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サマリー
あらすじ・解説
🎙️ 宮沢賢治「どんぐりと山猫」朗読 – 一通の奇妙なはがきから始まる不思議な冒険の予兆。
ある土曜日の夕方、一郎の家に届いた一通の不思議なはがき。
送り主は山猫。内容はただひとつ、「あした、めんどなさいばんしますから、おいでんなさい」。字は乱雑で、墨が手につくほどの雑さ。しかし、一郎はそのはがきに心を奪われ、次の日を待ちきれずに興奮を隠せませんでした。まるでそれが何か大きな冒険の始まりを告げるかのように、胸が高鳴ります。
翌朝、一郎が目を覚ますと、すっかり明るくなっていました。外の山々はまるで昨日新たに作られたかのようにうるおい、すっきりとした風が吹き抜けていました。急いで食事を済ませ、ひとり山へと向かう一郎。道中、彼は不安と興奮を感じながらも、次々と現れる木々や滝、動物たちに出会い、そのすべてに山猫の足跡を追って行きます。
栗の木に、滝に、きのこに、リスに――どれもが一郎に「山猫は今、違う方へ行ったよ」と答えるのです。そのたびに一郎は疑問を抱きつつも、もっと深く、もっと遠くへ進んでいく決意を固めます。果たして、その先に待っているのは何か、彼の目に映るのはどんな景色なのか。興奮と共に物語は進み、山の奥へと一郎は足を踏み入れていきます。
『どんぐりと山猫』は、宮沢賢治の中でも独特な世界観を持った物語で、ユーモアと幻想が絡み合っています。山猫という不思議な存在を通して、子どもたちと自然の深い結びつき、または大人たちが忘れてしまった感覚を呼び覚ますような作品です。賢治が描く自然は、ただの背景ではなく、物語の一部として生き生きと動き、物語をより深く、豊かなものにしています。
この朗読では、賢治の言葉のリズムを大切にしながら、静かな冒険へと誘います。どこか懐かしく、でも新鮮なこの物語は、子どもから大人まで、誰もが楽しめる内容です。特に自然の中で過ごす時間や、何気ない日常の中にある小さな冒険を感じることができる一篇となっています。
それでは、冒険のはじまりを、どうぞお楽しみください。