【心房細動と抗凝固薬】転倒があっても抗凝固薬は続ける?判断材料をそろえる|#344
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概要
在宅の現場で、もっとも答えに詰まる質問のひとつが「この人、こんなに転ぶのに、まだ血をさらさらにする薬を飲み続けるんですか?」というものです。ご家族からも、訪問看護師からも、ケアマネジャーからも投げかけられます。そして多くの場合、その問いには「転んで頭を打って出血したら、私たちの責任になるのでは」という不安が重なっています。
心房細動(しんぼうさいどう)は、心臓の上の部屋がけいれんするように細かく震え、規則正しく収縮しなくなる不整脈です。血液が心臓の中でよどみ、血のかたまり(血栓)ができやすくなります。その血栓が流れ出て脳の太い血管を詰まらせるのが、心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)です。前ぶれなく突然発症し、麻痺や意識障害が一気に完成する、重い脳梗塞(のうこうそく)です。抗凝固薬(こうぎょうこやく)は、これを防ぐためにほぼ唯一有効な手段です。
ここで重要なのは、高齢者の内服薬を見直すとき、多くの薬は「やめても急に悪いことは起きない」のに対し、抗凝固薬だけは「やめた瞬間からリスクが上がる」という非対称性があることです。睡眠薬や降圧薬を一剤減らす判断と、抗凝固薬を中止する判断は、まったく性質が違います。この回では、転倒を繰り返す人の抗凝固薬を「続ける・減らす・やめる」とき、在宅スタッフが何を観察し、何を材料として主治医に差し出せばよいかに絞ってお話しします。
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