『ボイスドラマ「アルテミスに出会った日」』のカバーアート

ボイスドラマ「アルテミスに出会った日」

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このコンテンツについて

岐阜県高山市朝日町にある薬膳カフェ「よもぎ」を舞台に、漢方薬剤師・朝日よもぎの幼少期から現在までを描いた、感動のボイスドラマが完成しました。病弱だった少女・よもぎが、朝日町の自然と「義理の祖母」との出会いを通じて“薬草の力”に目覚め、自らの進むべき道を見つけていく姿を、四季折々の風景とともに丁寧に綴ります。「飛騨は薬草の宝箱」祖母の言葉の意味を、あなたもきっと感じるはずです。出演:蓬坂えりか/坂田月菜/日比野正裕【資料/アルテミス】https://kimini.online/blog/archives/79968<シーン1:現在/よもぎ28歳/カフェよもぎ>◾️SE:カフェのガヤ/小鳥のさえずり「先生、最近朝起きるのがだるくてなあ。また薬をだしてもらえんやろうか」「あら...マサさん、大丈夫?辛いねぇ。奥でお話、聞きましょうね。」「ああ、わかったわかった」カフェ「よもぎ」の奥。厨房の前の小さなカウンセリングルームで常連客の相談を聞く。「じゃあ、漢方作ってくるわね。クロモジ茶飲みながら、待っててね。」「ああ、ありがとなぁ。」カウンセリングルームの横。嬉しそうに微笑みながらおばあちゃんが通りすぎていく。パパのおかあさん。戸籍上は”義理のおばあちゃん”だけど、私にとっては、薬草の先生。”朝日町の主(ぬし)”といってもいいくらい。ふふ。<シーン2:26年前:よもぎ2歳の夏/シェアハウス周辺の森にて>◾️SE:小鳥のさえずり初めておばあちゃんと会ったのは25年前。2歳のときだった。ママに連れられて朝日町に来たけれど、行くとこ、見るとこ、知らないとこばかり。そもそも人見知りで、今で言うコミュ症の塊。しかも病弱で、よく熱を出して寝込んでた。ママのかえでも、いろいろあって精神的にキツいときだったし。東京から着の身着のままで連れてこられて、ゲームも持ってこられなかったんだ。ママは住むところを決めたり、なんだかんだで毎日家にいない。家、といってもシェアハウスだから、ひとり静かに過ごせるわけじゃない。だから、よくお庭で、虫と遊んでた。「痒いのかい?」「え・・」声をかけてきたのは、知らないおばあちゃん。私は手のひらが痒くてボリボリかいていた。「毛虫にさわったんかいな」「あ・・」そういえば、さっき緑色の葉っぱをちぎったとき。葉の上でモゾモゾしてる小さな毛虫にさわっちゃったかも。「ほうか、ほうか。ちょっと待っとれよ」おばあちゃんは慣れた感じで、近くに生えていたよもぎの葉をちぎる。葉っぱを手のひらで揉むと、緑色の汁が出てきた。「この汁をちょんちょんってつけてみ。痒みがおさまるから」なんだか信じられなかったけど、言う通りにした。変わったおばあちゃん。「もうかかん方がええで。ちょこっと我慢しい」私は黙ってうなづく・おばあちゃんは、ほかにもいろんなこと教えてくれた。庭の隅に生えている低い木から、葉っぱと小枝を少しだけ摘み取って「クロモジっていうんや」地面に落ちたセミを拾い、クロモジの葉っぱの上に置く。でも・・・やっぱ、弱ってるから動かない。・・・と思ってたら、そのうちに羽を動かして、弱々しく飛んでいった。うわあ。ぽかんと口をあけている私におばあちゃんがにっこり微笑む。「もう痒くないやろ」あ・・ホントだ・・・治ってる。痒くない。嬉しそうな顔をする私を見て、おばあちゃんがまたニンマリ。その日から、無口な少女と、物知りなおばあちゃんの交流が始まった。おばあちゃん、って言っても、今から思えば全然若かったと思う。だって、いつも車を運転して、朝日町のいろんなとこへ薬草摘みに連れてってくれたもん。鈴蘭高原でヨモギやスギナ、ワレモコウ。水芭蕉は終わってたけど、美女高原でドクダミやオオバコ。カクレハ高原でワラビやゼンマイ、ウド、トウキ。おばあちゃん、きっとひとりぼっちの私を気にかけて誘ってくれたんだろなあ。おばあちゃん、『飛騨は薬草の宝箱』って言ってたけど、ホントにそう。薬草がみんなの生活に根付いてるんだ。もっともっと薬草のこと知りたいな。<シーン3:22年前:よもぎ6歳の春/朝日の森>◾️SE:森の中/...
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