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【心房細動と抗凝固薬】手首で60秒、脈の乱れを見つけたら|#343

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概要

在宅の現場で、訪問のたびに手首に触れる。その数十秒が、脳梗塞(のうこうそく)を一つ防ぐきっかけになることがあります。心房細動(しんぼうさいどう)は、心臓の上の部屋である心房が細かく不規則に震え、脈がまったくバラバラになる不整脈です。高齢になるほど増え、日本の疫学調査では80歳以上の有病率は男性でおよそ4パーセント台、女性でおよそ2パーセント台と報告されています。在宅で関わる利用者さんの集団を考えれば、決して珍しい病気ではありません。


心房細動そのものは、すぐに命を奪う不整脈ではありません。問題は、震えている心房の中に血のかたまり(血栓)ができ、それが脳へ飛んで太い血管を詰まらせることです。これを心原性脳塞栓症(しんげんせいのうそくせんしょう)といい、梗塞が大きくなりやすく、発症したその瞬間から重い片麻痺(かたまひ)や意識障害を残しやすいことで知られています。適切な抗凝固薬(こうぎょうこやく)を使えば、この脳梗塞の多くは予防できます。つまり、見つかっているかどうかで予後(よご)が大きく分かれるタイプの病気です。


そして厄介なのは、高齢者の心房細動はしばしば無症状だということです。動悸(どうき)を訴えない、胸も苦しくない、本人はいつもどおりに過ごしている。それでも脈だけがバラバラになっている。この「訴えのない心房細動」を拾い上げられる人は、毎週のように手首に触れている在宅スタッフです。今回は、日々のバイタル測定の一般論ではなく、バラバラな脈に出会った、その一点からどう動くかに絞ってお話しします。

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