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中東の緊張が高まる中での石油価格の見通し

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中東地域における地政学的変化を踏まえ、今後の石油価格の見通しを3つのシナリオに分けて、弊社グローバル・コモディティ・ストラテジストのマーティン・ラッツが解説します。このエピソードを英語で聴く。トランスクリプト 「市場の風を読む」(Thoughts on the Market)へようこそ。このポッドキャストでは、最近の金融市場動向に関するモルガン・スタンレーの考察をお届けします。グローバル・コモディティ・ストラテジストのマーティン・ラッツ今回はイスラエルとイランの緊張が高まる中での石油価格の見通しを弊社グローバル・コモディティ・ストラテジストのマーティン・ラッツが解説します。このエピソードは6月18日 にロンドンにて収録されたものです。英語でお聞きになりたい方は、概要欄に記載しているURLをクリックしてください。ブレント原油の先物カーブに注目している業界観測筋は最近、カーブが滅多に見られないスマイル型であることに気づいたそうです。最初の2、3カ月は下向きのカーブで、その後は26年まで上向きのカーブだというのです。しかし、先週金曜日には一変しました。石油市場の先物カーブは需給バランスの見通しによって様々な形状とをなります。先物カーブが下向きのときは在庫を保有する魅力が実際に非常に乏しく、そのためオペレーターは通常、貯蔵している石油を放出します。市場がこのような構造となるのは、需給がひっ迫し、貯蔵されている石油の放出が実際に必要なときです。逆に、市場が供給過剰のときには石油を在庫として貯蔵する必要があり、先物カーブが上向きとなることでこれが可能になります。つまり、先物カーブはつい最近まで、目先の需給は幾分タイトだけれども、今年後半と26年は大幅な供給過剰となることを物語っていました。ところが先週、中東地域で緊張が高まると、石油業界は強く反応しました。ブレント原油先物の期近物、つまり来月受け渡しの製品が17%近く急騰しただけでなく、すべての受渡月で紛争の影響が生じました。現在では先物カーブ全体が下向きに傾斜しており、これは石油市場が来年の余剰を見込んでいないことを示しています。数日前とは大きく異なります。さて、金曜日の出来事により今後の石油価格の見通しの幅が広まったことは疑う余地がありません。しかし、この先の石油価格の弊社予想を大きく3つのシナリオで説明します。それと一緒に、今後数週間および数カ月間の石油市場を予想する枠組みも示します。まず、最も穏やかなシナリオを考えてみましょう。軍事衝突が起きても石油供給が混乱するとは限らず、主要な産油地域でもそれは同じです。これまでのところ、産油地域からの供給量は減少していません。もし石油・ガスのインフラが攻撃対象から外れたままであれば、石油供給の継続は完全に可能です。その場合、原油価格は現在の1バレル凡そ 約76ドルから、60ドル程度まで下落する可能性があるでしょう。2番目のシナリオは、物理的なインフラへの武力攻撃や制裁によってイランの石油輸出がリスクにさらされることを想定します。米国が2018年に行った「最大限の圧力作戦」で石油供給が減少したことの再現です。イランが輸出能力の大半を失った場合、現時点で弊社が予想している来年の石油市場の余剰をほぼ打ち消す形となるでしょう。その場合、市場は概ね需給が均衡します。需給が均衡した場合、原油価格は1バレル75-80ドルのレンジとなる確率が高いでしょう。3番目は幅広い地域での混乱を想定した最も深刻なシナリオで、原油価格は22年につけた1バレル凡そ約120ドルの高値まで上昇する可能性があります。世界の石油輸送 のかなりの部分が通過するホルムズ海峡など重要な航路を含めて、幅広い湾岸地域の石油インフラがイランの攻撃対象となった場合は、このシナリオが実現する可能性があります。状況はきわめて流動的で、今後の石油価格の見通しとしては大きな幅が考えられます。最も確率が高いと思われるのは最初のシナリオで、弊社はこれを基本ケースとして、最終的に供給の安定を予想しています。ただ、より深刻な混乱が生じる...

中東の緊張が高まる中での石油価格の見通しに寄せられたリスナーの声

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