しています。これはカナダの年間電力消費量にほぼ匹敵します。このような状況下で、電力価格はさらに上昇する見通しです。2024年の最新データによると、世界の電力セクターへの投資は過去最高の1兆5,000億ドルに達し、消費者の電力価格はおよそ約15%上昇しました。2030年までには、米国の電力市場が世界のデータセンター電力消費の半分を占めるようになるでしょう。また、アジアでも米国のハイパースケーラー需要のおよそ約15%が波及し、アジアの一部の電力市場がさらに逼迫する要因となります。電力消費が増加する中、電力の販売価格と発電コストの差、いわゆる「パワースプレッド」は15%近く拡大すると予想されます。この利益率の拡大は、発電会社の業績予想を押し上げ、電力サプライチェーン全体で3,500億ドルの価値創出につながる可能性があります。一方で、長年にわたる電力網への投資不足がボトルネックを生み、新たな投資の波を引き起こしています。業界は、天然ガスやエネルギー貯蔵、その他の新技術への依存を強めるとともに、再生可能エネルギーの選択肢も支援しています。2024年にはガスへの投資が過去最高を記録し、2026年以降はガスが新たな世界的な発電源となる見込みです。今後、天然ガスは中国を除く世界の新たな電力需要のおよそ約5分の1を担うと予想されます。また、原子力も投資拡大の好機を迎えており、(エネルギー貯蔵である)バッテリーもデータセンターや中国などの市場で新たな投資が進んでいます。今後、電力業界は予想外の変化と機会に満ちた数十年にわたる変革期を迎えます。化石燃料と非化石燃料の協業増加、段階的な価格設定の導入拡大、スポット市場やビハインド・ザ・メーター(BTM)市場における販売急増などにより、長期的かつ高水準のパワースプレッドが続くでしょう。ガス、原子力、エネルギー貯蔵、燃料電池のサプライチェーンは、特にアジアと米国で価格決定力が強まり、新たな成長機会を得る見通しである一方、電力網運営者は投資増加と収益改善の恩恵を受けます。逆に、純粋な太陽光・風力発電事業者は、アジアでコスト上昇が続く可能性がありますが、これは米国や欧州でも既に見られる傾向です。世界の電力網がバッテリーや安定した化石燃料供給への依存を強め、AIや製造業の国内利用など、電力サプライチェーン全体の需要増加に対応していくためです。結局のところ、AIと電化が電力需要を加速させる中で、本当の課題は再生可能エネルギーを増やすことだけではありません。強靭で柔軟な電力網を構築し、新しい...
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    6 分
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