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【心房細動と抗凝固薬】抜歯前の抗凝固薬、自己判断で止めないために|#346

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概要

在宅で診ている高齢者のうち、心房細動(しんぼうさいどう)を持つ方は決して珍しくありません。心房細動があると心臓の中で血のかたまり(血栓)ができやすく、それが脳に飛んで起こるのが心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)です。この脳梗塞(のうこうそく)は、突然発症して一気に重症化します。だからこそ、抗凝固薬(こうぎょうこやく)、つまりワルファリンや直接経口抗凝固薬(ちょくせつけいこうこうぎょうこやく、略してDOAC/ドアック。アピキサバン、エドキサバン、リバーロキサバン、ダビガトランなど)を毎日きちんと飲み続けることが、その方の生活を守る土台になっています。


ところが、この「毎日きちんと」が崩れやすい場面があります。その代表が、歯科での抜歯(ばっし)、皮膚科での小さな手術、採血や点滴、爪切りやスキンケアといった、いわゆる観血的処置(かんけつてきしょち、出血を伴う処置のこと)の前です。「血が止まらなくなると困るから、前の日から止めておきましょう」という一言が、善意から出ることがあります。そして実際に、自己判断や周囲の助言で数日間休薬(きゅうやく)し、その間に脳梗塞を起こしてしまう事例が、今も全国で報告され続けています。


現在の国内ガイドラインの考え方は明快です。抜歯や皮膚の小処置のような、出血しても目で見て押さえられる処置では、抗凝固薬は原則として継続します。出血は局所の止血(しけつ)処置でほぼ対応できる一方、休薬によって起きた脳梗塞は取り返しがつかないからです。この「天秤のかけ方」を、医師・歯科医師だけでなく、看護師、介護職、ケアマネジャー、そして家族が共通言語として持っておくことが、在宅では決定的に重要になります。

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