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外来語所感(小学館の名作文芸朗読)

小学館

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外来語所感(小学館の名作文芸朗読)

著者: 九鬼 周造
ナレーター: 永井 公彦
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【小学館の名作文芸朗読】

外来語の氾濫に関する懸念を語った評論。九鬼は、「カレンダー」と「こよみ」、「郵便函」と「ポスト」など、日本語が外来語に置き換えられている現実を指摘する。外来語反対派の主張として、①日常語の多くが外来語であるため排斥は不要、②特殊な語感が日本語では表現できない、③言語の自然淘汰が行われるという三点を挙げる。一方で九鬼は、文化的アイデンティティの観点から日本語を守る必要性を主張し、不要な外来語を使わず、適切な訳語を作ることを提案している。©2025 Public Domain (P) (P)2025 エイトリンクス
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九鬼周造は、明治生まれの哲学者で、代表作に いきの構造 がある。ヨーロッパに長く滞在し、フランスやドイツの思想を深く学んだ人でもある。つまり、単純な西洋嫌いではない。むしろ西洋文化をかなり深く知っていた人が、そのうえで日本語の変化に違和感を持って書いた文章だと考えるとわかりやすい。

この文章が書かれたのは、おそらく1936年ごろ。昭和11年、二・二六事件の年でもあり、日本全体がだんだん戦時色を強めていく時期だった。西洋文化をどう受け入れるのか、日本らしさをどう守るのか、そういう意識が社会全体に強くなっていた時代である。

九鬼が問題にしているのは、外来語そのものではない。便利な言葉や、日本語では表しにくい言葉が入ってくることは、ある程度仕方がないと認めている。九鬼が嫌がっているのは、必要もないのに外来語をありがたがり、もともと日本語が持っていた情緒や手触りまで失われてしまうことだ。

たとえば、日常の中にふっと外来語が入り込むことで、それまでそこにあった風景の感じが変わってしまう。九鬼はそこに敏感だった。言葉は単なる意味の記号ではなく、風景や気分や文化の肌ざわりまで運んでいる。だから、言葉が変わると、世界の見え方まで少し変わってしまう。

現代でいえば、ミーティング、アサイン、エビデンス、コミット、リスケ、ローンチといったカタカナ語に近いかもしれない。それらが本当に必要だから使われているのか、それともなんとなく賢そうに見えるから使われているのか。そこに違和感を覚える感覚は、今でもかなり通じる。

ただし、この文章には1930年代の空気も強く出ている。国語を守る、日本文化を守るという意識が、今読むと少し強すぎるように感じられる部分もある。だから、九鬼の主張をそのまま現代に持ってくるというより、言葉が変わると感覚も変わる、という問題意識を拾って聞くといい。

外来語所感 は、外来語を使うなという単純な文章ではない。
言葉の置き換えによって、私たちの生活の情緒や文化の輪郭がどのように変わってしまうのか。
そのことに、九鬼周造がとても敏感に反応した文章である。

少しだけ時代背景を知っておくと、この文章はぐっと聞きやすくなる。

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