『2026年の米国成長を牽引するもの』のカバーアート

2026年の米国成長を牽引するもの

2026年の米国成長を牽引するもの

無料で聴く

ポッドキャストの詳細を見る

このコンテンツについて

弊社米国チーフエコノミストのマイケル・ゲイペンが、2026年に成長・インフレ・AI革命がどのように展開するかを解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。本日は、弊社米国チーフエコノミストのマイケル・ゲイペンが、2026年の米国経済見通しについて、成長・インフレ・雇用・米連邦準備制度理事会にどのような影響があるのかを解説します。このエピソードは11月25日 にニューヨークにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。2025年が急速かつ大胆な政策変更の年だったとすれば、2026年はその余波が落ち着く年です。去年 昨年、主に厳しい貿易・移民政策の影響で、成長が低迷し、インフレ率がなかなか下がらないと弊社は予測しましたが、これは的中しました。しかし今年は状況が変わりつつあります。米国経済はようやく高い不確実性の段階を脱しつつあり、2026年には1.8%、2027年には2%の緩やかな成長に戻ると見込んでいます。インフレ率は落ち着くものの、FRBの目標である2%には届かない見通しです。2026年末までには、ヘッドラインPCEインフレ率が2.5%、コアインフレ率が2.6%となり、いずれも2027年を通して2%を上回る水準が続くと予想しています。つまり、インフレとの戦いは終わっていませんが、最悪期は過ぎたと言えるでしょう。 従って、2025年が「成長低迷と粘着するインフレ」だったとすれば、2026年と2027年は「緩やかな成長とディスインフレ」と表現できます。貿易・移民政策の影響は薄れ、経済環境は改善する見通しです。現在、いくつかのリスクも残っています。関税が消費者価格を一時的に押し上げる可能性があり、企業が関税分を価格に転嫁できなければ追加のレイオフが懸念されます。しかし、2026年後半以降は、これらのリスクが好転し、成長にプラスのサプライズが期待できる状況になると考えています。結局のところ、AI関連の設備投資は引き続き堅調で、富裕層の消費も好調です。楽観的な見方ができる理由がある一方で、最も可能性が高いシナリオは「緩やかな成長への回帰」です。米国の消費者は立ち直り始めますが、そのペースはゆっくりです。関税の影響で2026年前半は物価が高止まりし、低・中所得層の購買力が圧迫されます。これらの層は主に労働市場からの収入で消費を行うため、インフレが落ち着き始めるまでは購買力が制約されるでしょう。実質消費は2026年に1.6%、2027年に1.8%増加する見込みですが、急成長とは言えません。主な要因は、移民制限や関税の影響で雇用が抑えられ、雇用市場が依然として「低採用・低解雇」モードにあることです。失業率は2026年第2四半期に4.7%でピークを打ち、年末までには4.5%へと低下すると予想しています。雇用は存在しますが、労働市場は活況とは言えません。関税の影響が吸収されるまでは、雇用が上向くのは難しいでしょう。雇用が冷え込むと、FRBが動きます。FRBは利下げを進めていますが、これはコストを伴います。9月と10月にそれぞれ0.25%の利下げを行った後、2026年半ばまでにさらに0.75%の利下げを実施し、目標レンジは3.0~3.25%になるとみています。これは労働市場の弱さに備えるための措置ですが、その分インフレ率が目標を上回る期間が長くなります。つまり、FRBは綱渡りのような状況で、雇用重視に傾きすぎればインフレが長引き、インフレを重視しすぎれば成長が鈍化します。今のところ、FRBは雇用重視の姿勢を選択しています。AIによるマクロ経済への影響はどうでしょうか。AIは確実に主要な成長ドライバーです。AI関連のハードウェア、ソフトウェア、データセンターへの支出は、2026年・2027年ともに成長率を0.4ポイントほど押し上げます。これは全体の成長のおよそ20%に相当します。ところが、輸入によってその効果は希薄化します。輸入技術を考慮すると、AIの正味の寄与は大きく減少します。それでも、2027年...
まだレビューはありません