『ボイスドラマ「最後の鉄道員(ぽっぽや)/後編」』のカバーアート

ボイスドラマ「最後の鉄道員(ぽっぽや)/後編」

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「最後の鉄道員(ぽっぽや)」<後編>は、声優を目指す少女ルナの視点。駅長ミオリとの出会いは、ルナの人生に何をもたらしたのか?そして、無人駅となる飛騨一ノ宮駅の最後の日、ルナがミオリに贈るサプライズとは…?涙なしには聴けない感動のラスト!【ペルソナ】・ミオリ(51歳-54歳)=飛驒一ノ宮駅の駅長(CV=小椋美織)・ルナ(15歳-18歳)=(CV=坂田月菜)・マサヒロ(59歳)=久々野駅の駅長(CV=日比野正裕)<シーン1:1982年3月/駅長との出会い>◾️SE:飛騨一之宮水無神駅到着アナウンス(月菜ちゃん読んで)/小鳥のさえずり「まもなく飛騨一ノ宮、飛騨一ノ宮です」1982年3月。あたしは久々野から、休みの日しか乗ったことのない国鉄に乗る。久々野の次は飛騨一ノ宮。7分で到着する小さな駅。飛騨一ノ宮といえば、駅のとこにある臥龍桜か。臥龍桜を見にいったのは、小さい頃だったけどこの時期、まだ開花の気配すらない。春の高山祭・山王祭(さんのうまつり)まであと1か月。高校に合格したら、今年は友達誘って行ってみよう。あ、でも4月に入学してそんなすぐ友達ってできるのかなあ。不安な気持ちがどんどん大きくなる。今日は高校の合格発表。パパもママもりんごの剪定作業でバタバタだから発表を見にいくのはあたし1人。大丈夫、大丈夫、なんて軽く言っちゃったけど、やっぱり不安、ドキドキする。そういえば・・・気がつくと、国鉄を途中下車して飛騨一宮駅のホームに立っていた。このタイミングで神頼みなんてありえないかな・・・でも、世界屈指の聖なる場所だから。「お嬢さん」「え」突然声をかけられてうろたえる。国鉄の制服をきたお姉さん。【以下前回原稿まま】「突然ごめんなさい。飛騨一ノ宮駅 駅長のミオリです」「あ・・はい」「なにか困りごと?」「えっと・・・」「よかったら、話してみて。急行のりくらの通過までまだ30分あるから」「はい・・あの・・」「うん」「高山までの切符なんですけど・・・一ノ宮で降りても・・大丈夫でしょうか・・?」「降りることは問題ないわよ。でも、もう一回乗る時は・・」「大丈夫です。もう一度切符を買うから」「ああ、そう・・・ごめんね。でも、本当にいいの?飛騨一ノ宮で降りて」「はい・・・」「どこか行きたいとこがあるの?」「飛騨一之宮水無神社」「水無神社?」「・・今日高校の合格発表なんです」「まあ」「試験終わっちゃってるのに、合格祈願っておかしいですよね?」「おかしくないわ。シュレディンガーの猫っていう考え方だってあるし」「シュレ・・ディンガー・・?」「あ、失礼。物理の実験よ。夫が大学で物理の講師だったから」「すごい。そんなすごい人がいるんですね」「うん、もういないけど。この世には」「あ・・・ごめんなさい!」「ううん、こっちこそ。話の腰を折っちゃって・・で、水無神社に参拝してから合格発表を見にいくってことね」「はい!」「よし、じゃあがんばって。跨線橋渡って駅前出たらまっすぐよ」「ありがとうございます!あ、あたし、ルナです!行ってきます!」「絶対大丈夫だから!ファイト!」なんか・・・ホントに大丈夫だ、って気がしてきた。素敵な駅長さん・・・家を出るときは、パパやママとも顔合わさなかったし・・りんごの剪定で忙しいからしょんないよね。あ、合格発表見たら、図書館で調べなきゃ。シュレ・・ディンガーの猫だっけ・・?なんか、かわゆいし。<シーン2:1982年4月/入学式>◾️SE:国道41号の雑踏/自転車で走る音ちょっとまだ寒いけど、自転車快適〜!車の交通量がチョー多い国道41号。宮峠を越えたら、飛騨一ノ宮まで下り坂。家を30分前に出れば、楽勝だわ。あ、でも、帰りはこれが上り坂になるのか・・・う〜ん。ま、考えないようにしとこ。よっし。町が見えてきたから、あと少しだわ。10分前には着けそう。ラッキー。合格発表から一ヶ月。あたしはめでたく高校に入学した。駅長さんと猫に感謝しなきゃ。猫?もっちろん、シュレ、ディンガーの猫よ。ちゃあんと調べたんだから。猫は生きてる!飛騨一ノ宮駅から通おうって決めたのもあの...
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